戦後の貧しい時代から、高度成長を経て豊かな日本に。その中で、日本人は何を失ったのだろうか?貧しい時代から生まれたのは「我慢」。高度成長期に生まれたのは「働きがい・希望・夢」。バブル崩壊から市場原理主義を経た現在、「失望・貧困・格差」が生まれたと言っていいのではないか。
その中で、日本人が一番なくしてしまったのが我慢することではないだろうか?昔は、出生率も高く、兄弟・姉妹が多かった。例えば、衣服にしても、弟は兄のお下がりで我慢しなさい。何か、欲しくてねだっても我慢しなさい。夫の収入で、家計を切り盛りし、贅沢は出来ないが、未来に希望がある。そんな時代だったのではないかと思う。
確かに日本は豊かな国になったと思う。しかし、日本人の持っていた「我慢」が、「わがまま」へと変わってしまったと思う。自分の思い通りにならないと気が済まない。自分の思い通りにならないことを人のせいにする。自分の欲望のために犯罪を犯す。毎日、テレビで事件のニュースが報道されるが、犯罪の起きない日がない。
人はいつ、初めてのルール-違反をするのだろう?
横断歩道を赤信号で渡る。飲み終えた空き缶を捨てる。散歩の犬の糞をそのままにする。など、たぶん、最初は悪いことをしていると思いながら、後ろめたさもあったのだと思う。
しかし、一度、ルール違反をして、他の人もしていると思えば、後ろめたさもなくなってしまう。
誰もが、ルール違反をしない。そんな世の中に戻れば、自ずと犯罪もなくなっていくだろうと私は思う。