平成30年度 施政方針+財政計画

 2月15日の藤沢市議会2月定例会初日、鈴木市長より、平成30年度施政方針+財政計画の説明がありました。内容の抜粋は次の通りです。

【はじめに】

 この1年間を振り返ると、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた1000日前イベントの他、セーリング体験や講演会などを開催し、オリンピックに向けた機運の醸成を図った。開館1周年を迎えた「藤澤浮世絵館」においては、記念事業として「江の島と名品浮世絵展」を開催し、「江の島」の魅力を発信してきた。

 また、オリンピック会場にふさわしい健康都市として、従来の路上喫煙禁止区域を拡大し、市内全駅の周辺を路上喫煙禁止区域に指定するとともに、公共施設の敷地内禁煙をすすめてきた。

 12月に完成した本庁舎は、人と環境にやさしい市民に親しまれる庁舎として、これからの市政の根幹となる基盤づくりができたと思っている。2018年は、これまで以上に「市民に頼られる市役所」をめざし、職員とともに一丸となって、まちが更に元気になるよな施策を展開していく。

 私は、「自治体の政策は日々の市民生活や地域への愛着の中から創造される」という信念を持って、行財政改革の推進を図りながら「未来に向けた元気なまちづくり」を着実に進めることにより、湘南の元気都市「郷土愛あふれる藤沢」の実現をめざしていく。
 

【新たな行財政運営への挑戦】

 本市の課題や社会経済情勢の変化に対応するため、「行政改革」「財政改革」「職員の意識改革」「市民サービスの質的改革」を4つの柱とする「藤沢市行財政改革2020基本方針」を昨年4月に策定した。また、この基本方針に基づき、「ITガバナンスの推進」「窓口業務のあり方の検討」など、24の個別課題をまとめた「藤沢市行財政改革実行プラン」を1月に策定し、具体的な取組を進めている。

 昨年は、各部局が主体的にBPRの観点から、事務事業の抜本的見直しに着手した。また、「適正な定員管理」を一層進めるため、簡素で効率的・効果的な組織をめざした「定員管理基本方針2020」を策定した。

 平成30年度は、改革期間の2年目として、本庁舎に整備したICT環境を活用して、職員情報システムを更新するなど、更なる事務効率の改善を図る。 

【郷土愛あふれる藤沢づくり】

 「市政運営の総合指針2020」における5つの「まちづくりテーマ」に基づき、平成30年度の重点事業と関連する主な取組について説明する。

1. まちづくりテーマ1 「安全で安心な暮らしを築く」

(1)「災害対策の充実」

 ① 下藤が谷ポンプ場に新たな津波避難施設設置に向けた準備を進めるとともに、災害発生時に、避難目標となる路面標識の設置を進める。

 ② 洪水ハザードマップの作成に向け、本市で管理する白旗川、滝川の河川測量を実施する。

 ③ 備蓄拠点となる長後市民センター多目的広場に防災倉庫を整備する。(平成29年度からの繰越事業)

 ④ 従来の木造住宅耐震改修補助制度に加え、新たに分譲マンションに対する補助制度を創設し、住宅の耐震化を一層進めていく。 

(2)「危機管理対策の推進」

 ① 震災時にも有効な水源となる耐震性防火水槽の新設、風水害時の救助活動・住民避難のためのFRP製ボートを配備する。

 ② 災害時における要配慮者への支援の充実に向けて、福祉などの専門ボランティア制度を創設していく。
 
(3)「防犯・交通安全対策の充実」

 ① 湘南台駅東口、善行駅東口の自転車等駐車場を整備する。

 ② 不特定多数の人が往来する主要駅の駅前広場などに防犯カメラの設置を進め、犯罪のない安全で安心な都市の実現をめざしていく。

2. まちづくりテーマ2 「2020年に向けて、まちの魅力を創出する」

(1)「オリンピック・パラリンピックに向けた気運を高める取組」

 ① カウントダウンイベント、オリンピック・パラリンピック出場経験者によるスポーツ教室、商店街へのフラッグ掲出等を実施する。
 
(2)「パラリンピックを契機としたパラスポーツの推進」

 ① パラスポーツフェスタや、ボッチャ等の体験会、競技大会の実施など、取組を進めていく。

(3)「障がい者スポーツの推進に向けた取組」

 ① 障がい者スポーツを行う団体や個人の活動を推進する(仮称)「障がい者スポーツ連絡協議会」を秋ごろを目途に設立していく。

(4)「セーリング競技の周知」

 ① セーリング艇の出張陸上体験会の市内各所への拡充、国際レース等の海上観戦イベントなどを実施する。

 ② 本年から3年連続で開催されるセーリングワールドカップシリーズ江の島大会を支援するとともに、気運の醸成を図っていく。

(5)「市民参加型の大会に向けて」

 ① 都市ボランティアの募集を開始する。

 ② 市民団体との協働による(仮称)「市民応援団」を設立し、幅広い市民参加の機会を創出していく。

(6)「オリンピック・パラリンピックを契機とした都市の魅力、レガシーの創出」

 ① 片瀬江ノ島駅駅前広場の整備に向けた取組を進めるとともに、市が管理する江の島駅周辺の公衆トイレの再整備を進める。

 ② 姉妹都市である松本市と連携して、松本市美術館において、(仮称)「江の島浮世絵展」を開催し、藤沢の魅力を発信していく。

 ③ 外国人観光客などを対象に、華道、茶道などの日本の伝統文化の体験イベントを、藤沢市文化団体連合会と連携して開催する。

 ④ 藤沢市アートスペースにおいて、姉妹都市マイアミビーチ市ゆかりの芸術家によるアート展を開催する。 

3. まちづくりテーマ3 「笑顔と元気あふれる子どもたちを育てる」

(1)「子どもたちの笑顔あふれる学校教育の推進」

 ① 児童支援担当教諭を小学校全35校に配置することにより、児童一人ひとりの教育的ニーズに応じた、きめ細やかな教育を推進していく。

 ② 平成31年度に六会小学校に特別支援学級を開級するため、平成30年度はその準備を行い、特別な教育的配慮を要する児童の支援に努めていく。

 ③ 小学校におけるICTを活用した授業を推進するとともに、教職員が校務を適切かつ効率的に行えるよう、小学校へのパソコンの整備を進める。

 ④ 小・中・特別支援学校全体に学校グループウェアを導入し、ICTを活用した業務改善により、教職員の負担軽減に向けた取組も進めていく。

 ⑤ 中学校給食については、既にデリバリー方式で北部10校、南部2校において実施しているが、平成30年度は、南部地域での実施校を拡大していく。

 ⑥ 学校施設の環境整備については、村岡小学校ほか3小学校の空調設備工事、湘洋中学校ほか2中学校のトイレ改修工事を実施していく。

 ⑦ 本年度から設計業務を進めている六会中学校屋内運動場改築事業については、平成32年2月の供用開始を目途に、建設工事に着手する。

 ⑧ 鵠南小学校の再整備については、津波避難施設としての機能を充実させるとともに、近隣の浜見保育園、よつば児童クラブとの一体的な整備に向け、基本・実施設計に着手する。
 
(2)「子どもの健やかな成長に向けた支援の充実」

 ① 保育所の定員については、昨年4月比で497人増やすとともに、見直し後の保育所整備計画に基づき、保育需要の高い地域を中心に計画的に施設整備を進めるなど、様々な取組を推進していく。

 ② 放課後児童クラブについても、「藤沢市放課後児童クラブ整備計画」に基づき、6小学校区において7クラブを整備し、定員の拡大を図っていく。

 ③ 小児医療費助成については、平成31年4月から通院に係る医療費助成の対象年齢を中学3年生まで拡大するため、必要となるシステム改修などの準備を進める。

(3)「支援を必要とする子ども・若者への支援の充実」

 ① 本市独自の給付型奨学金制度については、平成29年度に選考した奨学生の入学後のアフターフォローを行うとともに、新たな奨学生を募集していく。

 ② 就学援助事業の一部見直しを行い、これまで入学後に支給していた中学校の新入学に要する費用を、入学準備金として、入学前に前倒して支給する。

4. まちづくりテーマ4 「健康で豊かな長寿社会をつくる」

(1)「多様な主体による支援の充実」

 ① 高齢者、障がい者、生活困窮者をはじめ、すべての市民が、住み慣れた地域で、その人らしく安心して暮らし続けることができるよう、藤沢型地域包括ケアシステムを推進するとともに、地域の困りごとの解決や、支えあいの要となるコミュニティソーシャルワーカーを3人増員し、取組を拡充する。

 ② 高齢者人口が増加している善行地区と湘南大庭地区へ、地域包括支援センターのサテライトを新たに設置していく。

 ③ 障がいのある方やその家族の生活支援の充実を図るため、発達障がい専門の相談支援事業所に対して、新たに臨床心理士を配置し、心理検査等を通じた行動面の傾向分析などにより、よりきめ細やかな対応ができる体制づくりを進める。

 ④ 障がい者の家族や支援者の急な不在等に対応するため、緊急一時的な宿泊ができる体制を整備していく。 

(2)「健康寿命日本一に向けた健康増進・介護予防等の促進」

 ① 本年度策定した「健康寿命日本一をめざすリーディングプロジェクト」の取組を効果的に進めるために、「健康を 楽しく!」をテーマに、市民一人ひとりが楽しく気軽に健康づくりに取組むことができるよう、行政が主体となって「知らせる」「きっかけをつくる」取組をしていく。

 ② 検診受診率の低い、乳がん・子宮頸がん検診について、検診車による乳がんマンモグラフィ検診の拡充や啓発ステッカーによる周知啓発を行うなど、受診率向上をめざしていく。

(3)「コミュニティの活性化による持続的な地域づくりの推進」

 ① 現在、基本型をはじめ、市内33か所で展開している「地域の縁側」事業を、平成30年度には40か所を目標に取組を進める。

(4)「13地区のまちづくりの推進」

 ① 職員が地域の皆様の声や生活課題を受け止め、想いを共有しながら、地域まちづくり事業を推進するとともに、マルチパートナーシップに基づき、自治会・町内会、NPO法人や民間企業との連携、協働などにより、「人と人とのつながり」を大切にした住民主体の地域づくりを進めていく。

5. まちづくりテーマ5 「都市の機能と活力を高める」

(1)「都市基盤の充実と長寿命化対策の推進」

 ① 藤沢駅周辺地区の再整備については、引き続き北口デッキ再整備工事を進めるとともに、南北自由通路と南口駅前広場の再整備に向けた検討、地下通路のリニューアル調査・概略設計を進める。また、南口デッキの塗装塗替工事を実施していく。

 ② 浸水対策を進めている健康と文化の森地区については、引き続き、まちづくりについて、地権者等との意見交換を行い、事業区域及び土地利用計画案の検討を進める。

 ③ 善行駅周辺のバリアフリー化については、東口駅前広場などの再整備を進めるとともに、駅から県立体育センターへ至る経路に、神奈川県と協調し、エレベーターを設置するための設計を実施していく。

 ④ 善行市民センター改築事業については、第1期工事に着手し、辻堂市民センター改築事業については、実施設計を進めていく。

 ⑤ 藤が岡二丁目地区再整備については、PFI手法による民間活力を導入し、保育園を中心に公共施設の複合化を図りながら、より効果的・効率的な再整備に取組んでいく。

 ⑥ 周辺施設との機能集約・複合化による再整備を進めてきた藤沢公民館・労働会館についても、平成31年度供用開始に向けた整備を進めるとともに、市民に親しまれる施設となるよう、愛称を広く募集する。

 ⑦ 市民病院の再整備については、事業の最終工事として、ロータリー内に平面駐車場やバス停留所を整備するなど、7月のグランドオープンに向けて整備を進めていく。

 ⑧ 村岡公民館については、建設検討委員会を中心に、アンケート調査やワークショップなどにより、地域住民と協働しながら再整備の基本構想を策定していく。 

(2)「誰もが移動しやすい交通体系の構築」

 ① 住民組織により運営される地域公共交通に関しては、善行地区・六会地区の取組への支援を継続していく。

 ② 平成28年度から整備を進めている湘南ライフタウンバスターミナルの本年3月供用開始に伴い、辻堂駅までの区間に連節バスを導入するとともに、周辺バス網を再編し、これまで交通空白地であった石川方面へのバス路線新設を進める。

(3)「自然との共生に向けた環境保全の推進・エネルギーの地産地消の推進」

 ① 新たに「藤沢市生物多様性地域戦略」を策定するとともに、シンポジウムの開催などにより、生物多様性の重要性について普及啓発を図る。
 
(4)「市民生活に不可欠な社会資本・経済環境の整備」

 ① 超高齢化の進展や生産年齢人口の減少などによる人口構造の変化により、住まいのあり方も変容してくることから、新たに「藤沢市住宅マスタープラン」を策定し、団地再生や空き家対策などの様々な住宅課題に対して、庁内横断的に取組んでいく。

 ② 夏期期間中は、ペットボトルとカン・なべ類の毎週収集の要望が高いことから、これまでの試行区域を更に拡大して、引き続き検証をしていく。

 ③ 未来の市民生活を支えるロボット産業の推進については、さがみロボット産業特区が第2期となり、本市においても第2期プロジェクトとして「ロボット未来社会推進プロジェクト」を開始する。 

【平成30年度財政計画】

(1) 一般会計 1,385億5,300万円 (前年比90.7%)

(2) 特別会計 1,189億3,916万8千円 (前年比89.7%)

(3) 総額 2,574億9,216万8千円 (前年比90.2%)

 今回の予算編成にあたっては、予算編成方針を示した平成29年9月の段階で、約112億円の収支乖離が生じていたが、歳出について事務事業の見直しや事業の優先順位付けなどを行うことにより、約90億円の圧縮を図った。一方、歳入については、国・県の補助金や市債などの特定財源の有効活用に努めるとともに、市税収入や県税交付金等の歳入見込みを精査し、一般財源ベースで約15億円の増加を見込んだが、なお解消できなかった財源不足額の7億円について財政調整基金を活用し、収支の均衡を図った。

 以上、概略の報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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