6日(日曜)に藤沢地方自治研究センター主催のセミナーが開催された。セミナーは、「自然共生社会と豊かなくらし」をテーマに東京大学大学院教授の武内和彦先生を招いて講演形式で行われ、私も理事の立場で参加した。
講演の概要は次の通りだが、セミナーに参加し、これからの地域づくりに必要な課題を学び、藤沢市や神奈川県に置き換えたとき、どのような地域づくりをしていくべきか、非常に参考になる機会であった。
今、地球温暖化が大きな問題となっている。このまま温暖化が進めば、豪雨・干ばつなどの異常気象、海面上昇による水没、気温上昇に伴うマラリヤ・コレラなどの熱帯性感染症の増加、生態系への影響など、様々な被害が想定されている。世界各国で取り組みがされているが、温暖化防止に必要なのは私たちの暮らし方の見直しである。
2010年10月に名古屋で開催されたCOP10では、「自然共生社会と豊かなくらし」が世界に発信され、人と自然の関わりを取り戻す「里山イニシアティブ」が提案された。人口増加を前提とした20世紀型都市計画から、人口減少や高齢化社会を見据えた都市の縮小を考える事が重要である。人口減少時代を都市の自然化のチャンスと捉え、人間が生きていくための基盤となる生態系を守りながら、エネルギーや物流の流れを自然界の流れに近づけていく。
里山は、人と自然化が係わった典型的なランドスケープであり、人に様々な福利を与える。食料・木材・繊維・燃料は、人間に豊かな生活を与え、気候調整・洪水抑制・水の浄化は、人間に安全や健康を与える。
これまで、都市と農村は別に論じられてきたが、これからは生物資源の循環による農村と都市の調和を考える必要がある。食料の地産地消のみならず、バイオマス利用などによるエネルギーの地産地消も期待できる。都市の自然が持っている多様な恵みを活かしたまちづくりは、これからの人口減少・高齢化社会における豊かな暮らしの創造に大きく貢献すると考えられる。