2月26日の藤沢市議会2月定例会初日、鈴木市長より、平成28年度施政方針+財政計画の説明がありました。内容の抜粋は次の通りです。
【市長就任にあたって】
2月14日に行われた藤沢市長選挙において、引き続き市長の職務を担うこととなった。その役割と重責を深く心に刻み、これからの4年間を「未来に向けた元気なまちづくり」をテーマとして、市政運営に挑んでいく。
これまでの4年間は、「郷土愛あふれる藤沢」として、湘南の元気都市をめざし、歴史や文化などを大切にしながら、藤沢の持つ本来のポテンシャルが一層輝きを放つよう、取り組んできた。郷土を愛する心とともに、次の世代へしっかりと伝えていくよう、42万人の市民の先頭に立って取り組んでいく。
また、多様な主体とのマルチパートナーシップを「人の和」として、誰もが暮らしやすいまちづくりに還元していく取り組みも進めてきた。「郷土愛と人の和が、まちの元気をつくり、未来を創る」、まずはこのことに軸足を置き、超高齢社会に向け、「健康寿命日本一」に挑戦していく。
そして、これからの4年間、私たちには「オリンピック」という共通の目標がある。友情、連帯、フェアプレーというオリンピックの精神は、市民一人ひとり、地域、そして市政に元気と活力を与えるものとなる。藤沢の明るい未来の創造に向けて、オリンピックの機会をしっかりと生かしていく。
1. 未来に向けた元気なまちづくり
(1) 2020東京オリンピック・パラリンピック
2020年には、オリンピックのセーリング競技会場として、江の島が再び世界に発信され、1964年以来、50年という歴史の中で育まれてきた藤沢の文化が注目を集める。私は、オリンピックの経験と感動が、再び、子どもたちの夢や希望につながり、子どもの体力づくりや生きる力となるよう、取り組んでいく。
1964年の大会の際には、「藤沢市市民憲章」が制定された。2020年の大会においても、本市の大切な財産である「人の和」やマルチパートナーシップによるまちづくりが、後世に引き継がれる新たな市民文化となるよう、市民の皆様と一体となって様々な取り組みに挑戦していく。
そして、教育、文化、健康増進などの幅広い分野で、市民の皆様と一体となって参加する中で、平和、国際交流等を推進し、ボランティアを育む取り組みも積極的に進め、藤沢の新たな風格や活力となるオリンピックレガシーを創造していく。
また、小田急江ノ島線の片瀬江ノ島駅や駅前広場の改修に向けては、鉄道事業者と協力して取り組んでいく。更に、北部の里山の風景などの自然環境や野菜・草花・果樹などの観光資源、さがみロボット産業特区などを活用した裾野の広い観光誘客に取り組み、観光客数年間2,000万人をめざし、消費観光による地域経済の活性化を図っていく。
(2) みんなが住み続けたいまちへ
藤沢市は、災害に強いまちランキングや全国の都市経営革新調査、全国介護・高齢化対応度調査、主婦が幸せに暮らせる街ランキングなど、様々な視点で高い評価をいただき、湘南の元気都市としての地位を不動のものにしつつある。私は、高い評価をいただいた藤沢市が、みんなが住み続けたいまちとして、更に輝きを増すよう、果敢に挑戦していく。
都市基盤整備については、北部地区の新たな街の息吹となるよう、健康と文化の森のまちづくりや相鉄いずみ野線の延伸の早期実現に向けた取り組みを進めていく。湘南の玄関口である藤沢駅周辺地区の再整備については、移動の円滑化やバリアフリー化を始め、街なみ継承地区に指定した藤沢宿周辺との回遊性も視野に、まずは藤沢駅北口のペデストリアンデッキ等の改修に取り組んでいく。
また、老朽化したゴミ焼却施設の再整備に着手するとともに、道路、下水道等の社会インフラの長寿命化をめざし、機能更新を計画的に進めていく。
私は、一人ひとりが高い防災意識を持ち、行動することが防災力の強化につながると考えている。様々な活動団体との役割分担に基づく総合防災体制の一層の強化を図るとともに、防災情報伝達体制の強化、津波避難ビルや防災資器材の拡充などに継続的に取り組んでいく。救急車の現場到着4分体制の確立に向け、藤沢北消防署遠藤出張所を開設し、超高齢社会を支える救急救命力の更なる向上を図っていく。
体感治安の向上を図り、街頭犯罪の抑止につながる防犯カメラの設置については、一層の増設支援に取り組んでいく。空き家の利活用や特定空家への対応については、団地の再生を含め、介護や地域コミュニティの醸成などにつながる住宅政策として進めていく。
農業の担い手の確保は、全国的にも大きな課題となってるが、市内では若い方々が農業に参入し、藤沢市の農業を支える新たな担い手として活躍している。より一層進むよう、後継者育成支援を含めた、「藤沢市都市農業振興基本計画」を策定するとともに、「藤沢市地産地消推進計画」の着実な取り組みと合わせ、藤沢産物の付加価値を高める6次産業化を支援し、都市農業の安定的な継続を図る施策を展開していく。
商店街やまちの商店を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続いているが、市内の商店街では、まちの活力を創出する様々な取り組みが行われている。取り組みへの支援とともに、更に商店街の活力の増進と市内産業全体の活性化につながるよう、藤沢の新たな魅力として定着してきた「藤沢元気バザール」については、バージョンアップを図っていく。
(3) 郷土の豊かな歴史と文化
「ふじさわ宿交流館」を中心とした宿場町の文化にいざなう、藤沢宿周辺の再活性化に取り組んでいく。本年12月に駅開設100周年を迎える辻堂駅周辺地区は、これからの未来に向け、文化、芸術などをテーマに新たなステージに進む。市が収集した浮世絵の展示を始め、浮世絵の世界や地域の歴史文化を発信する起点となる「(仮称)藤澤浮世絵館」については、7月の開設をめざして整備を進め、昨年開設した若手芸術家の拠点であるFAS(藤沢市アートスペース)とともに、新たな文化創造発信拠点となるよう取り組んでいく。
市民会館を中心とした文化ゾーンについては、湘南台文化センター、湘南C-Xと有機的につながり、藤沢の芸術文化を象徴する拠点となるよう再整備の検討を進めていく。
(4) 大切な子どもたちの笑顔
私は、子どもたちの笑顔を守り、育むため、これからの社会を担う子どもたち一人ひとりの健やかな成長を地域全体で支えること、また、妊娠、出産、育児に不安がなく、産み育てやすい環境をつくることなど、総合的な子育て施策を進めていく。
待機児童解消については、保育の質の向上と合わせ、その取り組みを加速させるとともに、家で育児をしている方への支援も充実させていく。放課後児童クラブの整備については、今後の女性の社会進出や共働き世帯の増加などの社会情勢も踏まえ、整備計画に基づき、平成31年度末までに4,000人の児童が利用できるよう、計画的に取り組んでいく。
また、子育て世帯などへの支援の充実をめざし、小児医療費助成制度のあり方や新たな給付型の藤沢版奨学金制度の検討も進めていく。子どもの貧困について、市では、児童生徒の約6人に1人が就学援助等の対象者となっており、地区によっては約3人に1人となっている。子どもの貧困対策については、「教育支援」、「生活支援」、「保護者の就労支援」、「経済的支援」により、総合的な取り組みとして、子どもの生きる力を育む施策を展開していく。
いじめについては、昨年制定した「藤沢市子どもをいじめから守る条例」の理念に基づき、子どもたちが笑顔で夢と希望を語り、実現できる社会をめざした取り組みを展開していく。
教育環境については、学校施設の老朽化対策に引き続き取り組むとともに、特別支援教育の更なる充実と市費講師の拡充等による、きめ細やかな指導を行い、より一層の教育力の向上を図っていく。
教育総合会議において協議を重ねている「ふじさわ教育大綱 学びの環・人の和・元気の輪」については、学びを通したまちづくりとして、大綱の理念を多くの方々と共有し、学校や家庭、地域をはじめ様々な場面において実践していく。
(5) すべての人がつながり、支えあう人の和
時代の流れとともに、地域ではコミュニティの希薄化が進み、高齢者だけでなく、様々な世代の社会的孤立が問題となっている。私は、もう一度、地域社会の原点である人のつながりや支えあいを見つめ直していくことが必要であると考えている。向こう三軒両隣などのご近所づくりに取り組む「まちのコンシェルジュ」の検討を進めていく。
2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。認知症についての正しい理解を深める取り組みとなる「藤沢市認知症ケアパス」の活用を進めていく。今後、権利擁護のニーズが増大することを踏まえ、安心して生活していただくため、成年後見制度などの活用も強化していく。
市では、全庁一丸となって、高齢者に限らず、子どもや障がいのある方などが元気に安心して暮らし続けることができるよう、「藤沢型地域包括ケアシステム」の構築を進めている。地域を拠点に活動するコミュニティソーシャルワーカーを3地区に配置し、生活課題を抱える住民への支援を実施していく。利用者と家族の意向に寄り添い安心できる医療介護連携体制の構築、小学校区を基本として40か所の設置をめざす地域の縁側、健康増進やスポーツを身近に楽しむ新たな拠点整備の検討も進めていく。
更に、増加が見込まれる介護老人福祉説の待機者への対応や、在宅生活を支える小規模多機能型居宅介護事業所などの施設整備を計画的に進め、介護離職ゼロの取り組みとともに、総合的に高齢者一人ひとりのニーズに合ったサービスが提供できる体制を検討していく。
2. 再生から創造へ
(1) 13地区のまちづくり
「高齢化」 「少子化」 「地域コミュニティ」 「防災」など、生活者の視点から、地域特性に柔軟に対応した、きめ細やかなまちづくりとなるよう、都市マスタープランの改定や立地適正化計画の策定を進めていく。地域の拠点施設である市民センター・公民館が地域の中で果たすべき役割や求められる機能を改めて整理し、頼りになる拠点施設としてどうあるべきか、検討を進めていく。
(2) 活力を創造する自治
藤沢市は、湘南の中核的な都市として発展を続け、人口も42万人を超え、人口減少時代にあっても人口増加を続ける都市として、今なお、成長が期待されている。しかし、急速な少子超高齢化の進展に伴い、自治体を取り巻く行財政環境は大変深刻な状況となっており、本市にとっても市政運営は大きな転換期を迎えている。まちの活力を創造していくためには、より柔軟に思考し、積極的に対応する行動が求められる。先進的な取り組みを進めてきた本市の職員一人ひとりが持つ、困難に立ち向かい、真摯に行動する熱意や能力を改めて結集し、行財政運営のイノベーションに取り組んでいく。
藤沢市市政運営の総合指針2016については、平成28年度に改定を行う。行財政改革についても、「新・行財政改革実行プラン」の検証に加え、新たな取り組みとして、事業の選択と集中、組織執行体制のあり方、職員の意識改革、保有資産の活用や財源確保策の検討など、更なる改革に着手していく。
財政運営については、長期的な財政見通しをより精緻化し、基金や市債の活用のあり方をはじめ、予算編成、予算執行など財政運営の根本的な見直しを行い、これからの世代に大きな負担を先送りすることのないよう、未来へ向けた確かな財政基盤の構築を図っていく。更に、国家戦略特区などを活用した規制緩和や県からの権限移譲などにも積極的に取り組み、全国に誇れる元気な藤沢を創造していく。
3. 平成28年度財政計画
(1) 一般会計 1,383億9,000万円 (前年比101.8%)
(2) 特別会計 1,279億4,653万8千円 (前年比97.8%)
(3) 総額 2,663億3,653万8千円 (前年比99.9%)
※平成28年度予算は、骨格予算であるため、政策的判断を要する新規事業や投資的事業などは、6月以降に補正予算として提案していく。
以上、報告とします。