10月10日 10:00より、藤沢市議会9月定例会(10日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
令和5年度決算にあたり、各会派から賛成・反対討論のあと採決となりました。なお、私が所属する「民主クラブ」からは、谷津議員が、賛成の立場で討論を行いました。内容は次の通りです(全文)。
「民主クラブ」令和5年度決算討論
皆様、こんにちは、民主クラブ谷津です。令和5年度藤沢市一般会計歳入歳出決算の認定について他6特別会計決算の認定について、また議案第35号令和5年度藤沢市下水道事業費特別会計剰余金の処分及び決算の認定について、民主クラブの賛成討論を行います。
藤沢市はこの間、「誰一人取り残さない」という視点を政策の柱に位置づけてきました。これは非常に重要なことだと思います。
この「誰一人取り残さない」、つまり「ソーシャル・インクルージョン」ということにかかわる、ふたつの「権利条約」についてまず申し上げたいと思います。
子どもの権利条約を日本が批准してから30年になります。
しかし日本では当初、「日本では子どもの権利は保障されており、特段の法改正などは必要ない」という立場をとり続けてきました。「子どもの権利条約」は冷遇されてきた、と言って過言ではありませんでした。
しかし、こども家庭庁が設立され、こども基本法が成立して以降、ようやく日本でも「子どもの権利条約」が子ども政策の中心に据えられるようになってきたと思います。藤沢市でも、子どもに関わる政策については「子どもの声を聴く」取り組みが進められるようになったことは、高く評価したいと思います。
しかし、「子どもの声を聴く」ことだけが「子どもの権利条約」の求めることではありません。
ユニセフ(国連児童基金)日本委員会のホームページには、「子どもの権利条約は、子どもは『弱くておとなから守られる存在』という考え方から、それだけではなくて、子どもも『ひとりの人間として人権(権利)をもっている』、つまり『権利の主体』だという考え方に大きく転換させた条約です。」と書かれています。従来の子ども観の転換こそが、大人に求められているのです。子どものための施設が、大人の都合のための施設になっていないでしょうか。厳しすぎる理不尽な校則や体罰、子どもの声に耳を傾けない一方的な指導などが学校に残ってはいないでしょうか。
あらためて「子どもの権利条約」の理念に立って、私たち大人の子ども観や、青少年政策を問い直していきたいと思います。
一昨年、「障害者権利条約」の履行状況について、国連・障害者権利委員会は日本政府に対する総括所見を公表しました。この中であらためて強調されたのは、障害の「個人モデル」対「社会モデル」という考え方から、さらに進んだ「慈善モデル」対「人権モデル」という考え方です。
つまり、障害者についても「弱くて守られる存在」ではなく、「ひとりの人間として基本的人権を有する「権利の主体」だという考え方です。
障害者の問題というと、ともすると「思いやり」という言葉が使われることが少なくありません。しかしこの背後に、上から目線の「慈善モデル」の発想が隠れてはいないでしょうか。
「心のバリアフリー」という言葉に疑問を持つ障害当事者も少なくありません。基本的人権の尊重は「心」の問題ではないからです。啓発のスローガンとしてわかりやすい役割を果たしてきたことは否定しませんが、その内容が「慈善モデル」に陥らないよう、慎重な検討が必要です。
「インクルージョン」を論ずるに際しては、ぜひこのような「人権」の視点を基本に据えていただきたいと言うことを申し上げた上で、以下、個別の意見・要望を申し上げます。
【人件費について】
職員の給与については、人事院勧告の尊重、情勢適用の原則を踏まえて、関係団体との協議・交渉を経て決定がされるものです。従って、議会も含めて外部からの圧力により、その関係を決して歪めてはなりません。一部手当が議会でも指摘されていますが、これまでの給与構造改革、給与制度の総合的見直しによる国家公務員以上の給与引き下げは、現在も影響しています。そのことを踏まえて、一部手当の見直しを検討することなく、給与全体の水準について、職員がモチベーション高く、やりがいを持って働ける水準とは何かを重視することが必要です。
また、令和5年度、6年度当初は欠員が生じており、必要な職員の確保が喫緊の課題と言えます。公務員試験に応募する人は、当然、近隣他市と賃金比較をしていると思われますので、近隣他市にある手当を廃止することは、人材確保の視点からも考えられません。
更に、近年大きな課題となっているのが、採用された職員が数年で辞めてしまうことです。民間企業の採用時期に合わせた採用試験の実施で、応募者が増えたことは一定評価しますが、民間志望の学生に対して、本市に感心を持ってもらうことには疑問があります。藤沢市で生まれ育ち、藤沢市に愛着があり、藤沢市のために働きたい、困っている藤沢市民のために役に立ちたいと思っている人こそが求められる人材ではないでしょうか。
普通退職した職員が藤沢市民だったのかどうか、その属性を分析して、どうしたら藤沢市でやりがいをもって働き続けることが出来るのかを把握することが重要です。採用試験における視点、職員の処遇、今こそ、人への投資が必要です。どこの自治体も新採用職員の取り合いになっていますので、藤沢市として将来を担う人材確保に向けて、人への投資という視点で取組むよう要望します。
【会計年度任用職員について】
ワークライフバランスや子育て、介護など、多様な働き方の選択ができることは望ましい一方、雇用の不安定さによるモチベーションの低下や、業務の継続性に課題があり、市民サービスの低下が懸念されます。3年目公募の制限撤廃が人事院から通知され、総務省も自治体に例示をしている中で、藤沢市の姿勢が問われています。職員がモチベーション高く、安心して働けるような制度運用を求めます。
【ケアとジェンダーについて】
いまようやく男性の育児参加や育休取得が広がりつつあります。しかし介護やケアとなると、障害のある家族のいる家庭などを除き、多くの場合「女性の役割」とされてしまい、介護役割への男性の認識がいまだ十分ではない実態はないでしょうか。
男性中心社会の中で、収入を得られる労働だけが価値のあるものとされ、家事や育児、介護といった「アンペイドワーク」は価値のない、あるいは価値の低いものとみなされて「女性の役割」とされています。この「ケアとジェンダー」の問題について引き続き啓発を進めてくださるようお願いします。
【差別問題について】
インターネット上に掲載されていた「部落探訪」シリーズがようやく削除されました。これは長年にわたって人権男女共同平和国際課の皆さんが、モニタリングを行い、削除要請を積み上げてくださった成果です。ただ、依然として問題のある差別動画などは形を変えて残っていますし、外国人や障害者を対象とした差別の書き込みも後を絶ちません。引き続きモニタリングを継続し、不適切なものがあれば削除要請を行ってください。
【防災設備等整備事業費について】
国内で頻発する自然災害に市民の不安は増しています。そこで、防災備蓄資機材の品目、数量など可能なものに関して、市民に対してより丁寧な広報をしていただきますようお願いします。また、直近の能登半島地震、水害や今後の災害の状況から、品目や必要数が変わる可能性もあります。しかし、防災倉庫が満杯状況であり、避難所の数も決して余裕のある状況ではありません。今後も新たな公共施設整備の機会を利用し、津波避難施設整備事業補助金制度などの活用で民間の協力を得るなど、これまで同様、避難施設、防災倉庫の確保に努めていただきたいと思います。
【地球温暖化対策と環境啓発について】
地球沸騰化を感じた夏でした。国の目標を踏まえ、本市でも2030年度における温室効果ガス46%削減としており、2050年排出実質ゼロを目指しています。太陽光発電の推進については、電気の買取価格の低下、設備投資などのマイナス要因もあり、いまだ数字としては芳しくありません。しかし、環境問題に対する本市の調査研究など積極的な取組は評価いたします。温暖化防止と環境啓発は車の両輪と考えます。環境に負荷をかけないために、何をすればいいかわからない市民も少なくありません。より一層、市民ひとり一人が環境問題を自分事として捉えられるよう啓発の工夫を求めます。
【介護人材確保事業について】
日本全体は人口減少していても、高齢者人口は2040年にピークをむかえ、介護現場は逼迫を増すばかりです。いま、在宅介護をみると、老々介護は、家庭から介護の職場へも広がり、70代のヘルパーが80代90代を支えている状況です。いまのまま介護従事者の善意に頼っていては、持続可能性はありません。あるケアマネージャーは、業務負担が増すばかりで賃金と見合わないとの理由で、20年以上勤めた介護職を辞めたと聞きました。介護現場に寄り添った、離職をうまない対策をお願いします
【白浜養護学校について】
白浜養護学校に通学する児童生徒が急増しています。現在の高等部3年生は9名ですが、小学部では20名が在籍している学年もあり、教室の不足とならんで卒業後の進路についても心配の声が聞こえてきます。
白浜に通学している児童生徒は重度・最重度ですので卒業後の通所先は「生活介護」事業所ということになりますが、市内の生活介護事業所は現状でも利用者さんで一杯と聞きます。加えてこの4月の報酬改訂で、生活介護事業所はかなり厳しい状況に直面しています。
このままでは卒業後にどこにも通所できないケースが出てきてしまうことが懸念されています。市内の事業者とも連携し、生活介護事業所の増設や受け入れ人数の拡大に取り組まれるよう要望します。
【太陽の家について】
太陽の家の再整備は、現地建替え・移転整備の両面で継続して検討しているとのことです。重度障がい者のライフステージを見据え、親なき後の問題や、地域での障がい者医療と福祉の連携の課題について、早急の対応を求めます。
【保育士確保について】
市がこれまで様々な保育士不足対策を実施してきた結果、市内の保育士数は増加しているとのことですが、保育士不足を理由に定員まで受け入れのできなかった市内の保育施設は、本年4月1日時点で20施設、160定員分ありました。本市においても、保育士不足は深刻な問題です。
決算特別委員会において、「保育士不足の原因は何なのか」との当会派からの質問に対し、市側からは低賃金などの処遇に関するお答えがありませんでした。
しかし、事務事業評価において、近隣の茅ヶ崎市や伊勢原市における人件費助成策の例を紹介していることからも、市は低賃金などの処遇に関する問題が、保育士不足の原因となっていることは認識しているはずです。
市側からは「保育士の賃金改善については、自治体間競争ではなく、国の責任において進めるべきものと考えている」との答弁がありましたが、「こどもまんなか社会」の実現を公約に4選を果たした鈴木市政において、保育士不足対策に必要不可欠な賃金改善を、国に丸投げすることがあって良いのでしょうか。保育士不足対策のために、賃金改善を含めた、より一層の処遇改善策の実施を強く求めます。
【子どもの居場所について】
藤沢市の子ども施策の中でもっとも大切な事業は、市内に多くの児童館や地域子どもの家が設置されていることです。幅広い年齢の子どもや親子が気軽にいつでも利用でき、藤沢が「子育てしやすいまち」として紹介される際のセールスポイントにもなってきたと思います。
中には建物の老朽化が進んでいるものもあり、今後の存続を心配する保護者の方の声が聞かれるようになりました。藤沢の子どもたちにとって児童館や地域子どもの家はとても大切な場所だと考えます。ぜひ今後も夢のある、ワクワクドキドキする場所として充実させてください。
本来はすべての小学校区に児童館または地域子どもの家が設置される計画でしたが、これは様々な理由で実現できていません。これをおぎなうものとして、児童館や地域子どもの家の未設置の小学校区には、「放課後子ども教室」の設置が進められてきました。
しかし亀井野や小糸のような常設型であればいざしらず、週に1~2回、しかも放課後の限られた時間、学校施設を一時的に開放するような場合は、「放課後教室」とは名ばかりで、似て非なるものだと私たちは指摘してきました。そもそも学校の教室不足が深刻になっている藤沢では、児童数の減少しつつある地域のような「空き教室」などほとんどなく、地方のモデルにならった「放課後子ども教室」の設置は非現実的です。
放課後子ども教室を設置するとしても、鎌倉のように近隣の公共施設を利用するか、あるいは基本に立ち返って児童館や地域子どもの家を新設することも考えるべきと指摘させていただきます。
いま「フリースクール」や「子ども食堂」など、様々な「子どもの居場所」が生まれています。障害のある子どものための「放課後デイ」も増えました。もちろんこれらは大切なことですが、中にはその運営に疑問があり、トラブルが起きた事例も耳にします。
市が運営しているものではないため難しいことは承知していますが、子どもの居場所である以上、一定の信頼がおけるものでなければならないはずです。難しい課題とは思いますが、これらの実態については何らかの形で把握をしてくださるよう要望します。
【精神障害の課題について】
2016年に藤沢市の教職員を対象に実施された「ヤングケアラー調査」でもっとも顕著だったのは、「精神障害のある親を持つ子ども」の存在でした。しかし、このような課題に、私たちはほとんど気づかずに来たのではないでしょうか。
精神障害者の家族会もありますが、家族会のメンバーは大半が「親」であり、子どもの立場からは自由に発言ができないとの声も少なくありません。そのため、いま「こどもぴあ」などの子どもの会の活動が重要と考えられています。
ぜひ、当事者の集まりやピアカウンセリングなどの支援にとりくんでくださいるよう要望します。
藤沢市の精神保健福祉手帳、または自立支援医療証の保持者は7,000人を越えています。つまり、藤沢市民の約60人にひとりが精神保健福祉手帳を持っているか、精神科の病院やクリニックに通院しているということです。精神障害の手帳を取ることには心理的な抵抗もあるはずですから、実際に精神疾患を抱える方はもっと多いはずです。いまや厚生労働省は、精神疾患を癌や心筋梗塞などと並ぶ「5大国民病のひとつ」と位置づけるようにさえなりました。
しかし、そのような認識は、私たちの社会にはまだほとんどありません。市議会が策定を進めている「ケアラー支援条例」に関する意見聴取の際、障害者家族会や自閉症児者親の会の皆さんから、こんな厳しい指摘がありました。「ひとりで抱えないでSOSを出して良いのだ、と言うのなら、まず差別をなくしてほしい」「SOSを出さないのではない。差別があるから出せないのだ。」というのです。重い指摘だったと思います。
神奈川でもつい最近、横浜や川崎で精神障害者のグループホームを建設しようとしたところ、地域から強い反対運動が起きたことがありました。これと同じことが藤沢でも起きないと言えるでしょうか。
精神障害について、まだまだ社会的な理解が進んでいるとは言えません。ぜひ、引き続き啓発に取り組んでくださるようお願いします。
【依存症について】
精神疾患とならんでいまだ社会的な理解が進んでいないものに、アルコールやギャンブル、薬物などの「依存症」があります。これらは厚生労働省も法務省も「処罰ではなく治療が必要な疾病」としているにもかかわらず、理解は進んでおらず、そのことがまた治療を遠ざけるという悪循環を生んでいます。
また依存症の啓発のスローガンとして、「ダメ。ゼッタイ。」がいまだに使われます。しかし、このスローガンには多くの問題が指摘されています。ぜひ、依存症に対する社会的な理解を広めるとともに、依存症からの回復を支援する立場で、引き続き啓発をお願いします。
【休日・夜間急病診療所について】
休日・夜間急病診療所については、感染症が蔓延し、患者が急増した際には現状の体制では不十分なことが明らかになりました。今後も、パンデミックの発生が想定されますので、施設規模や医師の働き方改革による医師不足など、新たな課題に対応するため一次救急医療体制の見直しを要望します。
【技能者の育成について】
近年多くの中小企業では、技能者の後継者不足が深刻な問題となっています。また地域経済を支えるものづくり産業においても、技能の継承については大きな課題となっております。
その中で子供達などを対象とした科学教室や、ものづくりの体験型事業を実施している市内企業と積極的に連携するなど、様々な機会を通じて、ものづくりの魅力や大切さを子供や若者に身近に感じていただけるように技能者育成や技能振興に努めて頂き、将来の職業選択のきっかけとなるように引き続き取り組んで頂きたいと思います。
【ラストワンマイルについて】
藤沢市都市交通計画の基本方針を掲げている、健康・幸福につながる外出促進において余暇活動や社会参加を促進する交通体系の充実・高度化とあります。また日々の日常生活を支える交通網の維持・強化、外出の促進につながる施策であるラストワンマイルの交通手段の拡充の推進をお願いいたします。
加えていずみ野線延伸について検討業務委託を毎年行っているとお聞きしました。その中都市拠点に位置づけられている健康と文化の森地区においてまちづくりの支援などの検証を踏まえ、いずみ野線延伸建設に向け対応をお願いいたします。
【下水道の耐震化について】
元旦の能登半島地震では下水道施設が史上最大級の被害を受けました。本市においても、下水道施設の耐震化は時間がかかると理解できるものの、その影響が大きいことを考えると、少しでも早く実現してほしいと考えます。
令和5年度に耐震診断を行ったポンプ場5箇所のうち、4箇所が耐震性能を不足している状況でした。災害の際の市民の生活を守るため、市民の命を守るため、下水道施設の災害対策は必要です。予算の確保を含めた実施設計の準備を進め、早期の対策を求めます。
【防火水槽の耐震化について】
現在、市内には約2,200基の防火水槽が設置されており、このうち約3割はまだ耐震性を有していないとのこと、弥勒寺4丁目の御幣下公園の防火水槽はその一つです。ここの耐震性防火水槽設置工事に伴う地質調査について、設置可能な状況であることが確認されたとのことでした。
弥勒寺4丁目およびその周辺は、消防水利などを充実すべき地域と認識しています。引き続きご答弁にありましたように、御幣下公園の防火水槽を含め、全防火水槽の耐震化に向けた補強等の改修を進めていただきたいと思います。
【教職員不足について】
先日の本会議答弁で、川口教育部長は学校の状況について、「近い将来、公教育の維持自体が困難となることも懸念される」という深刻な認識を答弁されました。しかし私たちは、すでに「公教育の崩壊が始まっている」とさえ思っています。
実際、いま学校現場では教職員の「欠員」どころか「未配置」という、たいへんな状況が生まれています。ある大学生は、母校において、数学の先生が技術を、保健体育の先生が英語を教えるケースがある現状を知り、教育実習の選択をためらう声も出てきています。
もちろんこのような「学校崩壊」とも言うべき状況は全国で生じているわけですから、藤沢市教育委員会だけでどうにかなるものとは思いません。ところが歴代総理の所信表明演説を聴いても、そこには学校教育の危機的な状況に対する言及はほとんどありません。
政府や文科省、中央教育審議会に強く危機感を伝え、抜本的な対策を求めてくださるよう要望します。
【教室不足について】
児童生徒数の増加にともない、一部の学校では深刻な教室不足の「綱渡り」状態が続いています。
学区の見直しはもちろん必要ですが、抜本的には小学校の新設、あるいは期限を定めた分校の設置なども選択肢から排除すべきではありません。通学区域の見直しと合わせ、ぜひ抜本的な対策を要望します。
【学校プールの集約化について】
一部の学校のプールについて、近隣の公営プールや民間施設を利用する取り組みが始まりました。実際に利用してみた学校からは、メリットもデメリットもあるという声を聴きます。ぜひ現場の声をふまえて、今後のあり方を検討してくださるようお願いします。
【学校の安全について】
先般、市内の学校で児童生徒が在校している時間に、不審な男が校舎内に侵入するという事件が起きました。幸い、先生たちの適切な対応によって何もなく終わりました。しかし、これは重大なインシデントと捉えるべきだと思います。
この夏、校長先生や教頭先生たちの研修会で、大阪教育大学池田小学校事件の関係者を招いて学校の安全対策について学ばれたとうかがいました。池田小学校事件と大川小学校事件は学校の防犯と防災の原点だと思います。
「開かれた学校」とは、けっして「誰でもが自由に入れる学校」という意味ではないはずです。あらためて学校の安全対策について、池田小学校事件を過去のものとすることなく、引き続き緊張感を持って取り組まれるよう要望します。
【教職員対応要領について】
藤沢市の「障害の有無にかかわらず共に学ぶ教育」の実践については、全国的にも先進的な自治体のひとつとして高い評価を得ていると思います。ただ、そうした中でも「遠足等の学校行事に保護者の付き添いを求めた」「障害のある生徒の体育の評価を1にした」などという事例があったことも聞こえてきます。
もちろん教職員の皆さんの多忙や欠員・未配置、経験の少ない若い教職員の増加など、学校現場の困難な状況は理解していますが、「教職員対応要領」が策定されてから時間が経過し、その内容の理解が薄れてきたこともひとつの要因ではないでしょうか。あらためて対応要領や、藤沢の支援教育の理念の周知を要望します。
【介助員予算の増額について】
白浜養護学校の児童生徒数は過去最多を更新していますが、市内小中学校における特別支援学級の児童生徒数も過去最多を更新しています。また、普通級における特別な支援を必要とする児童生徒数も増加し、教員不足が深刻化する中、介助員はインクルーシブ教育の推進に無くてはならない存在になっています。
そうした状況下で、昨年、市内の特別支援学級の保護者が鈴木市長に面会し、賛同者の署名簿と共に、介助員派遣事業に係る予算増額の要望書を手渡しました。保護者からは、予算の都合により、学校によっては、年間を通じて十分な介助員の人数や時間数が確保できていない現状が訴えられました。
教育委員会は、毎年2回実施される執行状況調査に基づく介助員時間数の調整により、各校で必要とされる介助員は足りているとの立場ですが、まずは保護者からの声を真摯に受け止め、特別な支援を必要とする児童生徒が、安全・安心に通学できる環境をより一層整備すべきではないでしょうか。そのために必要な介助員派遣事業に係る予算増額を求めます。
【コミュニティスクールについて】
いわゆる「コミュニティスクール」の取り組みが拡大していますが、先日子ども文教常任委員会に報告された藤沢市教育振興基本計画には「『地域とともにある学校づくり』や『学校を核とした地域づくり』を進めるため、コミュニティ・スクールと地域学校共同活動を一体的に推進する」と記載されています。
これは「地域の声を学校に反映させる」というだけでなく、子どものことを学校だけに委ねるのではなく「地域全体で地域の子どもたちを育てる」という双方向の意味であるはずです。
あらためて、そのような立場を確認させていただきたいと思います。
【学校と地域の連携課題について】
教育振興基本計画には「多くの人や団体が教育に関わることのできる環境を整え」という表現があります。しかし学校は教育関係の法律や規則、学習指導要領や部活動ガイドライン、池田小学校事件をふまえて改定された学校施設整備指針などの、いわば「ルール」に従って運営されています。
ですから、これらの「ルール」をふまえていただけない場合は、公教育に関与していただくことが適切ではない場合もあるのではないでしょうか。
学校が外部の団体や個人と連携するに際しては、十分な見極めや、学校のルールを理解していただくなどを前提としてくださるよう、要望します。
【学校運営協議会について】
公立学校には政治的中立が求められるわけですが、学校運営協議会のメンバーの選定に際しても、この点は守られる必要があると思います。
以前の子ども文教常任委員会の答弁で、「議員が学校運営協議会の委員となることは適切ではない」とご答弁がありましたが、この点は重要なことと指摘させていただきます。
【図書館運営について】
図書館費については、市民のニーズに応えるよう拡充すること。また、図書館については、全国的に官製ワーキングプア問題を助長していると指摘されています。本市においては、そのようなことがないよう、業務の責任と量に見合った処遇になるよう求めます。
以上、様々な要望を申し上げました。市長、理事者、職員の皆様におかれましては、来年度の予算編成に活かしていただきますようお願いを申し上げ、全ての決算議案に対する民主クラブの賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
※採決
認定第1号 令和5年度藤沢市一般会計歳入歳出決算の認定について
※この認定議案は、共産党、アクティブ藤沢が反対しましたが、賛成多数で認定されました。
認定第2号 令和5年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第4号 令和5年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第5号 令和5年度藤沢市介護保険事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第6号 令和5年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
※上記4認定議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で認定されました。
認定第3号 令和5年度藤沢市墓園事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第7号 令和5年度藤沢市民病院事業会計決算の認定について
※上記2認定議案は、全会一致で認定されました。
議案第35号 令和5年度藤沢市下水道事業費特別会計剰余金の処分及び決算の認定について
※この議案は、共産党とアクティブ藤沢が反対しましたが、賛成多数で可決及び認定されました。
【追加議案】
議会議案第1号 女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書について
この議案は、総務常任委員会に付託された陳情が趣旨了承となったため、国会及び政府に意見書を提出するものです。
※この議案は、市民クラブは、西議員が賛成、西議員以外が反対、自由民主無所属の会が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議会議案第2号 厚生年金への地方議会議員の加入を求める意見書について
この議案は、市民クラブの佐賀議員(会派代表)、民主クラブの大矢議員(会派代表)、自由民主無所属の会の佐野議員が提案して、国会及び政府に意見書を提出するものです。
※この議案は、共産党と湘南維新の会が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
※以上をもって、藤沢市議会9月定例会が閉会となりました。
※以上、報告とします。