2019.1.30 議会改革検討会視察(愛知県犬山市議会)

 1月30日 藤沢市議会議会改革検討会で、愛知県犬山市議会を視察しました。視察のテーマは、議会改革で、特に「市民フリースピーチ制度」の取組みについて、ビアンキ議長、柴山副議長から、お話を聞かせてもらいました。

1. 市民フリースピーチ制度

(1)目的

 市民フリースピーチ制度の発案は、ビアンキ議長で、アメリカの議会を参考にしたとのことでした。市民の直接参加により、市政への関心を高めること、議会や議場に親しむことで、より市政に市民の意見を反映させるものにすることが目的です。

(2)内容

 定例会の初日に、市民が議場で議員に対して、市政に関する自由な発言を5分間できるとのこと。そして、市民からの意見は、議員全員協議会で議員間討議を行い、市への申し入れなどを行うとのことでした。
 ※陳情や請願を出している人が、フリースピーチに申し込む懸念があったそうですが、違う市民がフリースピーチを行っており、議会が市民の意見を聞く新たなチャンネルとなったとのことでした。

(3)参加状況

 発言者は、第1回が7名、第2回が6名、第3回が7名とのことでしたが、傍聴が37名、45名、45名と多いのが特徴でした。また、フリースピーチを協議する議員全員協議会にも多くの傍聴があったとのことで、市民の関心の高さを感じました。

(4)フリースピーチの成果の1つ

【障がい者の災害時の支援について】

 名簿掲載に係る条件を見直しを検討し、障がい者が避難しやすい支援体制の構築を求めたところ、市側が、条件を緩和し運用することとなった。

2. 女性議会

 平成30年2月に開催。公募で「いちにち女性議員」を募集、10名参加による模擬議会において、一般質問を行い、その後、一般質問に対する行政の答弁に対する疑問を「いちにち女性議員 議員間討議」として意見交換、その結果を議長に申し入れるものです。
 議長は、その申入れ内容を議員全員協議会で討議、意見集約できたものを行政に申し入れたとのことでした。

(1)女性議会の成果の1つ

【受けて目線での情報発信について】

 周知や説明不足により、受け手である市民に情報が正しく伝わっていない案件が複数あったため、今以上に市民目線に立った情報発信に努めるよう申し入れを行ったところ、行政からは、市民に「広く・わかりやすく・正確に」情報が伝わるよう努めるとの報告があったとのことでした。

3. 議員間討議

 定例会中に、議員全員協議会を開催し、一般質問、上程議案の内容を議員間で討議する。納得できない一般質問の答弁などを議員間討議により、行政へ申し入れ、課題が改善された事例もあるとのことでした。
 また、委員会で議員間討議をすることで、付帯決議、委員長報告などで意思表示をすることで、政策提言する機会がはるかに多くなったとのことでした。

4. 視察での主な質疑

 フリースピーチについて、藤沢市議会では、陳情・請願の審査において、意見陳述ができる。フリースピーチとの違いは?⇒議場で行うことに意義がある。陳情・請願とは違う新たな市民の意見を聞く機会となっている。

 フリースピーチは3回開催知れているが、3回とも発言している人はいるか?⇒環境分野を専門としている市民が複数発言している。今後は、助成フリースピーチ、学生フリースピーチなどもやっていきたい。

 フリースピーチ以外の議会傍聴の状況は?⇒平均10人程度。

 フリースピーチ後の全員協議会での結果、誰が一般質問するか、どう決めるのか?⇒以前にとり上げている議員が自発的にやるなどで決まる。個人の手柄ということではなく、組織の成果であるべきと考える。

 フリースピーチは、市政に関することで、国政に関することは受け付けないのか?⇒それは請願となる。

 取り扱わない判断は?⇒正副議長、正副議会運営委員長、議会事務局で協議した後、全員協議会で確認している。

 一般質問で冷たい答弁だった場合、全員協議会で議員間討議して申入れをすることで行政の対応は変わるのか?⇒制度の見直しにつながったケースある。

 フリースピーチに対する近隣他市の評価は?⇒早大のマニフェスト研究所のマニフェスト大賞をとった。毎日のように視察に来ているが、まだ導入の例は聞いていない。

 藤沢市議会では議員間討議が政策立案にむすびついていない。アドバイスは?⇒議案への付帯決議はできると思う。

5. 所感

 藤沢市議会の場合、議員間討議を導入していますが、各政党の考え方や各議員のスタンスがあるので、積極的な議員間討議となっておらず、形式的な実施になっているように感じています。その点、犬山市議会での、フリースピーチの意見に対する議員間討議、全員協議会での議員間討議は、市民にとって、より良い方向にしていくために、議会全体が積極的に討議をしていると感じました。特に手柄は個人ではなく議会組織という言葉には、大変共感できました。
 こういった制度を議会が導入するには、議員一人ひとりの資質向上も必要ですし、議員の質が逆に問われることとなります。藤沢市議会のありようを考えさせられるような視察でありました。

 

 

 

 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

アーカイブ