2011.10.17-19 総務常任委員会行政視察

 10月17日~19日に、総務常任委員会の視察を行いました。視察先、テーマ、内容については、次の通りです。

10月17日  

視察先:宮崎市  テーマ:行財政改革

 宮崎市は、平成7年に人口30万人となり、中核市をめざし、平成10年に中核市となりました。その後、平成18年には3町と合併し人口36万人に、平成22年には1町と合併して40万都市となりました。

 宮崎市は、旧町の職員500人が増えたため、総務・企画・政策部門で人員削減を行いましたが、事業部門の人員は減らせなかったとのことです。その後の行革で、現業職員の退職者不補充、ごみ収集と学校給食の民営化をすすめて、現在は、9園ある公立保育園を5園にしていく取組がされているとのことです。今後は、合併後5年が経過したことから、更にスケールメリットを活かした人員削減を進めていくとしています。

 私は、宮崎市と藤沢市の違いについて、藤沢市は、これまで、第1次から第3次行革を行い、人員削減を行ってきましたが、人員削減計画に伴い、かなり強引な人員削減をしてきたため、職員の時間外の大幅な増加、休みが取れない、職員のメンタル疾患による長期休職や途中退職など、人件費コストの削減と引き替えに、トータルで見た市民サービスの低下になっていると感じています。

 一方で、宮崎市は、合併後、5年間の定員適正化計画では、117人の削減計画に対して、45人の削減にとどまっており、コスト優先より、現場優先としたことだと思いました。

 行政改革は、いつの時代も必要な事だと思いますが、結果として、市民サービスの低下を招くような行革は、行革と言えないと思います。意識改革、職員の資質向上、職員のモチベーションの確保、その先に市民サービスの向上があるべきです。市民サービスを向上させることが行革であり、人を減らすことが目的となってはいけないと思います。

10月18日

視察先:大分市  テーマ:ご近所の底力再生事業

 大分市は、市民協働のまちづくりとして、地域コミュニティの再生に向けた、「地域まちづくり活性化事業」と「ご近所の底力再生事業」に取り組んでいます。地域まちづくり活性化事業は、各支所(藤沢でいえば市民センター)に道路整備などハード事業を対象としない、ソフト事業に対して助成しており、史跡めぐり健康づくりウォーキングコースの設定やマップの作成、コスモスふれあい広場づくり、健康といやしの里づくりなど、地域の特性にあった事業を展開しています。また、ご近所の底力再生事業は、自治会単位で行う事業に助成金を交付するもので、対象は次の7項目です。

①地域の安全を守る事業 ②青少年の健全育成に関する事業 ③地域福祉の向上に関する事業 ④世代間の交流の促進に関する事業 ⑤地域の環境の美化または保全に関する事業 ⑥地域の活力の向上に関する事業 ⑦その他、地域コミュニティの再生に寄与する事業。であり、市内677自治会に対して、世帯に応じ、3万円~23万円の助成を行っています。

 例えば、道路沿いの草刈に対して、その草刈機購入に助成をして、自治会の方々が草刈をする。フラワーポットにかかる資材を助成して自治会で設置をする。子どもの見守りパトロールのタスキ代を助成する。ふれあい餅つき大会の材料費助成など、それぞれの事業に必要なものを助成するものであり、平成22年度では、564自治会が助成を申請するなど、8割を超える自治会で事業助成の申請をしているほど、地域活動がさかんと言えます。

 私が素晴らしいなあと思ったのは、例えば道路敷きの草刈について、藤沢市では、直営または業者に委託して草刈を行っていますが、地域で率先して草刈をすることにより、最初の草刈機のコスト以外は、かからないという事です。同じように、本来、行政で行っていた事業を、地域が主体となって実施することによる活性化と合わせコスト削減ができるという事は、本当に勉強になりましたし、これが、地域のボトムアップによる地域主権なのだと思いました。

10月19日

視察先:別府市  テーマ:国際交流について

 別府市市民憲章は、「美しい町をつくりましょう」「温泉を大切にしましょう」「お客さまをあたたかく迎えましょう」であり、子どもの頃から学校でみんな習い、大人になっても皆、この市民憲章を言えるほどと聞きました。

 平成12年には、公私協力方式により、学生の半数が留学生である「立命館アジア太平洋大学(APU)」が開設し、国際観光温泉文化都市として、国際交流を図っており、現在は、ONSENツーリズムの新しいまちづくりを推進しています。しかし、この留学生を受け入れるのには課題があったとのことです。当初は、外国人の受け入れに住民は難色を示しましたが、もし、自分の子どもや孫が、外国に行って、不親切にされたり、差別を受けたら、親としてすごく心配するのでは?だとしたら、別府に来る留学生や親も同じではないか。と言うように、留学生を受け入れる前に、理解を得ることが出来たそうです。

 そのような思いで、受け入れをスタート。留学生は、年々増加し、2011年5月1日現在で、3,227人となっています。更に、顔の見える対応として、何か困っていたり悩みに対して、行政が適切な対応をしたことにより、地域でも留学生に対して、どの留学生がどこに住んでいて、というように近所づきあいも始まったそうです。そのような経過を経て、卒業生は、別府市を第二の故郷とするようになりました。別府市のために役に立ちたい!そういう思いが今の別府市の国際化にすごく寄与をしていると感じました。

 観光としての外国人誘客事業にしても、上海万博での宣伝・PR活動にも、卒業生がPRするなど活躍をしています。また、APECなど国際会議での、諸外国からの受け入れ、通訳や受け入れボランティアで活躍するなど、別府市の役に立ちたいとして、行動を自発的にしています。

 私が、本当に大切だなあと思ったのは、自発的なことです。卒業生が、お世話になった第二の故郷のために何かをしたい!と自発的・積極的に行動してくれること。市側で、頼んだことではありません。

 藤沢市では、国際化協会の設置に向けた議論、市長が外国に行って観光のPRをいろいろと行っていますが、本当に心を打つのは、藤沢市のために何ができるのか?藤沢市に対して何かしたいという、在住外国人や留学生の存在でありますが、今の藤沢市に、そのような存在があるとは言えないと思います。これからは、別府市のような感覚を持って、外国人に対する対応が出来ない限り、藤沢市のグローバル化は出来ないと思いました。

以上、総務常任委員会の視察における、報告と私の所感とします。

 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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