2015.9.28 連合神奈川議員団会議 第8回研修会

 9月28日の午後、箱根において、連合神奈川議員団会議の研修会が開催され参加しました。

 研修会では、東京大学大学院工学系研究科/医学系研究科の教授である「片岡一則」氏より、「ナノマシンによる未来の医療はすぐそこに」というテーマで講演を受けました。凄く専門的な内容でしたが、写真や動画を取り入れながら、私たち素人にも分かりやすく説明していただきました。

 詳細な内容は、伝えきれませんが、概要としては、現在のがん治療における課題を解決する有効な手法であり、その実現性についての話でした。がん治療の大きな課題としては、抗がん剤ががん細胞に届かない、転移がんには放射線治療や外科手術ができない、抗がん剤ががん以外の正常な細胞にも影響を与えてしまう、大きな負担となる副作用など。。。

 高分子ミセルというものを使用する、様々な研究・実験によって、現在の大きな課題を次々と解決をしてきており、第3相の段階に入っていると言う。そして、実用に向け、川崎にある「ナノ医療イノベーションセンターで研究・開発を進めている状況とのことです。

 ここで、第27回かわさき科学技術サロンでの質疑をいくつか紹介します。

Q すい臓がんであるということを検出できるのか?

A 実は、造影剤を入れたミセルをつくっていて、それを使うと、現在ある造影剤よりも少量で感度よく癌の検出ができる。

Q この最先端医療が実際に病院で受けられるようになるのは、ずっと先なのか、それとも、もう身近になっているのか?

A 高分子ミセルに既存の薬を入れているものは臨床試験に入っていて、一番進んでいるものは、第3相が終わって、今年中に承認申請に入る。これから普及が加速されていくだろう。

Q すべての癌にEPR法が適用できるのか?

A 臨床試験の第2相、第3相に進んでいる最大の理由は、効果が高いということなので、やはり癌に薬が集まっているのだろう。ただ、人と動物は違うので、本当に患者の癌に薬がどれだけ行っているかを見ることは難しい。それは、まさに造影剤の問題とと関連があり、造影剤の機能を持ったシステムができれば、将来的にその問題は解決するのではないかと思う。

Q 抗がん剤そのももの薬理作用は、既にある薬で証明されているので、それを患部に持っていくことが大事だということをやろうとしているのか?

A ある意味では正しいが、ポテンシャルは高いけど性格が悪いような薬をミセルの中に入れて、悪い性格を出さずに良い面だけを出させようという考え。既存の薬を使うもう一つの理由は、認可をとりやすくするため。新しいものが2つ重なっていては絶対に認可されないので。

※私は、片岡先生の講演を聞いて、将来の癌治療への可能性をすごく感じました。そして、このミセルを利用した治療が実現した場合、最先端医療としいうことで、高額になることは当然考えられますが、入院治療の必要がないこと、がん治療が原因での離職がなくなること、副作用に伴う治療がないことなど、そういった部分をトータルで考えれば、患者も含めた医療費の削減も大いに期待できると思いました。このような話を聞くことが出来て、とても有意義でした。

 


おおや徹

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