2019.11.6 建設経済常任委員会視察(吹田市)

 11月6日 建設経済常任委員会で吹田市を視察しました。内容の概要は次の通りです。

【視察テーマ】 阪急南千里駅前機械式駐輪場について

★視察先に選定した理由

 藤沢市では、藤沢駅南口における駐輪場不足が課題となっており、小規模駐輪施設の整備や民間駐輪施設への補助などで対応していますが、課題の解消には至っていません。また、江ノ電高架下のパーキングメーターが設置されている道路の整備計画では、駐輪施設の整備が予定されていますが、商店会や警察との協議に時間を要している状況です。
 そこで、藤沢市における駐輪場課題を解消する一つの手段として、阪急南千里駅前に機械式地下駐輪場を整備した吹田市を視察先に選定したものです。

【阪急南千里駅前整備の概要】

 吹田市では、南千里駅前にあった公共施設が老朽化したため、公共施設の複合化と併せて、平面駐輪場を機械式地下駐輪場に再整備したものです。整備前の平面駐輪場でも駐輪場は不足していなかったとのことで、整備前バイクを含めて756台に対して整備後1,168台で増えましたが、その分阪急電鉄の駐輪場の台数が減ったとのことです。なお、整備前の平面駐輪場は景観的にもよくないという市民からの意見も踏まえて機械式地下駐輪場の整備に至ったとのことでした。

【機械式地下駐輪場の概要】

 機械式地下駐輪施設は、(株)技研製作所の「エコサイクル」という製品が採用されており、1基あたり204台の自転車を収納でき、最短で8秒で出し入れができるものです。南千里駅前には5基が整備されており、最大1,020台が地下に収納されていることになります。

【視察における説明】

 今回の視察では、整備した吹田市の担当の方に加えて、メーカー(技研製作所)の方からも話を伺うことが出来ました。事前に質問事項を伝えてありましたので、その点について次の通り説明がありました。

(1)地下機械式駐輪施の導入を判断した理由について

 駅前は不法駐輪のない優良地区であり、整備にあたっては担当部署より、現状より状況が悪化しないよう要望があったとのことでした。具体的には、「駅に近いこと/景観に配慮すること/誰にでも安全で使いやすいこと」また、この事業は交通広場(ロータリー)の整備と公共施設の建設を同時に行うにあたり、「地上部に新たな立体スペースがない/地下平面施工では既存交通への影響が大きく工期が長くなる」という課題があったとのことで、このような条件から、省スペース、地上占用が小規模、施工期間が短い(約2.5ヶ月)という理由で、地下機械式駐輪場を設置することとなったとのことでした。
 議会での議論については、駅前ロータリーの整備、公共施設の建設と合わせた整備の中の一つであったため、特に議論はなかったとのことでした。

(2)出し入れにかかる時間、通勤時間帯の対応など

 入出庫とも、利用者の動作時間(自転車を載せる、ICカードを取り出すなど)を含めて17秒程度とのことでした。また、朝の通勤・通学ラッシュの時間帯は管理人を多めに配置し、通勤・通学の人が管理人に自転車を預けて、管理人が入庫することで対応しているとのことでした。更に、駅前には5基の駐輪場があるのですが、管理人が満車により他の駐輪場に入れたとしても、出庫時にICカードをかざせば、何号機に入っていますというように案内してくれるとのことでした。

(3)施工ヤードについて

 南千里駅前では5基を整備したのですが、施工は1.2号機の施工時には約720㎡の施工ヤードだったとのことでした。メーカーに聞いたところ、最小で約18m×約16mでの実績があるとのことでした。

(4)施工時の地下埋設物について

 交通広場内に設置した2基については、水道管があたっていたので移設したとのことでした。また、大阪ガスの幹線(中圧管)が近接していたので、大阪ガスで管路の補強をしたとのことでした。
 メーカーの技研製作所は、「サイレントパイラー」という無振動・無騒音の杭圧入引抜機を開発した会社あり、その技術を活用して、障害物に近接している現場や水位が高い現場でも対応できるとのことでした。

(5)ランニングコストについて

 平成30年度決算で、使用料収入が19,454,800円、保守点検費用(オーバーホール積立金含)、光熱費、消耗品費など支出が22,373,016円で、△2,918,216円となっているとのことでした。

(6)地下機械式駐輪施設を導入した効果について

 導入した効果は「駅周辺の景観が保たれている/入出庫に時間がかからない/地下に自転車を格納するため盗難がない/地震に強い」とのことでした。

(7)課題について

 課題については次のようなものがあるとのことでした。

・電動自転車やチャイルドシート付自転車に対応できないケースが増えている。(最新のエコサイクルでは解消されているとのこと)

・新規利用の際に車検(サイズや形状の確認)が必要となり、処理に時間がかかる。

・細かいトラブルが多く、管理人が不在となる夜間には解決が翌日に持ち越しとなるケースが多い。※部品破損や落下物等のトラブルの場合は、技研製作所の対応要員が緊急出動する(平成30年度は12件緊急出動)。

・修繕費用を年度当初に一括して支払っているが、トラブルの件数が多く修繕費用が不足して問題となっている。

・トラブル対処のために駐輪機器に対する管理人の知識や熟練を習得する必要がある。

・利用者の瑕疵により機器を破損した場合、高額な修理費を利用者に求めなければならない。

※以上のような課題がありますが、駅前の美観保持や用地取得の軽易さに効果が認められており、大規模駅前では大きな効果を発揮すると考えられるとのことでした。

【視察における主な質疑】

・整備にかかった費用は?⇒5基施行したが、2台は市が設計発注したもので、設計額は1基1億5,000万円ほど。3基は公共施設建設のPFI事業に含まれる。

・使用料は?⇒月額2,000円、3ヶ月5,200円。平面駐輪場も同額で、条例により市内駐輪場一括で定めている。

・停電時の対応は?⇒15分程度は大丈夫。大規模の場合は止まるが、オプションで発電機もある。

・ランニングコストは今後上がっていくのか?⇒点検のための人件費が上昇している。

【まとめ】

 藤沢駅南口の駐輪場不足の課題は、現状に加えて、南市民図書館の暫定移設利用者の自転車利用も踏まえれば、早期に解消すべき課題と考えます。今回視察した吹田市の地下機械式駐輪施設は、大規模な用地取得を必要とせずに1基約200台の自転車を収納できるため、藤沢市がかかえる課題解消に向けた一つの手法として大変有効と考える一方、1基あたり設計金額で約1億5,000万円と費用が高額となるため、様々な角度から総合的な判断が必要と考えます。
 都内での施工事例も多数あり、現在は川崎駅前で施行中とのことなので、そういった都心での施工実態や利用実態も踏まえて、藤沢市として導入の可否について検討する必要があると思います。議会から市側への提言の材料として、今回の視察は大変有意義なものとなったと考えます。 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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