2013 会派視察

  5月26日~28日の日程で、沖縄県内で会派視察を行いました。視察の内容(抜粋)については、次の通りです。

1.辺野古埋立予定地付近

 米軍普天間基地の代替えとして、埋立計画がされている、辺野古現地でテントを張り、反対活動をしている「ヘリ基地反対協議会」の安次富共同代表から現状と今後について、話を伺うことができました。

 サンゴが育ち、ジュゴンやウミガメが生息する辺野古沿岸や大浦湾を未来の子どもたちへ残したい。V字滑走路を建設するには、大量の埋立土砂が必要で、その土砂採掘でも自然破壊がされる。キャンプシュワブには弾薬庫があり、実弾訓練、沖合からの揚陸訓練が日常的に行われており、弾薬の消費期限の関係から、弾薬を消費するための実弾訓練が行われている。また、沖縄県内に占める米軍関連の経済効果を5%と低くなっており、米軍施設がなければ、沖縄の経済が成り立たないという状況ではない。更に、県内米軍施設の返還後の街づくりに伴う雇用は、米軍施設当時と比べて格段に伸びている。なとど説明、私たちも、このきれいな海を、埋め立てて自然破壊をすることには、到底賛成できません。

 注目は、来年1月の名護市長選挙という。知事も現地の人々も、辺野古への新基地建設には反対している。来年1月に行われる市長選挙で、基地建設反対の市長が当選すれば、この計画も実現することはできない。極めて、重要な選挙となる。そして、反対する市長が誕生し、この反対のテントをたたむことを望むと話されました。

 写真は、辺野古埋立予定地に近い所で、3,325日間座り込み、監視、反対行動をしているテントと埋立予定地の海をバックに説明を受けている様子。

 

 

2.道の駅かでな

 道の駅かでなから見た、嘉手納空軍基地の4,000m滑走路。

 

3.アブチラガマ

 ガマとは、自然にできた洞窟で、島内に数多く存在しているもので、今回は、その中で、沖縄戦で多くの犠牲者を出した「アブチラガマ」の中に入りました。知念さんというガイドさんから、詳しく当時の状況を説明してもらいました。米軍から責められ、南下すると陸軍病院の分室となり、全長270mのガマに軍医やひめゆり学徒隊16人が配置されたとの事です。ガマ内には、600人もの負傷した兵士たちで埋め尽くされ、負傷の度合いで選別され、役に立たない多くの兵士が、苦しみながら死んでいったとのことでした。

 手術室や病室跡、今もなおわき続ける井戸もあり、今は透明できれいな水がわいていましたが、当時は血で真っ赤だったそうです。悲惨な話を聞き、胸が痛くなりましたが、戦争とは残酷なもので、二度とおこしてはいけないと、改めて感じました。ガイドの知念さんが、最後に、自殺者が3万人もいるが、自ら命を絶つ時代ではない、命を大切にしてほしい。そして、ここに産み育ててくれた親に「ありがとう」と感謝をしてほしいと。その話を聞いている間、鍾乳洞の天井からしずくが私の頭や肩に落ちていましたが、無念にも亡くなっていった人々の涙のように感じました。

 沖縄へ行く機会がありましたら、一度、アブチラガマをガイド付きで、見学してみてください。必ず、良い経験となると思います。(事前予約が必要)

 アブチラガマのパンフレットは、下のアブチラガマパンフをクリックしてください。

アブチラガマパンフ

 

4.平和の礎(へいわのいしじ)

 平和の礎を見学しました。この平和の礎には、沖縄戦での犠牲者の名前が刻まれています。日本兵、アメリカ兵、日本人、外国人を問わず、全ての戦没者の名前を刻み、恒久平和を祈念するものです。

 戦争には、加害者、被害者などないと思います。そこにあるものは、悲惨な事実だけが残ります。戦没者の慰霊のあり方について、終戦記念日の靖国神社の参拝がいつもニュースになります。靖国神社には、一部の日本軍人がまつられているだけで、一般人の戦没者はまつられていません。この、平和の礎のように、加害者、被害者ではなく、軍人、一般人ではなく、日本人、外国人ではなく、全ての戦没者を慰霊するものこそ、本当の戦没者慰霊碑ではないでしょうか。改めて、このような慰霊碑を建設すれば、靖国問題は平和的に解決できるものと思います。

 写真は、平和の礎。

    

 

5.普天間基地

 写真では見えにくいですが、右側には、普天間基地に配備されているオスプレイが見えます。この日の朝に、嘉手納配備のF15戦闘機が海上に墜落したため、戦闘機などの飛行はありませんでした。

 

6.米軍の戦略と日本政府の対応

 元宜野湾市長「伊波洋一」氏に話を聞くことができました。

 普天間基地の危険性については、すでにご案内の通りで、宜野湾市の中心部に基地があるため、市街地が米軍機の飛行ルートとなっている。公共施設、幼児保育施設など121か所以上もあり、常に墜落の危険と騒音にさらされている。現に、2004年には沖縄国際大学にヘリが墜落するなど、復帰後から現在まで90回以上、事故が起きている。飛行ルートが、市街地を通っているとデータを取り指摘しても、日本政府につぶされている状況という。

 更に、沖縄では、沖縄戦の占領直後から米兵による沖縄女性へのレイプが頻発、占領統治を通じて、幼児を含めた女性への性的暴力や絞殺事件などが多く起こった。現在でも、昨年10/16に米兵による集団強姦事件が発生、2米兵が逮捕され、在日米軍は10/19から全兵士の夜間外出禁止令を打ち出したが、11/2には、嘉手納基地所属の米兵が民家に入り込み、男子中学生を殴って暴れる事件が発生した。11/18には、女性宅に住居侵入し現行犯逮捕。米軍人犯罪は続いている。

 オスプレイ配備の危険も続いている。1トンもあるブロックをワイヤーでつりながら飛行。その下は市街地である。「オスプレイ環境レビュー」には、普天間のすべての航空機の飛行コースが示されている。米軍機は基地上空を飛行せず、那覇市や浦添市などの市街地上空をを飛行する。米軍の安全基準では、恒常的な飛行訓練コースは、住宅地等の上空を設定できない。米軍人の居住区では厳格に米軍基準を守りながら、沖縄県民の住居地区は完全に無視されている状況である。

 米国の全ての米軍飛行場に適用される米軍安全基準にある、クリアゾーン(利用禁止区域)450m×900mについても、住宅、公共施設などがあり、日本政府は無視をしている。

 伊波氏から伺った話で、一番衝撃だったのが、エアシーバトル戦略である。簡単に言うと、経済的、軍事的に成長している中国との戦争を想定し、戦略を進めているもの。米国は、中国の初期攻撃による被害を局限し、米軍にとって有利と見積もる長期戦に持ち込むことにある。米軍及び同盟国軍は先制攻撃に耐え、基地及び兵力の被害を局限する。先制攻撃の兆候をとらえ、空軍機は一時的に中国のミサイル攻撃圏外の飛行場(テニアン・パラオ、サイパン等)へ撤退する。その後、制空権を拡大し、琉球列島ラインをバリアにあらゆる領域において主導権を奪回し、維持する作戦を実行する。

 このことは、中国と米国の戦争の舞台が日本列島となっているという事。そして、そのエアシーバトル戦略に沿った形で、各基地の計画がなされている。岩国基地の4,000m規模の滑走路建設、辺野古のV字滑走路も、その戦略のためのものという。従って、米軍がいることを脅威に対する抑止力という表現をしているが、まったく関係のないことである。沖縄の人々はそのことを知っているが、本土のマスコミや国会議員は、その状況を知っているのか、知っていても、表ざたにしない。憲法9条改正も、米軍からの要求であり、現にその流れになってしまっている。

 要約ではあるが、伊波氏から、米軍公表資料、日本政府関係資料等を基に示された内容については、聞くも、ではどのようにして問題を回避するのか?なすすべがないという感じでした。

 現在、米国は中国に対して、緊密な関係構築のため、頻繁に連絡を取り合っているといい、おそらく戦争という事態にならないのではないか、と言っていましたが、2030年の世界のGDPシェアは中国23.9%、米国17%、日本5.8%と想定されており、中国が超大国になるのは明らかであり、米国としては、その前に、国益のために沖縄や日本を戦場にしてでも、中国と一戦を交える計画を準備してきた模様だと言う。

7.まとめ

 今回の視察で、過去の歴史認識、平和の尊さ、戦争の悲惨さを改めて体験することができました。また、日本の国土の0.6%の沖縄に74%の米軍基地が存在していて、沖縄に負担が集中している現実も見ることができました。神奈川は全国第3位の面積と言っても沖縄とは比べ物になりません。その事実を認識するとともに、会派の議員それぞれが、議員としてのスキルを高める機会となったと思います。そして、伊波氏の話を聞けたことで、将来的に、日本列島が、戦争の現場になるかもしれないということを踏まえれば、現在、横須賀基地を母港化としている、原子力空母ジョージワシントンの存在が大変気になるところであります。ジョージワシントンは空母でありますが、原発と構造は同じであり、攻撃により被害を受ければ、福島原発事故よりはるかに被害が出ることとなります。沖縄の人々が理解しているように、神奈川(藤沢)の住人も、米軍の狙いをもっと理解し、そして、原子力空母が横須賀を母港としている危険性を認識しなければなりません。今までは、原子力空母が近くにあるから危険という認識でしたが、もっと深刻に認識しなければならないと思わせられる視察でありました。

 以上、視察の報告とします。

 

 

 

 


おおや徹

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