1月25日、藤沢市議会改革検討会として、埼玉県所沢市議会に伺い、議会改革の取組みについて、視察しました。なお、視察については、中市議会議長・福原議会運営委員会委員長・青木総務経済常任委員会委員長が対応してくれました。
藤沢市議会としても、議会改革検討会での議論を経て、様々な議会改革を行ってきましたが、所沢市議会は、議会改革という点では、藤沢市議会より先進的に取り組んでおり、年間約30件ほど、他市議会からの視察を受入れているとのことでした。私が、先進的に取組んでいると感じた点は次の通りです。
1. 100条の2専門的知見の活用で調査委託(平成19年~)
これは、地方自治法100条の2「普通地方公共団体の議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験を有する者等にさせることができる。」を活用して調査委託を行っているとのことでした。具体的な調査委託は、次のようなものでした。
(1)所沢の農業について(議決日 平成19年9月19日)、明治学院大学教授に調査委託。
(2)議会基本条例制定について(議決日 平成20年9月22日)、法政大学教授に調査委託。
(3)所沢市の都市計画における道路網について(議決日 平成21年9月18日)、東京都市大学名誉教授に調査委託。
(4)所沢市議会の議会基本条例及び所沢市議会の議決に付すべき事件を定める条例制定以後の評価について(議決日 平成22年7月1日)、法政大学教授に調査委託。
(5)全国の市区町村議会における議会基本条例制定後の見直し状況及び条例改正等の動向について(議決日 平成27年9月25日)、法政大学教授に調査委託。
藤沢市議会では、この100条の2による調査委託はしてませんし、上記の調査委託の結果について、報告会も実施しており、参考にすべき取り組みと思いました。
2. 議会事業評価・議会改革評価(平成21年6月~)
現在、議会運営委員会と広聴広報委員会の所管事業についての自己評価及び、議会基本条例に規定する項目を評価、改革の成果を報告書として取りまとめ、市議会ホームページで公表しているとのことでした。具体的な評価は次のようなものでした。
(1)議会運営委員会所管対象事業
① 「予算特別委員会における当初予算の審査」
② 「所沢市議会基本条例第27条に基づく見直し」 これは、議会基本条例の見直しのことです。
③ 「議会ICT化の推進」
④ 「議会改革に関する視察受け入れ」
(2)広聴広報委員会所管対象事業
① 「市議会だより作成・配布」
② 「本会議映像のインターネット中継」
③ 「議会ポスター作成・配布」 これは、議会開催日程のポスターです。
④ 「所沢市議会SNSの運用」 これは、Twitter・Facebook・グーグルカレンダーでの情報発信。
⑤ 「政策討論会の開催」
⑥ 「所沢市議会広聴広報マスコットキャラクター「みみ丸」の活用」
(3)議会基本条例に規定する項目に対する評価
これは、議会基本条例の条文ごとに、その達成度・方向性を評価するものです。これは、議会基本条例を議会(議員)自らが、条文から策定したこともあり、条文に沿った取り組みが出来たのか?PDCAサイクルで評価・検証・見直し(改正)をしているとのことです。
4. 議会基本条例の見直し手続き(平成23年7月~)
上記の議会基本条例の項目ごとの評価を経て、特別委員会を設置し、審査期間は1年、審査日程11日間、行政視察などを実施、素案に対するパブコメも行ったうえで、改定に関する市民への報告会も実施したとのことでした。
5. 附属機関の設置(平成24年4月~)
これは、議会が諮問する常設型の審議会であり、「政策研究審議会」という名称で、審議委員は5人以内として現在、人間科学学術院副院長・病院長・法学部教授・前副市長の4人で構成されているとのことでした。地方自治法100条の2「専門的知見の活用」を最大限活かすための議員提案による条例制定をめざし、初年度の試行的諮問事項は次の通りです。
(1)大学生等の消防団への入団促進策について(総務経済常任委員会)
(2)議会評価・ICT化推進について(議会運営委員会)
(3)選挙権年齢引き下げに伴う大学生による教育プログラム構築について(広聴広報委員会)
平成28年度は、試行的に実施、その結果を各常任委員会等の正副委員長連絡協議会で情報を共有し、平成29年度に向けて積極的な政策立案をめざしていくとのことでした。
6. 政策討論会の開催(平成24年2月~)
これは、議会基本条例第14条による、1つのテーマに対する議員間討議を通した政策立案・政策提言を積極的に推進することを目的として、開催しているとのことでした。
7. みみ丸カフェの開催(平成28年)
20歳から59歳の無作為抽出800人に案内し、約30人の市民と大学生にて開催したとのことでした。この「みみ丸カフェ」については、藤沢市議会が実施した議会報告会「カフェトークふじさわ」に所沢市議会からその様子を見に来られ、ほぼ同じ形で実施したとのことでした。
ただ、無作為抽出での案内は、今後の参考になると思いました。
※全体を通じて、所沢市議会の議会改革の取組は、とても質が高いと感じました。議会自らが行っている取組について、しっかりとPDCAサイクルによる総括がされており、常に改善・見直しに向けた積極的な取組みがうかがえました。藤沢市議会ではどうなっているのか?と考えた時、残念ながら、全然追いついていないと感じます。1つ1つの取り組みを、議員自らが考え、議論していかなければ、このような取組みに繋げることはできません。今回の所沢市議会への視察は、同じ議員・議会として、もっともっと努力をして質を高めなければと考えさせられたものでした。