6月22日 10:00より、藤沢市議会本会議(5日目)が開催され、引き続き一般質問が行われました。
※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。
通告11番 東木議員
1. 誰一人取り残さない温かなふじさわづくりについて
(1)ひとり親支援について
本市のひとり親家庭相談で、「離婚前の相談」の件数と、対応状況は?⇒「離婚前相談」というカテゴリで件数は集計していないが、現在、離婚を考えている方、離婚調停中の方などから、離婚後の生活や手当、支援制度についての相談も多く寄せられている。別居や離婚に関わる相談があった場合は、相談者の気持ちに寄りそいながら、利用できる支援制度の案内や、個々の状況に応じて関係機関につなぐなどの対応を行っている。子どもへのケアという視点では、離婚や別居をしても、子どもにとって父母であることに変わりはなく、特に養育費や面会交流については、子どもの将来のために父母が離婚後の子育てについて共に考え、きちんと取り決めがされるよう、必要に応じて法律相談や専門機関での相談を案内している。
今年度から養育費確保のための補助を開始し、養育費の取り決めに係る費用補助も新設されたが、制度導入についての市の考えは?⇒ひとり親世帯の生活困窮の要因の一つが養育費の不払いであると言われている。離婚後のひとり親家庭の生活において、養育費は子どもの成長を支える重要なものであり、親は子どもに対して養育費を支払う義務を有しているが、この支払義務に法的強制力を持たせるには、公正証書などの公的な書面に残し、債務名義化しておくことが必要。しかし、平成28年度の厚労省の調査では、協議離婚における養育費の取り決め状況は、母子世帯で約38%と低くなっている。このことから、本市としては、養育費の取り決めに係る公正証書や調停調書等の債務名義取得に要する費用を補助することにしたもの。
離婚前に様々な知見、見識を得て、離婚後の子どものケアがされることが大切。ある民間機関が「パパとママの離婚講座」を開催し、東京都の各区が共催で実施している。本市での活用の考えは?⇒議員指摘の「パパとママの離婚講座」は、養育費や面会交流などの取り決めや手続きのほか、子どものメンタルケアについても扱っているものと承知している。離婚前に子どもの発育や将来を見据え、父母に考えてもらう機会をつくることは有効であると考える。なお、離婚前セミナーについては、昨年度から本市にある、神奈川県母子家庭等就業・自立支援センターが、家庭裁判所の元調停員を講師としてセミナーと個別相談会を開催しているため、離婚前の相談があった場合に案内している。離婚前後の親支援については、県の事業を活用するとともに、民間が実施しているセミナーなども案内しながら、、個々の事情に沿った情報を発信していく。
ひとり親になった事情は、離婚、死別など様々であり、悩みも個々に異なる。世田谷区のように一人ひとりの事情に寄りそった内容の情報発信、リーフレットを作成してほしいが?⇒本市のひとり親の方に向けた支援制度の情報発信としては、様々な支援制度を掲載したリーフレットを作成して自立支援に向けた案内をしている。昨年度からは、子どもの年齢や就学など、ライフステージに合わせて受けられる支援制度の一覧を図表として掲載するなど、より分かりやすい紙面となるよう工夫している。今後も、他市の事例も参考にしながら、定期的に内容の見直しを図るとともに、情報発信の方法についても検討し、相談支援の充実に努めていく。
(2)障がい児者の災害時の支援について
ふじさわ防災ナビがリニューアルされたが、あれもこれも盛り込むと、逆効果の場合もあり、工夫が必要となる。障がい者も避難場所や基本的な知識や情報が分からない。簡単なリーフレットにしてほしいが?⇒ふじさわ防災ナビは、地域防災計画等に記載している事項のうち、特に市民生活に関わる情報を分かりやすくお知らせし、幅広く防災知識の向上を図ることを目的とした保存版の小冊子で、多くの防災情報が盛り込まれている。今後は、分野ごとの防災情報をパーツとして区切り、ホームページやSNS上に掲載するとともに、自主防災組織等の研修素材としても利用可能で、市民が防災に興味がわくようなコンテンツ作りを検討していく。その中で、障がい者などにとって、避難場所など、大切な防災知識の習得に役立つよう、やさしい日本語で、分かりやすい大きな文字や、イラストなどを用いたリーフレット等の作成も検討していきたい。
キャンピングカーについての協定を結んだ。利用できる対象者、人数、優先順位などの考えは?⇒キャンピングカーについては、家族や友人など少人数グループ単位の利用を前提として、寝台・エアコンのほか、給排水や水洗トイレなどが使用できるものもあることから、災害時には非常に有益である。具体的には、障がい者、高齢者、妊産婦および乳幼児など、要配慮者用の避難スペースの補完などに活用することを想定しているほか、キャンピングカーのセパレートされた空間が、感染症対策にも有効であると捉えている。このことから、大勢の避難者と接する場所とは別に、個別の福祉的・医療的に空間的配慮が必要とされる要配慮者を主な優先対象とすることを考えている。一方、調達できる台数が限られていることから、今後、更に多くの車両の確保に向けて、新たな事業者と協定の検討を進めていく。
オーダーメイド型の支援は必要だが、情報収集には相当時間がかかるため、安心を得るには時間がかかりすぎる。まずは身近で支援ができるような工夫が必要だが?⇒障がい者の災害発生から避難生活までの支援については、まずは、命を守ること、さらには財産を守ることが必要であると認識している。その前提に立ち、災害等に対処する上では、障がい特性を踏まえた、当事者に必要な事項を把握することが不可欠であると考えており、避難誘導だけではなく、避難生活において、必要な服薬、介護、禁忌事項等の情報が確認することができるよう取り組むなど、オーダーメイド型の支援を進めていく。情報の収集と共有の仕組みとしては、緊急時の対処用として連絡先や一時預かり時の留意事項を記録している「安全・安心プラン」に、災害時に考慮すべき事項を追加し、今年度試験運用を行った上で、評価、改善を進めていく。この「安全・安心プラン」については、障がい福祉サービスの利用を決定する際と同様に、障がい当事者と家族、計画相談支援員、サービス提供事業者、そして市が、状況を共有しながら作成しているところ。その中で、障がいの程度や家庭環境、住まいの状況等に応じた支援の必要性に鑑み、緊急性の高い方からサポートできるよう着手していきたい。
CSWが担うコミュニティワークにおいて、障がい者を支える点で特に難しいと言われる中、これまでCSWはどれくらい関わってきたか。また複雑な課題を抱える障がい児者へのサポートや個別避難計画策定に際し、CSWを積極的に紹介する等の必要性について、市の考えは?⇒身近な地域で活動するコミュニティソーシャルワーカーは、これまで、障がい者を含めた相談者の状況に合った制度の活用や、サービスの利用を促すとともに、地域の様々な活動団体の皆様に対し、普段からの見守りや日常の声掛けなどの関係づくりを働きかける、コミュニティワークを行ってきた。日頃から、様々な地域の関係者が関わる個別の仕組づくりや関係性の構築は、大変重要な視点であり、そのことが災害時の支援においても効果的にはたらくものと考えている。このことから、市としては、コミュニティソーシャルワーカーに対し、地域の様々な活動団体はもとより、地域住民の皆様に、その存在を認識していただけるよう、これまで以上に、近隣住民とのつながりも視野に入れた活動の展開を促していく。また、個別避難計画策定に対するコミュニティソーシャルワーカーの関わりについては、課題を抱えるすべての方に対応することは難しいと考えるが、特に従前からの関わりが強い方などに対しては、必要に応じてコミュニティソーシャルワーカーが支援できるよう取り組んでいく。
この数年間の藤沢型地域包括ケア、地域共生社会の取組みで、意識醸成がどの程度進んだのか、計るものはないが、少なくとも、以前地域包括ケアシステムの構築の中で、障がい者支援をテーマとしたシンポジウムを行われたが、それっきり。これから障がい児者の命を守るために、行政として、
地域や事業者に丸投げでもなく形式でもなく、一緒に対話し、丁寧にプロセスを踏みながら進めていただきたいと思う。今後の取り組みは?⇒地域共生社会については、誰もが尊厳を持ち、多様性を認め合い、生き方を選択しながらともに生きていける多元的な社会、つながりを実感できる社会であると解釈しており、「誰一人取り残されない」という社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を、地域ガバナンスの中で地道に醸成し続けることが重要だと考えている。地域共生社会の実現に向けた障がいに関する取組については、まずは広く障がいの理解を深めていくことが基本となると考えている。今後は、これまでの取組みに加え、障がい者スポーツや地区社会福祉協議会が実施する障がい児者を対象とするバス旅行の紹介などにより、新たな視点からの気づき、また、共に過ごす場や時間の拡大に向けて、丁寧に、より幅広い対象に訴求するよう努めていく。加えて、既に障がい児者と関わりのある障がい福祉サービス事業所は、当事者の理解者でもあり、地域の担い手の一人でもありますので、行政も含め、関係者同士がつながり、さらには当事者とつながり続けることで、支援が必要な障がい児者を支える体制づくりに努めていく。また、多様な「つながり」を大切にしながら、地域での対話やコミュニケーションの輪を広げることで、障がい児者に寄り添う地域づくりを推進していく。
(3)2040年への地域づくりについて
市民センター・公民館について、「頼りになる拠点施設」としてどのような取組を行い、どのような効果があったのか?また、公民館を「頼りになる拠点施設」と位置付けるなら、超高齢化社会の中で増加する相談に対応した福祉相談窓口や行政機能、デジタル支援などを併設する必要があると考えるが?⇒行財政改革2020実行プラン個別課題「頼りになる拠点施設としてのあり方の検討」において、市民センター公民館に配置された地域づくり業務員が地域活動団体の補助業務を担うことにより、職員がより住民と関わることができるようになった。そのほか、執行体制を見直し4担当制から2担当制にすることで、地域担当と公民館担当、庶務担当と地区福祉担当の体制強化を図ったほか、地域と本庁との連携強化として、市民自治推進課の地区担当制や庁内横断的な支援にあたる地域課題解決支援チームなど、課題に応じた本庁各課との連絡調整体制の整備を図った。また、公民館としての地域拠点のあり方については、超高齢化社会の中で増加する相談に対応した地区福祉窓口を含めた行政機能、デジタル化の推進に合わせた業務の効率化や市民の利便性向上に向けて、関係部局と意見交換を行いながら協議を進め、その中でよりきめ細かに地域づくりに取り組むことができる体制について検討していく。
高齢者の通いの場事業について、結果的に2つの事業所が閉鎖に追い込まれて、特に六会地区は事業者の不信感を招き、利用者も150名のうち80~90代が半数、行き場を失った。現在介護が進んでしまった方や、孤独にさいなんでいる方もいると聞いた。このことについて、どのように見直されているのか?また、代替手段をどのように案内し対応しているのか?⇒高齢者の通いの場事業の見直しについては、財政面、事業の公平性、介護保険制度の持続性という観点から、長年の懸案事項に対し積極的かつ前向きに見直しを行ったもの。しかし、合意形成が十分に得られないまま、関係者にとってわだかまりが残る結果となったことについては大変遺憾であり、福祉部としても、重く受け止めている。閉鎖された居場所の利用者をはじめ、年齢が80代・90代などの方々にも、気軽にご利用いただけけるよう居場所事業の見直しを図り、「社会参加型の介護予防」を目的とする高齢者事業の在り方について、ニーズなど踏まえながら、整理していく。また、これまで尽力いただいた運営団体役員の方には、引き続き今後の居場所事業等の実施のご意向を聞きながら対応させていただくとともに、利用されていた皆様に対しましては、改めて代替手段のご案内を考えている。
また、閉鎖により特に六会地区はこれまでの利用者が行き場を失っている。六会地区において住民に適した居場所を住民とともに市やCSWなど関係者においてプロセスモデルを作っていくのはどうか?⇒六会地区における「住民に適した」居場所の在り方については、まず自治会などの地域団体が活動する中でのご意見や、コミュニティソーシャルワーカー、地域包括支援センターなどの相談支援機関の個別相談等、地域住民からのご要望状況などを踏まえ、まずニーズについての「意見交換」から実施するプロセスモデルを作っていきたいと考えている。また、六会地区をより知っていただくために、現在活動されている居場所事業や公民館等のサークル活動などを案内する冊子を改訂し、周知方法も含めて協議体において検討していく。
郷土づくり推進会議について、地区によっては毎年同じ事業を行っている。若い世代の声が反映し彼らが活躍できるような仕組みを導入するなど、見直しが必要。以前に会議のあり方を検討する答弁もあったが、2040年に向けた藤沢らしい住民参加型の地域づくりのあり方の検討が必要だが?⇒今回の郷土づくり推進会議の委員改選にあたっては、若い世代をはじめとした多様な方々の参画の必要性を各地区共通の認識のもと実施するとともに、電子による申請受付や LINE 公式アカウントによる配信、チームFUJISAWA2020への掲載を行った。その結果、これまであまり見られなかった40歳代で
仕事をしている方などの申請が見受けられ、若い世代の応募につながったものと捉えている。また、地域ごとの事業選定や若い世代の声を反映できるような仕組みづくりについては、まずは若い世代が事業に参加し関係性を築くことが重要と捉え、令和5年度に向けて各地区に対し「子ども」をテーマとして取り組む提案を行っており、若い親世代の参加・担い手不足の解消につなげていきたいと考えている。一方、特定の分野で集まった団体が進めていきたい活動などと、地域の中で課題となるテーマを一致させて協働して取り組むテーマ型コミュニティの活用については、活動する目的がわかりやすく、若い世代等の共感が得られ、事業への参加が期待できることから、地域の主体性を尊重した取組みとして進めていく。今後については、これらの取組経過を踏まえながら、引き続き2040年に向けた藤沢らしい住民参加型の地域づくりをめざし、若い世代を含む多様な参加者を運営・企画側に取り込んでいきながら、みんなで議論ができる場として、持続可能な郷土づくり推進会議のあり方を検討していく。
まちづくりと担い手の高齢化について、どこの地区においても担い手の高齢化が甚だしく、インフォーマルな住民サービス支えあいを失っている。若い世代の育成・参画について地域福祉計画の中で検討するとあるが、具体的にどのように進めていくのか?⇒若い世代の育成・参画については、今後の地域づくりにおいて大変重要であることから、地域福祉計画に位置付け、具体的な方策等は藤沢型地域包括ケアシステムの各会議体において関係部局等と課題共有しているところ。地域福祉計画2026策定時のアンケートでは、ボランティア活動について「今後参加してみたい」という回答が40・50代において多い傍ら、「時間的余裕がない」ことや「どのような活動か知らない」ことも多く挙げられた。また、本年度の地域包括ケアシステム推進会議の専門部会において、各部局で行っている養成講座等の受講者と活動場所とのマッチングについて、議論を深めるためボランティア活動をテーマとした分科会を開催し、プラットフォームとなるチームFujisawa2020の活用や周知方法について検討していく。また、本年度行う地域福祉計画2026
中間見直しに向けたアンケートで見えてくるコロナ禍の影響による時世の変化も踏まえ、関係部局と協議しながら、地域の活性化に向けた活動を推進していく。
昨年度から企画政策課が始めたワークショップは継続的なまちづくりにつながるものとして欲しいと考えているが、その効果はどうだったのか?また、今後、実施予定のワークショップの目的・内容は?⇒昨年度実施したワークショップは、「藤沢市未来共創セッション」と題し、「人生100年時代とは何か」をテーマとして、バックキャスティングの発想で将来の魅力と活力あるまちづくりについて、村岡地区をモデルとして行ったもの。3日間、オンライン形式で開催し、地区在住の方をはじめ、民間企業など多様な関係者の方々にご参加いただいた。当日は、地域の実情を共有し、概ね20年後の理想とする地域像を描き、将来ビジョンとして「思いが実現できるまち、つながりをもてるまち、生涯元気で活動できるまち」など7つのテーマにまとめ、その実現のための取組や、共に活動する必要がある関係者について検討した。参加者からは、「多様性を認め合うこと」「自己実現ができること」などの価値観が共有され、共創に向けたアイデアの具体化について対話を深めていくプロセスのなかで、実現に向けた活動をしたいとの前向きな意見もいただいている。今年度は、地域住民や新たな担い手と期待される企業や大学生、文化芸術団体、スポーツ団体などに参加を呼びかけ、本市の都市拠点を目安とした地域の将来像などについて考える対面形式と、より多様な主体が柔軟に参加できるオンライン形式とで、開催したいと考えている。
参加者を地域に根差した実践者・地域人材につなげていくことが大切だと考えるが、参加者の定着・育成についての考えは?また、藤沢市未来共創セッションのようなワークショップの取組の今後13地区への横展開のについて、市の考えは?⇒少子超高齢化の急速な進展や人口減少などの社会的
変化は、誰もが経験したことのない地域社会を生み出し、これまでのように行政が十分にサービスを担うことが困難な時代になると捉えている。こうしたことを前提に、参加者の定着、育成については、参加者自らが目指したい将来の地域像やそこに向けて実施していきたい活動を考え、実践することを地域全体が共有し、共感に結ぶことで実現するものと考えている。市としては、魅力的なワークショップを開催することで、意欲のある方々に参加していただくとともに、継続した活動へと促す地域情報の提供等のサポートに努めている。さらに、2040年に向けては、各ワークショップで導き出された将来ビジョンを様々なステークホルダーと共有し、対話を広げながら、職員等を含め、地域でこのようなワークショップを主導できる人材の育成にも繋げていきたいと考えている。いずれにしても、市民自治部、福祉部をはじめとした関係部局が、多様化する地域社会で対話により、柔軟に対応できる市政運営一つの手法として活用できるよう進めていく。
2040年に向け、13地区ごとにまちづくりを進める中では、これまでの取組をさらにアップデートし、新しい人材、若い人材が地域でその能力をより発揮できるようにしていくため、市長を中心とした体制の中で企画政策部が中心となり、5年、10年を見通した改革を進めるべきだが、市の考えは?⇒
2040年に向けては、本市においても人口減少などの構造的な変化が顕著になるとともに、現代社会における価値観や暮らし方、福祉的な課題にも多様化が進むものと認識している。こうした時代の潮流を迎えるにあたり、現在の地域社会の課題であるコミュニティの希薄化や、担い手不足などの地域課題は、社会的包摂という概念を前提に、過去の前例と、現在の延長線上にはない発想で取り組むものと考えている。そのためには、長期的な視点に立って確定的な政策を立案、実行していくのではなく、住民協働というスタイルや住民自治の本質を、共創型に転換させ、住民ニーズに柔軟に対応できる新たな社会システムとして構築していかなければならないと捉えている。コロナ禍を経て、これからはコミュニティの時代である。市としては、今年度の施政方針で「未来に向けて大切にしたい人の和」を市政運営のテーマの1つに掲げている。新しい人材、若い人材の地域の様々なコミュニティへの参加促進などを図り、それぞれの地域課題の解決・価値の創出につながるよう、市民センター・公民館を拠点に、全市一丸となって新たな課題に素早く対応できる体制を整え、地域づくりを実現していく。
通告12番 井上議員
1. 市民サービスの向上について
(1)市民窓口等の対応について
行革2020実行プラン「窓口業務のあり方の検討」において、令和2年度に開始した保険年金課を皮切りに窓口業務の協働事業を実施しているが、その目的と効果の見込みは?⇒窓口業務等協働事業は、市民ニーズの多様化による行政需要の増に対応、限られた人的・財的資源を有効活用し、将来にわたり持続可能な行財政運営に資するため、BPRの考え方に基づき、外部資源を導入し、経費の縮減と市民サービスの維持向上を目指して取組を進めてきたもの。
協働事業開始後、およそ2年が経過するが、各課において当初の目的は達成されているのか?⇒柔軟な人員配置が可能な協働事業者に委託することで、市職員は相談業務や滞納整理などに注力し、複雑化する市民ニーズに対応するための体制強化が図られたものと認識しており、本事業の目的の一つである限られた人的資源の有効活用の目的は達成されつつあると考える。
これまで、どのような検証を行ってきたのか?⇒協働事業者の業務水準の維持向上を目的として、毎年秋ごろに窓口業務等協働事業評価委員会を実施し、業務繁忙期に応じた人員体制の構築、市民アンケート調査や協働事業の内部モニタリング調査等を通じた接遇向上の取組、窓口における手続き完了までの対応時間などの項目について評価検証をしている。
見えてきた課題は?⇒従事者の業務習熟度が一定水準に達していないことにより、手続き案内時の説明誤りや不足が生じ、主に協働事業導入時における窓口対応時間が長くなったことなど。
市民窓口センターにおける窓口の待ち時間について、協働事業開始前と比較して、どのくらい長くなっているのか?⇒初めてとなる繁忙期の本年3月末の状況では、転入、転出などの住民異動処理では整理券の発券から受付までの待ち時間は、平均で2時間41分となっており、前年度同時期と比較して約1.8倍となった。6月前半には平均28分となっており、繁忙期からは時間短縮ができたものの、前年比では時間を要している状況。
事業者と市との連携が上手くいっていないのでは?⇒保険年金課においては、協働事業開始当初、各担当者レベルでの連携に課題があった。それを解決するため、新たに担当業務別に市担当者と受託側の担当業務責任者との連絡調整の場を設け、より綿密な情報共有等を図るなどの改善に努めてきた。
連携が上手くいっていないため、職場の風通しが悪く、事業者の従業員の離職率が高いと聞いているが、その状況は?⇒各年度毎の平均は保険年金課では、令和2年度が約3.6%で離職者数は合計35人、令和3年度が約2.0%で合計29人、介護保険課では、令和3年度が約2.2%で合計6人、令和4年1月から協働事業を開始した市民窓口センターでは、令和4年1月から5月までの間が約4.0%で合計17人となっている。
労働環境の悪化は、従業員のモチベーションにもつながり、結果として窓口での市民サービスの低下にもつながっていると考えるが?⇒協働事業従事者の業務習熟度と直結する業務水準の維持向上は市民サービスにもつながることから、従事者の定着率向上に向けた取組は大変重要。離職原因などは定例会等で聞き取りをしているところ。この改善のためには、市と協働事業者相互を始め、それぞれの内部における風通しの良い職場環境が最も必要と捉えているので、原因分析などをした上で、早急に改善に向けて取組みを進めていく。
今後、この協働事業者をどう進めていくのか、理事者の見解は?⇒窓口業務等協働事業は、人的・財的資源の有効活用と、経費の縮減と市民サービスの維持向上を目指して開始した。その中で、日々生じる課題について市と協働事業者が連携して改善してきたが、指摘の市民窓口センターの本年3月4月の繁忙期における窓口の待ち時間が増加してしまったことは、早急に解決すべき課題として捉えている。今後は、市と協働事業者が一体となって、事務処理手順や業務分担の徹底した見直しを図り、職員や従事者の業務習熟度を向上させるための研修の実施など、協働事業先行市の事例等も参考にしながら、改善に取組んでいく。
通告13番 武藤議員
1. 住民福祉の増進について
(1)誰ひとり取り残さない取組について
大和市では2021年に全国初の「終活支援条例」を制定し、専門の政策課も設置した。来るべき単身社会への備えとして、市民が抱える終活に関する精神的な不安を解消し、市、市民、事業者が連携を図り協力して取り組むこと示している。全国的に広がりつつある終活の取組について概要をどのように把握しているか?⇒国立社会保障人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」によると、2042年までに高齢者人口は増加の一途をたどるものの、一方で高齢者の死亡人数の大幅な増加も見込まれている。大和市では「終活支援条例」を制定し、その中に市民が主体的に終活に取り組む環境の構築と、時代に適合した施策を行うことを理念に掲げるとともに、終活に関わる市の責務や市民・事業者の役割について明記している。また、市が具体的に行うこととして、登録カードの発行、法律専門家とのコーディネート、亡くなられた際の知人等への連絡や葬儀等の履行確認などが明示されている。一方、全国では、令和3年度時点で169か所の自治体が、ご遺族の支援をワンストップで行う「終活コンシェルジュ」の配置や「おくやみコーナー」を設置していることを把握している。
「終活」に対する本市の取組の現状は?⇒本市では、住み慣れた地域で暮らし、自分が望む場所や環境で人生の最後を迎える支援の一環として、平成 30年度に「終活ノート」の作成を開始し、関係機関等において現在も配布している。また、市民が在宅医療に関する理解を深め、自らの意思で療養生活の選択ができるよう、自分の考え方を身近な人と共有することの大切さ(アドバンス・ケア・プランニング)について、地域共生社会推進室や在宅医療支援センターが中心となり「人生会議」等の場面において、地域単位での普及啓発に取り組んでいる。一方、大事な方を失った「悲しみに暮れる」ご遺族や身寄りのない方について、死亡後に発生する各種手続は多岐にわたる。こうした中、令和3年度からは、市民窓口センターが中心となり、手続きの種類や担当課などを一覧にした「藤沢市おくやみガイドブック」を配布している。
本市において、高齢者の単身世帯が増加していく中で、孤立化させない、誰一人取り残さないために、条例制定を含めた今後の終活に関する考えは?⇒「終活」は、生前の元気なうちに人生の終わりに目を向け、これまでの生き方を振り返り、今後の生き方を明確化するとともに、家族や身近な支援者との関係を見直すことで、充実した「人生」を生きようとする意欲が生まれるものと考えられる。今後は、地域包括ケアシステム推進会議等での議論を通じて、終活に向けた必要な情報の集約と情報の提供体制について、条例制定の必要性も含めて検討していきたい。また、令和4年度に、藤沢市高齢者保健福祉計画の次期計画策定に向けてアンケート調査を実施する予定なので、コロナ禍における状況の変化やニーズを把握するとともに、これまで以上に市民一人ひとりに寄り添う丁寧な支援に努めていく。
行政にとって子ども会とは何なのか?⇒子ども会は、一般的に保護者が中心となり、様々な遊びや集団活動を通じて、子どもたちの健やかな成長を支えることを目的とする地域団体と捉えている。各子ども会の具体的な活動としては、夏休み中のラジオ体操、クリスマス会、芋ほりなどの収穫体験
地域のお祭りへの参加などの様々な行事がある。そのほか、地域の子ども会と育成指導者で構成される、「藤沢市子ども会連絡協議会」が、昭和30年4月に設立されており、地域の子ども会の「相互連絡調整を図り、健全な育成発展の手助け」を行っている。市としては、子ども会は、その活動を通じて、年齢の違う子どもたちが一緒に遊び、様々な体験をしながら地域で心身ともに成長する大切な場であると捉えている。
子ども会は、自分が住んでいる地域を大切に思い、地域の中で子どもを育てる、誰ひとり取り残さないための取り組みとして重要と考えている。地域における存在意義について、市の考えは?⇒子ども会は、地域の大人が見守る中で、地域の子どもたちが集まり、安心して過ごせる場となっている。子どもたちは、遊びや行事等の活動の中で、自然に友達や地域の大人の知り合いが増えるなど、子ども会は、地域における重要なコミュニティのひとつになっていると認識している。
子ども会の入会者が減少しており、コロナ渦で活動が停滞していることもあると思うが、子ども会の課題をどのように捉えているのか?⇒子ども会の課題としては、加入者数と子ども会そのものの数が減少傾向であることが挙げられる。現実に、藤沢市子ども会連絡協議会を構成する子ども会は、平成20年度51団体、平成30年度44団体、令和3年度36団体となっている。この要因としては、一般的には少子化の影響のほか、直近ではコロナ禍で活動の中止や縮小が余儀なくされたこともあるが、子どもたちの遊び方の変化や、何よりも活動を支える親や指導者などの担い手が不足していることが大きく影響していると考えている。
自治会に入っていないと回覧板が回ってこないから、子ども会を知らない人もいる。自治会単位だけでなく、子ども会を知らない人への周知を行政として後押ししてもらいたい。今後の取り組みは?⇒新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、この2年間は、子ども会の活動が中止・縮小を余儀なくされ、周知・啓発が行き届かなかった状況だった。しかし、社会経済活動の再開の動きに合わせて、子ども会の活動も活発になることが見込まれるので、多くの人に子ども会の魅力を知ってもらうために、子ども会の活動について広報やSNSなどの様々な媒体により、機会を捉えて周知を行い、市として子ども会の魅力を発信していく。また、藤沢市子ども会連絡協議会が行う広報活動に対して引き続き支援を行うほか、新たに児童館、地域子どもの家、放課後児童クラブに子ども会の活動を紹介するチラシを配架していきたいと考えている。さらに、市内14地区で活動している青少年育成協力会で子ども会の活動を紹介してもらうなど、子ども会の魅力の周知・啓発に努めていく。
ごく少数ではあるが、対応が一人よがりで市民目線でない職員がおり、苦情等が入ることもあると思うが、どのように対処しているか?また、先日「キッズゾーン」設置について市民と保育課、道路維持課との意見交換があった。市民側は以前から当該道路について総体的な安全対策を希望していたが、防犯交通安全課職員が当日不在であった。キッズゾーン設置は大いに評価できるが、所管課不在の当日の対応は市民のニーズを正しく汲み取れているとは言えない。このような対応について、市の見解は?⇒職員に対する苦情については、担当課のみならず、職員課へも寄せられることがある。その際、まず職員課から担当部署に対し、事実関係の確認を行った上で、所属長を通して、もしくは当該者に直接注意を行うなど、必要に応じて然るべき指導を行っている。次に、今回ご指摘の意見交換会における対応については、事前に町内会には会議の開催趣旨や、市側の出席者などを伝えており、また防犯交通安全課とも会議の内容や当日の意見要望等について、情報共有したうえで、今後の対応等について関係機関と協議しているところ。窓口対応や意見交換会などを通して、市民ニーズを正しく汲み取ることは、市政の様々な施策を展開していくうえで、大変重要なことと認識しているので、今後とも常に市民目線に立った対応に努めていく。
職員の市民応対次第で、市民を取り残してしまう場合があると考えるが「誰一人取り残さない市民対応」への取組について、理事者の見解は?⇒「誰一人取り残さない市民対応」への取組については、現在、藤沢市人材育成基本方針の中で求められる職員像として、「自らが住む・働く地域を知り、地域の状況・課題を把握できる職員」及び「課題解決能力を持った職員」を掲げている。具体的には、職員が市民ニーズを的確に捉えた対応を行うにあたっては、担当業務に精通することはもとより、市政全般への理解や、他部署との連携を含めた調整力、説明力及び発信力などが必要不可欠と捉えている。このため、この方針の改定に合わせ、今年度から、すべての階層別研修や職場研修などにおいて、求められる職員像の浸透を図るとともに、私自身のメッセージも発信しているところ。職員一人ひとりが、常に市民の立場に立って業務に取り組むことが、「誰一人取り残さない」市民対応に繋がるものと認識しているので、今後とも様々な機会を捉えて、職員への意識啓発を行っていく。
通告14番 永井議員
1. 障がい児福祉について
(1)医療的介助を要する子どもと家族の支援について
令和3年9月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行されたが、本市における医療的ケア児の状況は?⇒医療的ケア児は増加傾向にあり、特別支援学校に在籍している児童生徒や、福祉サービスを受けている子ども、母子保健で対応している家庭など、全体でおよそ70人と見込んでいる。正確な実数や実態の把握が本市だけでなく、他市でも課題となっいるため、本年5月に開催された県と市町村との情報交換会において、実数と実態を把握するための方策について、引き続き検討することとしている。
医療的ケア児を支える家族に何らかの事情が生じ、短期的に子どもを預かるショーステイがある。現在のショーステイの現状と課題は?⇒県内に藤沢市民が利用できる施設が8箇所ある。それらの施設を県内全域の方が利用するため、希望する施設が希望する日程で利用することが難しい場合がある。
医療的ケア児のいる家庭では常時介護が必要であり、かなりの負担がかかっていると思う。負担の軽減策はの状況は?⇒ショートステイ以外の負担軽減策としては、保護者のレスバイトを目的とした、入院による預かりを行っている病院が市内に1箇所、宿泊はできないが日中の預かりをしている施設が1箇所ある。また、在宅の支援として、訪問看護師による医療的な看護や、ヘルパーが訪問し、子どもの入浴や食事の介助をする身体介護サービス、子どもの身の回りの世話をする家事援助のサービスがある。その他に、障がい児通所支援事業所では、医療的ケア児の受入が可能な事業所が市内に5箇所かり、保護者の負担軽減を担っている面もある。
市立学校では、医療的ケア児の受入を実施しているが、保育園での受入の状況と今後の取組は?⇒現在は受入に至っていないが、インクルーシブ保育を推進するため、本年10月を目途に、公立保育園を中心に、訪問看護の利用による医療的ケア児の受入を行うこととし、現在、その体制整備に向けて取組みを進めている。
医療的ケア児のいる家庭では常時介護が必要であり、孤立対策や支援の情報が届いていない可能性がある。そうしたことを解消するための体制をつくり、介護者の負担軽減策の充実を図るべきだが?⇒県が本年5月に設置した「医療的ケア児支援・情報センター」では、家族等からの相談を通じて、障がい保健福祉圏域ごとの課題抽出や、圏域への医療的ケアの情報提供をすることとされている。本市としても、県と連携し、湘南東部圏域の2市1町で連携して課題解決を図り、医療的ケア児とその家族に寄り添った適切な支援につながるよう、必要な情報が提供できる相談体制を構築していく。
今後、医療的ケア児とその家族に対する支援について、「できない」ではなく、「どうしたらできるか」という姿勢で臨んでほしいが?⇒医療的ケア児の介護は、主に保護者が担っており、父母のどちらが離職して介護にあたる例が数多くみられる。そのため、「医療的ケア児支援法」において、家族の離職を防止し、家族の社会生活も含めて社会全体で支えることを目的の一つとしている。同法では、保育所や学校等の医療的ケア児の受入が責務とされたが、これらは支える手段の一つ。支えるためには、特定のサービスの充実だけでなく、福祉、医療、教育など関係機関がネットワークを強化し、当事者に寄り添いながら、重層的に支援をすることが重要。今後も、当事者の困りごとを解決するための必要な情報と支援が提供できるネットワークを充実させ、関係機関が連携して、医療的ケア児とその家族を支えていきたい。
2. ボランティア・市民活動について
(1)チームFUJISAWA2020について
昨年10月に立ち上がった「チームFUJISAWA2020」は、ボランティアを活性化させる取組との事だが、現在の取組状況は?⇒6月13日現在の会員登録数が834人と、本年3月末から約1.5倍に増加している。募集案件も常時複数の情報が掲載され、スポーツ、環境美化、イベント、市民活動など、多様な分野の活動が、合計60件、延べ約300人のマッチングを達成している。
市内には福祉や教育分野なども含めて、多様なボランティア活動が様々な団体で行われている。こういった個別の活動や団体との連携、団体同士の交流などについて、市の考えは?⇒積極的にチームFUJISAWA2020を活用いただくためにも、各団体に向けたアプローチを継続して進めていく。また、団体同士の交流については、既存の交流機会を効果的に活用するとともに、先進的な事例を取り入れつつ、団体同士の意見交換の機会を新たに創出していく。
ポータルサイトで利用規約を見たが、こういったものを作成する際にチェックするなどの機能を持った第3者も入った協議会等の組織が必要だと考えるが?⇒チームFUJISAWA2020については、東京2020大会のレガシーとして、ボランティアの活性化事業を企画段階から検討するため、庁内関係各課、市内のボランティア事業に関係した公共的団体や大学等による会議体を立ち上げている。今後は、事業を外部へ移管することも念頭に、従前の会議体を発展させ、「連絡調整会議」として設置する準備を進めている。
市の体制について、ポータルサイトの他に、ボランティア活動に関する相談や問い合わせへの対応などを行う窓口や今後の企画計画する部署は?⇒チームFUJISAWA2020を通じた問い合わせには、現在、市民自治推進課で適切に対応している。また、様々なボランティア活動の問い合わせについても、担当する庁内各課で対応されていると認識している。それ以外の専門的な相談や、より広範な内容については、藤沢市市民活動推進センター及びふじさわボランティアセンター等の中間支援組織を窓口として連携を図り対応しているが、ボランティア活動の企画計画については、チームFUJISAWA2020がプラットフォームの役割として、関連する組織とより一層の連携強化を図りながら取組を進めていく。
チームFUJISAWA2020について、今後の抱負や取組は?⇒東京2020大会では、多くの市民の皆様に様々な形で大会に参画いただき、前回大会から育まれてきた文化としてのボランティアや、おもてなしの思いに更に輝きが増したと捉えている。こうした藤沢らしさという文化を多様化する生活課題やニーズに向き合う市民活動として、生きがいや健康づくり、DDG’sなどにつなげるため、チームFUJISAWA2020は、今後の地域社会に大きな役割を持つものと考えている。市としては、ボランティア活動を「いつでも」「気軽に」「もっと身近に」感じられ、多くの皆様に参画いただけるよう活動の視野を広げるとともに、地元企業による社会貢献活動との連携も視野に、将来の地域社会に引き継ぐべきストーリーを持った取組として進めていく。
通告15番 石井議員
1. 防災政策について
(1)小・中学校の防災教育について
小中学校の防災教育について、市としてどんなことを行っているか、また、今年度の特色は?⇒平成25年度から地震学者である慶應義塾大学の大木聖子准教授を講師に招き、「児童生徒が主体的に避難行動できる力」を育むことをテーマに、年間3校程度となるが、児童生徒及び教職員を対象に防災研修会を行っている。研修内容としては、子どもたちが安全に避難できる効果的な避難方法や緊急時の災害対応、学校防災マニュアルの見直しの必要性などを学ぶこととしている。今年度は、大木准教授による防災研修会を小中学校各1校で実施することに加え、児童生徒が災害に適切に対応する力を高めることができるよう、市内全校の校長及び教頭に対して研修会を行う予定としている。
小中学校における防災教育の目的及び取組について、現状は?⇒目的は、防災意識を高め、危険を自分で判断できるよう知識を持たせ、主体的に避難行動がとれる力を育むとともに、自分や他の人の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりに貢献できる力を養うことをねらいとしている。次に取組については、例えば社会科においては自然災害に対する地域の備えについて、理科においては火山活動や地震、自然のもたらす災害などについて学んだ知識等を活用し、総合的な学習の時間に実践的・体験的な活動に取り組むなど、各教科等の関連を図りながら学習している。また、児童生徒が自分の安全を確保する適切な避難行動がとれるよう、授業中や休み時間に様々な状況を想定した避難訓練を実施しているほか、将来の地域における防災の担い手となれるようジュニア防災リーダーに係る研修を実施するなど、児童生徒の発達段階や地域の状況に応じて、各学校で工夫した取組を行っている。
自助の大切さが必要だと考えるが、東日本大震災後、学校での防災教育がどのように変わったか、また、大川小や門脇小から得られた教訓は何か?⇒東日本大震災後の防災教育の取組としては、教育委員会において、本市立学校における地震防災対策マニュアルの地震発生時の初動対応等について見直しを行った。それを受け、各学校が作成している学校防災計画の点検・見直しを随時行っている。その結果、画一的な避難訓練を改め、特に沿岸部の学校は津波警報発令時には校庭ではなく、校舎最上階に速やかに避難するなど、実際の被害を想定し、地域の実情に合った、より実効性のあるものに変化してきた。また、中学校では、地震発生時にとるべき行動を時系列で巻物風に書いていく「防災巻」というツールを使って、自ら判断し行動できる力を養う学習に取り組むなど、各学校での防災教育に様々な工夫がみられるようになった。さらに、大川小学校の津波訴訟の判決が出た際には、その内容を踏まえ、ハザードマップの津波浸水想定区域外が安全であるとは限らないという視点に立ち、津波避難対象校以外の本市南部地域の学校の避難行動について見直しを行った。大川小や門脇小の事例などから、児童生徒の命を守るためには、日常の避難訓練や教職員の適切な避難誘導が
いかに大切であるかということ、また、災害規模が事前の想定を超える可能性も考えておく必要性があることを教訓として得ることができた。
その教訓を踏まえた取組を行うためには、学校だけでは難しく、地域の力も必要だと考える。地域とどう連携していこうと考えているのか?⇒地域との連携については、これまでも保護者会や自治会、町内会と協力し、子どもたちが大人と一緒に炊き出しを行うなどの地域防災訓練を実施した学
校もあった。児童生徒が家庭や地域の一員として、災害時に適切に対応できる能力を身に付けるためにも、学校運営協議会などの場も活用しながら、地域ぐるみの防災教育を推進する必要性を共有していくことが大切であると捉えている。
(2)防災訓練について
全市的または地区ごとに防災訓練を実施しているが、その目的は何か?⇒全市的に実施している本市主催の総合防災訓練をはじめ、水防訓練、津波避難訓練、震災対応連携訓練などについては、防災意識の向上はもとより、初動体制を的確・効率的に整え、防災体制を確認強化することに加え、防災関係機関の即時救援体制の確立及び相互協力体制の緊密化を図ることを目的としている。また、各地区で実施しております地区防災訓練については、地域特性や実状を踏まえまして、自主防災組織など各地区の市民が主体となり、各地区防災拠点本部である各市民センター・公民館と共に企画運営しているもの。これらの訓練は、各地区における顔の見える関係を構築できる絶好の機会でもあり、災害に対する安全体制を確立し、「自らの生命は自ら守る」という自助、「自分たちのまちは自分たちで守る」という共助の考え方など、市民一人ひとりの自主的な防災意識の高揚を目的としている。
防災関連の諸計画に則って防災訓練を実施していくものと考えるが、従前からの変化も必要ではないか?⇒本市の防災訓練については、地域防災計画や国土強靭化地域計画等に基づく取組として実施してきたが、一定マンネリ化の傾向もあることから、新たな視点からの取組も求められているものと捉えている。本年9月の総合防災訓練については、従来のシナリオ型の防災関係機関による実働訓練から、展示ブースを活用した市民参加型の防災フェアとして実施する予定。概ねの内容は、防災関連の展示ブースやワークショップなどの展開をはじめ、ふじさわ防災ナビ及びマイ・タイムラインの啓発、起震車体験、キッチンカーの炊き出し支援などを予定している。この機会を通じて、防災関係機関及び災害協定団体等とのパートナーシップの可視化を図るとともに、様々な市民が体験・体感することで、防災を身近に感じて、興味を持っていただけるような、新しい取組を検討している。
様々な関係団体の参加が予定される防災フェアでは、キッチンカー事業者連絡協議会の参加も検討とのことだが、災害時の避難所運営を支援するキッチンカーには、地区の防災訓練にも参加してもらうことはできないのか?⇒本市は、昨年度、キッチンカー事業者連絡協議会と、災害時の避難所等における炊き出しの支援等を想定した協定を締結しており、実際に避難所等に避難する方や、地域において避難所の運営に関わる自主防災組織等市民
団体の方々にも、キッチンカーの有益性を体験・体感していただくことが大切であると捉えている。このことから、各地区の防災訓練における炊き出し訓練などにも、キッチンカーが参加していただくことは、地域の防災意識の向上にも役立つものと考えている。一方で、食材や燃料等費用面などの課題もあると考えられるため、各地区の関係団体や訓練会場施設等と丁寧に調整していく必要があるものと考えている。
地区の防災訓練も指定避難所ごとに実施するほうが効果的と考える?⇒現在、各地区の防災訓練については、主に当該地区全体の自治会・町内会等が参加して、一つの会場にて実施されるものが大勢を占めている。このことは、各自治会・町内会等の繋がりや連携を図る機会として効果的であり、大変有意義であると考えている。他方で、指定避難所や指定緊急避難場所ごとの防災訓練については、避難に際しての共助や、近隣の方々との連携の確認など、実際の避難所運営に資する有効な手法であると認識しており、村岡地区など一部の地区や自治会等でも実施している。いずれにしても、各地区に応じた特性や目標がある中で、多くの方が防災訓練に参加・体験していただくことが重要であると捉えている。このことから、避難所ごとの訓練実施の希望があった場合には、当該地区のハザード状況及び避難所や備蓄資機材等の実状に対応した訓練計画等の作成支援を含めて、積極的にサポートしていく。
災害時には、子どもも戦力になる。訓練の企画段階から、子どもにも参画してもらうなど、様々な工夫をしていくべきだが?⇒これまでも、国内の大規模災害時における避難行動等におきましては、子ども達が活躍した場面が多々あったと認識している。本市における、主に子どもや若年層を対象とした防災の取組は、ふじさわ防災ナビの巻末に防災クイズを掲載し、子どもの視点からも、災害について家庭で話し合う機会を設けている。また、将来的な地域防災力の強化を図るため、地域を守る力となる中学生を対象として、ジュニア防災リーダーの継続的な育成を進めている。加えて、総合防災訓練における応急救護訓練に、ボーイスカウト・ガールスカウトに参加していただき、防災関係機関との連携を通じた体験訓練を行っている。更に昨年度は、羽鳥中学校におけるキャリア教育の一環として、「逃げ遅れゼロのまち」の実現に向けた行政の取組に関して、同校の生徒達から、避難経路上の危険箇所を確認する図上訓練や、避難訓練でのLINEの活用など、中学生の視点に立ったアイデアをいただいている。今後についても、このような取組を工夫しながら、継続して実施するとともに、子どもや若年層を含めた様々な年代の市民が、防災活動に参画しやすい取組等の実施を通じて、より一層、防災意識の向上に努めていく。
(3)インクルーシブ防災について
インクルーシブの視点で、藤沢市が取り組んでいる防災に係る具体例は?⇒先ず、昨年の津波避難訓練において、スロープを利用した受入訓練を、辻堂市民センター、フジスーパー鵠沼店及び湘南白百合学園幼稚園で実施し、車いす利用者や高齢者等の津波避難行動を検証し、更なる対策強化を図っている。次に、多くの方が避難する指定避難所等では、感染症のリスクが高まることから、障がい者、高齢者、妊産婦及び乳幼児など、要配慮者の安心安全を図るため、状況に応じて避難場所として活用できるよう、市内複数のホテル事業者、及び神奈川県内のキャンピングカー事業者と協定を締結している。また、防災備蓄として、咀しゃくが困難な方へのアルファ米約2万5千人分、乳児用粉ミルク約1,500人分、生理用品約4万人分を今年度末までに用意していく。加えて、避難行動要支援者の避難支援プラン全体計画に基づく名簿を作成し、自治会・町内会、近隣住民との助け合い・支え合いによる共助の充実に向けた避難支援体制づくりを推進している。
昨年、個別避難計画を作成していくとのことだったが、その後の進捗と今後の予定は?⇒個別避難計画の作成を円滑に進めていくためには、福祉部や市民自治部等との庁内横断的な連携体制を構築する必要があることから、これまでに、関係各課や市民センター・公民館等との、情報共有や調整会議を重ねて実施し、体制構築の準備を進めてきた。一方、課題としては、避難行動要支援者、その家族、地域住民などの計画作成への理解が重要なことから、改めまして自助・共助・公助の役割や周知方法を、慎重かつ丁寧に検討した上で実施する必要があると認識したところ。今後は、先ずは今年度、藤沢型地域包括ケアシステムの推進に向けた庁内検討体制の枠組の中に、新たなワーキンググループを設置し、個別避難計画作成の推進手法、関係部局の役割分担や対象者の範囲の検討などを進めていく。その中で、国が示した取組指針を踏まえ、概ね5年後を目途とした全市への展開を念頭に、来年度には、モデル地区を選定した上で、当事者及び地域の支援者による個々のケースに応じて、方針会議の開催や避難訓練並びに振り返りなどを実施していく。その後、計画の検証、見直しを行うなど、課題や問題点などを整理しながら、業務委託の導入等を含めて、実施手法の確立に向けた検討を段階的に進めていく。
個別避難計画については、行政だけでなく、当事者が参画しながら計画を策定する「インクルーシブ防災」の視点で進めてほしいが?⇒個別避難計画については、避難行動要支援者の心身の状況等を考慮すると、作成対象者ごとに、個別の関係者との深い連携が必要不可欠であると捉えている。このことから、個別避難計画の実効性を高めるためには、作成対象者の家族をはじめ、地域団体及び福祉・介護・医療などの事業者団体や専門的人材などと連携し、当事者等が参画する中で、一人ひとりの個別避難計画を作成していくことが大切であると考えている。このようなことを踏まえながら、先ずは、地域のハザード状況に応じた優先度の高い避難行動要支援者の位置付けを検討するとともに、作成対象者の支援が必要な程度、並びに独居等の居住実態や社会的孤立の状況などを考慮しながら、優先対象者の範囲等を検討していきたい。
2. 農業政策について
(1)農業支援について
肥料価格の高騰により、農業経営にも影響が出ており支援が必要と考えるが、市の見解と長期的な肥料対策は?⇒今般の物価高騰対策の一つとして、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の中で、「原油価格・物価高騰対応分」が創設され、国や県による影響を受けた事業者に対する支援の実施が見込まれるところ。本市としても、今後の国や県の動向を注視しながら、早期に必要な支援策を実現できるよう、検討している。
また、今後の肥料価格の動向の見通しが立たない中での、中長期的な化学肥料等への対策については、令和3年5月に国が策定した「みどりの食料システム戦略」において、化学肥料の使用量を2030年までに20%、2050年までに30%削減する目標を掲げているので、本市としても、土壌分析の推進や堆肥施用の促進等、化学肥料の使用抑制につながる取組も進めていきたいと考えている。
(2)持続的な農業振興について
農業従事者の高齢化や、担い手不足により農業は大変厳しい状況にあると考えるが、市民の豊かな暮らしを守るために農業は重要な産業であると考える。現状や課題は?⇒本市においても、農業従事者の高齢化は課題となっているが、新規就農希望者は増加しており、貸し出せる農地を紹介することが困難な状況となっている。また新規就農希望者は増加しているものの、農業だけで生活していくだけの収益をあげることは難しく、国の補助事業等も活用しながら新規就農者の定着促進に取り組んでいるところ。その中で特に大きな課題となっているのが、農業機械を収納する農業用倉庫や、出荷調整を行う作業場の問題。新規就農者は農地を借りることができても、農業用倉庫等を農地に建てる場合、借りている農地に建築物を建てるわけにもいかず、新たな農地を取得して建築物を建てることになる。その農地取得にかかる費用や農業用倉庫等の建設のコストが営農継続していく上で大
きな課題となっている。このような課題を解決することが、今後の持続的な農業振興には欠かせないものと認識している。
農業用倉庫や出荷調整施設の課題については、新規就農者の方からも聞いている。一方で離農していく方もいらっしゃると思うので、市やJAが間に入りマッチングをしたり、農業機械についてもシェアするなど一人当たりの負担を減らしていくような取り組みを進めていくべきだが?⇒高齢による離農者と新規就農者のマッチングについては、関係機関と連携して情報収集及び新規就農者への情報提供に努めているところ。農業機械については、複数の農家で機械利用組合等を作り、共同で機械を購入し利用しているケースもあるが、使用する時期が重なることもあり、なかなか進まないという実態がある。しかし、年に一度しか使わない農業機械も多く存在すると聞いているので、今後、共同利用が進むよう研究していく。
農業機械の共同利用を特に進めるべきなのは、稲作ではないかと思う。これまで本市の稲作は主食用の米を中心に栽培されていたが、昨年からJAの稲作部会が酒米づくりに取り組んでいると聞いている。この酒米を利用した日本酒造りなど、持続的な農業支援になると思うが、市の見解は?⇒酒米を利用した取組など様々な形での農業者に対する支援は、持続的な農業を行っていく上で大変重要であると考えている。本市における、昨年の取組としては、JAさがみ稲作部会と日本酒の製造元が連携し、市内の水田を活用して藤沢産の酒米を生産したと聞いている。収穫された藤沢産米と、茅ヶ崎産などの酒米と合わせた「湘南産米」を原料とした日本酒も好評であったとのことから、今年は、昨年の倍以上の水田で酒米を生産する予定と聞いている。本市としては、今後「藤沢産米」で作られた日本酒を継続して売り出せるよう、製造元にも働きかけをしていくとともに、藤沢産米の日本酒が本市の新たな名産品となるよう関係団体と連携し、取り組んでいきたいと考えている。このような取組が、水田を耕作される方々の「やりがい」につながり、藤沢らしさを未来につなぐ、サステナブルな農業振興につながるものと考えているので、今後も継続的に支援をしていく。
(3)湘南藤沢地方卸売市場について
湘南藤沢地方卸売市場が市内にあることの意義は?⇒湘南藤沢地方卸売市場は、昭和56年に藤沢市中央卸売市場として開設し、平成19年に地方卸売市場への転換を行ったのち、平成24年に民営化され、現在に至っている。本市場は、日常生活に欠かすことのできない生鮮食料品等の公正な取引の場として重要な役割を果たしており、市内に卸売市場があることで、生産者の物流コストの削減が図られるなど、農業者の安定経営に繋がっているも
のと考えている。また、市内の小学校給食へ野菜、果物を供給する拠点としても機能しており、地産地消を推進する上でも重要な役割を担っているものと考えている。
湘南藤沢地方卸売市場の関連棟について、一般の来客を増やし、これまで以上に活性化することが必要と考えるが?⇒公設市場として運営していた当時は、関連棟を土曜日のみ一般開放していたが、民営化以降、平日も開放するなど、来場客を増やすために取り組んでいると聞いている。来場客数は把握していないが、平日の一般開放のほか、一般客向けとして、毎週土曜日に「湘南朝市」が開催され、新鮮な野菜や魚などの食品をはじめ、日用品やお菓子などが販売されているほか、直近の2年間は中止となったが、毎年11月に「湘南朝市げんき祭り」を市場の関連事業者が開催しており、多くの来場者でにぎわっている。市としても、市場のこのような取り組みをPRするとともに、平日でも一般客が関連棟で買い物や飲食ができることについてもPRするなど、側面的な支援を行うことで、市内の農業振興にもつながるよう、市場の活性化に取り組んでいきたいと考えている。
3. 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)子どものマスク着用について
コロナ対策において、学校、保育園におけるマスク着用の効果やリスクはどう捉えているか?⇒学校におけるマスク着用の効果については、内閣官房のホームページや、厚生労働省のホームページに示されているように飛沫感染を防ぐ上では一定の感染症予防効果があると認識している。しかし、マスクの着用により、気温が高い時期には熱中症のリスクや、運動時には呼吸が苦しくなるなど、健康面への影響が考えられる。教育委員会としては、子どもの心情に配慮しながら、安全を第一に考え、運動時等にはマスクを着用しないことや、子どもの体調の変化について教職員が注意して観察を行うよう、学校に周知しているところ。保育園におけるマスクの着用について、厚生労働省からの通知では、2歳未満の子どもについてはマスクの着用を推奨しておらず、また、2歳以上の就学前の子どもについても、マスクの着用は必ずしも必要はないものとしている。このため、市としては、施設に対して一律にマスクの着用を求める対応は行っておらず、こうした国の考え方を周知したうえで、それぞれの施設の判断により、対応を行っている。こうした状況から、施設におけるマスク着用の効果は、すべての園児がマスクを着用している環境ではないため、必ずしも明らかではございませんが、適切に着用した児童については、一定の効果はあるものと捉えている。また、マスク着用のリスクは、屋外活動時における熱中症やお昼寝の際の窒息の可能性などのリスクがあるものと考えている。
この度、国は、マスク着用の必要・不必要な状況についての考え方を示したが、学校、保育園において、どのように対応したのか?また、学校や保育園に対して国の示した考え方を徹底し、対応に差が出ないようにフォローする必要があると思うが?⇒市立学校の対応について、教育委員会では国の事務連絡について、その内容との整合性も図った上で子どもたちの健康と安全を第一に考えながら、本市ガイドラインを一部改訂して本市立学校に通知するとともに、保護者にマスクの取扱いについて、国のリーフレットを添付し、改めてお知らせをした。また、学校間で考え方に差が生じないよう、今回の改訂では、国からの事務連絡に添付されていた「マスク着用の考え方及び就学前児の取扱いについて」を参考に資料を作成し、具体例を明記する等の工夫をしている。今後については、すべての学校において、児童生徒が適切にマスクをつけたり外したりできるよう、児童・生徒指導担当者会等で発信するなど、教職員への周知を徹底していく。 保育園での対応については、この度の国の通知を受け、施設に対して通知文やリーフレットを送付し考え方の周知を行うとともに、あわせて、これまでの施設での対応を踏まえ、必要に応じてリーフレットの掲示等により、保護者への周知を行うよう通知をしている。また、市内の保育園において対応に差が生じないように、国からの通知等により、施設において、マスク着用の必要性の有無について適切に運用をしているものと考えているが、今後についても、国や関係機関から発信される情報の共有を図る中で、必要な対応を行っていく。
(2)対策の課題と今後の方針について
コロナ禍の対応により私たちの生活は大きな変化を求められ、今までの日常生活を奪われ、経済も教育も社会活動も大きなダメージを受けた。そして、そのコロナの感染対策として保健所をはじめ行政や医療関係機関で対応をいただいたが、まさに災害級の対応でその労力は想像を超え、多くの人やものが疲弊していると思う。誰もがいつになったらアフターコロナの生活になるのか、感染症対策が海外のように緩和されるのか、と気にしている。コロナ禍の対応の出口戦略はどうなっているのか。市として、陽性者の数、指定感染症の2類から5類への引き下げなどコロナ対策の収束の具体的な目標は?⇒新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に減少傾向にある中で、出口戦略について様々な議論がされていることは承知しているが、現状においては、収束に向けての目標値について、国からは明言されていない。また、感染症法上の分類について、季節性インフルエンザと同等の5類相当への引き下げについて議論があることも承知しているが、これらは市独自で決定できるものではなく、国が分類するものであると理解している。
新型コロナウイルス感染症対策については、全国的な課題であり、国主導のもと、国、県、市が一体となり統一的な対応をとることが重要であると認識している。これまでも中長期的に感染拡大が繰り返されている現状を考えると、現時点においては、引き続き国の指針に基づき、三密の回避、こまめな手洗い、換気、そして状況に応じたマスクの着用など基本的感染対策を継続していくことが必要であると認識している。
指定感染症が5類になった場合に、市としての対応が今とどうなるのか?⇒感染症法上の分類として、新型コロナウイルス感染症が、5類相当に引き下げられた場合、本市としては、これまで行っていた入院加療の勧告、陽性患者への疫学調査、ワクチン接種券の送付など、今現在、保健所が行っている業務が一定数減少し、さらに、これまで公費で負担していた医療費が一部自己負担となることが見込まれる。いずれにしても、新型コロナウイルス感染症の対応については、今後の国の動向を注視していく。
通告16番 山内議員
1. 市長の政治姿勢について
(1)鵠沼海浜公園スケートパーク建設の見直しを求めることについて
本事業について、事業内容の住民への説明状況は?⇒令和3年2月の委員会では、「事業者の公募前に住民説明会をしていく」と答弁したが、公募前の段階では、具体的な案の提示ができず、限られた内容での説明になってしまうことから、事業者選定後に行うこととし、鵠沼地区の「郷土づくり推進会議」「町内会自治会連合会」及び「本公園周辺3町内会・自治会長」に対して状況報告をした。その後、事業者の基本設計の進捗の中で、意見交換のベースとなる具体的プランが提示できるタイミングとなったため、本年4月から近隣住民に対して個別に意見を伺うとともに、6月10日、12日の2日間、地域に対する全体説明会を開催した。
具体的なプランが作成された段階で、議会へ報告がなぜなかったのか?⇒具体的なプランは、先の議会で報告した資料に基づくもので、事業内容を具体化していく段階で、地域の方々へは説明資料として必要なものと考えている。
Park-PFI制度では、基本設計や実施設計の報告は議会に必要ないのか?また、事業者が主体となって計画の検討をしていることがPFI事業の課題である。直営で行えば事業者の立案に関わらず、住民説明が行えるなど、事業への制約がない。これらを踏まえて、PFI事業の課題をどう捉えているのかが?⇒事業の制度、方向性、自供者の決定のほか提案内容などを議会に報告しており、事業実施に伴う基本設計、実施設計については、事業者が行うものと考えている。本事業は、制度に基づき、市の提示した条件から事業者が事業計画を提案し、学識経験者等で構成する選定委員会に諮り、事業立案をしている。その後、事業者は基本計画の作成ができた段階で、地域へ説明をしていることから、特段の制約はないものと捉えている。
近隣住民には、代表法人である小田急電鉄による説明会だったが、住民の質問に対する市の回答は?⇒近隣の方々からは、景観・眺望を確保するため、建物の配置や高さについて、見直してほしいとの意見をいただいている。また、その他にイベント開催時の騒音、商業施設の運営形態、サイクリングロードの移設、利用者のマナー、治安、防災上の課題などに関する意見をいただいている。特に、建物の配置や高さについては、現在、事業者が本市と協議をしながら、近隣の方々の意見をでき限り踏まえて、検討している状況。その他の意見要望についても、現在、事業者と本市と関係機関で協議しながら、検討している状況。
このエリアは、景観に関して、様々な法規制があると思うが、近隣住民の求める景観と資産価値への影響をどう考えるか?⇒本公園における景観関連法令の適用としては、「風致地区」や景観法に基づく「景観重要公共施設」が挙げられるが、これらの法令を遵守し、計画を進めている。一方で、特定の場所からの眺望に関しては、明確な法的ルールがない状況なので、近隣の方々との意見交換を行い、事業性を考慮する中で、できる限り配慮していく。また、資産価値の上昇、下落などは様々な要素が関係するもので、資産価値の捉え方については、各々の考え方によって異なってくると認識している。
本公園周辺には、神奈川県のサイクリングロードがあり、また、国道134号線の歩道が狭い箇所もある。改修事業でサイクリングロードはどうなるのか?神奈川県との調整状況は?⇒県とは、現在、公園区域内を占用しているサイクリングロードについて、現在の位置から移設する協議をしてきている。現在は、事業者が計画している公園施設の配置計画案に基づき、継続的に協議をしている状況。
これまで行われた年間のイベントの状況、騒音と苦情の状況は?また、今後予定するイベントの状況と騒音対策は?⇒コロナ前の状況になるが、鵠沼海浜公園で行われた大会は、年間10回程度であり、その他、本公園を含め周辺海岸で行われるイベントを伴う大会は、4回程度と聞いている。大会の参加者の人数は、1日当たり、数十人から数百人程度と聞いている。その他、本公園を含め周辺海岸で行われるイベントを伴う大会では、本公園参加者も含め1日あたり千人から1万人程度の参加があったと聞いている。苦情については、大きなイベントを伴う大会では、音楽の騒音、調理の臭気、周辺道路でのスケートボードの走行などが寄せられていると聞いている。なお、事業者からは、今後の大会などの開催等に関することは現時点では未定と聞いている。
新たに設置される店舗数と従業員数の見込みは?⇒事業者からは、テナント等が決定していないため、現時点では未定と聞いている。
スケートパークは、海岸法に基づく神奈川県の「相模灘沿岸海岸保全基本計画」内での事業となるが、海岸保全や利用者のマナーを踏まえた市の考えは?⇒神奈川県が策定した「相模灘沿岸海岸保全基本計画」には、海岸沿線のブロックごとの海岸保全施設の整備に関する事項について基本的な考え方などが示されており、本公園が含まれる「藤沢ブロック」では、養浜や公衆の適正な利用などが目標とされている。本公園には、従来からプールや駐車場など、様々な施設が設置されていたことからも、改修事業を行うに当たり、当該計画に特段、影響を与えるものではないと認識している。また、公衆の適正な利用の観点では、引き続き、海岸管理者と連携を図っていくとともに、スケートパークの利用者のマナーについても、事業者と連携を図る中で、啓発活動等に努めていく。
夜間営業が22時までとなる店舗数の見込みと、利用者のマナー対策や酒酔いなどの監視対策は?⇒事業者からは、テナント等が決定していないため、夜間営業や今後の管理運営面に関して、今後検討していくものと聞いている。
海の家と違い、ここは通年しかも22時までの営業である。全国の海辺でこのようなビーチ版のショッピングモールのような建物があるのか聞きたい。大きな課題があると思うが、その辺の検討はしたのか?⇒海浜地に面したエリアでのPark-PFI事業は他の自治体でも実績はあるが、海辺でのショッピングモールの事例は把握していない。なお、本公園内に計画している飲食施設などは、いわゆるショッピングモールののような大規模商業施設には該当しないものと考えている。
平成29年10月の台風では高潮により、様々な施設で被害があったと記憶しているが、スケートパークではどのような状況であったのか。また、高潮被害が想定される場所において、耐震や高潮などを考慮した建物を計画しているのか?⇒平成29年10月の台風被害については、本スケートパークの臨時駐車場の外周フェンスのうち、海側に面する延長約45m、パーク内の門扉2箇所が高波により破損するとともに、事務所棟においては床上浸水など
の被害があった。なお、パーク内の各エリアでは、海水と砂が流入したが、ランプ等の各セクションに被害は生じなかった。また、当該地は「津波災害警戒区域」及び「高潮浸水想定区域」に指定されているが、自然災害に対する建物の構造に対して、法律の直接的な義務がないことから、事業者は、施設利用者の安全確保を図るため、近隣の避難施設への円滑な避難について、訓練及び誘導等ソフト面での対策を考えている。
防災部としてはこの浜辺での密集したような3戸の建築物、65m幅のA棟、2階建てのB棟、浜辺際のC棟という3つの建築物の建設についてどう考えるのか。この近くの市営住宅では津波による波力のシミュレーションの結果、4階建の建物はOKだったが、3階建の建物は波力により移動が考えられることが報告されている。この地域での津波と高潮被害予測についての防災部としての説明を受けたい。また、高潮による瓦礫が国道に流出する可能性についてはどうか。予測すべきだが見解は?⇒当該施設の整備予定地に係る本市の津波想定は、浸水深が概ね6m~7mとなっている。また高潮の想定については、浸水深が概ね1m~3mとなっている。このことから、津波や高潮に伴う施設の被害については、現在、耐波力などを含めた建物等の詳細が不明なことから言及することができないが、一定の被害が想定されるので、瓦礫などの流出の可能性も否定できないと考える。
津波対策としてはソフト面での対策(訓練と鵠南小学校等への避難誘導)を考えているようだが、計画案・平面図をみると、北側には65mのA棟があり、海とスケートパークの利用者は、この北側の歩道に出てから、国道を横切ったり、そのまま狭い歩道沿い或いは国道を渡って避難するしかないのではないか。建築計画と同時に想定最大避難者数の避難計画を提示すべきだが?⇒現在、事業者が本市と協議をしながら、建築物等の基本設計を行っているため、設計にあわせて、避難計画等の検討も進めていく予定。
藤沢市にとって海辺のビーチ空間に、このようなショッピングモールなみの大きさの飲食・物販店などの施設をつくることは、これまでの湘南海岸のなぎさのイメージを大幅に変えることになる。これまでの海岸法-県の海岸保全計画、景観法-市の景観計画、また市の上位計画を踏まえて、本計画をどのように位置づけて評価できるのか?⇒本計画は、「藤沢市市政運営の総合指針」や、湘南海岸に関する様々な施策と整合を取りつつ、事業のコンセプトを、スケートパークという現在の公園がもつ魅力を向上し、より多くの人たちに利用され、周辺地域の賑わいや魅力の向上に資する、魅力的な公園を目指す姿としている。したがって、湘南海岸のイメージを大幅に変えるものではなく、アーバンスポーツの新たな拠点として、また、湘南海岸の更なるイメージアップにつながるものであり、本市にとって重要な取組であると認識している。
最後に市長に、今までの問題にしてきた①住民合意形成のあり方の問題点、②自然環境の観点、③地域の文化歴史の継承の観点、④防災面の課題などをふまえての見解を伺いたいが?⇒質問の内容については、これまで私から答弁してきたので、私の方から答弁させていただく。本市としては、様々な課題を踏まえたなかで、引き続きPark-PFIによる事業メリットを活かしながら推進していきたいと考えている。
(2)2019年度高齢者の保健福祉に関する調査報告の分析結果の修正を求めることについて
令和4年2月予算等特別委員会における、高齢者の保健・福祉に関する調査報告書について、統計資料の比較分析結果について質問したが、再度、同じ質問を2つしたい。報告書の質問において、社会参加に対する取組への支援として、高齢者の外出支援などの項目を聞いているが、この質問の概要と過去5回分の結果について、説明を求める。⇒高齢者の保健・福祉に関する調査については、本市の高齢者の生活実態や意識・意向、課題等を把握し、
施策の計画的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的として、3年に一度実施している。この調査の中に「生きがいづくり、社会参加に必要な
支援」に関する質問があり、回答の選択肢の一つに「高齢者が外出や社会参加しやすいような、交通体系や施設の改善」という項目がある。この選択肢についての過去5回の結果は、まず、有効回答数から無回答の件数を差し引いた件数を「回答者数」として集計した平成19年度から28年度までの結果は、平成19年度が38.3%、平成22年度が37.9%、平成25年度が30.4%、平成28年度が41.1%。次に、集計の見直しを行い無回答の件数を「回答者数」
に含めて集計した令和元年度の結果は、39.8%。なお、仮に、令和元年度の結果を、平成28年度以前の方法で再計算すると、若干の誤差はあるが、
45.8%となる。
今回の答弁結果とすることにより、高齢者の外出支援についての要望を訴えた人は多くなってきたのではないかと考えるが?⇒仮に、令和元年度の結果を平成28年度以前の方法で再計算すると、前回より4.7%ほど増加したことになる。令和元年度までの過去5回の統計結果から判断すると、平成25年度に数字の落ち込みが見られるが、全体的には微増傾向が続いているものと認識している。
各回の委託調査の金額を聞きたい。また、過去分の集計をやり直すことやその費用について検討されたのか。なぜ、このような政策決定のキーになるような調査の再集計を行わなかったか?⇒各回の委託金額につきましては、平成19年度が、75万6,386円、平成22年度が、724万5,000円、平成25年度が、285万6,000円、平成28年度が、299万1,600円、令和元年度が、626万2,300円 。次に、調査結果の再集計については、この調査がその後の政策決定の重要なデータとなることは、十分に認識をしている。3年に一度の調査においては、変化を探るため前回までと同様の質問が必要である一方、その時勢に合わせた情報を得るために、適宜、質問項目の見直しを行う必要がある。調査にあたっては、その都度、過去の内容を参考にしながら質問項目等、並びに、結果の精査を行っており、それぞれの調査において目的は達成できていることから、過去に遡って再集計することは考えていない。
この報告書は何部印刷したのか。前回との比較の箇所は修正して修正版を配布すべきであり、ホームページも修正すべきと考えるが?⇒令和元年度の報告書の印刷部数は100部。再集計をした修正版の配布については、遡っての再集計を行わないこと、また、令和元年度の報告書の第1章「調査の概要」に、注意事項として集計方法の変更についての記載があり、ホームページにも同様の掲載があることから、修正版の配布の必要性はないものと
判断している。この調査については、市民の皆様の意見を計画等に反映するためのもので、調査結果は政策を決定するための一つの重要なエビデンスとなる。地域共生社会を推進していく上では、「なぜ、このような計画や制度、また事業があるのか」、それを市民の皆様をはじめ関係機関や関係団体等と共有することが必要だと認識している。今年度は、3年に一度の調査を実施する。今回の調査は、コロナ禍の影響が色濃く表れてくるものと推
測しており、今まで以上に、多くの皆様に結果を知っていただくことが大切だと考えている。調査結果の公表にあたっては、正しい情報を、より多くの市民の皆様と共有するために、今後も、正確で、わかりやすい表記に努めていく。
※以上、報告とします。