2022.6.20 本会議(3日目)~議決・一般質問

 6月20日 10:00より、藤沢市議会6月定例会(3日目)が開催され、各常任委員会の報告後、議案に対する討論・採決が行われ、一般質問に入りました。内容の抜粋は次の通りです。

【建設経済常任委員会(6/9開催)に付託された議案】

議案第9号 市道の認定について(鵠沼953号線ほか7路線) 

議案第10号 市道の廃止について(川名1954-5号線ほか5路線)
 
※上記2議案は、全会一致で可決されました。

議案第13号 藤沢市都市公園条例の一部改正について

議案第14号 藤沢市地区計画等の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正 

議案第15号 藤沢市自転車等駐車場条例の一部改正について 

※上記3議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

議案第16号 藤沢市江の島サムエル・コッキング苑条例の一部改正について 

※この議案は、全会一致で可決されました。

【厚生環境常任委員会(6/10開催)に付託された議案】

議案第17号 藤沢市民病院診療費等に関する条例の一部改正について 

※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

請願4第1号 高齢者のお出かけサポート事業の創設についての請願 

※この請願は、共産党とアクティブ藤沢が採択としましたが、採決の結果、不採択となりました。

【補正予算常任委員会(6/15開催)に付託された議案】

議案第18号 令和4年度藤沢市一般会計補正予算(第4号)

※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

議案第18号 令和4年度藤沢市一般会計補正予算(第4号)

※この議案は、全会一致で可決されました。

【補正予算を伴う議案】

議案第11号 損害賠償額の決定について

※この議案は、全会一致で可決されました。

【ここから一般質問】

※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。

通告1番 堺議員

1. 市長の政治姿勢について

(1)市民の声に応える市政運営の取組について

 コミュニティ・スクールの取組状況は?⇒昨年度のモデル校である片瀬小学校と秋葉台小学校の2校のほかに、市内13地区において、小学校7校と中学校6校を合わせて15校で取組が開始されたところ。いずれも、5月中に第1回目の協議会が開催されたが、協議題として話し合われる課題は、学習支援や学校環境支援など学校ごとにそれぞれであり、今後これらに対する熟議が行われる予定。

 市内13地区にコミュニティ・スクールを設置したとのことだが、連携する地域側の実情として、1地区に複数の小中学校がある場合など、地域の状況は様々。また、事業の推進において、多様な課題へ対応するにあたり、地域との連携・協働や、庁内の横断的な連携が欠かせないと考えるが?⇒昨年度実施したモデル校での検証結果や各地域での意見交換などから見えてきた課題としては、三者連携ふじさわは地域によって体制が異なることから、地域ごとに連携体制のあり方を考える必要があることや、担い手となる人材確保の問題などがある。これらの課題解決に向けて、今年度、関係部局や三者連携ふじさわの代表者などによる「地域学校協働本部のあり方検討会議」を設置し、市内13地区それぞれの状況をふまえ、学校と地域の活力が円滑にリンクするような制度となるよう検討を進めていく。また、今後、防犯・防災、福祉的な課題など、学校だけではなく、家庭や地域、関係団体などと一体となって取り組むべき問題について、コミュニティ・スクールで議論する際には、庁内関係部局や関係団体と共有しながら連携を図り、解決に向けて取り組んでいく。

 建築協定は地域住民がルールを定め、建築基準法の手続きにより締結する建築規制であるが、工事着手後になって建築協定違反に気付くことも多く、効力が軽視されている印象がある。強硬な違反者に対して、工事を止めて是正させることはできるのか?⇒一般的に建築協定は、私法上の民事間の契約行為に位置づけられる。しかし、建築協定は、協定者が作成した建築協定書について市が要件を精査し、建築基準法の規定により認可することで効力が生じ、後の不動産取引においても重要事項説明の対象となり規制が継承されることから、一定の拘束力を持つものと認識している。また、協定者による工事停止の請求に建築主が応じず、違反する工事が強行された場合、協定者は、当該工事費の1~2割に相当する供託金を用意して、裁判所へ工事の差し止め請求をすることが可能となる。建築協定の違反が裁判に至ることは極めて稀だが、過去の裁判結果では、規制の効力が認められて是正命令の判決が出ており、有効な対抗手段であると考えられる。

 一定の年数が経過した建築協定については、運営委員の入れ替り等によって、違反者に対抗するための法的知識などが不足し、運営に支障が出る懸念がある。協定者が法的な理解を高めるためのサポートが必要と思われるが?⇒これまでも新しく運営委員になった方が建築協定を運営するうえで必要となる建築物に関する専門的な知識の不足や注意点がわからないなどの課題について聞いている。また、このような建築協定の特殊性による運用の難しさに加え、運営委員になる方の高齢化も懸念されており、より一層地域の方々と連携していく必要があると考えている。市としても地域住民の皆様が定めたルールが正しく運用されることは重要なので、今後は運営委員の交代や協定更新の機会を捉えて内容を説明するなど、法的位置づけや運営上の注意点について周知していく。

 藤沢厚木線の現在の進捗状況は?⇒藤沢厚木線の整備は神奈川県の道路整備事業及び市の区画整理事業などにより進めてきており、現在の進捗状
況は、全長約10.2kmのうち、綾瀬市境から国道1号城南交差点の南側までの約8.3kmが完成している。整備済みの国道1号城南交差点の南側からさらに南側、県道戸塚茅ヶ崎までの約1.8kmとなる辻堂工区が未整備区間となっている。

 辻堂工区約1.8㎞の整備の見通しと市としての今後の取組は?⇒辻堂工区については、神奈川県が策定した「改定・かながわのみちづくり計画」において、事業化に向けた検討、調整を行う「事業化検討箇所」の位置づけとなっている。本市としては、早期事業化が図られるよう、継続して県に対して施策や予算に関する要望を行っていくとともに、辻堂工区の必要性について、交通量などのデータを示しながら早期事業化に向けた検討が加速するよう働きかけていく。

 これまでの2年半にわたるコロナ禍で、市内経済は大きな影響を受けてきたが、市としてどのような対応をしてきたのか?⇒まずは国内で感染者が増加し始めたコロナ禍初期に、感染症の影響を受けた事業者のための融資制度を創設し、市内中小事業者の当座の資金繰りを支援してきた他、受注が激減した市内施工業者に対する支援策としての店舗・事業所等リニューアル補助事業など実施してきた。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が減少した事業者を広く支援する事業継続支援金や、市内全体の消費を底上げするための商品券事業の実施など、経済団体とも協働しながら、市内事業者に対して、適時に適切な支援を実施するよう努めてきた

 コロナ禍に加えてウクライナ情勢なども経済全体に影響を与えてくると考えるが、今後、どのような支援をしていくのか?⇒国からは、「総合緊急対策」において、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設され、感染症に対応するための臨時交付金の追加配分が示されたところ。それを受け、本市においては、6月補正予算において、観光事業者に対する支援などにその一部を活用することとしたほか、県においても、本交付金を活用した中小企業・小規模事業者等への支援として、農業・漁業・畜産業者への支援策などが示されたところ。市としては、今後の国・県による支援策にも注視しつつ、市内事業者の声を広く聞き取りながら、感染症の影響を受ける事業者に対する、更なる本市独自の効果的な支援策の実施に向けて取り組んでいるところ。

 今後のスポーツ施設の整備計画と、各競技団体等との更なる連携の考えは?⇒市民が気軽にスポーツに親しむ環境づくりとして、民間企業等の施設利用や、高架下などの公共用地を活用することで、市民のスポーツ活動を充実させる取組を進めるとともに、既存施設の機能を維持するための長寿命化計画の策定や、インクルーシブな視点による、誰もが利用しやすい施設への改修など、現環境の充実にも努めていく。合わせて、長期的な視点として、北部地域のまちづくりの動向なども踏まえ、時代に即した施設のあり方についての検討も必要と考えている。また、各競技団体との連携については、スポーツ都市宣言の理念に基づく「スポーツ活動の充実」を図るため、さらに各競技団体との連携・強化に努め、施策の推進を図っていく。

 スポーツ振興に当たっては、その活動拠点となる施設が必要だが、充足しているとは言えない。一方で、藤沢にプロスポーツチームが新たに誕生したこともあり、新たなビジネスチャンスとして捉える企業も数多く出てくると思う。市としても、この機会にスポーツ都市宣言の理念の一つである「まちのにぎわい創出」につなげる取組を進めるべきだが?⇒「まちのにぎわい創出」の実現のためには、スポーツツーリズムは欠かせない視点。スポーツツーリズムによる地域経済の活性化を実現するためには、まずは市内に活動拠点のあるプロ野球BCリーグの「神奈川フューチャードリームス」やプロバスケットボールB3リーグへの参入が決まった「湘南ユナイテッドBC」に対する行政としての支援をどのように進めていくかが、大切なことと捉えている。今後は、これまで以上にプロスポーツの動向を注視し継続的に情報収集を行い、中長期かつ多角的な視点で研究を進め、その時々に応じた「まちのにぎわい創出」につながる取組を進めていく。

 ここまで、市民の声に応える市政運営の取組みについて、多分野における取組状況を聞いてきた。最後に、今後も人口流入や産業の発展が継続し、本市が繁栄し続けるために、市としてどのような取組を進めていくのか?⇒人や産業を呼び込めるよう、人口が減少する前に、総合的かつ有効な施策を整え、未来に向け着実に都市の魅力や活力を積み上げる投資的事業を行うことが必要。今年度の施政方針では、令和4年度を未来に向けての「新たなスタートの時」と位置づけ、「未来への潮流を創造する」、「発展する持続可能な都市基盤」、「未来に向けて大切にしたい人の和」の3つを市政運営のテーマとして掲げている。それぞれの部局において、交通ネットワークの構築、多彩な都市拠点の創造、自然を生かした公園などのグリーンインフラの整備、様々な都市宣言や東京2020大会のレガシーを継承する活動の支援などの取組を進めているところ。市としては、充実した都市機能の追求とともに、大切に育まれてきた歴史や文化などを通して、子どもが育つ地域づくりなど、人を大切に、人が中心となるまちとして、藤沢らしさを将来に伝えていきたいと考えている。

通告2番 竹村議員

1. 誰ひとり取り残さない地域共生社会をめざして

(1)「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築について

 本市における精神保健福祉手帳を持っている人数と、手帳は持っていないが精神科通院に関する自立支援医療証を持ってる人数は?⇒精神保健福祉手帳をお持ちの方と自立支援医療証をお持ちの方の人数は、令和4年3月31日現在で、それぞれ4,521人、7,137人。

 めざすべきは「精神障がい者が、地域の一員として安心して自分らしく暮らしをすることができる」社会の実現と思う。そのため、厚労省は「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」という方針を打ち出した。この仕組みはどのようなものか?「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」とは、精神障がい者が地域の一員として、安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、医療や障がい福祉、介護のほか、住まい、社会参加、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域の仕組み(支援体制)。この仕組みは、国が、平成16年に「精神保健福祉の改革ビジョン」で示した「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念を具体化したもの。

 「藤沢型地域包括ケアシステム」は、高齢者だけに限らない、すべての方を対象とした優れたものだと思う。この中で、精神障がい者支援にどのように取り組んでいるのか?⇒本市の地域包括ケアシステムの中では、精神障がいを抱える方や、そのご家族を含む全世代を対象と捉え、精神保健にかかわる部局も交えて専門部会や分科会を開催し、相談支援の在り方や在宅生活に向けた支援、さらには社会的孤立の防止に向け取り組んでいるところ。

 精神障がいに対する偏見を取り除くには長い啓発が必要。この間の取組みと今後の啓発は?⇒精神障がいや、精神疾患に関する普及啓発については、これまでも、当事者団体と連携したふれあいフェスタの開催をはじめ、障がい者差別解消支援地域協議会における産官民での課題共有、地域精神保健福祉連絡協議会における地域の特性を捉えた研修会の開催などの取組みを進めてきた。また、心のバリアフリーハンドブックを、私立学校を含む市内在学の小学4年生に配布し、学びの場で活用することで、障がい理解を促進し、社会性、人間性を育むよう、取り組んできた。今後については、精神疾患への偏見や差別を減少しつつ、専門性の有無に関わらず支援ができるメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方をもとに、普及啓発の手法を転換し、行動変容につながる活動となるよう検討していく。

 精神障がいを抱えた方たちが地域で共に生活することができるための地域生活支援について、藤沢市の取組状況は?⇒本市では、在宅の精神障がいのある方を対象として、早期発見・早期治療につなげるため、精神保健福祉相談を月に複数回実施するほか、生活体験や対人関係を学ぶ機会として生活教室を開催し、地域生活につながるよう支援している。また、精神障がい者が、精神科病院から退院する際、単に元の家庭に戻るだけではなく、グループホームでの宿泊や居宅介護(ホームヘルプサービス)の利用体験の機会を提供し、個々に自ら選んだ住まいで安心して自分らしい暮らしを実現する「地域移行」への支援を行っている。さらに、スムーズな「地域移行」を図るために、保健、医療、福祉の関係機関での協議の場を設置して支援体制の強化に努めるとともに、支援者の資質向上に向けた研修会や地域共生社会の実現に向けた市民公開講座などを実施している。

 差別解消法で障がいを理由に入居を断ってはならない、差別的な扱いとしてはならないと定められているが、実際は必死の思いで物件を探さねばならない状況。藤沢市で取組んでいる「居住支援協議会」において、精神障がいがある方が住居を探す場合、相談できる体制になっているのか?⇒住まい探しについては、本来、物件所有者や不動産店の一定の理解のもとで、障がい者を含むだれもが希望の物件を探し、入居できることが望ましいあり方だが、入居希望者が障がい者や高齢者などの場合には、物件所有者の理解が得られないなどの理由から、契約に至らないケースが多い現状がある。そのため、本市では、障がい者などの住宅の確保に特に配慮を要する方が民間賃貸住宅へ円滑に入居できる環境を整備するため、藤沢市居住支援協議会を令和2年8月に設置した。要配慮者に対する相談体制としては、本協議会における連携により、協議会の会員である居住支援法人が相談を受け、不動産店とのマッチングなどの支援を行うこととしている。また、福祉の総合窓口として、「バックアップふじさわ」や「バックアップふじさわ社協」においても相談者の状況に応じて、対応可能な居住支援法人をご案内する体制を整えている。

 協議会が設置され、相談体制が整えられているとのことではあるが、協議会の活動があまり認知されておらず、どこに相談してよいかも分からない方が未だに多くいる。協議会としてどのような支援を行い、また、その支援内容や相談窓口をどのように周知していくのか?⇒本協議会では、相談体制を整えるほか、要配慮者の住まい探しに対応していただける「協力不動産店」を募り、現在10社の不動産店が登録されている。昨年度は、これらの不動産店にも参加いただき、「居住支援・住まい探し相談会」を開催するなど、民間の事業者も含めた支援体制の強化に努めている。しかし、このような支援の取組や相談窓口が認知されていない状況があることから、これらの周知については、改めて、居住支援に関するホームページの内容を充実させていく。また、それに加え広報紙の活用やチラシの作成など、協議会の中で検討し、より広く認知されるよう取り組んでいく。

 自分の子どもが精神障がいという現実を、親だからこそ簡単には受け入れられるはずもない。相談すらできないケースも少なくない。藤沢市の精神障がいについての相談支援体制の状況は?⇒相談支援体制については、令和3年度に、これまでの障がい種別ごとの専門相談窓口から、市内の4つの地
域拠点で、総合的な相談が可能となるよう「障がい者地域相談支援センター」を設置し、より身近な場所で、気軽に相談ができるよう環境の整備を図ってきた。また、精神科の受診歴がない方を対象とする保健所での精神保健福祉相談や、高齢者とその家族を対象とする地域包括支援センターでの相談など、保健、医療、福祉における重層的な相談体制を整備し、相互補完的かつ連続的な支援を進めている。今後は、こうした体制整備に加え、ピアサポートの特性を生かすことで、精神疾患と生活に不安がある方の選択や意思が尊重され、必要な時に適切な支援が受けられるよう、地域福祉プラザでの当事者団体による活動などと協働していく。

 精神障がいのある本人を含む家族は、社会だけでなく支援からさえ孤立しているとの調査報告がある。横浜市では、後見的支援制度として、定期的に家庭訪問を行い、相談や見守りを行っています。以前の答弁では「藤沢型」を検討するとのことだったが、本人だけでなく家族も視野に入れたアウトリーチ型の訪問支援が必要だと考えるが?⇒本市としては、精神疾患や精神障がいを抱えるご本人だけでなく、そのご家族についても、本人と同様に様々な困りごとを抱えているものと推測されることから、支援の対象を本人・ご家族を含めた世帯全体として捉え、その支援体制づくりを充実することが必要であると考えている。さらに、ご家族の心情により、生活課題が顕在化しにくい面を考慮し、市が委託する関係機関をはじめとする、支援者側からの丁寧な働きかけが重要であり、これまでも必要に応じて訪問し状況を把握するアウトリーチ支援をしてきた。今後についても、支援関係機関による積極的な働きかけに、努めていく。

 精神障がいのある家族をケアするヤングケアラーへの支援についての取組状況は?⇒家族の中に精神障がいを抱える方がいる場合の、子どもたちに対するフォローや正しい理解については、学校関係者とともに福祉の面から支える支援機関が、その家庭全体の状況を共有していくことが、世帯支援という点からも、大変重要。このことから、教育部門、子どもの支援にあたる部門、そして福祉部門による連携と併せて、個別事案に対する具体的な支援を検討するプラットホームを確立したところ。今後についても、こども家庭庁の創設の動きなども注視しながら、それぞれの状況や背景に寄り添い、関係部局が協働して支援する体制づくりが可能となるよう、藤沢型地域包括ケアシステムの推進に向けた庁内検討委員会の中で、検討を進めていく。

 SNSを通じた同じ悩みを抱える同年代の交流の場は、出会いや励ましあいにおいて意義があるものと思う。全国の自治体ではこうした取組みを支援しているところもある。ピアサポーターの養成や、いわゆる「きょうだい会」の開催への支援についてはどのようにお考えているか?⇒精神障がい者が、地域で安心して、自分らしく暮らしていくためには、精神障がい者ご本人の視点に立った支援が重要。また、同じ経験をした仲間同士による「ピアサポート活動」は、対等性や共感性から生まれる支え合いを大切にしていることから、双方にとって貴重な機会であると考えている。今後については、ピアサポート活動が活発な自治体等を研究していくとともに、関係者がピアサポート活動について理解を深め、ピアサポーターが地域で継続して活動できるよう、研修会の開催などを検討していく。また、いわゆる「きょうだい会」といった家族会への支援については、交流や情報共有の場を持つことは、精神障がい者のご家族が地域で孤立しないためにも、また、ご家族の精神的な負担軽減にもつながる、重要な活動であると認識している。本市では、毎年、精神障がい者のご家族を対象とした「家族教室」を開催する中で、語り合いの実施、地域の家族会の紹介をしているところ。今後については、現在の取組を継続するとともに、親・きょうだい・子どもといったそれぞれの視点に立ち、精神障がい者と、そのご家族への、さらなる支援の充実が図れるよう、関係部局と連携し、取り組んでいく。

通告3番 杉原議員

1. インクルーシブ藤沢の推進について

(1)医療的ケア児及びその家族に対する支援

 医療的ケア児支援法の基本理念は?⇒「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法
律」いわゆる医療的ケア児支援法は第1条の目的に「医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを産み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的とする。」とされている。また、第3条第1項に医療的ケア児及びその家族に対する支援は、「日常生活及び社会生活を社会全体で支えることを旨として行われなければならない。」とあり、子どもだけでなく保護者も自らの社会生活をあきらめることのないよう、社会全体で支えていくことを基本理念としている。

 現在の国や県の取組状況は?⇒まず、国においては、医療的ケア児支援法で受け入れが責務とされた保育所や学校などでの受け入れを促進するための補助等の拡充をしている。神奈川県においては、医療的ケア児及び家族に対する相談支援の中核となる「医療的ケア児支援・情報センター」を本年5月31日に開設した。同センターは県の関係各課で構成され、新たな取組の立案や関係機関との調整を担う「企画部門」と当事者や支援者からの相談を受け付け、医療的ケア児等を適切な支援につなげるとともに支援者に対して助言等を行う「相談・調整部門」を置き、お互いに情報共有しながら課題解決や新しい施策につなげていく機関となっている。

 市立学校での医療的ケアは従前から行われているが、そのほかの本市の取組み状況は?⇒現行の取組は、障がい児通所支援施設において、看護師を配置する場合の加算を国の加算とは別に定めて、医療的ケア児をお預かりしての療育を支援している。今後の取組としては、神奈川県が設置した「医療的ケア児支援・情報センター」では、支援者への助言や課題の抽出を障がい保健福祉圏域ごとに行うこととしていることから、県と連携した相談支援体制を湘南東部圏域において構築することについて、現在、茅ケ崎市・寒川町との2市1町で協議をしているところ。さらに、子ども文教常任委員会でも報告したとおり、医療的ケア児の市内認可保育所での受け入れについては、本年10月から公立保育所2園での受け入れを開始するための準備を進めるとともに、法人立保育所での受け入れに向けた課題の調査を実施したところ。引き続き、こうした取組の進捗を図る中で、医療的ケア児への支援を進めていく。

 医療的ケア児のご家族にお話をうかがったところ、日中支援だけでなく社会参加における家事軽減の一つとして訪問入浴があり、利用機会を増やしたいとの声があった。まず、訪問入浴の現在の対象者と回数は?⇒現在は12歳以上65歳未満、自宅での入浴が困難、医師が入浴可能と認めている及び介護保険の適用を受けない方を対象とし、上限を月10回としている。

 対象年齢の見直しを行うべきだが?⇒対象年齢を12歳以上としたのは、12歳未満の子どもはヘルパーなど介助者が複数名いることで、自宅での入浴が可能であろうとの判断で設定している。しかし、医療的ケアや四肢に筋緊張があるなど自宅での入浴に困難を伴うお子さんもいらっしゃる現状は承知しているので、12歳未満であっても訪問入浴サービスを希望される方が利用できるよう検討していく。

 上限回数の見直しもするべきだが?⇒訪問入浴の回数については、月10回、週2回を原則としつつ、障がい児者とご家族及び支援者の状況、並びに、重度訪問介護や重度障がい者等・包括支援等の障がい福祉サービスの利用内容等を踏まえ、現在も必要に応じて回数を増やすことを可能としている。上限回数の見直しについては、障がい福祉計画におけるサービスの見込み量を検証する中で、サービスの質を確保しつつ、より実効性のあるものとなるよう検討していく。

 利用者側、サービス提供者側での課題はあるか?⇒訪問入浴サービスを提供するには、専用の浴槽等を持ち込むので、駐車できる場所や、ある程度の広い空間が必要となる。また、特に医療的ケア児を含む重症心身障がいのある方は訪問看護や身体介護などの複数のサービスを利用されている方が多く、様々な支援者を受け入れるご家族が気疲れされているような例も見受けられる。訪問入浴事業者側の課題としては、子どもが利用するにあたって、設備的にサービス提供できる方の体格に制限がある、利用時間帯が放課後に集中するなどで、受け入れが難しい事業者もある。さらに、看護師の配置がなく医療的ケア児へのサービス提供が難しい事業者もある。こうした課題解決に向けた検討も必要であると考えている。

 医療の高度化により医療的ケア児、医療的ケア者は今後も増えると思われる。課題を中長期的にクリアするための制度の見直し、人材、事業所の拡充を支援すべきだが?⇒医療的ケアを必要とする障がい児者にとって、地域における暮らしやすい環境の整備とそのための良質なサービスを提供する上で、人材育成及び事業所の拡充は、必要不可欠であると認識している。また、福祉、医療、教育など様々な分野の関係者が、分野を超えて重層的に支援を行うことも大変重要であると考えている。これらの課題については、中長期にわたる継続的な取組みが必要であることから、しっかりと制度や計画に位置づけ、当事者を含めた関係者との対話と共通理解のもとに進めていくべきと考えている。今後については、今年度実施する障がい者計画の見直しに関連する当事者と事業者へのヒアリングなどの調査結果などを踏まえ、中長期的な視点に立ったうえで現在すべきことを検討するとともに、その実現に向けて取り組んでいく。

 障がい児者の福祉サービスの量を増やすためには、当事者やご家族が、「使っていいんだ」「頼っていいんだ」という気持ちになっていただける環境も大切。当事者やご家族が障がい児者が福祉サービスについて、遠慮なく相談し、気兼ねなく利用していただくための方策についての考えは?⇒まずは困りごとを丁寧にうかがい、その上で当事者目線によるサービスの種類や量を適切に決定している。このことから、本市では昨年度までに、市内4カ所に「障がい者地域相談支援センター」を設置するなど支援の入口となる相談支援体制の充実に取り組んでおり、今年度については地域相談支援センターを始めとする相談窓口のさらなる周知、並びにサービスの提供と困りごとの解消につなげるための支援ネットワークの強化を進めている。このネットワークによる重層的な支援体制こそが、障がい児者の地域における生活の安心につながり、また、様々な課題を解決するプラットフォームになるものと考えている。誰もが気軽に気兼ねなくネットワークのどこにでも相談できる環境の充実、並びに、支援者が当事者につながり続けられる仕組みを、より一層強化していく。

通告4番 塚本議員

1. 市民生活を守る市政について

(1)原油、物価高騰から市民生活を守る市の具体的政策について

 市民の生命財産を守る責務を有する基礎自治体として、昨今の市民生活における影響をどの様に認識しているか?⇒昨今の原油価格をはじめとした原材料や食料品などの物価の高騰については、市民生活や中小企業の経営などの幅広い分野において、多くの影響を受けているものと認識している。このことについては、総務省の家計調査報告に記載があるとおり、令和4年3月分の2人以上の世帯の消費支出が、前年同月比で実質2.3%の減少となるなど、物価高騰の市民生活への影響が、とりわけ、子育て家庭や生活に困窮する方々の家計を直撃しているものと推測している。また、企業については、本年3月に発行した「藤沢市景気動向調査報告書」によると、特に、飲食業では「原油価格の高騰で輸送コストが上がっているため、食料品の価格も全般的に上昇している」、運輸業では「燃料費の上昇や人件費の増加で利益が減った」などの理由で、引き続き、厳しい経営状況の業種があるものと捉えている。

 原油価格・物価高騰分の地方創生臨時交付金について、国からの通達内容、本市での活用限度額、また、その手続きの取組状況は?⇒国からの通達については、地方公共団体が、コロナ禍において原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減を実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充し、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を追加で配分するという内容となっている。本市における追加配分の交付限度額は、9億1,302万4千円。また、この交付金の申請手続きは、地方公共団体が地域の実情に応じて、きめ細かく効果的・効率的に必要な事業を実施できるよう、第2回目の締切りである7月29日までに、実施計画を策定し、県を通じて国に提出する予定となっている。

 6月補正予算に新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した事業の提案があったが、それを差し引いてもまだ11~12億円の活用が可能。所得が低い家計ほど、原油、物価高騰の影響を大きく受けている現状にスピード感をもって対応する必要がある。6月定例会の最終日に提案議決を経れば、先の補正予算に乗らなかった事業も実施可能と考える。原油、物価高騰対策に挑む本市の意気込みは?⇒ご指摘の臨時交付金の更なる活用については、原油価格、物価高騰対策の趣旨に鑑み、各部局の横断的かつ迅速な検討を踏まえ、制度設計が整い次第、早急に実施することを原則とし、予算化の準備を切れ目なく進めている。コロナ禍への対応は、何を優先し何を評価指標にすればよいか、さらに事業者との調整など制度設計に時間を
要する状況もあり、最終日に補正予算を提案することは大変厳しい状況だが、市としては、市民の暮らしの安全安心に資するよう、全庁をはじめ、市内企業など、オール藤沢で取り組んでいきたいと考えている。

 意気込みを聞いたが、当該交付金は国から既に100を超える具体的な事業の例示もされている。加えて、この事業例に限らず、その地域独自の、国目線ではなかなか手の届きにくいところにまで手を差しのべられるよう地方の裁量度が重要視されている。つまり、市政運営が試される状況。一方で、県が実施する事業と整合性を図る必要もある。原油、物価高騰から市民生活を守る市の具体的政策をどの様に展開していくのか?⇒今回の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」については、県の事業検討も同時並行で行われていることから、ご指摘のとおり、これまで以上に行政としての
力が試されていると捉えている。市では、寄せられている要望や意見、さらには新型コロナウイルスの動向や経済情勢などを捉えつつ、物価高騰に伴う福祉、子育て、農業などの分野における事業者支援、障がい者就労などの生活者支援をはじめとした、地域経済や市民生活に対する影響への対応として9月補正予算の提案に向けて検討を進めている。今後についても、従来の本交付金も合わせた活用を図りながら、暮らしやすさを向上させるよう、市民・事業者のニーズを的確に把握し、民間企業との連携も深めながら、バランスのとれた施策展開を進めていきたい。

2. 環境施策について

(1)マイボトルの推進について

 かながわ美化財団の資料によると海岸ごみは7割が川から来ており、組成分析では約6割がプラスチックごみで、その半分がペットボトルとなっている。本市として、ペットボトルを減らしていくことの重要性の認識は?⇒ご指摘のかながわ美化財団における組成分析については、境川の河口部で実施されているもので、本市としても、海洋プラスチックごみ対策として、プラスチックごみを減らすとともに、ペットボトルの使用を減らしていくことが重要と認識している。令和3年度に改定した「藤沢市一般廃棄物処理基本計画」において、「プラスチックごみ削減」に関する施策として、マイバッグやマイボトルの推進など使い捨てプラスチックを使用しないライフスタイルへの転換等を追加している。現在のペットボトル使用削減に関する取組としては、市事業におけるプラスチックごみ削減方針として、会議での個別ペットボトル提供の禁止や自動販売機におけるペットボトル販売削減等を定めている。また、市内のいくつかの施設にウォーターサーバーを設置するとともに、ホームページで給水スポットの周知をするなど、海洋プラスチック削減につながるマイボトルの推進に取り組んでいる。

 ペットボトルに特化し、客観性の高い数値目標を設けて、進捗管理をしているか?⇒本市では、市民から排出されるプラスチックごみとして、ペットボトル、プラスチック製容器包装、商品プラスチック及び焼却されるプラスチックの量を把握している。ペットボトルに特化した目標は定めていないが、今後は、マイクロプラスチックの原因となる、ペットボトルを含むプラスチック類の削減目標などについても検討をしていきたい。

 鎌倉市等のように、観光地や公園に給水設備を設置してマイボトルの普及からペットボトルの使用を削減し、海洋プラスチック問題に取り組むことは大変有効と思うが?⇒本市では、民間事業者と連携し、本庁舎、分庁舎及び体育施設などにウォーターサーバーを設置している。また、給水スポットアプリ運営者とも協力しながらマイボトルスポットの周知も進めている。鎌倉駅西口駅前広場のウォーターサーバーについては、神奈川県の企業局水道部にて設置したと聞いている。本市における観光地や公園へのマイボトルスポットの拡大については、これまでも関係機関や関係課と設置に向けた協議をしたが、設置には至らなかった。今後は、SDGsの視点も踏まえ、市民にアピールできるような給水スポットについて、神奈川県を含め、関係課に働きかけを行うとともに、連携を図りながら設置していく。

 海洋ごみ対策として、河川の上流域の自治体と情報の共有や連携を図り、広域で取り組むことも必要と思うが、どのように取り組むのか?⇒本市は、「河川をきれいにする都市宣言」を行っており、海洋ごみ対策としても、河川からの流入対策は重要であると認識している。引地川や境川の上流域の自治体とは、河川管理者である神奈川県を通じて、連携を進めていきたいと考えている。また、横浜市を中心とした8市連携市長会議の検討会には、上流市である町田市や大和市も含まれており、海洋プラスチックごみ削減のためのクリーンキャンペーンの実施など啓発活動を共同で実施している。様々な機会をとらえ、他市町村への情報提供や連携を進めていく。

(2)カーボンニュートラルに向けた本市の取組について

 カーボンニュートラルとは何か?また、2050年に藤沢市民はどのような生活をしているか、本市が描くイメージ・未来ビジョンは?⇒カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、吸収量と除去量を差し引いて合計をゼロにすることを意味する。つまり、排出
を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については、同じ量を「吸収」又は「除去」することで、差し引きゼロにすること。2050年の本市が描く未来ビジョンについては、昨年度改定した実行計画に基づき、脱炭素社会の実現に向け、市民・事業者・行政が一体となって取り組み、無理なく環境に配慮した省エネ行動を実践することにより、脱炭素型ライフスタイルへと転換されている。また、住宅やオフィスなどで使用される主力電源は再生可能エネルギーとなっている、市内を走る自動車は次世代自動車が多くを占め、環境にやさしい都市システムが構築されている。さらには、循環型社会の形成がなされ、きれいな空気、きれいな海や川、緑豊かな里山など、かけがえのない自然環境を未来の世代に残し、持続可能な都市を目指していく。

 現段階で、温室効果ガスを吸収する仕組みはどのようなものがあるのか?⇒現在、様々な企業がCo2を他の気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入する方法や再利用することなどの研究、実証実験を行っている。しかし、現段階においては、植林や森林管理などでの植物の光合成による吸収が、大きな役割を果たしていると認識している。

 温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を保つ取組(カーボンニュートラル)と、地表面上の温室効果ガスの総量を減らすこととの関係について、市はどのように把握しているのか?⇒IPCCの報告書では、累計Co2排出量が 1,000Gギガt-Co2増えるごとに気温が約0.45℃上昇すると言われている。したがって「世界的な気温上昇を安定させるためには、人為的なCo2排出量を正味ゼロにすること」つまりカーボンニュートラルが必要。一方で、過去から累積してきた温室効果ガスの排出に起因する環境の変化を軽減するためには、カーボンニュートラルから一歩進めて、地表面上の温室効果ガスの総量を削減していく必要がある。こうしたことから、本市としては、温室効果ガスの吸収に関する取組も注視しながら、まずは省エネ対策や再生可能エネルギーの導入促進など、温室効果ガスの排出量を削減する取組について進めていきたいと考えている。

 大気中のCo2を地中に埋める事業を実験的に行っていると聞くが、その内容は?⇒大気中のCo2を地中に埋め込む「CCS」の実証実験については、2012年から北海道の苫小牧市で日本初の国家プロジェクトとして実施された。これは製油所の水素製造設備から供給されるCo2を含むガスについて、Co2を分離・回収し、海岸から離れた海底下の貯留層へ圧入・貯留するもの。この実証実験の主な成果として、一連の機能検証と安全かつ安心できるシステムであることの確認ができたことが示されている。また、国では法制度など事業環境の整備に向けた諸課題の検討を行い、クリーンエネルギー戦略に反映するとともに、2022年中にCCS長期ロードマップの最終とりまとめをするとしており、さらなる進展が期待されているもの。

 国は、2年前に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明したが、市はどのように進めるのか?⇒本市においても昨年2月に「藤沢市気候非常事態宣言」を表明し、その柱の1つとして2050年のカーボンニュートラルを目指すことを掲げている。この目標を達成するためには、平均気温の上昇や毎年大きな災害が発生している状況、将来の気象状況が深刻であることなど、地球温暖化の影響とみられる気候危機の状況について、イベントやセミナーなどを通じて、市民や事業者などあらゆる主体に認識してもらうことが必要であると考えている。その上で、省エネ設備の導入や脱炭素ライフスタイルの促進、再生可能エネルギーの導入によるエネルギーの地産地消、環境にやさしい移動手段の促進に向けたモビリティマネジメントの推進など、改定した計画の取組を着実に進めていく。

 ブルーカーボンを推進するために、本市は、どのように取り組むのか?また、横浜ブルーカーボンオフセットの認証取得に向けた考えは?⇒本市の取組状況は、江の島裏において、国や県、市が支援する江ノ島フィッシャーマンズプロジェクトが、魚の生息保護を目的に藻場の保全活動を行っており、ブルーカーボンの観点からも重要な取組と考えている。横浜ブルーカーボンオフセット制度については、他自治体の藻場についても認証していたが、横浜市におけるブルーカーボンオフセットの活用状況から他自治体の認証については、令和2年度で終了している。しかし、ブルーカーボンについては、Co2の吸収源としての大きなポテンシャルが期待されており、国は、海藻藻場のCo2吸収量評価手法の開発を進め、令和5年度までに吸収・貯留量の計測方法を確立していくとしている。本市においては、こうした国の動向を注視するとともに、吸収量の算定方法やクレジット等の制度について情報収集し、温暖化対策に生かしていきたいと考えている。いずれにしても、昨年10月には国土交通省において、ブルーカーボンの今後の活用について議論がスタートされており、湘南海岸を有する市として、その強みを生かし、カーボンニュートラルの推進に資する施策として、本市のブルーカーボンの取組を充実させていく。

3. 観光施策について

(1)観光客と共に創るこれからの観光地について

 サムエル・コッキング苑リニューアルの実施状況や財源確保の状況のほか、今後観光施策を推進する上で、その原資となる財源確保の具体的な取組は?⇒江の島サムエル・コッキング苑については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて減少した、観光誘客の起爆剤とするため、2か年にわたるリニューアル整備工事を実施している。施設整備にあたっては、「見る中心の庭園」から「魅力あるリゾート空間」を創出し、その中でコッキング氏の足跡などを深く知っていただくとともに、国内外の異文化交流を体験できるよう、取り組んでいる。この整備に関する財源確保の状況については、起債のほか、昨年12月から今年1月にかけて、クラウドファンディングを実施し、合計365件、総額534万7千円の支援をいただいた。これにより、新しく建築した建物に設置された銘板に寄附者の名前を刻む他、指定管理者である江ノ島電鉄の協力のもと、同施設や江の島シーキャンドルの年間パスポートの贈呈、寄附者が希望したメッセージを苑内でアナウンスするなど、多くの方に整備への関わりを実感していただけるよう取り組んでいる。また、今後の観光施策を推進するための原資については、クラウドファンディングを含めた多様な手法を用いて、確保に努めていく。

 他市では、ふるさと納税を活用した寄附金制度の創設や民間事業者とタイアップし、QRコードで様々な決済ができるアプリを使って寄附を募る実証実験などが行われているが、入場料の徴収やクラウドファンディングのみならず、幅広く観光客から寄附を募る取組の必要性や、メリット・デメリットに関しての本市の考えや、関係団体の声は?⇒指摘いただいたとおり、DXの推進により、多くの観光客の皆様から支援いただき、関係人口を創出する好循環な収益構造を構築することは、大変重要であると認識しており、関係団体からも、その必要性について同様のご意見を聞いている。一方で、寄附などの手法で集められる資金を管理する主体及び、使途を明確化し、透明性や持続性を担保しながらも、寄附者の共感が得られるような取組とすることが不可欠であると考えている。本市では、これまでも多種多様なステークホルダーとの協働により、「湘南キャンドル」や「湘南の宝石」等の魅力あるコンテンツを創り上げてきたが、これらの経験を踏まえ、今後も「選ばれる観光地」であり続けるための独自性の高いイベントの創出やインパクトのある施策の実施を、多様な主体との連携により進めていく。

 北海道伊達市で、ふるさと納税して受けとれるデジタル商品券「伊達市e街ギフトDATEMO」という先進的な取組をしているが把握しているか?また、そのような取組なども参考に、観光客と共に観光地構築を目指して、QRコードのデジタル通貨等の電子マネー寄附制度システム導入に向けて取り組むべきと考えるが?⇒伊達市など、他市の電子マネー寄附制度システムにおいては、利用時にアプリのダウンロードなども必要なく、市内での加盟店での買い物や観光を楽しみながら、地域経済に還元できるデジタル商品券がふるさと納税のお礼品として活用されているなど、複数の行政課題の解決手段になり得るものであると考えている。本市では、来訪される前の手法として、ふるさと納税に係る「楽天トラベル」の宿泊クーポンを4月からお礼品に加えたが、本市の来訪者が旅先で気軽に寄附ができる仕組みについても、有効な手法であると認識しているので、2次元コードを使った電子マネー寄附制度システムの導入などについても、財源確保の有効なツールの一つとして、先進的な取組も参考にしながら、地域の関係団体とともに、持続可能な観光地経営を実現できるよう取り組んでいく。

※以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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