10月22日 9:30より、行政改革等特別委員会が開催され、委員として出席しました。内容(抜粋)については、次の通りです。
1.藤沢市 新・行財政改革基本方針(案)~さらなる行政の効率化と市民サービスの向上に向けて~
(1)新・行財政改革の基本的な考え方
東日本大震災を契機に、市民にとって、最も身近な基礎自治体として、市町村の役割が再認識され、市町村への期待はこれまで以上に高まっている。一方で、老朽化した公共施設、自然災害を意識したインフラの再整備、少子化対策・高齢化に伴う介護・医療費等をはじめとした社会保障費の負担など、財政支出の増加が見込まれる。
こうした情勢のもとで、市民からの新たな期待やニーズに対応し、市民が行政サービスの向上を実感できる、適切な行政運営を行わなければならない。そのためには、全ての事業を、いま一度見直して、事業の優先順位付けなど、時代のニーズに合った最も効率的、効果的な事業へとリニューアルしなければならない。業務を熟知している職員自らが、改革をに向けて意識を高めること、各部課が、主体的に行財政改革に取り組むことが重要である。
こうした考え方に基づき、今後予想される厳しい社会経済環境を見据え、これに対応し、新たな市民ニーズに応えていく行政組織・運営への転換を図る、未来志向の行財政改革をめざしていく。
(2)新・行財政改革を支える3つの改革
①第1の改革「将来収支・経済効果を見据えた事業の効率化を図る改革」
例えば、都市基盤整備事業の事業計画をたてる際には、これにかかる初期経費はもとより、維持管理経費なども含めた、将来負担と事業により得られる資産価値の上昇、活用範囲の拡大・向上、固定資産税や市民税等の収入増などの付加的な経済的効果を試算し、事業による総体的な収支見込みや比較を行う。
また、今までの行財政改革では、主に費用に着目して取り組んできたが、ストック(公有資産)にも、無駄や活用の余地がある。ここに着目し、公共施設の集約や統廃合、公有資産の積極的な活用、不要な財産の処分など、効率化を進めていく。
②第2の改革「市民サービスの質的向上を図る改革」
市民サービスの質に着目し、企業や大学等を含めた幅広い市民の視点・立場にたった事務事業の執行、市民対応を図り、市民サービスの質を高めていく。このことにより、更なる行政の効率化と市民サービスの質的向上の両立を図っていく。
③第3の改革「コスト意識の徹底を図る改革」
コストに対する意識を徹底し、自主財源の確保、収入未済金の削減、使用料・手数料の適正化、補助金・負担金等の見直し、厳密な予算編成を徹底していく。市が行う全ての事業について、市が行うべきか、市民ニーズに合致しているか、類似事業はないか、必要以上のコストがかかっていないか、効果が得られているかなどの視点で再検証し、事業の統廃合や効率化、質的向上に向けた見直しなど、改善を図る。また、総合計画事業については、改めて、事業の内容や手法の整理を含めた再検証を行い、必要に応じて、総合計画事業の見直しをするなど、整合性を図りつつ、取り組むこととする。
(3)新・行財政改革推進の4つの視点
①市民の視点
市民サービスの多様化が進む中、市民が行政サービスの質的向上を実感できるよう、より一層の事業の効率化を図り、限られた財源と資源を効果的に活用することで、市民サービスの向上と高い市民満足度が得られるようにする。具体的な視点の例は次の通り。
ア)行政評価(事務事業評価・外部評価)結果の公表・公開
イ)情報公開の推進と説明責任の明確化
ウ)市民との合意形成に基づく事業推進
エ)市民との協働の推進
オ)指定管理者制度の検証と改善によるサービスの向上
カ)市民理解に基づく公共施設、インフラの効率的な再整備
②財務の視点
財政支出を抑制しつつ、より一層の効果をあげることが求められている。財政の健全性を維持することが最も重要であり、常に事業を再点検し、事業の見直しを図っていかなければならない。また、創意工夫をし、様々な選択肢の中から、最適な事業手法を選び、より効率的・効果的に事業を実施していくことが求められている。具体的な視点の例は次の通り。
ア)財政健全化に向けた指標の設定
イ)固定的経費の抑制
ウ)PFI等の民間活力の活用を含めた、幅広い事業手法からの最適な手法の選択
エ)他自治体との広域連携の推進
オ)事務の簡素化と効率化
カ)行政評価を活用した事業の定期的な見直し
キ)事業の統廃合と再構築
ク)公共施設の統廃合や複合化による効率化
ケ)公有資産の有効活用・不要資産の処分
コ)出資法人の自立性の向上
③組織と人材活用の視点
人材は最大の資源であり、行財政改革を進めていく原動力は職員。今求められている課題解決に向けて、最も適切な組織体制を整え、職員が最大限に力を発揮できる仕組みが必要。職員が主体的に業務に取り組み、やりがいと向上心を持って仕事ができるよう、計画的な人材育成を支える仕組み、目標をもって仕事に取り組める環境整備が必要である。また、健全な組織運営を維持するために、法令遵守をはじめとして、組織内でチェック機能を働かせることが大切であり、内部チェック機能(内部統制)等のガバナンスの強化を図っていくことが求められている。具体的な視点の例は次の通り。
ア)柔軟で即応的な組織執行体制への変革
イ)キャリアプランに応じた人材育成と適正配置
ウ)自ら考え、行動する能動的な職員への意識改革
エ)職員の主体性、職場環境、モチベーションの向上
オ)目標管理制度の活用
カ)法令遵の徹底
キ)内部チェック機能(内部統制)の活用
④現場起点の視点
業務について、最も熟知しているのは、その仕事を行っている部課であり、職員。熟知しているからこそ気が付く課題を顕在化させ、自らが積極的・主体的に改善に取り組むことが大切。具体的な視点の例は次の通り。
ア)現場中心による事業への取り組み
イ)実情に照らした事業の優先順位づけ
ウ)職場における理解と協力体制の形成
エ)職員が持っている経験・知識・アイデアの顕在化と共有
(4)新・行財政改革の進め方
①実行プランの策定・推進体制
具体的に取り組む内容・項目として「実行プラン」を各部が中心となって作成する。実行プランは、各部の行財政改革推進方針であり、具体的な取り組み内容となる。策定された実行プランに基づき、各事業担当部が自ら、主体的・積極的に取り組むこととし、全体の進行管理・調整は、「行財政改革推進本部」が行う。
②取組期間
平成25年度~29年度までの5年間
③進行管理
「実行プラン」の進行管理は行政改革主管課で行い、進行管理に関わる全体調整は推進本部で行う。また、進行状況については、市議会の「行政改革等特別委員会」に定期的に報告するとともに、市民へ情報提供する。
【質疑】
加藤(なを子)委員
全ての事業の見直しというが、聖域はあるのか?村岡のまちづくりや道路整備なども見直しの対象に含まれているのか?→今回の考え方は、職員が自ら見直しをしていくこと。事業そのものを見直しではなく、進め方の効率を考えているので、聖域はない。
市民の視点にたつというが、市民ニーズをどう把握するのか?→市の置かれている状況を市民と共有する必要がある。情報提供し共有しながら進めていく。
PFIの活用とあるが、PFIの検証は十分されているのか?→客観的に見て必要があれば見直していく。
総合計画の見直しの状況は?→見直し検討中。実施計画は平成25年度が最終年度。平成26年度以降は、総合計画と行革の整合性を図っていく。
市民から見ての優先的ニーズをどう把握していくのか?→市民満足度調査を平成20年度まで実施していたが、今は、総合計画のアンケートに切り替えている。総合計画の見直しにあわせ、検討していく。
竹村委員
現状認識について、長期的に見れば少子高齢化だが、藤沢市は待機児童の増、学校のプレハブ設置の増、パナソニック跡地の開発など、人口減どころか短期的には人口増している。どう乗り切るかが課題だが、認識は?→基本方針では、日本全国を見たときの傾向を示した。藤沢市の現状は、委員指摘の通り認識をしている。実行プランでは、直面している人口増の課題を意識した中で取り組んでいく。文章については、整理をして表現していく。
桜井委員
今までの行革はトップダウンで厳しくやってきた。今回のやり方で、進捗が遅れたりしないか?→今までの行革は削減を前提としてきたが、今回は、個々の事業の小さな改善を含めて、職員個人個人が主体的に取り組むもの。
都市基盤整備事業などはコンサルへの委託ではなく、職員を活用するべきでは?→職員の専門性、ノウハウについては、十分に活用するべき。民間経験者の採用など、それぞれの専門性を顕在化させていく。
今までの行革では、取り組んだ部署と取り組まない部署があったが、今後はどうするのか?→今までは国からの指導のもと、行革推進担当が行ってきた。行革方針に該当しなかった部署あった。今回は、全ての職員が自ら改革をしていくもので、あらゆる事業の見直しを行うため、取り組まない部署はない。
高橋委員
取組期間が平成29年度までの5年間となっている。行革の視点に新庁舎建設をもっと意識するべきでは?→庁舎建設も大きな課題であり、踏まえて、基本方針を整理していく。
他市の総合窓口などを視察したが、すばらしいところある。市民サービス向上のためには、庁舎建設が大きく関わると思うが?→庁舎建設は、現庁舎が抱えている課題を整理する中で検討していく。窓口機能、防災機能、市民利用の機能、議会機能など。窓口機能は、市民サービスを考えた整備となる。分かりやすい窓口のあり方について、十分検討していく。
補助金についても取り組むべきでは?→3年に1度の見直し作業をしている。補助金により成果が出ているかという視点で見直す。その上で、得られた財源は庁舎建設の基金に反映していきたい。
栗原委員
財務部が事業の選択をしているが、改めるべきでは?→担当部課が自ら優先順位をつけ、それを尊重して査定している。
議員は他市を視察して情報を得るが、職員にそういう機会はないのか?→将来に向けて検討している課題について、先進都市への派遣研修をしている。平成23年度は5人を派遣した。
2.平成24年度 外部評価の実施について
藤沢市が行う事業について、平成16年度から外部評価を実施してきた。平成21年度~23年度の3年間は、事業仕分けの手法で、約100の事業について、外部評価を実施した。廃止や削減などの見直しを図るべき事業については、ほぼ実施済みとなったことから、新たな手法により外部評価を実施するもの。内容(抜粋)については、次の通りです。
(1)実施方法
事務事業ではなく、行政課題をテーマとして、これに関わる事務事業の現状、課題などを整理し、これをもとに様々な角度から課題解決に向けた議論を行う。
①事前準備
テーマに係る専門家にコーディネーターを依頼、助言を受けながら、事務事業の現状について、課題の抽出、論点整理を行う。
ア)事業の概要や論点をまとめた資料を作成。
イ)この資料に基づき、コーディネーターから評価者に対して、事前に現状の課題や論点整理などについての説明、確認を行う。
②外部評価の実施
ア)外部評価は公開とし、資料は傍聴者にも配布する。
イ)評価者は、行財政改革協議会委員および、テーマに関連する外部の有識者等で構成する。これに、関係課の職員を加える。
ウ)司会はコーディネーターが担当、時間は全体で1時間45分程度。
エ)職員を含め、それぞれの立場から率直に意見を出し合い、建設的な議論を行う。
オ)評価の結果は、改善の方向性を整理することとし、事業仕分けのように「不要」「民間等」といった評価結果とはしない。
③実施日・会場
日時 2012年11月12日(月) 10:00~11:45
会場 市役所第3庁舎・第3会議室
(2)平成24年度 外部評価のテーマ
「市民にとって分かりやすい情報提供のあり方について」
(3)評価結果
行政改革等特別委員会への報告を経て、市のホームページ等で公開する。
【質疑】
加藤(なを子)委員
テーマの決まった経緯は?→課題解決型で試行するもので、市民にとって分かりやすいテーマとした。今後のテーマは、実施結果を踏まえて決めていく。
傍聴の人数は?→90人定員の会場なので、傍聴は30人~40人程度か。
栗原委員
外部評価者の人数は?→行財政改革協議会委員10人+学識者1人+市民評価者1人。
外部評価にかかる費用は?→学識者・市民評価者への謝礼、協議会委員の報酬、テープ起こしなどで、約27万円。
竹村委員(意見)
学校現場でも不適切事例が5件あったし、今も事案調査をしている。基本方針の考え方について、学校現場も真剣に取り組むべき。
以上、報告とします。