9月24日の議会本会議終了後に、土地開発公社の存続と、土地の先行取得に係る議会への情報提供について、議員全員協議会が開催されました。内容(抜粋)は、次の通りです。
1.土地開発公社の現状
(1)平成23年度決算における公有用地(公共用地)の保有状況
①10年以上保有 36,014㎡ 46億9,620万円(簿価)
②5年~10年保有 18,107㎡ 7億2,684万円(簿価)
③5年未満保有 12,111㎡ 28億1,452万円(簿価)
合計 66,232㎡ 82億3,758万円(簿価)
※10年以上保有している土地は、村岡地区都市拠点総合整備事業用地だけで、全体の57%を占めている。
(2)過去3年間の先行取得状況
①平成23年度 11件 4,622㎡ 13億2,768万円
②平成22年度 8件 1,684㎡ 6億479万円
③平成21年度 9件 7,971㎡ 10億7,895万円
合計 28件 14,278㎡ 30億1,144万円
2.土地開発公社の設置目的及びメリット
(1)設置目的
藤沢市土地開発公社は、「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づき、公共用地の取得、管理、処分等を行うことにより、地域の秩序ある整備と住民福祉の増進に寄与することを目的に、藤沢市が全額出資をして、昭和49年に設立された法人。
公共施設の建設に必要な用地を、早期に取得することにより、地価の上昇に対応してきたが、近年では、地価の下落により、、先行取得の必要性が薄れつつある。
(2)現時点での主なメリット
①相続等により、急きょ用地取得が必要となった場合に、即座対応できる。
②市が、土地開発公社から計画的に公共用地を買い戻すことにより、市の財政負担を平準化し、単年度の負担が軽減できる。
3.土地開発公社を廃止する場合の主な作業
(1)市による公有用地の買戻し
平成23年度決算時点で、公社は、約82億円の土地を所有しており、廃止する場合、その土地を買い戻す必要がある。
(2)買戻し計画の策定
市の財政計画に基づき、新たに買戻し計画を策定する必要がある。
(3)公社職員の処遇
公社の廃止に伴い、職員の処遇について検討する必要がある。
(4)用地取得機能の拡充
公社の廃止に伴い、先行取得から直買いになることから、市の組織内に、その業務に対応する機能を検討する必要がある。
(5)緊急時の用地取得の予算措置
「公有地の拡大の推進に関する法律」による届け出等に係る土地を買い取る場合など、緊急に土地を取得する必要がある場合、対応できる予算措置の方法を検討する必要がある。
4.現時点での土地開発公社の取り扱い
(1)当面の考え方
市が一括して、約82億円の土地を買い戻すことは、市庁舎整備を進めている状況から容易ではない。しかし、この土地の57%は、村岡新駅関連。この事業の進捗により、買い戻しが実行されれば、公社が保有する土地は大幅に減少することとなる。これらの状況を踏まえれば、市庁舎整備及び、村岡地区都市拠点総合整備事業用地の買戻しに一定の目途が立つ期間として、およそ10年間が必要であり、先行取得による財政の平準化、用地取得の機動性を考慮し、10年間は、公社を存続させていきたい。なお、3年が経過した時点で、その必要性について改めて確認していく。
(2)透明性の確保
①市議会への情報提供については、「藤沢市土地開発公社による土地の先行取得に係る議会への情報提供に関する事務取扱規定(案)」を参照。
この規定のポイントは、都市計画決定の有無に関係なく、議会へ報告することとし、原則、議員全員協議会での情報提供とする事です。なお、提供する情報は、「担当部課名」「事業名」「事業の概要」「先行取得をする理由」「取得予定日」「予算額の規模」「先行取得する土地の町名・字名」「土地の面積規模」などです。
②不動産鑑定評価の取り扱いについては、「藤沢市土地開発公社による土地の先行取得に係る不動産鑑定評価の取り扱いについて(案)」を参照。
この取り扱いのポイントは次の通り。
ア) 著しい割合の格差率、通常用いない特異な評価手法、通常比較しない取引事例、など、特異な例の場合、不動産鑑定士からの意見聴取を書面で行う。
イ) 原則、取得する面積が、1,000㎡以上、かつ、取得金額が1億円以上の場合、2者の不動産鑑定士による鑑定評価を行う。
ウ) 2者による不動産鑑定評価を採用した場合、その中庸の額とする。(足して2で割る)
(3)市の債務負担行為について
今後、継続して、債務負担行為について、検討・整理していく。
【質疑】
有賀議員
予算にない事業について、民間との競合した事例は今まであったか?→事例はない。
原田議員
公社職員の内訳は?→正規職員5人、再雇用職員3人、市OBの嘱託職員1人。
正規職員5人の処遇は考えなければならない。非正規職員は整理できるのか?→再雇用は、期間の定めあるので、解消できる。
近隣市で公社廃止したところの対応は?→直買い。
公拡法のメリットを強調しているが、ここ3年間で、公拡法での取得件数は?→平成23年度5件、22年度3件、21年度4件。
直買いした場合、公拡法使えないデメリットは?→公拡法では、届け出から3週間制約。過ぎれば、民間が自由に買える。
予算額の根拠は?→近傍の価格、固定資産税評価額、路線価。
10年以内の整理なら、82億円を10年で買い戻すと、年間8億円になる。新規先行取得はしないのか?→現時点では、10年間、様子をみていく考えなので、買い戻していく考えはない。先行取得は、メリットあると考えているので、透明性を確保した上で、継続していく。
1億円以上で、2者の鑑定では不十分では?→再度、精査して修正する。
2者の中庸ではどうか。相模原市では低い方だが?→鑑定士の意見聴取を行い、評価が正しいというのが前提で、善行のように、あれほど差が出ることはないと考えているが、再検討する。
公社をどうしていくか、いつ決めるのか?→これまでの不適切、不透明をなくしていくことを考えている。機動性を含めた優位性ある。市庁舎整備は市財政に影響ある。財政計画を検討した中で、ルールを運用する中で、3年間、様子を見ていく。
柳沢議員
公社を廃止している自治体、全国である。廃止した自治体はどうしているのか?→緊急なものについては、予算措置できれば買うが、できなければ、その時は、あきらめる。その後、補償も含めて、買っていく。
今回のようなルールで、善行の問題防げたのか?→そのことを念頭において、ルール化したもの。鑑定士の意見聴取により、細かくチェックできるので、防げると考える。
他市の状況を詳しく調べる必要ある。先行取得の損得ではなく、廃止するべき理由があったはずだが?→塩漬け、含み損から公社廃止が増えているが、詳しく調べていく。
公社は市に対して、疑問があってもものが言えない関係だとすれば、公社でチェックするのは難しい。どう対応したのか?→市側の意思決定に問題あった。不動産評価委員会について、外部委員、複数でやっていく。そして、その意見を価格決定会議で聞くこととする。
村岡の土地は、当時から10年以上。地価は下落、結果として高い土地を買うことになるのでは?→全額市で買い戻すのではなく、特定財源も活用しながら、まちづくりを考えていく。
柳田議員
再発防止と同時に、責任の所在を明らかにするべき。公社の責任は?→百条委員会の報告に対する対応について、不正な取り扱いについては、外部を入れて、再調査を行うこととなっており、調査結果を議会にも報告する。責任の所在については、市から取得が示された場合、その意向を受けて先行取得してきた。現在のところ、透明性を確保する中で、責任を果たしていきたい。
公社の方で、参考価格を出しているではないか!公社を存続させたいと言える状況ではないと思うが?→市の依頼を受けるのであれば、何も変わらない。今後、調査を進める中で、関係職員から聴取し、責任を明確にしていく。
松長議員
これまでの公社の総括は?→藤沢市全体のまちづくりは、北部を中心に区画整理事業で行ってきた。道路も北部で一定の整備進んでいる。都市計画決定の計画を早めに、区画整理は昭和30年代から計画してきた。その時の、公社の役割りは大きかった。これまで、購入した土地が値上がりするため、位置づけは重要だった。これからは、土地の下落する中、まちづくりで先行取得の意味がどのくらいあるのか、透明性をどこまで確保できるのか、そのため、一定の期間をいただきたい。今回、色々意見をいただいたので、改めて検討していく。
塚本議員
公社を廃止することが、透明性を高めることにはならない。この事業を公社ではなく、市の直轄で管理していくべき。公社の財政は悪くない。直轄にして、特別会計でやればいいと思う。検討の中で、踏まえてほしい。(意見)
以上、報告とします。