3月11日 10:00より、藤沢市議会2月定例会(3日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
【建設経済常任委員会(3/1開催)に付託された議案】
議案第78号 市道の認定について(鵠沼958号線ほか7路線)
※この議案は、全会一致で可決されました。
議案第91号 藤沢市企業立地等の促進のための支援措置に関する条例の一部改正について
※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
【総務常任委員会(3/6開催)に付託された議案】
議案第81号 藤沢市職員の勤務時間等に関する条例の一部改正について
※この議案は、自由民主無所属の会が反対、友田議員と小池議員が退席しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第82号 藤沢市非常勤職員の報酬等に関する条例及び藤沢市一般職員の給与に関する条例の一部改正について
議案第84号 藤沢市手数料条例の一部改正について
※上記2議案は、全会一致で可決されました。
【補正予算常任委員会(3/7開催)に付託された議案】
議案第92号 令和5年度藤沢市一般会計補正予算(第8号)
議案第93号 令和5年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計補正予算(第2号)
議案第95号 令和5年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計補正予算(第2号)
議案第96号 令和5年度藤沢市介護保険事業費特別会計補正予算(第3号)
議案第97号 令和5年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計補正予算(第2号)
議案第98号 令和5年度藤沢市下水道事業費特別会計補正予算(第2号)
※上記6議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第94号 令和5年度藤沢市墓園事業費特別会計補正予算(第2号)
※この議案は、全会一致で可決されました。
議案第77号 工事請負契約の変更契約の締結について(鵠南小学校等改築工事(第2期建築工事))
※この議案は、全会一致で可決されました。
ここから、令和6年度一般会計予算ほか9議案に対する代表質問
※なお、代表質問については、私が所属する「民主クラブ」の質疑は質問~答弁の概要を掲載し、その他の代表質問は、件名・要旨等のみ掲載することとします。
通告1番 石井議員【市民クラブ 質問時間110分】
1. 市長の政治姿勢について
(1)郷土愛あふれる藤沢、松風に人の和うるわし湘南の元気都市実現に向けての各施策について
通告2番 大矢議員(私)【民主クラブ 質問時間90分】
要旨1「市政全般の課題について」
【各種宣言について】
【河川をきれいにする都市宣言】
古いもので言うと、昭和44年の「藤沢市河川(かわ)をきれいにする都市宣言」があります。当時、上部流域の急激な市街化により、河川(かわ)は汚濁し新たな社会問題を生み、市民の生活環境の悪化や、憩いの場が失われつつあり、国や県の強い行政姿勢と関係市町の協力を得て、この解決をはかることが焦眉(しょうび)の急務となっているとして、宣言がされました。
★ 宣言から55年が経ち、下水道整備が進み、当時の問題は解消されているようにも感じます。境川に設置されている除塵機の維持管理はしていますが、わが会派からも、海洋プラスチック対策として、他の河川への設置も必要と意見をしています。この宣言の扱いについて、役割は終えたとして、廃止していくのか、そもそも「宣言」の廃止という概念はあるのか、この宣言を踏まえた事業展開の方向性と宣言の取扱いについて、伺います。
【答弁(福室環境部長)】
河川を取り巻く環境は、都市宣言を制定した昭和44年当時とは変化しており、新たな課題がございます。特に、近年はマイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されるなど、海洋汚染が世界的な課題となっております。
海岸ごみの約7割~8割が河川からの漂着ごみと言われる中、これまで育まれてきた思いや取組の成果を大切に、引き続き、市民、行政が一体となって、宣言にもある生活に潤いを与えてくれる河川(かわ)や海岸の美化に向けた取り組みを推進してまいります。
【藤沢市核兵器会絶平和都市宣言】
次に、昭和57年の「藤沢市核兵器廃絶平和都市宣言」があります。宣言は、わが国は世界で唯一の核被爆国であり、核兵器廃絶と恒久平和の実現は全国民共通の願いである。しかし、すでに地球上には多くの核兵器が貯えられ、人類の生存に深刻な脅威を与えている。藤沢市は、日本国憲法の精神に基づく国の平和と安全こそが、地方自治の根本的条件であることに鑑み、非核三原則が完全に実施されることを願い、核兵器の廃絶と軍縮を全世界に訴え、この人類共通の大義に向かって不断の努力を続ける、核兵器廃絶の平和都市であることを宣言する。というものです。
この宣言は不変のものであり、この宣言に基づき、今年度は、広島と長崎に18人の青少年が派遣されました。なにより、戦争の悲惨さを知る経験が大事だと考えます。
施政方針には、「日本非核宣言自治体協議会の副会長として、核兵器の廃絶と恒久平和の実現にむけ、その役割を果たしていく」とあります。
★今議会に、核兵器禁止条約について、日本政府が積極的な役割を果たすことを求める陳情が2件提出され、趣旨了承となりましたので、市議会として日本政府に意見書を出すことになると思いますが、ぜひ、鈴木市長にも日本非核宣言自治体協議会の副会長の立場で、藤沢市選出の国会議員とも連携して、核兵器禁止条約への署名、批准に向けた取組を進めていただきたいと思います。市長の見解を伺います。
【答弁(鈴木市長)】
平成29年7月に国連で採択され、令和3年1月に発効した核兵器禁止条約につきましては、被爆者の方々をはじめとする核兵器廃絶を求める多くの人々の草の根の活動が、国際的な世論を大きく後押ししたもので、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な一歩であると認識しております。
私は、昨年8月の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典は台風により、残念ながら参列は叶いませんでしたが、長崎市長による長崎平和宣言で引用された「過去の苦しみなど忘れ去られつつあるようにみえます。私はその忘却を恐れます。忘却が新しい原爆肯定へと流れていくことを恐れます。」という被爆者の言葉が強く印象に残っております。引き続き、日本非核宣言自治体協議会や平和首長しゅちょう会議と連携しながら、広島、長崎両市への青少年派遣をはじめとする平和事業にしっかり取り組むことで、過去の悲劇を忘れることなく未来に「平和文化」の継承に取り組んでまいります。
【藤沢市交通安全都市宣言】
次に、平成元年の「藤沢市交通安全都市宣言」があります。宣言を抜粋すると、当時藤沢市は、全国でも交通事故多発県である神奈川県のなかにあっても、きわめて交通事故の多い地域となっており、その中でも二輪車による事故の頻発は憂慮すべき事態にあることに加えて、一般道路での傍若無人な暴走行為は、ついにそれを制止しようとする市民の死という最悪の事態を招き、地域住民の生活に深刻な打撃を与えてきた。このようなことは許すことのできない反社会的行為であり、速やかになくさなければならない。
今後、道路網や交通安全施設の整備に力を注ぐのはもちろんであるが、自動車等の運転者をはじめ、すべての人の交通ルールの厳守と交通モラルの向上なしには、市民が安心して暮らせる都市にすることはできない。藤沢市は、人と人が互いに思いやり、人と車が共存する交通事故のない、平和で静穏な社会の実現に、全力を挙げて取り組んでいくことを決意し、ここに「交通安全都市」を宣言する。とあります。
当時、片瀬江ノ島駅前で、暴走族の暴走行為を注意した男性が暴行を受け死亡する事件があったことが背景にあるため、現在の課題と合致していない部分もありますが、自動車等の運転者をはじめ、すべての人の交通ルールの厳守と交通モラルの向上については、現在にも当てはまる大きな課題となっています。特に、自転車の交通ルールを無視した傍若無人な走行は大変危険です。そして歩行者の通行についても、道路交通法を理解していない人が多いと感じています。
道路交通法第10条では、抜粋要約すると歩行者は、歩道のない道路においては、道路の右側に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側を通行することが危険であるときは、道路の左側に寄つて通行することができる。となっています。なぜかというと、車は生活道路ではキープレフト、片側1車線の道路では、当然左側通行です。そこで人が左側を歩いていると、後ろから車が来るため、わき見やスマホを見ながら運転していたら、突っ込まれる危険があるわけです。右側を歩いていれば、変な動きがあれば、危険を回避できる可能性が高まります。バイクによるひったくりに対しても、右側を歩いていれば、バイクのアクセルは右手なので、ひったくりを回避できるわけです。しかし、現状はどうでしょう。私の感覚では半分以上、左側を歩いているように思えます。
そして、交通ルールの厳守と交通モラルの向上には、ハード面の整備も必要になります。歩行者が誘導されやすいのが、道路の端に引いてある白い路側線です。幅員が狭い道路には片側路側線、広い道路には両側路側線というのが多いですが、統一されていません。道路の右側を歩くためにも、幅員に限らず両側に路側線を引いて、歩行者同士がすれ違わないような環境とルールの周知が必要と考えます。
交通安全教室は毎年実施がされていますが、目標設定もされていません。交通安全都市宣言をしている自治体ですので、例えば、自転車の右側走行や歩行者の左側通行などについて、実態把握をして、交通ルールの厳守率を何パーセントから何パーセントにするなど、具体的な目標を立てて、取組を進めていく必要があると考えます。
★道路におけるライン整備と市内の交通モラル向上に向けた、取組の方向性について、市の考えを伺います。
【答弁(北村道路河川部長)】
道路におけるライン整備に関しましてお答えいたします。交通ルールの厳守と交通モラルの向上において、ハード面の整備の一つである路側線の設置も重要と考えております。
設置においては、道路法及び道路交通法等の関係法令に基づき、道路幅員によって設置の可否が分かれており、道路幅員が4.75m未満は設置不可ですが、4.74m以上の場合は片側のみ設置可能、5.5m以上の場合は両側設置が可能となっております。
設置に当たっては、警察と協議を行い周辺の道路規制や土地利用状況等と照らし合わせ、判断しているものです。
【答弁(斎藤防災安全部長)】
次に、市内の交通モラル向上に関しましてお答えいたします。交通安全都市を宣言した平成元年の本市における交通事故発生件数は3,607件、死者数は23名となっておりました。一方、令和5年の同様事故件数は1,155件、死者数は5名となり、事故件数で約70%、死者数で約80%の減少となっております。今般、自転車利用の増加など交通環境に変化が生じている中、改めて、自転車は原則車道の左側を通行すること等、道路交通法に定める基本ルールの徹底が求められていると考えております。このことを踏まえて、現在、国は、自転車の更なる交通安全対策として、青切符制度の導入を進めており、違反件数の減少が期待されることから、交通安全活動の成果指標の1つとして、その動向を注視してまいります。また、自転車等の事故発生箇所に関する状況につきましては、警察と情報共有を図り、広く市民に対して、危険箇所や事故内容等の情報提供を行う新たな対策も検討してまいります。今後も、引き続き、地域の交通安全団体と警察や行政が一体となった交通安全運動や交通安全キャンペーン等により、交通ルール遵守及び交通マナー向上の意識醸成を図るとともに、人と車が共存する交通事故の無い社会の実現を目指して取り組んでまいります。
【藤沢市気候非常事態宣言】
次に、令和3年の「藤沢市気候非常事態宣言」があります。これは、あえて説明する必要はないと思いますが、抜粋すると、気候危機が人々に深刻な影響を与え、脅威となっている状況を、市民や事業者など、あらゆる主体が認識し、SDGsの目指す持続可能な社会の実現に向け、力を合わせて取り組んでいくために、宣言したものです。内容としては、「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す」「気象災害から市民の安全な暮らしを守るため、風水害対策を強化する」「気候変動の危機的状況を市民、事業者、行政などあらゆる主体が広く情報共有し、協働して気候変動対策に取り組む」としています。
また昨年、環境省が推進する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動(デコ活)」に賛同し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、2023年8月29日に「デコ活宣言」を行いました。
2050年カーボンニュートラルに向けては、藤沢市地球温暖化対策実行計画に基づいて、取組を進めていますが、議会でも指摘がされたことがあるブルーカーボンの取組が現在注目されています。江の島周辺における磯焼けについては、議会でも度々質疑が行われています。カジメなどの海藻が、アイゴに食べられてしまい、藻場が消失する磯焼けが起きている状況です。その対策としては、市民団体「江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト」により駆除をしている状況ですが、なかなか解決に至らず、実施していたアワビの稚貝の放流も見送られています。
そこで、漁場としての藻場の再生だけでなく、脱炭素に期待されるブルーカーボンの取組について、昨年11月、建設経済常任委員会で、福岡県糸島市を行政視察しました。糸島市では、九州大学と連携した、インスタント藻場の取組が展開されていました。
糸島市では、令和2年度に雑草(よし)を使って、藻場の代替としての漁礁をつくる実証実験をしてモニタリングをしたところ、魚類の生息を確認。令和3年度には、メンテナンスが容易なインスタント藻場へ改良をして効果を検証したところ、16種の魚類の生息が確認されたとのことでした。また、定置網の入口に設置して網に誘導したり、環境学習として、例えば、小学校の授業の一環として児童が作成したインスタント藻場を海に沈めて、魚類が生息している状況を海女さんやダイバーが映像化して伝え、更には、その魚を食べて、食育としての活用も有効ではないかとのことでした。
★これは、藤沢市にも十分置き換えられる取組だと感じました。今後の藤沢市気候非常事態宣言に伴う取組の方向性とブルーカーボンの取組について市の考え方を伺います。
【答弁(鈴木市長)】
本市では、「藤沢市地球温暖化対策実行計画」において、まずは、2030年度の温室効果ガス排出量の2013年度比46%削減を目標に定め、各種施策の推進に努めております。当該目標の実現に向けては、全市を挙げた推進が大変重要であり、脱炭素型ライフスタイルの推進、藤沢商工会議所等との連携、公共施設における率先的な実施など、市民・事業者・行政の各主体が一体となった取組を引き続き展開してまいります。
次に、ブルーカーボンにつきましては、二酸化炭素の吸収源として大きなポテンシャルが期待されることから、県が、今年度改定予定の「神奈川県地球温暖化対策計画」において、成熟の早い海藻の大量生産のほか、漁業者や市民団体などを対象とした研修を取組項目に位置付けるなどその推進を予定しております。
引き続き、相模湾の特性に合った藻場の育成に向けて、県内自治体の動向を注視するとともに、国や県とともに支援する、江の島周辺海域での市民や漁業者による藻場の保全活動について、情報共有等に努めながら積極的に取り組んでまいります。
【市政運営を担う職員に関係する質問】
【職員定数条例の一部改正について】
昨年度の代表質問でも同様の質問をさせていただきましたが、今回も、職員定数条例の一部改正が提案されています。行政需要の増加への対応、既存業務の見直しなどに伴い、職員定数を27人増やして、3,755人から3,782人にする内容です。
職員定数については、職員組合と協議・交渉を行い、労使合意に基づいて、今回のように職員定数条例の一部改正について議会に提案がされます。そして、この議案が可決されれば、令和6年度の職員定数3,782人が確定し、令和6年4月1日から、3,782人で業務を遂行することになります。
しかし、昨年度と同様、令和6年度当初も欠員が生じる見込みと職員組合から聞きました。採用試験をしても、職種によっては、必要数がなかなか集まらないことは理解しますが、定数条例の一部改正の議案が議会に提案され、これから予算委員会で審議をするタイミングで欠員が見込まれることは、提案内容が正確でないということになります。
昨年度、市長の答弁では、「フルタイム勤務職員」に欠員が生じる見込みとなっていることについては、大変遺憾であり、大きな課題として捉えている。このことを踏まえ、欠員の解消に向けて、早期に採用試験を実施することなどにより、速やかな補充に努めてまいりたい。とのことでした。
★市長が大変遺憾と言っている状況が繰り返されることは極めて問題だと思います。令和6年度当初の欠員見込みと、欠員解消に向けた取組の考え方。今後、年度当初に欠員を生じさせないという決意を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
令和6年度当初の欠員見込みと、欠員解消に向けた取組の考え方についてでございますが、いわゆる「フルタイム勤務職員」の具体的な職種や欠員数は、環境収集業務等を担う技能労務職において2名、保育士2名、電気・機械職2名、土木職1名、歯科衛生士1名、栄養士1名、学芸員1名、特定任期付職員1名となっており、現時点においては11人の欠員を見込んでおります。
欠員が生じた要因でございますが、このうち8名については、今年に入ってから普通退職の申し出や、再任用の希望の取下げ等があったこと、ほか3名につきましては、応募者数が少なく、採用ができなかったことによるものでございます。
2年続けて欠員が生じる見込みとなっていることにつきましては、大きな問題として捉えており、解消に向けた採用試験を早期に実施し、速やかな補充に努めてまいります。
また応募者数の少なかった職種については、就活サイト等の更なる活用拡大や、採用実績のある大学等へのアプローチを強化することなどにより、応募者数の確保に積極的に取り組んでまいります。
【再任用職員と定年延長職員の処遇について】
★次に、再任用制度職員と定年延長職員との賃金格差について、制度の違いは認識していますが、あまりに格差があり、再任用職員のモチベーションに影響があると考えます。実際に再任用職員から、なんとかならないかとの声も聞きます。定年延長職員と同じ仕事をさせるのであれば、格差是正に向けた賃金制度の見直しが必要であり、そうでないのであれば、責任や業務領域のすみ分けが必要と考えます。見解を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
再任用職員の賃金制度の見直しついてでございますが、令和3年6月の地方公務員法の改正を踏まえ、本市でも令和5年4月からいわゆる定年延長制度を開始しております。
定年延長職員と再任用職員の給与につきましては、人事院勧告に基づき定められる再任用職員の給与水準が定年延長職員の水準を下回るほか、長期継続雇用を前提とした生活関連手当を再任用職員には支給しないことなどにより、差が生じるものでございます。
今後は、令和6年度から定年延長職員を各職場に配置してまいりますので、当該職員が持つ豊富な知識、技術、経験を最大限いかして、職責を十分に果たすことができるよう、本制度を運用してまいります。
【出資団体の今後の方向性について】
次に、出資団体について伺います。昨年度も言いましたが、出資団体は、市役所の肥大化を防止することを目的に設立され、そこに委託することでスリム化を図ってきたと認識していますが、時間が経過するにつれて、その設置目的や役割の認識が薄れてきていると感じています。
★その結果、指定管理者の指定について、特定から公募を基本としたことから、長久保公園や新設した遠藤笹窪谷公園が公募となり、横浜の事業者が指定管理者となりました。これまでの経過を踏まえて、市として、出資団体を廃止していく方向なのか、引き続きその役割を担ってもらう方向であるのか、その方向性が見えません。そのことから、出資団体職員は将来、自分の雇用はどうなるのか不安という中で、日々働いています。今後の方向性について市の見解を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
出資団体の今後の方向性についてのご質問にお答えいたします。
本市の出資団体につきましては、社会的ニーズを満たす公益的な役割を持ち、柔軟かつ効果的な市民サービスの提供を行うこと等を目的として設立され、民間の経営手法等を活かして事業展開をしている団体でございます。
各出資団体においては、団体固有の課題を抱えている現状もございますので、本市といたしましても、各団体の課題等の把握に努めるとともに、適宜必要な助言等を行いながら、今後の方向性について連携して検討してまいりたいと考えております。
【指定管理期間について】
★そして、将来も出資団体に、これまでと同様の役割を担ってもらうのであれば、そこで働く職員の雇用の安定からも、指定期間をこれまでの3年とか5年ではなく、例えば10年などの長期間にするなど、雇用の安定に向けた指定期間も検討すべきだと思いますが、市の見解を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
指定管理者制度は、民間事業者等の有する能力、経験、知識等を広く活用することにより、多様化する市民ニーズに効率的・効果的に対応するとともに、市民サービスの質の向上と経費の節減等を図ることを目的としてございます。
本市では、「藤沢市指定管理者制度導入及び運用の基本方針」を定め、指定管理者に管理運営を委ねる期間は、5年を基本としつつ、10年を超えない範囲内で、施設の特性や整備状況に応じて指定期間を設定できることとしております。
また、指定管理者の選定は、競争性を担保したうえで公平性・透明性に配慮すべきであることから、公募を原則としております。
本市といたしましては、施設の特性や整備状況だけでなく、社会情勢の変化や市民ニーズへの柔軟な対応という側面も考慮した上で、適切な指定期間を設定し、同制度の活用を図ってまいりたいと考えております。
【出資団体職員の処遇について】
★さらに、出資団体で働く職員の賃金について伺います。当初は、市職員の俸給表の2号下位に位置づけられていましたが、行革の出資法人改革の中で、昇給抑制がされ、それがいまだに継続しています。このことは現在、国をあげて賃金を上げていこうとする流れに逆行しています。給料が全然上がらないので生活が苦しく、モチベーションも低下しているとの声も聞きます。出資団体職員に適用されている昇給抑制の解消に向けて、委託料におけるの人件費相当額の増額など、市が主体的に働きかけて、処遇改善をしていくべきと考えますが見解を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
出資団体に係る人事給与制度に関する取組といたしましては、平成19年度の本市給与制度改革に合わせ、株式会社を除く出資団体において、給与規程の見直しを行い、統一性のある給与制度を構築してきた経緯がございます。
その後、平成23年度に、出資団体の統廃合及び事業移管が完了したことを受けて、各団体においては、人事給与制度の構築につきまして、本市職員の給与水準や経営状況、民間同種同業者の状況などを、主体的かつ総合的に検討したうえで、労働法制に基づき関係団体との協議により決定されているものと考えております。
今後とも、本市といたしましては、各団体の自主性を尊重しつつ、課題の把握に努めるとともに、適宜必要な助言等を行ってまいります。
【窓口の協働事業について】
次に協働事業について伺います。保険年金課、介護保険課、市民窓口センターに拡大をしてきた協同事業ですが、事業者の職員が対応に困ったときに、直接市職員に問合せができないことから、導入前よりスピード感や寄り添いという点から市民サービスの向上になっているとは思えません。
また、人件費の抑制という点では当初の効果が出ているとのことですが、事業者用のロッカーの設置数の多いこと、市職員のロッカーが遠くになるなど、目に見えない経費も掛かっていると認識しています。何より、市職員が日常的に関わっていないことから、職員の知識の欠如や、困難事案への対応能力の低下について、市職員からも心配の声があります。更に、協働事業者職員の離職率も高いことが議会でも明らかになりました。
★協働事業の課題を踏まえて、業務領域の見直しなど、今後のあり方についいて検討が必要と思いますが、市の見解を伺います。
【答弁(中山総務部長)】
協働事業の実施に当たっては、受託者側との連携強化や職員のスキルの維持・向上の取組など、工夫や改善を重ねながら事業を進めておりますが、業務内容によっては対応に時間を要するなど連携の難しさといった課題も見えてきているところでございます。
現在、課題の洗い出し等、協働事業に係る検証を行っているところでございますが、今後、検証結果を踏まえ、必要に応じて業務領域の見直しを図ってまいりたいと考えております。見直しに当たっては、市民サービスの向上の視点を第一に、業務効率化やコストメリット等も考慮しながら、より良い窓口業務となるよう努めてまいります。
要旨2「安全で安心な暮らしについて」
【個別避難計画とハザード情報について】
★自分が住んでいるところが、安全なのかリスクがあるのかを理解し、災害発生時に命を守れる行動が取れることが重要です。そのためには、ハザードエリアに住む市民に対して、施政方針にある個別避難計画の作成が重要となります。
また、新たに内水氾濫ハザードマップを作成するとありますが、ハザードマップの種類が多いため、分かりにくいとの声も聞きます。個別避難計画の策定も含めて、今後の方向性について伺います。
【答弁(斎藤防災安全部長)】
先ず、ハザードマップに関してでございますが、本市では、洪水・土砂災害、津波、高潮といった災害種別ごとのハザードマップを、国のガイドラインに準拠して作成しており、来年度は、雨水出水浸水想定区域を示した内水氾濫ハザードマップを作成する予定でございます。ハザードマップは、災害避難地図とも言われ、各災害様態に対応できるよう、災害種別ごとの避難所等を掲載するなど、市民等に分かり易い防災情報の提供を図っております。この様なことから、異なる事象のハザードエリアや避難所等をマップ上に重ねて表示することは、直感的な理解が難しく、迅速な避難行動の支障となる場合も考えられます。一方で、市民や事業者等にとって、自宅や通勤・通学先、事業所等が、どのような災害リスク等を有しているかを知ることは、一人ひとりの防災情報の入手として有効で、被害軽減に繋がるものと考えております。このことを踏まえ、市民の様々なニーズに合わせた防災情報の発信方法につきまして、今後、地図情報のオープンデータ化等も視野に入れ、各種ハザードマップの表示方法を含めて、ハザードに関するデータの整理等を進めてまいります。
次に、個別避難計画に関しましてお答えいたします。本市におきましては、避難行動要支援者名簿等を活用し、福祉部や市民自治部等の関係部局、各地区自主防災組織や民生委員児童委員など、地域の関係団体等との連携により、個別避難計画の作成を進めております。令和5年度は、モデル地区として辻堂地区を中心に、自主防災組織等との協働により、先行事例の作成を進めながら、手法の検証や課題の整理等を行ってきたところでございます。
その中で、課題といたしましては、共助による支援の担い手の理解が得られない場合が多いことでございます。一方で、この計画の作成により、地域防災力が強化され、地域の不安解消にも繋がるという効果が期待できることを、地域と連携して丁寧に説明していく必要があると考えております。
この様なことから、今後につきましては、辻堂地区におけるモデル手法を、他の地区にも広く紹介しながら、様々な課題の解決に相当な困難が予想されますが、市内のハザード区域内に居住する避難行動要支援者を中心に、来年度は300件程度の計画が作成できるよう取り組んでまいります。
【体育館への空調整備について】
次に、元日に発生した能登半島地震での教訓として、長引く避難生活での生活環境整備への対応が必要であると言われ、避難生活を続ける中であっても、少しでも日常に近い生活ができることが、震災関連死を防ぐためにも最も必要なことだと考えています。
そこで、第一次の避難生活が行われる、小中学校の体育館における冷暖房設備の問題について伺います。
小中学校体育館へのエアコン設置は、避難所としての機能向上のみならず、授業環境の改善につながることは言うまでもありません。文科省の調べで2022年9月時点の設置率は、全国平均11%、神奈川県で5%ですが、東京都では、既に80%を超えています。気候変動の激甚化を考えれば、学校体育館へのエアコン設置は当然の流れと言えます。
★しかし、体育館にエアコンを設置するには、エアコン設置自体に1校当たり4,000万円程度の費用がかかり、断熱工事にも同等の費用がかかることが想定されます。更に光熱費も掛かります。特定財源を確保しながら、市としてどのようなスケジュール感をもって設置を進めるか、計画策定の現状と今後に向けた考えについて伺います。
【答弁(峯教育部長)】
学校施設における空調整備につきましては、現在、管理諸室等の更新と合わせ、未設置の特別教室への新設を計画的に進めております。そのため、現時点では、体育館への空調整備にかかる計画はございませんが、近年、記録的な猛暑への対策として、東京都をはじめ、体育館への空調整備が完了した自治体も増加しており、本市おきましても早期設置を求めるご要望が高まっているものと認識しております。
また、文部科学省の学校施設整備指針におきましても、体育活動や避難所等に利用することを考慮し、体育館にも冷暖房設備の設置を計画することが重要であると示されており、 現在進めております改築事業の設計業務において体育館への空調整備に向けた検討を行っております。
その他の学校を含めた全校設置に向けた計画の検討といたしまして、現在、他市の先行事例の視察を行い、事業費の削減や特定財源の確保など情報収集を行っているところでございます。
今後につきましては、工事あるいはリース事業等の整備手法の比較、スケジュールの想定など、次期再整備実施計画の検討内容のひとつとして、具体的な検討を進めてまいります。
【100t水槽の拡充について】
また、能登半島地震で被災した市町では、上下水道の機能が大きく損なわれました。藤沢市にとっても他人事ではありません。
★上水道については県の事業ですが、本市では100t水槽を15カ所、50t水槽を1カ所設置しています。災害時には1人1日3リットル、3日分の水の確保が必要とされており、100t水槽は、約1万人分に当たります。44万人都市である藤沢市では15カ所の100t水槽だけでは間に合わず、民間の貯水槽や一般市民の備蓄などに頼らざるを得ません。これら飲料水の確保について、県への要望も含めて、市の考えを伺います。
【答弁(斎藤防災安全部長)】
本市の耐震性飲料用貯水槽いわゆる100トン水槽につきましては、平成7年度以降、市内各地区の条件に応じた公共用地を活用し、現時点で全16基、計1,550トン分の貯水槽を整備しております。なお、藤沢市地域防災計画における本市の応急給水計画でございますが、神奈川県営水道の災害用指定配水池からの給水を基本とし、県と連携して、指定配水池等の飲料水が地区に偏りなく確実に、被災者へ行き渡る体制の構築等に取り組んでいるところでございます。
また、100トン水槽や小中学校等のプール水により、本市としても、被災者救援対策として一定の応急飲料水を確保しております。一方、市民や事業所等における日頃からの備えといたしましては、自助として、少なくとも3日分、可能な限り7日分の飲料水を備蓄するよう、ふじさわ防災ナビ等を通じ、引き続き啓発してまいります。
この様な中、本市は、藤沢水道営業所や災害時支援協定の輸送事業者等による、指定配水池における合同給水訓練等に参加しており、応急給水計画の実効性や効率性を高めるよう、連携の強化に努めております。今後も、同様の訓練等を重ね、県との情報共有や検証等を行いながら、応急給水体制の確認と改善を図ってまいります。
【下水道の耐震化について】
国交省などによれば能登半島の6市町で下水道の総延長の52%が被災したと言われており、阪神淡路大震災以来、最大の下水道被害です。原因は最大震度7の強い揺れに併せて、液状化が重なって寸断されたと考えられています。これは辻堂浄化センター、大清水浄化センターを抱える藤沢市においても同様な条件で、辻堂浄化センターでは、更に津波被害も考えられます。
これに対して、藤沢市は下水道ビジョン、下水道中期経営計画で、計画を示し、辻堂浄化センターについては2029年度に揚水、消毒機能の耐震、耐津波対策が整備される計画です。また、大清水浄化センターについては、川沿いゆえの浸水対策は2032年度まで、揚水機能の耐震対策も2032年度までに整備する計画です。
しかし、大清水浄化センターの消毒機能の耐震化には消毒棟の建て替えが必要とされ、まだ計画は策定されていません。また、下水道管路の耐震化は指定避難施設に対応する管路に絞っても、2032年度までに対策が完了する管路が対象の4割にしか達しません。
★下水道の災害対策は多額の費用がかかり、全国どこの自治体でも財政難ゆえ二の足を踏んでいると認識しています。しかし、藤沢市の下水道人口普及率は96%に達しており、全市民の生活に対する影響は重大です。これらの整備が2032年度を過ぎるものについても、可能な限り前倒しし、整備を急ぐべきと考えますが、市の考えを伺います。
【答弁(近藤下水道部長)】
本市におきましても、能登半島地震における下水道の災害情報を注視している状況でございます。
被害については、能登地方6市町に集中しており、被災割合は過去の大地震と比べて高く、道路等が分断され、被害状況等の確認・調査も進んでいない状況で、住民生活への影響が長引いていると伺っております。
そのため、現在も、国土交通省をはじめ、全国の地方公共団体、また、下水道関連団体等による点検・調査や応急対応が進められている状況でございます。
次に本市の耐震化対策については、被災時に最低限確保すべき下水道機能として、辻堂浄化センターの揚水機能と消毒機能及び大清水浄化センターの揚水機能の確保、また、管路施設につきましては、指定避難施設等の流末管路の約4割の耐震化を中期経営計画期間の2032年度に完了する見込みでございます。
本市における「安全で安心な暮らしを築くまちづくり」といたしましても、全市民の生活に対する影響が大きい下水道施設の耐震化は、今回の能登半島地震により、あらためて重要な課題と認識したところでございます。
従いまして、2033年度以降に予定している耐震化対策につきましても、中期経営計画での老朽化対策や浸水対策等とのバランスを見ながら、前倒しも検討してまいります。
【防犯カメラの設置について】
★次に、防犯カメラの設置について伺います。防犯カメラの設置については、犯罪抑止や事件の解決に有効と考えますが、自治会・町内会での設置については、設置費や維持費がかかります。地域の防犯という意味では有意義だと思いますが、負担にもなります。施政方針にある関係団体と連携した、防犯カメラ付き自販機について、計画的な設置があるのか、地区による偏りがあるのか、自治会・町内会は期待をしていますので、今後の方向性について伺います。
【答弁(斎藤防災安全部長)】
防犯カメラ付き自動販売機いわゆる「みまもり自販機」につきましては、自治会・町内会等の地域団体、飲料事業者、警察とのマルチパートナーシップによる取組として、令和3年度以降、これまでに市内6箇所の市有地や公共施設に設置しております。この事業の特色といたしましては、設置工事や電気料を含むほぼ全ての費用を、飲料事業者が社会貢献事業として負担すること、地域における体感治安を高めるとともに、犯罪抑止効果が図られること、事件等が発生した場合に警察による迅速な捜査等が図られること等がございます。
課題といたしましては、設置箇所の選定と設置を継続するためには、飲料事業者が経費を賄える一定程度の売上が見込める場所を確保する必要がございます。このことから、予め設置計画を定めることは難しいものと考えております。
今後の事業展開といたしましては、藤沢市防犯連合協議会等の防犯関係団体を通じて、広く地域の自治会・町内会等へ、みまもり自販機の紹介を行いながら、新たな候補地を選定していくとともに、これまでの設置箇所が市内南部となっている状況を踏まえ、より一層地域との連携を図り、市内北部への展開を含めて、効果的な設置箇所の検討に努めてまいります。
【自転車駐車場について】
次に自転車駐車場について、駐輪場不足が指摘されています。建設経済常任委員会の令和元年度行政視察で大阪府吹田市を視察しましたが、吹田市の地下機械式駐輪施設は、大規模な用地取得を必要とせずに1基約200台の自転車を収納できるため、藤沢市がかかえる課題解消に向けた一つの手法として大変有効と考える一方、1基あたり、当時の設計金額で、約1億5,000万円と費用が高額となるため、様々な角度から総合的な判断が求められます。ただし、現在のような駐輪施設と比べて、景観上は、優れており上部利用も有効です。
★藤沢駅南口再整備における導入について、検討できないかと思いますが、市の見解を伺います。
【答弁(北村道路河川部長)】
議員ご提案の地下機械式駐輪施設につきましては、地上部の入出庫の施設は車1台分程度で済み、用地確保が難しい場所においては有効な手法と認識しており、過去に設置について、検討をした経過がございます。
その検討では、設置条件などから藤沢駅南口第2自転車駐車場付近を想定し、これまでに実施した路上駐輪場の実績と比較しました。その結果、整備費や維持管理費用が高く、低い評価となった経過がございます。
また、県内で設置している川崎市へヒアリングを行ったところ、トラブルがあり、代替自転車の用意、代替交通手段の費用負担などの対応をした経過があったことなども確認しております。
しかしながら、地下機械式駐輪施設については、先ほども申し上げたように用地確保が難しい駅周辺において有効であることに加え、景観や防犯の観点からもすぐれた施設と考えており、駐輪場不足が続く場合には、整備を検討していくものと考えております。
要旨3「健康で豊かな長寿社会について」
【困難な問題を抱える女性への支援について】
生活困窮、性暴力・性犯罪被害、家庭関係破綻など女性を取り巻く環境は複雑化、多様化しています。国は、新たな女性支援の強化が必要なことから令和4年5月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」を成立、令和6年4月1日に施行されることになりました。
こうした中、神奈川県では「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」等を踏まえ、当事者の状況を把握するための実態調査を行い、現在、施策実施に関する基本計画の策定に向けた取組がされているところですが、藤沢市においても「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づき、市の基本計画を策定する予定と聞いています。
★そこで、本市における基本計画の位置づけと、同法は「女性の福祉」「人権の尊重や擁護」「男女平等」を基本理念としていることから、施策実施に向けては全庁的に取組を進めていくべきと考えますが、市の見解を伺います。
【答弁(宮原企画政策部長)】
本市では、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律第8条第3項に基づき、今年度、策定される県の基本計画を勘案しながら、令和6年度中に、市民意識調査などを実施した上で、市の基本計画を策定し、支援に取り組んでまいりたいと考えております。
本計画につきましては、多様化、複雑化した課題を抱えやすい「女性」の目線に立った支援を図るため、「ふじさわジェンダー平等プラン2030~藤沢市男女共同参画計画~」の別冊として策定し、各年齢層の課題を踏まえ、「あらゆる暴力の根絶」「生活上の困難に対する支援」「生涯にわたる健康づくりの推進」を大きな柱として検討を進めてまいります。
また、体制整備につきましては、市は女性を取り巻く様々な支援制度の実施主体であることから、支援に必要な制度を所管する庁内関係部署の連携強化はもとより、女性の自己肯定感を高める活動をしている団体への支援など、それぞれが主体性を発揮し、当事者が必要とする支援を包括的に提供することが重要と考えております。
そのため、女性を取り巻く課題認識や相談支援に関する知識、技術を習得できるよう、多様な主体や実務者による連携会議を設置してまいりたいと考えております。
【高齢者の外出支援について】
次に高齢者の外出支援について伺います。先日の建設経済常任委員会の中で、藤沢市交通マスタープラン等の見直しに向けた取組の報告がされ、質疑も行われました。その中で、公共交通としてのバスの運行について、運転手不足等により、羽田空港へのバス便が廃止されたり、通常のバスについても減便がされたり、地域の生活としての足の確保に課題が生じていることが分かりました。市の認識としても、朝夕の通勤、通学以外の時間帯の利用を増やしていくことが必要との考えも示されました。
大阪府堺市では、65歳以上の市民を対象にワンコイン100円で実施したところ、通勤、通学以外の時間の利用者数が増加、高齢者の外出機会の拡大による高齢者の体力、健康、生きがいの増進、外出に伴う商店街の活性化などにつながったと分析がされています。
★高齢者の外出機会が増えることは、健康増進、医療費の削減、外出に伴う市内消費など、いいことづくめです。バス事業者もワンコインの取組もしていますが、ワンコインで利用するためのパスを購入しなければなりません。堺市のような効果が同じように出るのか、まずは実証実験でもよいと思いますので、外出機会の拡大に向けた市の支援策を検討するべきと考えますが、市の見解を伺います。
【答弁(三上計画建築部長)】
先日の建設経済常任委員会で最終報告を行いました、「藤沢市都市交通計画(案)」における重点施策として、「既存の公共交通サービス水準の維持・強化」を掲げており、施策の方向性として「高齢者の外出率を高める施策の検討を行う」としております。
外出機会の拡大につきましては、様々な施策が考えられますが、高齢者の外出が促進され、その結果として、公共交通機関における朝夕のピーク時間帯以外の利用者増加につながる取組など、福祉部とも連携し、施策を検討してまいりたいと考えております。
また、その効果を見極めるには、実証実験を行うことが、有効な手段であると考えております。
要旨4「子どもたちの笑顔と元気について」
【学習指導要領改訂に向けて】
いま全国で学校の教員不足が深刻になっています。藤沢でも午前と午後で担任が違う小学校や、技術科の教員がひとりもいない中学校など、もはや正常な学校運営にも支障をきたす大変な事態が続いています。
加えて不登校の児童生徒も激増しており、いまや中学校ではどのクラスにも1人か2人の不登校の生徒がいるほどの深刻な事態が生まれています。いまや日本の学校は、子どもにとっても先生にとっても「通うのが辛い」場所になってしまっていると言わざるを得ません。
このような事態を招いた原因として指摘されているのが、現行の学習指導要領が子どもにとっても先生にとっても、そのキャパシティーを越えた過重なものになっている、ということです。東京学芸大学の大森直樹教授は、先日藤沢で開かれた教育講演会でこの現状を「カリキュラム・オーバーロード」と表現されました。
「カリキュラム・オーバーロード」の解消には、学習指導要領を改訂し、教育内容の過重負担を解消するしかありません。
★全国校長会をはじめ、様々な教育関係団体からもそのような声が上がり始めていますが、藤沢市教育委員会としても機会を捉えて「教育内容の過重負担の解消」を求めていただけないでしょうか。見解を伺います。
【答弁(岩本教育長)】
近年、社会の急激な変化の中で、学校が抱える課題はより複雑化、困難化しています。教員不足や不登校の問題等が深刻化しており、次世代を担う子どもたちへの教育を進めていくためには、社会状況に応じた学校教育の改善・充実や創意工夫のある教育課程の編成が重要であるととらえております。
現行の学習指導要領では、各学校において児童生徒の発達段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮し、児童生徒の負担過重にならないよう単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で、創意工夫をした時間割を弾力的に編成できるとされております。
教育委員会といたしましては、各学校が、コロナ禍において学習内容や学校行事を精選し、実施してきた経験を活かし、引き続き教育課程の再編成に取り組み、教職員がゆとりをもって、子どもの学びを支援する伴走者として子どもと向き合っていけるよう引き続き支援してまいります。
【過大規模校の解消に向けて】
そして、「先生不足」と並んで藤沢で深刻なのは「教室不足」です。特に南部の学校では図工室どころか、ついに図書室まで教室に転用せざるを得ない学校や、コモンスペースに仕切りをした「窓のない教室」までが生まれようとしています。
この問題の解決には、まず学区の見直しから手を付けることに異論はありませんが、それだけで解決できるとは到底思えません。
先日の子ども文教常任委員会でも、過大規模校への対策について、学校の新設や分校の開設について検討すべきとの議論がありました。また、我が会派の竹村議員からは、計画は中長期的であり、短期的な取組が急務であると意見をさせていただきました。
★学校の新設や、分校の開設も視野に入れる必要があると考えますが、白浜養護学校の過大規模化への対応も含め、改めて考えを伺います。
【答弁(峯教育部長)】
令和5年度に策定いたします「藤沢市立学校適正規模・適正配置第1期実施計画」に基づき、過大規模校解消の対策として、令和6年度から通学区域の見直しを前提とした取組に着手いたします。市議会や市民の皆様からも「新校や分校を設置すべき」とのご意見が寄せられていることもあり、いずれの手法も選択肢の一つとして考えております。
ことに、白浜養護学校につきましては、特別支援教育をめぐる社会や環境の変化に伴い、在籍児童生徒数が増加したため、これまで仮設校舎を建設し、教室不足に対応してまいりましたが、今後も児童生徒数の増加が予測され、教室が不足する可能性があるものと認識しております。
一方、県立藤沢支援学校において増改築の整備計画があり、今後、同校の受け入れ枠の拡大が見込まれることから、白浜養護学校の規模の適正化が図られるよう、引き続き県教育委員会と連携してまいります。
教育委員会では、白浜養護学校や一部の学校が直面している過大規模化を解消し、より良い教育環境の整備を図るため、新校の設置や分校化を視野に市有地であるか否かを問わず、学校建設に適した土地に関しての情報収集に努めております。
★また、教室不足が喫緊の課題である鵠洋小学校については、短期的な対応が必要と考えますが、考えを伺います。
鵠洋小学校の短期的な対応についてでございますが、令和6年度に向けて、想定以上に学級数が増える可能性があり、やむなく、複数の特別教室を普通教室に転用することといたしました。同校は、今後も児童数の増加が見込まれており、特別教室の転用での対応は限界にあるため、その対応については、あらゆる可能性を多角的に、かつ、喫緊の課題として検討してまいりたいと考えております。
【産後ケア事業について】
次に、産後ケア事業について伺います。令和3年度より試行的に開始された藤沢市産後ケア事業(令和4年度より本格実施)は、本市の総合指針重点事業の妊娠・出産包括支援事業に位置付けられており、サービス提供体制も通所型から宿泊型、訪問型へと拡充し、今では多くの方に利用され、利用関係者の皆さんからは大変好評と聞いています。
一方で、実施施設からは、利用料金に対する自己負担額の軽減を求める声や、産後ケア事業が需要増にあるにもかかわらず、物価高騰等を含め委託料の低さから実施施設の確保が困難で、スタッフのモチベーション維持につながらない、産後ケアの担い手が増えないといったお声も聞いています。実際に、本市の産後ケア事業の通所型サービスを運営している実施施設では、実情に見合った予算を確保できなかったため、少人数のスタッフで頑張ったあげく、助産師さんが体調不良に陥ってしまうケースも出てきているようです。
★そこで、実施施設の確保が困難なこと、スタッフのモチベーションの維持、産後ケアの担い手が増えない等の課題について、どのように取組んでいくのか、市の考えを伺います。
【答弁(鈴木市長)】
産後ケア事業を行う施設の課題につきましては、私自身も直接、事業者の方からお話を聞いており、一定の認識をしているところです。
課題の一つには、ご指摘のとおり、人員不足が挙げられます。産後ケア事業の対象が、産後4か月未満から1年未満に延長されたことで、母へのケアと同時に、動きが活発になる子どもへの対応など、新たな負担が生じていると聞き及んでおります。
また、産後ケア事業者の多くは、複数の自治体から事業を受託しているため、サービスの提供時間や委託料の設定などにおいて、自治体間で違いがあることも課題であると聞いております。
産後ケア事業は広がりを見せており、今後もニーズは拡大するものと捉えております。子ども・子育て支援策を最優先の政策の一つとして取り組む中で、誰もが、安心して、安全な子育てができる環境を整えるためにも産後ケア事業は大変重要であります。
今後につきましては、担い手である事業者の皆様との意見交換を通して、運用上の課題を共有し、産後ケア事業の進め方について検討してまいりたいと考えております。
★また、利用者の施設への移動に関し、移動支援としてのタクシー券助成を要望していますが、その後の検討状況を伺います。
【答弁(齋藤健康医療部長)】
移動支援としてのタクシー券助成につきましては、「出産・子育て応援交付金事業」において、給付金のクーポン化と合わせて検討を進めてまいりましたが、今般、この交付金事業における給付方法について、原則、現金とする方向性が国より示されました。
このことから、本市といたしましては、移動支援を必要とする方については、この給付金がご活用いただけるものと考えております。
要旨5「都市の機能と活力について」
【いずみ野線延伸について】
★要旨5、都市の機能と活力について、いずみ野線延伸について、施政方針の中では、不退転の決意で取組んでいくと記載されています。西北部地域のまちづくりについては、昨年2月の建設経済常任委員会で、健康と文化の森地区の土地区画整理事業の取組、新産業の森地区の取組、遠藤葛原線の整備などの報告がされましたが、いずみ野線の新駅の位置が示されて以降、相当な期間が経っていますので、いずみ野線延伸に向けた、検討協議会での協議状況や、新駅設置も含めた、事業の見通しについて伺います。
【答弁(三上計画建築部長)】
いずみ野線延伸の現在の協議状況といたしましては、関係者で構成された「いずみ野線延伸検討協議会」において検討を行っており、昨年12月に開催された第11回検討協議会においては、神奈川県からは事業費の低減策についての報告があり、本市は、まちづくりの状況について報告を行い、その内容を関係者と共有いたしました。
また、事業の見通しでございますが、事業性の課題解決に向け、引き続き同協議会での検討が必要な状況であることから、今後も、延伸の実現に向け、検討の深度化を進めるとともに、延伸実現までの間、既存のBRTの機能強化などを合わせて検討してまいりたいと考えております。
要旨6「藤沢市の未来について」
【幼児教育施設への支援について】
幼児教育施設への運営補助について伺います。令和6年度で終了し、令和7年度以降は、国の制度に移行することとなっていますが、これまで長年にわたり、幼稚園では受入れが困難な子どもの受け皿として、役割を果たしてきたと認識しています。
★国の制度への移行で、運営が困難になる施設も考えられます。市として、一定の支援が必要と考えますが、これまで幼児教育施設が地域で果たしてきた役割の認識と評価、今後の支援の考え方について伺います。
≪回答≫(三ツ井子ども青少年部長)
本市の幼児教育施設が果たしてきた役割の認識とその評価についてでございますが、幼児教育施設では、これまで地域の子どもの受け皿として、特色ある幼児教育を行うとともに、子どもたちの育ちを支援する施設として、地域に根差し、長い歴史の中で運営が行われてきたものでございます。加えて、特別な支援を必要とする子どもを受け入れるなど、様々な役割を担ってきていただいたものと認識しております。
また、今後の支援の考え方についてでございますが、本市では、幼児教育施設保育料補助金を令和元年10月から5年間を期限として実施しており、令和6年度末で終了とし、令和7年度から、国の制度である利用支援事業へ移行して、支援を継続することとしております。
継続にあたっては、国の利用支援事業における補助額の考え方、また幼児教育施設保育料補助金創設時における本市議会や市内幼稚園事業者からのご意見、さらには近隣自治体の動向等を踏まえ、国が定めた補助額により支援を行ってまいります。
市としましては、この間保護者や施設関係者の方々に対し、この事業移行について丁寧な説明に努めてきたところでございますが、今後、令和7年度からの円滑な移行に向けて、施設関係者と最終的な調整を進めてまいります。
【市民会館再整備について】
最後に、生活・文化拠点の再整備について伺います。昨年11月の特別委員会で、アワープロジェクトとしてマスタープランの最終報告がされ、今後、事業者の選定、基本設計へと進んでいく予定ですが、市内外から訪れたくなるような施設にしていくためには、何かシンボル的なものが必要と感じています。
★そこで、1つ提案なのですが、江ノ電の車両で唯一、現役で床が木の板張りの車両が走っていますが、あと数年で現役を引退すると聞きました。市民会館再整備のスケジュールと合致すると思いますので、全国にファンがいる江ノ電のレトロな車両を展示して、シンボル的な存在にしてはいかがでしょうか。更に、青少年会館も複合化する予定施設に入っていますので、例えば、江ノ電の元運転手や関係者から、江ノ電の歴史やエピソードを話してもらうなど、生涯学習の視点からも期待できると考えます。このようなシンボル的な存在について、市の考えを伺います。
【答弁(宮原企画政策部長)】
生活・文化拠点再整備事業につきましては、昨年12月に、管理・運営のあり方、施設整備条件、事業手法、スケジュール等をまとめたOUR Projectマスタープラン(生活・文化拠点再整備基本計画)を策定し、来年度以降につきましては、管理・運営者、基本設計者を選定して、管理・運営計画の策定、基本設計を進めていく予定でございます。
ご提案を含め、シンボル的なオブジェの設置につきましては、管理・運営計画の策定、基本設計を進める中で、クラウドファンディングなどの利活用を含め、未来を目指して親しまれるランドマークとなり得るかなど、利用者、市民、関係団体等から幅広くご意見を伺ってまいります。
※以上、報告とします。