12月14日 10:00より、藤沢市議会12月定例会(5日目)が開催され、引き続き一般質問が行われました。
※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。
通告9番 石井議員
1. 防災政策について
(1)火山災害対策について
火山災害が及ぼす影響や想定される被害は?⇒噴火した場合に影響が大きい火山は富士山で、噴火した場合は、噴石等による人的・物的被害、降灰による人的・物的・交通・ライフライン・農林水産業への被害、溶岩流の神奈川県内への到達などが想定されている。
藤沢市で想定される被害は?⇒公表されている国等の資料によると、16-30cm程度の降灰による被害が想定されている。また、噴火の継続期間は15日程度続くとされており、交通マヒ、サプライチェーンの寸断、停電、通信障害、断水、下水道の使用制限、木造家屋の倒壊などが想定されているほか、農作物が長期間にわたり収獲できないとされている。健康被害としては、眼・鼻・喉・気管支に異常が生じる場合があり、降灰対象区域全体で約1,250万人に上ると想定されている。
被害想定に対する藤沢市の対策は?⇒火山灰を吸い込まないよう、マスクを着用することなどを、降灰時の行動指針として、市ホームページやふじさわ防災ナビへ掲載するなど、市民への啓発をしている。
地域防災計画や国土強靭化地域計画への火山の記載の状況は?⇒今年度修正した地域防災計画においては、火山災害に関する事前対策計画を掲載している。また、国土強靭化地域計画では、火山噴火の発生をリスクシナリオの中に位置付け、対応策として、降灰時の影響等の市民周知を図ることを掲載する予定。今後は、国の防災基本計画の修正を視野に入れて必要な見直しをしていく。
大規模地震と火山噴火が同時に起きる複合災害への対策は?⇒最悪の事態に陥ることを防ぐために、国土強靭化地域計画をはじめ、地域防災計画に位置付けてある南海トラフ地震防災対策推進計画等に基づき、本市が取組むべき事前の対策を進めていく。
火山に特化したマニュアルの策定も有効と考える。今後の火山対策のスケジュールや考え方は?⇒万が一、富士山や箱根山が噴火した時に備えて、市民生活や経済活動に多大な影響が生じることを想定して、火山災害にかかる市民意識の向上が必要であると捉え、周知啓発をしていく。一方、富士山噴火に伴う対応は、中部から関東まで多くの自治体に及ぶ課題であり、広域的な枠組みを踏まえた上で、マニュアルの構築が重要と認識している。
(2)災害時の避難のあり方について
市と民間大規模商業施設との間で締結した、風水害時に立体駐車場へ車両避難できる協定の内容は?⇒ミスターマックス及び湘南モールフィルと締結した。この協定により、指定緊急避難場所の混雑緩和や感染防止を図ることができることに加え、プライバシーの確保や歩行が困難な方の避難などメリットも多く、市民の風水害時の避難場所の選択肢を増やすことができると考える。
これまでも、車両による避難や在宅避難を含む分散避難を呼びかけてきたと思うが、どのような取組をしてきたのか?⇒令和2年度には、秋葉台文化体育館の駐車場をペット同行避難も可能な風水害時の車両避難場所とした。更に、基礎疾患のある方など感染リスクの高い避難者の避難場所としては、市内の民間ホテルと協定を締結している。
現在の指定避難所の収容人員の考え方について、感染症対策を考慮して、スフィア基準を取り入れて見直すべきだが?⇒地域防災計画においては、1人当たり2㎡以上とし、必要面積を変更していないが、感染症対策を踏まえて収容人員補を50%以内とすることを明記している。今後は、スフィア基準を参考に、更なる質の向上に段階的に取り組んでいく。
最近、施設内の安全な場所を「SAFETY ZONE」と明示し、緊急地震速報から揺れるまでの間に、緊急避難をする試みがあると聞いているが?⇒市民が家庭や職場において、大きな揺れを感じた際に、数秒以内に安全に避難できる場所を予め設定しておくという取組であり、いのちを守る自助として活用していくもの。今後、その実践性を研究していく。
(3)各計画について
国土強靭化地域計画策定の意義は?⇒国は、災害に対する事前の備えとして、最悪の事態を念頭に置き、人命を最大限に守り、また経済社会が致命的な被害をを受けず、被害を最小化して迅速に回復する、「強さとしなやかさ」を備えた安全・安心な国土、地域、経済社会の構築をめざし、国土強靭化の取組を推進している。本市においても、国のプロセスを踏襲し、防災・減災の施策を客観的に分析・整理した上で、更なる充実を図るため、国土強靭化地域計画を策定するもの。
起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)をどのように選定したのか?⇒国の基本計画や地域計画策定ガイドライン、神奈川県や他市の地域計画を参考にしながら、「直接死を最大限防ぐ」を始めとした8つの事前に備えるべき目標ごとにカテゴリーを分類し、30のリスクシナリオを設定している。
国土強靭化地域計画に企業はどう関わるのか?⇒企業における業務継続計画の策定や災害時応援協定など、民間事業者による強靭化に向けた主体的な取組の実践が、極めて重要と考える。本市域における地域強靭化にあたっては、平時から民間事業者や経済団体との様々な相互支援の取組を通じて、一層の連携体制の構築を進めていく。
2. 健康政策について
(1)健康経営について
就労世代の健康診査の受診状況は?⇒すべての医療保険者のデータは把握していないが、令和2年度の受診率の速報値で、国民健康保険の特定健康診査は、36.6%、県内の協会けんぽは41.7%となっている。
健康経営優良法人について、市内の認定取得状況と、認定取得促進への市の考えは?⇒今年度の認定状況は、大規模法人部門で1社、中小規模法人部門で4社が認定を受けている。また、市内企業が行う健康経営の取組は、従業員の健康増進につながることから、本市が目指す健康寿命日本一の取組に資すると考える。
5社の認定では少なく感じるが?⇒制度の認知度が低く、企業側においては、認定を受けるためのコスト負担などにより、認定数が少ないと推測している。今後は、関係機関と協力しながら、制度のメリットなどの周知啓発に努めていく。
認定取得に向けた伴走支援と取得した場合のインセンティブの考えは?⇒現在、民間において伴走支援サービスをを行っている。そのため、本市としては、健康経営につながる取組に対する国の助成制度の活用など、認定取得につながるような周知活動に努めていく。また、インセンティブについては、他市の事例などを研究していく。
小田原市役所のように、行政が健康経営認定法人の認定を取得している自治体ある。藤沢市役所として取得の考えは?⇒認定に向けた推進体制の構築や取組に対する職員の負担などの課題もあることから、認定を受けている自治体や企業の取組事例などの調査・研究を行い、認定申請の要否について検討していく。
通告10番 武藤議員
1. 住民福祉の増進について
(1)行財政改革について
行革の目的、誰のための行革なのか?⇒市の業務については、市民のための業務であり、行財政改革についても、たどり着くところは市民のために行うもの。今後、更なる少子超高齢化の進行等による労働力人口の減少や社会保障関係費の増加、公共施設等の老朽化対策などに対応し、将来にわたり必要とされる行政サービスの提供を維持していくためには、限りある経営資源であるヒト・モノ・カネを有効に活用した、より効率的な行財政運営の推進が必要不可欠だと考える。
これまでの新・行財政改革実行プラン、行財政改革2020実行プランなどの過去の取組について、それぞれの目標・柱に対しての成果は?⇒平成25年度から28年度までの4年間にわたり取り組んだ「藤沢市新・行財政改革」では、これまでの第1次から第3次までの削減・スリム化による行財政改革の取組を礎にして、3つの改革の柱を設けた。主な取組成果は、質的な面だけでなく、量的な面に力点を置いた改革の重要性は日増しに高まっていたことから、当初5年計画であったものを4年間で区切りをつけ、「藤沢市行財政改革2020」として大きな変更を行うこととした。
次に、平成29年度から令和2年度までの4年間にわたり、組織再生と持続可能な行財政運営を目指して取り組んだ「行財政改革2020」は、4の柱を設け、主な取組成果としては、「窓口業務のあり方の検討・見直し」、「予算編成手法の見直し」、「適切な内部統制制度の運用に向けた更なる見直し」、「接遇の向上」などに取り組み、約58億9千万円の財政効果のほか、見直し検討対象事業による約3億8千万円の財源効果を上げることができた。
総合指針との関係について、今回の行革がどの様に総合指針とリンクするのか?⇒本市の財政状況は、毎年度の予算編成におけるやりくりによって、単年度ごとに収入見通しと支出見通しの乖離を埋め、収支均衡を図らなければならない状況にあり、また、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、財政状況の不透明性も高まっている。このような厳しい財政見通しの中で、将来に向けて新規事業や拡充事業に取り組もうとする「市政運営の総合指針」と行政の効率化、既存事業の見直し等を進める「行財政改革」が連携することは重要。総合指針に定める重点施策を実現するためには、行財政改革と密接に連携し、充当できる財源の確保、改革による効果額の反映が必要となってくる。また、「行財政改革2024」の取組期間についても、「総合指針2024」と同じく、令和3年度から6年度までの4年間としている。
過去の取組と今回の2024を比較すると「市民サービスの質的改革」がない。「市民サービス」を軽視していると思われるが?⇒
「新・行財政改革」においては、定性的要素を強く意識したものとして、行政の効率化と質的向上を一体的に進める改革として行ってきました。しかし、社会経済情勢の変化のスピードは加速し、課題への影響も様々な分野で現れつつあること、また、2025年問題と財政問題等にも対応するため、迅速に「行財政改革2020」に着手することとした。「行財政改革2020」は、効率性という観点から結果がもたらす効果に重点を置いた「行政改革」及び「財政改革」の2つの柱と職員が一丸となって改革に取り組むための「職員の意識改革」、「新・行財政改革」の定性的要素を引き継いだ「市民サービスの質的改革」の4つを柱として構成の視点を見直したもので、「行財政改革2024」は、この流れを引き継ぎ取り組んでいる。
内容の選定について、市民や市議会の意見要望に対する声は対象にならないのか?⇒これまで、「行財政改革2024基本方針」の策定に当たっては、外部の有識者や市民から構成される「藤沢市行財政改革協議会」での意見聴取を行ってきた。また、市民等の意見を聞くためのパブリックコメントを実施している。限りある経営資源であるヒト・モノ・カネを有効に活用したより効率的な行財政運営を推進する上では、ご意見ご要望の中で、将来にわたり持続可能な行財政運営とするために適した課題については、柔軟に対応していきたいと考えている。
コロナ禍の課題や最近本市であった事件、孤立、分断、貧困などの社会的課題などを行革として扱わないのか、また、市民や市議会での声から行革的課題はないのか?⇒新型コロナウイルス感染症の課題については、令和3年度の組織改正により位置づけた健康医療部が中心となって、「藤沢市新型コロナウイルス感染症対策本部会議」で決定した対応方針等に沿って最重要課題としての取組を進めてきた。ご指摘の最近あった事件については、行財政改革にはなじまないものと捉えており、内部統制の視点で再発防止を図る取組が必要であると考えている。また、孤立・分断・貧困などコロナ禍をはじめとする社会情勢の変化によって生じている昨今の社会的課題については、新たな施策の展開や既存施策の見直しなどが伴う取組課題であることから、総合指針に位置づ
ける方向になると考えている。
実行プランへの追加について、過去に追加はあったのか?⇒過去の追加事例としては、「新・行財政改革」に当時の新たな課題として実行プランに「地域包括ケアシステムの構築」を追加した例がある。現時点では、具体的に予定しているものはないが、社会経済情勢等の変化に対応するため、着手すべき具体なものが生じた場合には、柔軟に対応していく。
実行プランの取組項目や内容の追加・修正等について、新たに改革する案件をどの様に見つけ出しテーブルにあげるのか。なじむ・なじまないを誰が判断するのか?⇒現在の実行プランに課題として取り上げているものは、各部局から提案されたもの、事務局から課題候補として投げかけたもの、理事者との調整過程で候補としたものからなり、取組課題への位置づけについては、「行財政改革協議会」での意見を踏まえて、「行財政改革推進本部」として判断している。新たな案件については、社会経済情勢等の変化を捉えた中で、現取組課題と同様に各部局や事務局からの発意等によって検討していくことを想定しているが、今年度スタートしたばかりなので、現時点で具体に検討しているものはない。
市民には地域のために様々な努力をしていただいている方がいる。制度や仕組みで行き詰っている方などに対し、その努力を地
域の変革につなげることが、これから求められる行財政改革だと思うが?⇒現在の「行財政改革2024」では、「総合指針2024」とも重なる取組も生まれていることや市民サービスの質的向上を追求していく考え方も必要になってきていることを考えると、今後の行財政改革の進め方は、変革期にあると感じている。ご指摘の地域の変革につなげる取組については、地域における様々な課題に対する政策的な取組でもあり、また、改革的な視点も伴う取組でもあると捉えているので、今後の行財政改革のあり方にもつながるものだと考えている。行財政改革のあり方が変わってきているところであり、本市においても今後に向けてどのような行財政改革の進め方がふさわしいのか検討していかなければならないと考えている。
これまでの答弁を総合的にみると、今後、本市は総合指針があるから他自治体で取り組んでいないものはやらないと聞こえる。礎自治体の改革とは「市民と直結した市民のための福祉の増進」のためである。「穴を掘ってでも改革すべきものを探し出す」と
いう気構えが必要。最後に今後の行財政改革について市長の見解は?⇒本市の行財政改革は、平成8年度に始まった「藤沢市第1次行政改革」から現在の「藤沢市行財政改革2024」まで、時代に即した取組を進めてきた。私が市長に就任してからは、この「行財政改革」と「市政運営の総合指針」を両輪として市政運営を進め、市民生活の質的向上を図ってきた。私は、社会経済情勢の変化のスピードが速く、先行きが不透明で既存の価値観や行政施策が市民生活に届きにくいのが、令和の時代であると捉えている。住民ニーズに的確に対応するためには、市民目線で捉え直し、市民一人ひとりの暮らしから施策を考え、行動し変革を促していく職
員力を育み、多様な価値観を持つ人材が活躍できる組織運営が、これからの行財政改革の基本になると考えている。そのためには、従来のPDCAサイクルを前提に、観察、状況判断というリサーチを加え、変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とするプロセスが重要になると捉えている。こうしたことから、私は、これからの行財政改革については、健全財政を目指す行財政改革に加え、地域社会において顕在化していない本質的な課題を発見し、解決策をステークホルダーとの建設的対話から導き出していく行財政改革を合わせて進めていきたいと考えている。
通告11番 安藤議員
1. 安全で住みやすい街ふじさわ
(1)電気自動車導入について
本市では、温室効果ガス削減の取組として、電気自動車や燃料電池自動車に対する補助制度を設けて普及促進に努めているが、現在の普及促進の状況は?⇒今年度は、電気自動車1台あたり10万円の補助に加えて、太陽光発電システムを設置している個人及び事業者を対象に、さらに10万円の補助を上乗せするインセンティブを設けている。燃料電池自動車については、1台あたり35万円を補助するとともに、民間事業者が設置している水素ステーションを案内している。
今後の普及促進に向けた取組は?⇒今後は、既存の取組を継続するとともに、電気自動車については、本市も一事業者として率先的に導入していく必要があると考えており、新たな取組として、ごみ収集車両に導入することも検討している。また、ふじさわ環境フェアなどのイベント展示では、電気自動車を蓄電池として活用するブースを設け、防災の観点からも広く周知啓発に努めていく。
国は「2035年までに乗用車の新車販売における電動車の割合100%を目指す」との目標を掲げており、本市も「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実現に向けて、より一層、電気自動車や燃料電池自動車などの電動車の普及を進める必要があると考える。普及にあたっては、電気自動車の充電スタンドや、燃料電池自動車の水素ステーションのインフラ整備も重要な課題であり、国は2030年までに急速充電スタンドを3万か所、水素ステーションを1,000か所にするとの目標を掲げている。本市の現在のインフラ整備の状況と、今後の補助制度の充実についての考えは?⇒充電スタンドや水素ステーションの状況は、12月6日時点で、電気自動車の急速充電スタンドは、市内19か所、燃料電池自動車の水素ステーションは、市内1か所となっている。本市としては、市域の充電スタンドや水素ステーションの設置を行う企業の更なる財政支援を国に要望するとともに、電気自動車、燃料電池自動車の普及促進に繋がるよう、補助制度の拡大・充実に向け検討していく。
(2)防災面での電気自動車の活用について
本市では、災害時に備えた企業等との防災協定の考え方と最近の状況は?⇒災害時応援協定の考え方は、地域防災計画や受援計画等に基づき、大規模災害発生時に迅速かつ的確な災害対応を実施するため、災害時の人的・物的応援に関する協定等を、自治体、民間企業、各種団体等との間に、現在約90件締結している。今後も協定による取組の強化・拡充を図っていきたいと考えている。また、民間企業等との最近の協定締結状況は、本年5月に、藤沢市キッチンカー事業者連絡協議会と「災害時におけるキッチンカーによる炊き出し等の実施に関する協定」を締結している。また、8月には、株式会社バカンと「災害時避難場所等に係る情報の
提供に関する協定」、及び横浜丸中青果株式会社湘南支社と「災害時における物資の調達等及び避難所としての施設使用等の協力に関する協定」を締結している。
他市では、災害時における停電復旧作業等の連携に関する協定を電力会社と結んでいるが、本市での連携や締結状況は?⇒災害時における電力事業者との連携については、災害対策基本法に基づく指定公共機関である、東京電力パワーグリッド株式会社とは、藤沢市防災会議の構成員でもあることから、日頃から連絡を密にしており、ホットラインの共有やリエゾンの派遣など、迅速な復旧対応ができる連携体制を構築している。現在、同社との協定は締結していないが、停電復旧作業等に関する協定を締結することにより、相互の連携が更に強化され、災害時における電力の早期復旧が図られ、地域の防災力を高めることに繋がるものと考えており、協定の締結について検討していく。
本市として、災害時における電力確保のため、自家発電機や蓄電池などの整備状況は?⇒本市における防災上重要な施設での自家発電機の整備状況は、これまでに本庁舎を始めとして、公共施設再整備における防災機能の強化に位置付けて、順次整備を進めている。例えば、地区防災拠点本部である市民センターや公民館においては、現在13地区のうち、12の地区防災拠点本部で自家発電装置が整備されている。また、指定緊急避難場所や指定避難所における電力確保対策は、主に照明用の発電機を約300台整備しててる。加えて、情報伝達・収集用の電源として、ソーラーパネル付きポータブル蓄電池を、13地区の地区防災拠点本部へ各1台配備し、有事の際にも迅速に使用できるよう、訓練時の稼働確認や、定期的な充電を行っている。
災害時の更なる電力確保のための、電気自動車等の協定締結状況は?⇒令和2年11月に、東日本三菱自動車販売株式会社及び三菱自動車工業株式会社と、避難所等の非常用電源として活用することを目的に「災害時における電動車両等の支援に関する協定」を
締結している。また、同年の自然災害対応連携訓練においては、同社に電動車両を持ち込んでいただき、実際の給電手順の確認訓練を行うなど、相互連携を図っている。また、本年3月には、タイムズ24株式会社及びタイムズモビリティ株式会社と「災害時におけるカーシェアリング用電気自動車からの電力供給等に関する協定」を締結し、朝日町駐車場において、5月から電気自動車の運用が始まっている。
災害時における電力確保を始めとした防災面での電気自動車の活用の観点を踏まえて、今後の協定締結の考えは?⇒災害時における電力の確保は、市民生活や都市機能の命綱であるライフラインとして、非常に重要な課題であると認識している。今後についても、より一層の電力供給体制の強化を図ることができるよう、市民の安全安心等の視点から、近年の技術的進歩が著しい電動車両や電気自動車の導入拡充も視野に入れ、応援協定の充実を検討していく。
通告12番 山口議員
1. 環境施策について
(1)地球温暖化・気候変動による水産への影響について
暖水を好む太刀魚が東北で獲れたり、ブリが北海道で獲れることは、地球温暖化・気候変動の影響によるものと考えるが、本市の漁業への影響は?⇒市内の漁業者からも海水温が上昇し、南方で生息しているカタボシイワシが網に入り、冬場にしか見られなかった暖海性魚類のアイゴが通年で見られるようになったと聞いている。本市で漁獲される代表的なサバやイワシなどの漁獲量が減っており、平成22年の1,537トンをピークに減少傾向となり、令和2年には361トンまで落ち込んでいる。
二酸化炭素を海洋で吸収するブルーカーボンについて、海の環境が変化している状況を踏まえて、漁業の視点からどう考えるか?⇒藻場は、水産生物の産卵・生息場所としての機能のほか、近年、CO2の新たな吸収源としてブルーカーボンがクローズアップされており、国も本年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」に基づいてCO2吸収量の調査を開始した。本市としては、引き続き藻場の保全に取組んでいく。
地球温暖化などにより、魚が獲れない状況に対して、広域で対応すべきだが?⇒水産資源が枯渇することがないよう、県が発表する水産資源の動向や県内の放流状況を見ながら、漁業協同組合と連携して、放流事業を継続し、漁業の安定経営につながるよう努めていく。
海底火山の噴火による軽石の漂着について、本市における、漁業者が被害を受けないための対策は?⇒本市では、11月7日に少量の軽石の漂着があった。今後、本市としては、漁船や活魚のための令海水システムなどがある片瀬漁港内への被害を最小限にするため、関係機関から軽石の漂着情報が寄せられた際には、オイルフェンスを設置する予定。
漁業協同組合では、サイズが小さく取引がされない未利用魚の活用としてマルシェを開催するなど、新たな取組を進めているが、今後の市の取組は?⇒今年度改定を進めている地産地消推進計画において、未利用魚を活用した加工品の開発や片瀬漁港で開催している江の島フィッシャーマンズマルシェなどのイベントでの販売、食材としての使用などで、未利用魚のPRに努めることを重点施策として新たに位置づけた。市内の漁協では、漁業者の所得向上を目指した浜プランの取組や、経営基盤強化を目指して、市外漁協との合併協議などを進めているので、本市としても積極的に支援をしていく。
2. 観光施策について
(1)誘客について
江の島サムエルコッキング苑について、新たな施設が完成したが、施設整備の経過や目的は?⇒苑名のコッキング氏の認知度が低いこと、人気イベントの湘南の宝石が開催される12月から2月における17時以降の入場者の割合が6割を占めるなど、通常時とイベント時の入場者数に差があることが課題となっていた。新型コロナの影響で減少した観光誘客の起爆剤とするために整備したもの。
新たな施設の内容と今後の整備予定は?⇒今年度取り組んでいる第一工区は、遺構上部に、床や壁をガラス張りにした温室風の建物を建設し、歴史的価値の非常に高い温室遺構を保護しながら間近に感じていただくとともに、コッキング氏の足跡などを後世に継承するための展示品や、熱帯植物等を配置した展示体験棟を整備した。加えて、小さなお子様に楽しんでいただくため、大型遊具が近日オープンする予定。来年度の第二工区は、庭園内の植栽工事等を行うとともに、姉妹友好都市の松本市の産品等を活用した展示や料理体験を行うため、松本館のリノベーションを行うほか、文化交流や体験の拠点となる建物を新設する予定。
本年4月に「藤沢市観光経済再活性化プラン」が策定され、「新規周遊券やフレキシブルな施設使用料(入場料)の料金体制の見直し」というアクションプランが定められているが、検討状況は?⇒料金体系の見直しについては、通常時のフリーゲート化、イベント開催時には受益者負担の観点から、適正な料金体系に見直す方向で検討している。また、既存周遊券を見直し、総合的なチケット体系や近隣観光地との連携企画券の開発などについて、指定管理者とともに検討している。
イベント実施以外の誘客や回遊性の向上に向けて、この研究を更に進めるべきだが?⇒交通利便性や回遊性の向上、多様なニーズに対応する各種チケットや体験コンテンツなどの観光商品の開発などにより、地域が抱える課題を解決しながら、持続可能な観光地としての基盤整備が重要と考える。このことから、交通事業者や観光事業者をはじめ、行政を含めた多業種による協働をさらに進め、いわゆるDMOの観光地域づくり法人化なども含めた事業手法について、積極的に研究していく。
通告13番 吉田議員
1. 気候非常事態宣言の取組について
(1)道路や河川のインフラに関する取組について
この「藤沢市気候非常事態宣言」に掲げる取組の中で、道路や河川のインフラに関する取組は、市民の安全な暮らしを守るためには、非常に重要であると考えるが、どのように行うのか?⇒激甚化する気象災害に対応するため、適応策と緩和策の両面から取組を進めいきたいと考えている。まずは、適応策として、「一色川等の河川改修の加速化」、「長寿命化計画の推進」、「水路の浸水対策の強化」、「道路冠水の対応の強化」、「街路樹管理計画に基づく老木・大径木の更新」といった、気候変動に適応できるハード対策の取組を進めていく。さらに、「河川監視カメラ等の増設の検討」や産学官連携による急斜面地等での「ICTセンシング技術共同研究」といった、市民の方々に対してすばやく風水害の情報が提供できるようソフト対策の取組を進めていく。緩和策としては、道路照明灯のLED化による二酸化炭素の排出抑制など、気候変動を緩和できるような取組などを進めていきたい。
道路照明灯のLED化について、現時点での進捗状況は?⇒本市が管理する道路照明灯の総数は、令和3年度当初時点で約4,400基あり、そのうち約620基、割合としては約14%のLED化を終えており、LED化が必要な残りの道路照明灯は約3,780基。
残りの道路照明灯のLED化について、その進め方と事業効果は?⇒民間のノウハウを活用したエスコ事業により実施していきたいと考えている。道路照明灯のエスコ事業は、LED灯具の交換からすべての道路照明灯の維持管理を含め、民間事業者に約10
年間の包括的な業務委託を行うもので、委託費用は、LED化に伴い軽減される電気料金などを充てていくこととしている。事業スケジュールは、令和4年2月市議会で債務負担行為の設定をお願いし、承認されれば、プロポーザルによる事業者選定から概ね2年間で道路照明灯のLED化工事が完了できると考えている。事業効果は、LED化に伴う電気料金の大幅な軽減や維持管理費の縮減とともに、二酸化炭素の排出量が現状の年間約2,000tから約600tと試算している。
市が管理する照明灯として公園の照明灯があるが、LED化の取組状況と事業効果は?⇒本市が管理する公園照明灯は、289公園に約1,150基あり、そのうち、約210基についてLED化が完了しており、全体の割合として約18%となっている。公園照明灯についても、早期にLED化が必要であると考えており、道路照明灯のエスコ事業と連携し実施していく予定。事業効果は、道路照明灯と併せて一括発注することにより、施設整備に伴う費用を削減できるスケールメリットが見込まれる。加えて、電力消費に係る二酸化炭素排出量が現状の年間約550tから約150tと試算している。
市が管理する準用河川などでは、老朽化が顕著となっており、その対策については、喫緊の課題であると思う。そこで、現在、河川施設の老朽化対策として、「河川の長寿命化計画」に取り組んでいるとのことだが、現在までの取組状況は?⇒市内の滝川など7河川の長寿命化計画の策定に取り組んでいる。令和2年度には、専門業者による点検を終えた、滝川、滝川分水路、小糸川の3河川についての長寿命化計画を策定している。残る、白旗川、一色川、不動川、打戻川の4河川についても、今年度に行っている点検結果を踏まえ、令和5年度までには、長寿命化計画の策定を終えていきたいと考えている。そして、この長寿命化計画に基づき、計画的な維持管理による強靭化に取り組んでいきたいと考えている。
「ICTセンシング技術共同研究」の具体的な内容は?⇒埼玉大学、損害保険、建設コンサルタント、測量などの民間企業者と本市が行うもので、庁内関係課とも連携を図りながら取り組んでいくこととしている。共同研究の内容は、市内の急斜面地にお
いて高感度ICTセンサーを設置し、台風や豪雨の影響による振動や傾斜等の計測をしていく。その計測結果をもとに、災害発生となりうる予兆を検知し、災害発生となる可能性が高まった段階での通行止めや避難指示対策のタイミングなどに関する研究を行っていく。あわせて、自治体やインフラ事業者を対象として防災・減災時に活用できる保険商品やサービスにつながるような研究・検討をしていくもの。
このような様々な取組を進めていくためには、計画をもって着実に進めていくことが必要だが?⇒本市でも、強風やゲリラ豪雨による道路や河川への被害が頻発化し、身近な市民生活にも地球温暖化の影響が及びはじめていることをひしひしと感じている。こうしたことから、本市では、「藤沢市気候非常事態宣言」を行うとともに、環境基本計画及び地球温暖化対策実行計画の改定を前倒し、全庁をあげて、地球温暖化の影響に対し適応・緩和していく対策に取り組んでいくこととした。具体的には、先ほど答弁したように、道路や河川における風水害対策を計画的に進め、災害に対する強靭性や適応能力を強化するとともに2050年カーボンニュートラルの実現に向け、照明灯のLED化のほか、新しい技術も踏まえながらインフラ部門における再生可能エネルギーの活用などにも取り組んでいく。
2. 安全・安心で魅力あふれるまちづくりについて
(1)藤沢駅周辺地区再整備事業について
平成25年の改正耐震改修促進法の施行により、旧耐震基準で建築された店舗やホテルなど、不特定多数の者が利用する建築物の耐震性の有無の公表が義務付けされ、平成29年に6件の耐震性がないことが公表されたが、その後の耐震改修等の状況は?⇒不特定多数の者が利用する建築物、いわゆる要緊急安全確認大規模建築物の状況については、いずれの所有者の方からも、耐震改修や建替え又は除却といった意向が示されていた。しかし、権利関係が多数に及んでいることから、調整に時間を要するなど、不特定多数の者が利用する建築物特有の課題があるため、依然として6件となっている。
建て替えに向けては、費用面やその手法について課題が多いと思うが、市として、耐震性のない民間施設にどうアプローチして、どのような支援を考えているのか?⇒要緊急安全確認大規模建築物の耐震改修等に対しては、国による補助制度がある。本市としては、各建築物の耐震改修等の見通しについて随時把握するとともに、引き続き所有者に対し国の補助制度の活用を促し、必要な情報提供を行っていく。
耐震性がないとされている藤沢駅南口にあるフジサワ名店ビルなどは、震度6強から7の大規模な地震が起きた場合、倒壊または崩壊する危険性が高いとされている。数多くの市民が利用している商業・業務施設でもあり、安全・安心なまちづくりに向けては、市としても何らかの支援が必要と考えるが?⇒議員指摘のとおりフジサワ名店ビル他2つのビルを含む通称391街区は、多くの市民が利用する商業・業務施設であるが、大規模地震時には倒壊または崩壊する危険性が高いとされている。本市としても事業の早期実現に向け、市街地再開発事業についての助言及び指導や都市計画手続きに必要な図書の作成指導など、事業構築に向けた技術支援を行っている。
391街区については、本市の中心市街地である藤沢駅前にふさわしい、魅力的で、にぎわいの創出が期待できるような施設の立地を期待しているが、建て替えに向けた現在の検討状況とスケジュールは?⇒現在、市街地再開発事業に向け、事業者からの発意による都市計画提案制度の活用が検討されている。具体的には、藤沢市都市マスタープラン等との整合を図るとともに、経済効果分析等の結果も踏まえ、建物用途を商業・業務・ホテル等とすることで検討が進められている。本市としても、駅前街区の安全性の向上、及び再活性化に資する市街地再開発事業として取り組みが推進されるよう、建て替えに向けた容積率の緩和や補助金の活用など、支援策の検討を進めている。今後の想定スケジュールは、令和4年度から都市計画手続きを開始し、令和5年度以降に市街地
再開発事業の組合設立の認可、その後、権利変換計画認可、解体工事を経て、新築工事に着手する予定であると準備組合から聞いている。
駅前のまちづくり、駅前の活性化の面から考えると、個々の施設の独自性を担保しつつも、ある程度の方向性や、藤沢市が進める公共施設整備との一体的な官民連携したまちづくりがこの再整備の最大の目的だったと思う。それらを誘導していくために、前回の答弁でまちづくりの指針となるガイドラインの策定作業の中で検討を進めていくということだったが、現在の検討状況と今後の見通しは?⇒現在、策定中のまちづくりガイドラインでは、まちづくりの基本方針として、「活力・にぎわいを生み出すまちづ
くり」、「風格・趣のあるまちづくり」、「居心地がよく、歩きたくなるまちづくり」、「持続可能なまちづくり」の4つを掲げている。この基本方針を踏まえ、想定される民間施設の整備のあり方とともに、市として駅前空間のあり方を示した上で、官民連携した駅前まちづくりの実現に向けた規制誘導方策をセットした藤沢駅前街区まちづくりガイドラインの策定に取り組んでいる。その実現に向け、9月からこれまで3回にわたり、まちづくりの専門家などを講師にお招きし、まちづくりの先進事例やにぎわいづくりのトレンド、支援制度などについての勉強会を開催するとともに、二部構成で藤沢駅前街区のあり方などについて、関係権利者と意見交換を行ってきた。今後は、今年度末に本ガイドラインの骨格を明らかにした上で、支援策等について、条例の改正や許可基準等を見直すとともに、審査基準を定めるなどの必要な作業を進める予定としている。
藤沢駅周辺地区が藤沢市の中心市街地として、また湘南の玄関口としてふさわしい安全・安心で魅力あふれるまちになることを多くの市民の方々も望んでいる。改めて、藤沢駅周辺地区のまちづくりを今後どのように進めていくのか?⇒藤沢駅周辺地区は、本市の都心及び広域交流拠点として、また湘南の玄関口として、その役割を高めながら南北連携の強化による安全安心で、魅力あふれる、にぎわいのある中心市街地を目指しており、多くの市民の方々から大きな期待を寄せられている。現在は、駅南北の連携強化に向けた藤沢駅南北自由通路拡幅整備及び小田急橋上改札化に向け、この11月に詳細設計に着手するとともに、民間ビルの建て替え促進のためのインセンティブとなる誘導方策を組み込んだ藤沢駅前街区まちづくりガイドラインの作成作業を進めている。今後は湘南の玄関口にふさわしい安全・安心で魅力あふれるまちを目指し、南北自由通路の整備、南口駅前広場の再整備の検討など本事業計画(案)に基づく各種事業を着実に進めていく。
通告14番 平川議員
1. 誰一人取り残さない教育行政について
(1)児童生徒の通学支援について
6月議会で質問した通学支援について、その後の研究結果は?⇒公共交通機関を利用した通学に対する県内他市の状況は、全市を対象とした制度として、小田原市と相模原市の2市で、国が定める目安に基づき、通学距離が、小学校で4km、中学校で6kmを超えることを通学費補助やスクールバス運行の要件としている。また、地域の実情に応じた特別な対応として、南足柄市と大和市では、4km程度の通学距離がある特定の中学校に通う生徒の家庭に対し、南足柄市はバス、大和市は電車の定期券代の補助を実施しているほか、葉山町、大井町、松田町などは、徒歩通学が困難な山間部からの通学など地域固有の事情があることから補助事業を実施しているとのこと。以上の状況を踏まえ、本市の状況に照らしつつ、引き続き研究に努めていく。
公共交通を利用して通学している児童生徒の定期代に係る保護者の負担軽減について、答弁では検討する必要性も含め、課題整理をするとの事だったが、どのように課題整理をされたのか?⇒国は、通学距離の目安について、小学校でおおむね4km以内、中学校でおおむね6km以内としている。一方、本市では、小学校でおおむね2km以内、中学校でおおむね3km以内としており、徒歩で通学できる範囲内に収まっているものと認識しているが、この通学距離を大幅に超える場合は、通学への支援に配慮する必要があるものと捉えている。しかしながら、公共交通機関を利用した通学費用に対して支援を実施するにあたっては、就学援助制度の対象要件である、通学距離が、小学校で4km以上、中学校で6km以上であることとの整合を図る必要があるほか、本市の児童生徒全体に対して公平性を確保する必要があると考えている。そのため、まずは、通学区域の見直しなどにより、通学距離の適正化を図ることに努めていく。
6月の質問に教育部長は、文部科学省から「登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バスの活用について」で、児童生徒の安全確保にむけて、路線バス等を通学の手段として検討するよう求められており、教育委員会としては、徒歩で通学できる範囲で学区を設定しているところだが、この通知がだされたことを踏まえ通学距離や周辺の交通事情を考慮したうえで、路線バスを通学の手段として活用することは、登下校の児童生徒の安全確保における有効な手段のひとつと考えているとご答弁されている。通学している児童生徒の交通事情や周辺の実情をどのように把握しているのか?⇒毎年、小学校からあげられる危険箇所の報告に基づき、道路管理者や警察等と合同して現地調査を実施しているほか、地域住民や転入予定者などから随時寄せられる連絡に対して、個別に確認をしている。このように、実情の把握は、学校や保護者、地域住民や見守りボランティアの方などから寄せられる声に加え、道路管理者や警察などの専門的な視点などに基づき、安全な通学環境の確保に向けて努めている。
保護者の方からバスを利用している理由を聞くと、事故や犯罪に巻き込まれる可能性が高いからとのこと。このような状況にある児童生徒に対して教育委員会はどう捉えているか?⇒本市では、通学路に指定されている道路の状況を踏まえながら歩道設置等の工事に取り組むこととしているが、用地取得が伴うことから一定の期間を要するものと聞いている。そこで、まずは、路面標示や「学童注意」の看板の設置などハード面の安全対策のほか、交通取締りや児童生徒への交通安全教育の実施、スクールガードリーダーや地域の方の見守り等ソフト面の安全対策など、必要に応じた対策の徹底に努めている。また、通学区域の見直しにより、通学距離の適正化を図ることが可能な地域につきましては、当該手法により解消を図ることが望ましいと認識しているが、このような取組を通じてもなお、解消が図られない場合については、通学支援について検討していく。
誰も取りこぼさない、誰も不安にならない行政を行うには、困っている方、不安を抱えている方等に目を向ける必要がある。教育基本法にあるとおり、子どもの教育を受ける権利を担保するのは行政の責任。市としてのご見解は?⇒教育委員会としては、令和2年度に改定した「藤沢市教育振興基本計画」において、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、基本方針に「すべての子ども・若者への学びのセーフティネットの構築」を位置付けており、安全安心をはじめとする、学びに向けた環境を整えることは、私どもの責務と認識している。このことから、居住地域の状況などに影響を受けることがないよう、施策を展開することが必要であると考えている。通学に課題のある地域の要望については、引き続き、丁寧に聞き取るなどしたうえで、その解消が図られるよう努めていく。
(2)多様性を認め合う教育と{HSC=とても敏感な子ども」への理解と支援について
現代の共生社会において、「多様性」(ダイバーシティ)を認め、それらに対応していくことが求められるが、教育の立場からどのように捉えているか?⇒国籍、民族、文化、ジェンダー、障がいなどに左右されず、誰もがお互いを認め合い、人を思いやることのできる共生社会をめざし、学校での教育活動を推進していくことが重要であると捉えている。教育委員会としては、一人ひとりの違いを受け入れ、すべての子どもが自分らしく個性や能力を発揮し、未来に夢や希望をもって成長していくことができる
よう、多様なニーズに応じる学びの機会の保障に努めている。
文化や人種、国籍、障がい、ジェンダー、またその人の内面・外面の違いなど多様性を認めたり、受け入れたりするための配慮や態度、行動を促す教育を「ダイバーシティ教育」と言うが、本市の「ダイバーシティ教育」の取組の現状は?⇒学校では、子どもたちが多様性を認め、互いに尊重しあう意識や態度を身につけることができるよう、学校生活全体を通じて実践している。直近では、オリンピック・パラリンピック教育を通じて、障がい者理解や豊かな国際感覚、ボランティアマインド等の資質を育んだり、道徳教育や人権教育の取組を通して、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方を深めたり、特別活動等を通して、多様な人と関わりあってよりよく生きようとすることを学んだりする等、様々な教育活動を通して「多様性」についての理解を深めている。
多様性を受け入れ認め合う社会を築くためには、個々の特性を理解する必要があると思うが、近年注目が高まっている「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)=とても敏感な子ども」について、教育委員会の見解は?⇒HSCは、アメリカの心理学者により、「感覚や人の気持ちに敏感で傷つきやすい子ども」と定義されており、些細なことで傷つきやすいという一方で、感性が豊かで気持ちがやさしいなど、生まれつき持った特質があり、これは病気や障がいではないと言われている。その他にも、過剰に刺激を受けやすく、微妙な変化を察知する等の特徴があるといわれており、これらの特性のある子どもたちは一定数いるものと捉えている。
HSCが不登校の原因になっている可能性もある。先日の「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で小・中学校ともに不登校が増加しているが、HSCとの関係性をどのように考えているか?⇒HSCの子どもにとって、人が大勢集まる場所や大きな声、日常とは違う刺激が多い行事などは、ストレスや不安、疲労を感じやすい環境となることから、そのような特性が、不登校の要因の一つになる場合もあることは考えられる。
教職員や保護者に対しHSCの理解を深めるため、専門家による講演会や研修を行う必要があると考えるが?⇒今後、児童支援担当者会や生徒指導担当者会における研修を通して、全教職員への周知を図るとともに、保護者の理解も進むよう、情報を共有す
るなど、子ども達に関わる大人に対して、啓発に努めていく。
今後のHSCへの配慮・支援についての考えは?⇒HSCと思われる子どもたちへの支援としては、まずは教職員がHSCについて理解するとともに、日々の学校生活の中で児童生徒の状況を丁寧に見て、HSCの特性のある児童生徒の把握に努めていく。HSCの特性がみられる児童生徒に対しては、例えば、大人数が集まる場や初めての活動のときは、集団から少し離れた形で参加できるよう配慮したり、刺激を受けて警戒心がみられるときは、無理強いをせずに、スモールステップで進めたりする等して、成功体験を積むことができるような支援・指導に努めていく。
※以上、報告とします。