3月1日 10:10より、藤沢市議会2月定例会(3日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
議案第86号 市道の認定について(鵠沼932号線ほか5路線)
議案第87号 市道の廃止について(本鵠沼482-1号線)
議案第94号 藤沢市公有地の拡大の推進に関する法律施行令第3条第3項ただし書の規模を定める条例の廃止について
議案第97号 藤沢都市計画公園条例の一部改正について
議案第107号 藤沢市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部改正について
※上記5議案は、全会一致で可決されました。
議案第95号 藤沢都市計画事業北部第二(三地区)土地区画整理事業施行条例の一部改正について
※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第101号 藤沢市国民健康保険条例の一部改正について
議案第103号 藤沢市指定居宅介護支援等の基準に関する条例の制定について
※上記2議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第110号 藤沢市民病院事業に係る公営企業の設置等に関する条例の一部改正について
※この議案は、全会一致で可決されました。
議案第88号 藤沢市個人情報の保護に関する条例の一部改正について
※この議案は、全会一致で可決されました。
議案第91号 藤沢市一般職員の給与に関する条例等の一部改正について
※この議案は、市民派クラブが反対、市民クラブの堺議員が退席しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第111号 平成29年度藤沢市一般会計補正予算(第7号)
※この議案は、共産党と市民派クラブが反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第112号 平成29年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第114号 平成29年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計補正予算(第2号)
議案第115号 平成29年度藤沢市柄沢特定土地区画整理事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第117号 平成29年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第118号 平成29年度藤沢市下水道事業費特別会計補正予算(第2号)
※上記5議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第113号 平成29年度藤沢市墓園事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第116号 平成29年度藤沢市介護保険事業費特別会計補正予算(第2号)
議案第119号 平成29年度藤沢市市民病院事業会計補正予算(第2号)
※上記3議案は、全会一致で可決されました。
ここから、平成30年度一般会計予算ほか16議案に対する代表質問
※なお、代表質問については、私が所属する「民主クラブ」の質疑は質問~答弁の概要を掲載し、その他の代表質問は、件名・要旨等、概要のみ掲載することとします(答弁は割愛)。
1. 佐藤春雄議員 【市民クラブ藤沢 質問時間90分】
(1)市長の政治姿勢について
① 平成30年度の市政運営について
・藤沢市の都市力の解釈
・他市と比べた藤沢市の優位性と劣位性
・善行の土地問題について、原状回復に向けた具体的対策の状況
・藤沢市の厳しい財政状況について、市民への説明と共有の考え
・行財政改革の検証と全事務事業の見直し状況
・ふじさわ教育大綱の効果と実績、課題と来年度の取組
・職員力の向上に向けた考え方
・平成30年度事業の優先順位の基準の考え方
・事業費を圧縮した具体的事業
・一声ふれあい収集の状況と今後の考え方
・藤沢3大谷戸の魅力の情報発信の状況
・認知症対策について、まちづくりの視点からの取組の考え方
・子どもの貧困に関する来年度の取組
・高齢者等の移動支援について、善行・六会地区のバス・タクシーの成果と評価、広域連携の考え方
・保育ニーズへの対応について、中長期的な視野にたった対策の考え方
・放課後児童クラブ以外の放課後の居場所の考え方
・放課後児童クラブの小学校敷地内・余裕教室の活用の考え方
・健康寿命日本一をめざすリーディングプロジェクトの具体的進め方
・健康寿命日本一に向けて、ヘルスケア・ニューフロンティア、がん対策における県との連携
・都市農業の持続発展に向けた後継者対策
・水田の保全について、委託する法人の組織化等について
・藤沢市の農業振興策の考え方
・コンパクトシティの実現に向けた、長期的視点での計画的なまちづくりの考え方
・商業政策について、市内事業者がやる気を持ち、事業継続するための考え方
・買い物難民の課題について、商店街と連携した対策の考え方
・観光シティプロモーションについて、東京2020オリンピックを見据えた、海や海岸の利活用の考え方
・ナイトタイムエコノミーの取組の考え方
・相鉄いずみ野線延伸について、現状と今後の考え方
・村岡新駅周辺地区の拠点整備について、事業実現の考え方
・大規模災害に向けた消防局の考え方
・今後の社会環境の変化に対応する救急についての考え方
・小学校のICT環境の整備について、現状と今後の進め方
・通学路の安全対策の現状と課題
・スクールガードリーダーの現在の配置状況と今後の方向性
・学区の見直しによる統廃合の考え方
・学校ごとの防災計画の考え方
・スポーツ振興について、体育協会、各種目協会に対する支援の考え方
・市民会館と南市民図書館の再整備の具体策
2. 柳田秀憲議員 【民主クラブ 質問時間80分】
(1)市長の政治姿勢について
① 市政運営の総合指針と行財政改革について
「市政運営の総合指針2020」について述べたいと思います。
総合指針は「基本方針」と「重点方針」で構成されており、今回は重点方針にある「マルチパートナーシップ」について述べます。
マルチパートナーシップとは、市民・市民団体、教育機関、行政機関、企業等の民間機関の主体的な取組と役割を相互に認め尊重し「協働」するものと説明されています。まちづくりを行う場合、多様な主体の参加がのぞまれますので、市長が掲げるマルチパートナーシップという考え方には賛同いたします。その際、市の計画づくりや事業の実施に市民が参加する際の道しるべになるものが必要になると考えます。
そこで考えられるのが「自治基本条例」です。情報公開のあり方、「住民投票」に代表される「住民参加の保障」など、自治体運営の根本原則を定めるものであります。新たに条例をつくる場合はまず「立法事実」は何か、が問われます。なぜ、今、そのような条例が必要なのか。条例という手段をとらなければ実現出来ない課題なのか、ほかに方法はないのか。何らかの課題が生じたら対策のための条例をつくろう、と思いつきますけれど、行政の裁量を羈束し、市民の権利・義務にも影響が及ぶとなれば、できるだけ条例という手段を使うべきではないという意見もあります。
そうした意見も理解できますが、やはり自治体の課題解決の手段として条例は最も有効なものであり、自治基本条例については、とりわけ「市民の市政への参加」のあり方を規定するものです。マルチパートナーシップを掲げる本市においては、自治基本条例の制定を検討するべきである、と最初に申し上げます。
そして、市民参加の際には、行政と市民との「合意形成」の手法が重要になってきます。計画策定や事業をおこなう際、どのような合意形成手法を採るべきか。まず、審議会のような会議体を設置する、という手法が考えられます。その際は、会議体のメンバー構成が重要になります。その計画や事業についての利害関係者=ステークホルダーは外せません。政策に通じた有識者も必要でしょうし、民主性を確保するためには例えば公募市民の参加も望まれますが、公募市民をはじめ参加人数が増えると、合意に至る道筋は複雑かつ困難になります。
その際に必要になるのが、会議の進行役たるファシリテーターです。住民参加の会議体については、専門のファシリテーターが入り会議を司る例が少なくありません。ファシリテーターを依頼すると当然費用がかかりますが、会議への参加人数が多ければ多いほど民主性が高まるのは明らかで、参加人数が増えると時間や費用がかかる、といった理由から避けるのは誤りです。例え人数が増えても当事者がもれなく参加する会議を設置するべきです。要するに「急がば回れ」です。
そして、会議の検討状況の公開も重要な要素です。さらには、審議に必要な情報が十分提供されなければならないのも当然です。このように、市民参加と合意形成の手法は対で考えなければならないものですが、本市の状況は十分とは言えない、というのが私の見たところです。たとえば、何度も議会陳情が出された、辻堂市民センターの建て替えについてです。
会議の参加者について、ステークホルダーに漏れはなかったか。公募市民の参加はどうか。会議の公開状況は十分と言えたか。
そうした課題の中でも、最も私の印象に残ったのは一級建築士の方から当該計画に疑義が出されたことでした。建築の専門家の目から見て合理性に欠ける、ということであり、対して、市側は地元住民を中心に民主的手続きを経て策定されたとして、計画の妥当性を主張し、結果的に議会では陳情は趣旨不了承となりました。
私は地元住民らで構成された会議体の決定を尊重し陳情は趣旨不了承としましたが、陳情者の主張も説得的だとは感じました。ここで私が必要だったと思うのは、専門家の意見です。計画について専門家から疑義が出たのに対し、別の第三者の専門家からのお墨付きがあれば、また展開は違ったのではないかと思います。具体的には、技術士に意見をもらうことが考えられます。公益社団法人の日本技術士会に技術士の派遣を要請し、計画の妥当性について審査してもらい、指摘事項があれば計画に反映する、そうしたことも出来たのではないでしょうか。このような手続きを踏むことで、計画の正当性は高まったと思います。
これからの藤沢市のまちづくりにおいては、市民参加が不可欠であり、市民の市政への参加の保障を市の条例により明確に位置づける必要があると考えます。そして、その際には市民と行政との合意形成のあり方が問われますので、藤沢市としての住民合意形成の手法を確立する必要がある、ということであります。
★最初の質問は、総合計画の廃止と総合指針についてです。
鈴木市長が就任した後、前市政で策定された総合計画を廃止しましたが、前総合計画は市民の意見を反映する手法の一つとして、討論型世論調査、英語でデリバラティブ・ポーリングdeliberative polling頭文字をとって「DP」と言われるものが用いられたものでした。市内有権者から無作為抽出で3,000人に世論調査を実施し、その中から参加者を募り、2回の開催でそれぞれ258人、161人の参加者を集め藤沢の現状と今後について討論されました。一般的な会議による合意形成手法では参加人数は限られてしまいますので、会議形式の合意形成を補完するものとしてDPは位置づけられ、より平均的な市民の意見に近づくことができる手法だと言え、市民の意見を市政に反映するには優れた手法であったと思います。
★そこで、質問します。このようにして策定された総合計画に代えて総合指針の策定に至った経緯についてお聞きします。また、この間の総合指針による市政運営の評価と検証について、伺います。
【答弁 渡辺企画政策部長】
まず,総合計画に替えて総合指針策定に至った経緯についてでございますが,総合計画は,策定に多くの時間と労力,経費がかかること,市の事業を総花的に位置づけているため,重要,緊急な取組みが見えづらくなっていること,多くの事業を位置づけた長期間の計画であったため,実施に当たって財政上の担保が十分にできない状況となっていること,などの課題がございました。
これらを解決するにあたり,総合計画のあり方,仕組み自体を見直し,その結果,総合計画に替わる新たな仕組みとして,長期的な視点に立ちつつ,市民ニーズに基づいた課題の緊急性,重要性を踏まえ,重点的かつ確実に実施する施策を位置づけた「藤沢市市政運営の総合指針2016」を策定したものであります。
次に,総合指針による市政運営の評価と検証についてお答えいたします。
総合指針における重点施策については,指標を設定し,市民生活に関する意識調査により評価を行い,重点事業については,事務事業評価と連動して評価を実施することで,事業の効率性を高め,適切な改善を図るとともに,確実な進捗管理を行っております。
また,現行の「藤沢市市政運営の総合指針2020」については,これまでの取組と評価,様々なご意見等を踏まえ,「総合指針2016」を改定したもので,評価手法についても継承することとしたところでございます。
【引き続き質問】
次に、行財政改革2020基本方針について、です。
施政方針の中で、市長は総合指針2020と行革2020は市政運営の車の両輪である、と仰っています。一般に、総合計画は市のめざす姿を述べるもので、他方、行革プランは「現実」で、場合によっては削減・縮小をおこなう手段ともなります。
★そこで、質問です。本市の行財政改革基本方針および実行プランについて、PDCAサイクルの各段階における市民参加の状況をおききします。また、合意形成をはかる会議体のあり方など、今後の取組みはどのようなものでしょうか。PDCAのなかでも、とりわけ評価については、サービスの受け手である市民による評価が欠かせないと考えます。
★市の所見を伺います。
【答弁 黒岩総務部長】
本市の行財政改革の推進における,市民参画の現状と,平成30年度以降の取組についてお答えします。
本市の「藤沢市行財政改革2020基本方針」と「藤沢市行財政改革2020実行プラン」の策定に当たりましては,「藤沢市行財政改革協議会」において,行政が作成した素案に対しまして,ご意見をいただき,併せてパブリックコメントによる,ご意見も参考にしながら策定いたしました。この「藤沢市行財政改革協議会」は市民公募委員と学識経験者によって構成されている協議会で,本市の行財政改革にかかる方針,計画等の策定に関する事項などについて,市民の立場,有識者の立場から,通年で,ご意見をいただいております。また,行財政改革の進行管理につきましても,進行状況の確認やご意見をいただき,その内容をもとに新たな取組等を行財政改革2020実行プランに反映することとしております。
この他,「同協議会」には行政評価の一環として,本市の事務事業を外部の視点から評価する「外部評価」と,外部評価を実施した事務事業の中から,一部の事務事業を取り出し,より多くの市民の皆さんに参加していただくことを目的とした,「カイゼンふじさわ」を実施していただいております。その結果については「実施結果報告書」としてまとめられており,その報告に対する市の今後の対応方針については,「市の方針の概要」として公表し,市民参画の現状が明らかになるよう,努めております。
平成30年度につきましては,引き続き本市の行財政改革について「藤沢市行財政改革協議会」や,「カイゼンふじさわ」での議論などを通じて,また,ホームページなど様々な媒体を通した情報提供と,市民の方々からいただくご意見をもとに,双方向の取組として市民参画を推進してまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
② 文化について
(仮称)藤沢市文化芸術振興計画の素案は、2014年〜2016年にかけて、学識経験者を中心に構成された「藤沢市文化芸術検討委員会」の提言を受け、行政内部で策定されたものです。
元になった提言をつくった検討委員会は、委員長は元文化庁長官で、この方は藤沢在住とのことです。市の文化芸術振興を網羅する計画策定の代表者として、これ以上の方は望めないのではないかと思います。以下、学識者や市民オーケストラの団長など、各分野を代表するメンバーで構成されており、頼もしいと感じます。そうした錚々たるメンバーを集めて検討された委員会にも関わらず、計画策定に向けて市民の気運を高める動きはなく、むしろ「ひっそりと」策定されたようにすら感じ、残念に思いますが、一方で仕方ないと感じる面もあります。それは、市の文化の中心となる市民会館の再整備問題に決着がつかない中で取り組まざるを得ないスケジュールだったからです。
ここで、市民会館の再整備について伺いたいと思います。
市の代表的な文化事業として市民オペラがあげられます。市民オペラについては、このほど抜本的に事業を見直し3年サイクルとし、オペラ入門のような気軽にオペラの世界に触れられる優れた企画も続けており、さらなる発展が期待できると言いたいところですが、肝心の市民会館の老朽化が足を引っ張っていると感じます。
市の文化芸術振興策を考える上で、まず市民会館のあり方に決着をつけないと前に進まないのではないでしょうか。それに、仮に今、建て替えを決めても、できあがるのは10年後くらいではないかと思います。この新庁舎も、供用開始まで7年近くを要しています。市民会館の建て替えは、それ以上の月日が必要なのは間違いありません。庁舎と異なり設計も複雑になりますし、何よりも計画策定での市民参加が求められます。というのも、市民会館は運営のあり方が施設のあり方に直結するからです。新しいホールは、市民オペラに代表される「創造」の場とするのか、または、いわゆる「買い公演」のような市民への鑑賞機会の提供を中心とするのか、あるいは市民の発表の場なのか。
そして、施設の運営は出来るだけ市民参加で行うべきだと私は考えていますが、その場合は参加者の育成が必要になります。催しの際のお手伝いのみならず、自主事業の企画から市民参加で行っている例もあり、文化事業への参加意欲が高い藤沢なら可能だし是非行うべきだと思います。建て替えるにせよ、大規模修繕にせよ、数年から10年かかることを考えると、市民参加のホール運営を構想し準備する時間は十分にあります。
★そこで、市民会館の質問の一点目、再整備の状況について伺います。二点目は、方向性についてです。創造か、鑑賞機会の提供か、発表の場か、あるいはその全てか。所見を伺います。
【答弁 秋山生涯学習部長】
市民会館につきましては,市民オペラや優れた演奏家による公演をはじめ,市民のみなさんの発表会など幅広い層の方々にご利用をいただいております。しかしながら,施設の老朽化や機能の劣化が進んでおりますので,今年度に実施をいたしました建物調査の結果を踏まえ,再整備手法の検討を進め,早期にまとめてまいりたいと考えております。
再整備にあたりましては,その規模や機能などに対するご意見,ご要望などを市民の方や利用団体にお伺いするとともに,本市でこれまで創造されてきた文化を継承する施設となるよう検討してまいります。
【引き続き質問】
次に、文化芸術振興計画と条例についてです。
今後5年間、計画を実施するには500億円の財源不足になるという推計が出される中では、何をやるにも「財源がない」「人を増やせない」という閉塞感が漂い、とりわけ必需的とは言えない文化政策までは「とてもじゃないが手が回らない」というようにも見えます。
しかし、藤沢市の魅力を高める上で、切り札となるのが文化芸術の力である、と考えます。文化芸術をまちづくりに生かしていく、という考え方自体は昔からありますが、近年は「創造都市」という言葉がよく聞かれるようになってきました。端的に言えば、音楽やアートによりまちのブランド力を高め経済への波及効果を期待する、あるいは、衰退した地域を再活性化し魅力を取り戻し、市民の誇りを醸成するというものです。横浜市はその代表格です。都市間競争が叫ばれる中で、横浜市は「デザイナーなどクリエイティブな仕事に就く人びとが住みたいと思うようなまち」をめざす、と非常に分かりやすいコンセプトを掲げています。
翻って藤沢市において、そのような動きは見られません。文化芸術の政策については、まず創造、そして普及・育成、伝統文化でいえば保存継承、そして住民への芸術鑑賞の機会の提供、が柱になるかと思いますが、都市間競争まで射程に入れると、横浜市のような「創造都市」、つまり経済振興・観光振興にまで視野を広げた施策展開がもとめられます。藤沢市においても、文化をまちづくりの柱にするべきだと考えます。
★そこで質問です。一点目は、文化芸術振興の方向性について、素案の策定経過とあわせて伺います。
★二点目は、条例についてです。計画策定と併せて文化芸術の振興に係る条例が必要だと考えます。事実、検討委員会でもそのような指摘が出されていたかと思います。所見を伺います。
【答弁 秋山生涯学習部長】
文化芸術振興計画の策定経過についてでございますが、本計画につきましては,学識経験者や市内文化団体,公募市民等により構成された「藤沢市文化芸術振興計画等検討委員会」でご議論をいただいた内容を基本として策定いたしました。
二点目の条例化につきましては,十分な市民レベルでの議論,気運の盛り上がり等が重要となりますので,中長期的な課題として取り組んでいきたいと考えており,まずは計画の策定によって,市民への文化芸術振興の可視化を図り,気運の高まりに繋げていきたいと考えております。
【引き続き質問】
次に、美術の分野について、述べます。
ご存じの通り、藤沢市には美術館・博物館はありません。あれば良いな、と私は思いますし、市民会館の建て替え・大規模修繕に際しては、いわゆる収蔵施設としての美術館というより、展示施設・ギャラリーを併設するのもよいだろうと思います。そうした検討も、今後行われるのかもしれません。期待したいところです。
とはいえ、美術事業は美術館がなければ出来ないか、と言えば、そんなこともないでしょう。今、各地で野外美術展が活発に展開されています。代表格は、新潟県十日町市の大地の芸術祭かと思います。この成功の秘訣は何か、と言うと、当時の平山新潟県知事の先見の明もあるでしょうし、総合ディレクターを務める北川フラム氏の力量があってのことだと思いますが、最大の理由は、そこにあるものを使った、ということだと思います。それは市民の協力と、もとからある土地の素材です。その結果、市全体が美術館になったわけです。
そう考えると、藤沢も野外美術展が開催できる要素が揃っていると感じます。場所については、まずこの市役所前の広場がありますし、今は工事中ですけど北口の広場。先ほど述べた市民会館前の広場があり、市内各駅前にもスペースがあり、公園など、いくらでも展開できそうです。美術に親しむ市民の協力も期待できるのではないでしょうか。
また、野外アートは、何がよいかと言えば常に目に入ることです。それゆえ、批判も招くことにもなります。現代アートは、好き嫌いがハッキリ分かれるものですから。その上で言うと、入館料が不要あるいは安価な野外アート展覧会は施設が不要で、展覧会に向けて美術品を購入するにしても、施設の中のものと比較して、より多くの人が見ることができると考えれば費用対効果が高いと思います。
★そこで質問です。パブリックアートの設置、あるいは野外美術展を市の美術事業として展開してはいかがでしょうか。これは観光事業としても有望かと思います。実際、各地に成功事例があります。所見を伺います。
【答弁 秋山生涯学習部長】
パブリックアートや野外アート展についてでございます。
公共的な空間に芸術作品を設置する,いわゆるパブリックアートにつきましては,本庁舎内の桑(くわ)山賀(やまが)行(こう)氏の作品である「我が家のソクラテス」をはじめ,藤沢駅周辺にも多くの作品が設置されており,市民にとっての身近な芸術作品として,まちの魅力を高めているものと考えております。
今後においては,本市に点在しているパブリックアートについて,市民の方々へのご紹介等をあらためて行ってまいります。
また,野外アート展につきましては,公園,広場など多くの方々の目にふれる場所で実施するため,その効果は高いと考えております。しかしながら,本市で平成27年度に実施した,アートスペースの企画展において,神台(かんだい)公園を利用した経過がございますが,作品の管理面や展覧会場の安全面などに多くの課題がございました。このため,野外アート展の実施にあたっては,他市等における実施手法なども参考としながら,研究してまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
文化の最後は、図書館のあり方について、4つの機能から述べたいと思います。
図書館については、各地でユニークな取り組みが行われており、その中でも、佐賀県伊万里市の伊万里市民図書館の取り組みは、市民参加の図書館として全国的に名高いものです。
1986年当時、伊万里市には図書館がなく、子育て世代のお母さん達が図書館建設運動をはじめ、まず「図書館とは何か」を一から勉強しました。そして、市側もこの熱意に応え、図書館先進地のアメリカへの研修旅行に市民を派遣するなど市民参加の図書館のために全面的に協力しました。こうして、建設運動の方々の意見は設計にも取り入れられるまでになり、ついに1995年に図書館が出来ました。
建設運動を始めた方々は、「図書館友の会」=「図書館フレンズいまり」として今も活動を続けています。「図書館は伊万里市の誇り」と公言する市長も友の会の会員となっており、市民に大変親しまれている図書館であります。このように住民発意で図書館建設がスタートし、開館後もずっと運営に関わり続けるというのは、住民自治の一つの理想だと思います。
そして実は、藤沢市も立派に市民参加で図書館が運営されており、伊万里市の方も参考にするために藤沢市に視察に来たそうです。本市の図書館ボランティアの登録者数は600人を超えており、子どものための読み聞かせボランティア、障がい者や高齢者のための本の宅配ボランティア、点字図書館ボランティア、など多くの市民が関わっていいます。今後も、こうした市民のための市民による図書館であり続けて欲しいと願うところであります。
さて、先の市民会館の再整備と同様に南図書館の再整備も課題となっています。それに併せて、「これからの図書館検討会」が設置され、専門家と公募市民とで2年間にわたり検討が行われました。私は、これもPRが足りないと残念に思っています。というのも、この検討会のメンバーは図書館界の錚々たる方々が集まっていたからです。学識の先生を始め、図書館界で話題となった「つながる図書館」という本の著者の方も参加していました。そして、先に挙げた、伊万里市民図書館の設計者は、藤沢市在住で図書館に大変造詣が深い方であり、この方も検討会のメンバーでした。せっかくこのようなメンバーが集まったのですから、このままではもったいない。この検討会の皆さんによる講演、あるいはパネルディスカッションといった、「これからの図書館」を考えるシンポジウムをぜひ開催して頂きたいと思います。
従来の図書館は「住民に読書の機会を提供する」ことが最大の目的であり、これは今も変わらないでしょうが、昨今は「地域の課題解決に資する」ために、レファレンスサービス=調べ物支援、に力を注ぐことが求められています。これは図書館司書として高度な専門性が要求される分野であり、そのことを、図書館側ももっとアピールして欲しいと感じます。
先日、市議会改革検討会として、福岡市と広島県の呉市を視察してきました。両市とも先進的な取組みをしており、大いに刺激を受けたところであります。福岡市の視察内容は、議員提案の条例づくりについて、呉市は議会図書室についてです。呉市では、議会図書室と市政図書室を併設しており、政策づくりにおいて、議員だけでなく市の職員も使えるようにしていました。そして、そこに専任の司書を配置しており、図書館司書の方が議員の質問づくりに活躍しているとのことでした。これは、先にあげた伊万里市も同様です。議員も職員も、図書館で調べ、あるいはレファレンスサービスを活用し仕事に生かすということが定着している様子がうかがえます。
藤沢市図書館として、まずは議会を含め市行政にも、もっと図書館を活用するよう働きかけて欲しいと思います。藤沢市の職員は、呉市や伊万里市と異なり、図書館の価値を十分に理解していないと思われるからです。
つぎに、図書館は「ビジネス支援」も行っています。県立図書館、こちらは横浜と川崎の2館体制で、川崎の図書館は移転中で今は休館していますが、科学と産業に特化した図書館でビジネス支援室を設置して地域の製造業をサポートしています。中小事業所も海外向け製品を製造しており、その際に必要になる工業規格、これは各国で異なりますのでそれぞれに対応しなければなりません。
そこで川崎の図書館はアメリカやEUの工業規格の資料も取りそろえて対応しています。市レベルではビジネス支援はできないか、というとそんなことはなく、区立図書館でもビジネス支援を積極的に行っているところがあります。
そして、図書館は「本がある広場」と言えます。入館料がかからない、ということは重要で、何時間いても構わない。じっくりと新聞を読む、親子で絵本を読む、放課後の時間帯は学生が友だちと一緒に勉強していたりします。皆さん、思い思いに図書館で過ごしています。そして、南図書館の庭に卓球台が置いてあります。テスト勉強で利用しているような中学生が、気分転換か、卓球をしている姿をみると何かホッとします。図書館は、人びとの居場所として無くてはならないものです。
★図書館について、質問です。
昨年3月に提出された「これからの図書館検討委員会」の報告書をうけ、藤沢市の図書館のあり方について、どのようにあるべきか、また、今後の取組みについて伺います。
【答弁 秋山生涯学習部長】
これからの図書館のあり方や今後の取組につきましては,検討委員会のご意見を受けて,図書館が,貸出だけでなく,地域の知の拠点として,レファレンス機能の充実を図り,課題解決に役立つ図書館となることが重要だと考えております。今年度は,本庁舎の供用開始に合わせ,議会図書室とのレファレンス機能の連携についても検討を始めております。
加えて,図書館は,子どもから大人まで気軽に集う「居場所」としての機能も必要であると考えております。例えば,男性による絵本の読み聞かせの会を週末等に開催し,平日は来館が難しい働く世代の男性にも,図書館に親しんでいただけるよう努めております。
今後も「いつでも,どこでも,だれでも,なんでも」をモットーに,電子図書など新しい時代に合わせたサービスや利用方法の研究とともに,市民に役立つ図書館として積極的なサービスの展開に取り組んでまいります。
【引き続き質問】
南市民図書館は市民会館の再整備と併せて建て替えが検討されているようですが、市民会館はいつになるか分かりませんので、切り離して図書館の再整備をする必要があると考えます。現在は総合図書館の分館扱いですが、好立地で利用者も多く、また先ほど述べたように市行政や市議会との連携、ビジネス支援のような役割を期待する立場としては、拠点図書館としての機能が必要かと思います。所見を伺います。
【答弁 秋山生涯学習部長】
南市民図書館の再整備についてでございますが,開館から54年が経過し,施設や設備の老朽化が進むとともに,階段や段差などが多くバリアフリーに対応できていない状況でございます。
再整備にあたっては,公共施設再整備プランに基づき,今年度実施した市民会館の建物調査の結果を踏まえ,図書館行政に携わるボランティアの方々や,市民の皆様のご意見を幅広く伺いながら,本市南部の拠点図書館として,機能充実を含め検討してまいります。
【引き続き質問】
③ 都市計画について
都市計画においても、藤沢のまちづくりには文化的なものが必要だと考えます。それは、まちのアイデンティティに関わるからです。日本中、どこをとっても駅前の景色は同じで個性がない、と言われます。効率、経済性を重視すると似たようなものになってしまうのでしょうが、果たしてそれは持続可能なまちづくりと言えるでしょうか。
皆が同じ方を向き、結局、自治体間競争の中で体力勝負すなわち人口・経済規模が大きいところが残り、その他は置き去りにされてしまうと思います。そのようなまちづくりではなくて、そのまちらしさ、市民にとってアイデンティティになるような個性あるまちづくりが求められると考えます。
群馬県高崎市、ここは群馬交響楽団を擁する「音楽のまち」です。駅から出ると、エクステリアにはト音記号や音符があしらわれていますし、楽器をモチーフにしたオブジェも見られます。オーケストラがまちのアイデンティティになっている高崎らしい取組みです。また、選挙で活躍する「だるま」ですけど、だるまは8割が高崎でつくられているとのことですので、皆さんのだるまも高崎製じゃないでしょうか。その「だるま」をモチーフにしたパブリックアートもあり、高崎らしい街並みに一役買っているところです。
ということで、現在、再整備が進んでいる藤沢駅周辺地区も、まちのアイデンティティという視点で計画するべきだと考えます。それには、例えば、パブリックアートやモニュメントかもしれませんし、イメージカラーのようなものも良いと思います。また、市民の誰もが憩える場所、つまり広場ですが、こういう所にこそ、市民のシンボルになるようなパブリックアートが必要だと思います。渋谷駅の「ハチ公」の像を知らぬ人はいないかと思いますが、そういう場所は、例え藤沢を離れることになったとしても、広場で過ごした記憶はその人にずっと残ります。このような人びとの記憶や体験そのものが、まちのアイデンティティとなり、それこそが、市長のおっしゃる「郷土愛」につながっていくのではないでしょうか。
★そこで質問です。まちの顔となる藤沢駅周辺地区の再整備においては、市民が憩える場所という見地に立ち、パブリックアートによるアイデンティティの創出といった意図が必要かと考えます。所見を伺います。
【答弁 藤村都市整備部長】
藤沢駅周辺における文化的視点を持ったまちづくりについてお答えします。藤沢駅周辺地区では,再整備構想の中で「藤沢駅に降り立った際,湘南の玄関口として湘南を実感できる,また市民の愛着,ローカルアイデンティティへと繋がる都市空間・景観を形成すること」をめざす姿としており,これを踏まえて現在再整備事業を推進しております。
現在,工事を行っております北口デッキのリニューアルでは,デッキ全体が駅前のシンボルとなることを目指すとともに,北口デッキの建設当時からのシンボルである地下道の排気塔の更新を予定しております。また,南口駅前広場では再整備のあり方について,現在,検討組織で意見交換を行っておりますが,その中で「藤沢らしさ」や「藤沢への愛着」をどう感じさせるかということについて,歴史・文化的な観点や,湘南をイメージさせる観点など様々なご意見をいただいております。
藤沢駅周辺地区においては,にぎわいづくりをめざした再整備とともに,エリアマネジメントの導入による市民や事業者など多様な主体による様々な活動が行われていることが,まちのアイデンティティとなることを目指しております。そうした意味で,いただいたご意見などを踏まえながら,文化的視点も含め「藤沢らしさ」を,どのように整備し,育てていくのか,引き続き検討してまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
次に、北部地域の活性化について、です。藤沢のまちづくりを考える上で、北部の活性化も重要です。南部は、これから五輪も来ますし小田急や江ノ電などの資本が投下され、民間部門での投資も活発です。これに対して、北部においては、相鉄の延伸が控えている段階ではありますが、まず市の施設や市有地をもっと活用することが必要だと考えます。
12月定例会で、我が会派の清水議員が、市内にアイススケート場を誘致したらどうか、という趣旨の質問をしました。残念ながら市は全く考えていないようですけど、私は一考に値する提案だと思います。というのも、今後、いずみ野線が延伸するとすれば、秋葉台公園の位置づけは、現在とは異なってくるからです。新駅が出来ると交通利便性が高まり交流人口が増加し、秋葉台公園は地域の拠点になり得るわけで、であれば、秋葉台公園の広い敷地を生かした、何らかの集客施設を建設し、地域を活性化することをめざすべきです。
その際、例えばスケート場は、近隣他市にないユニークな施設で他市との差別化が図れ、藤沢のアイデンティティになるかもしれません。老若男女のスケートファンが集うでしょうし、親子で滑るのも楽しいでしょう。市内大学にアイスホッケーのチームが出来たり、有望なフィギュアスケートの選手が市内大学に在籍するようになるかもしれません。秋葉台がスケートの聖地になれば凄いことです。それに秋葉台の体育館は、建築界の世界的巨匠、槇文彦氏の作品であり、建築巡りのガイドブックにも掲載されるものです。藤沢のアイデンティティになり得る名作で、新たな集客施設が出来れば相乗効果が見込めると考えます。
また、「少年の森」も市の重要な財産でありまして、こちらも「子ども達の憧れの施設」になるくらい大胆に整備を図ることも検討するべきかと思います。例えば、ですが、オリンピック種目にBMXというものがあります。バイシクルモトクロス、の頭文字から分かるようにオートバイのオフロードレースを自転車に応用したものです。荒れた路面に、大きなジャンプ台などを交えたコースを競争するもので、こうした競技が出来る場所は多くないので、オリンピック選手が少年の森から生まれるかもしれません。用地を拡大し、何か、夢のある施設をつくっていただきたいと思います。
★質問は、市の既存の施設の拡充により、地域振興・活性化を見据えた施策展開をすべきかと思いますが、所見を伺います。
【答弁 石原計画建築部長】
北部地域の活性化についてお答えいたします。
「秋葉台公園」や「少年の森」につきましては,北部振興につながる施策の一つである,いずみ野線延伸の取組において,重要な施設であると捉えております。
このいずみ野線延伸の取組では,秋葉台公園の東側にA駅を想定しており,平成28年3月に「いずみ野線A駅周辺まちづくり基本計画」を策定いたしました。
基本計画の中では,まちの将来像を「秋葉台公園をまちの中心とした,にぎわいと落ち着きを兼ね備えた安全なまち」としており,地域振興並びに活性化の観点からも,秋葉台公園については,地域のシンボルとなるよう,より一層魅力ある運動公園として活用を図っていく必要があると考えております。
また,B駅の設置が想定されている健康と文化の森地区では,環境共生や超高齢社会に対応した質の高い拠点空間の形成をめざす上で,B駅周辺のまちづくりから連続する遠藤笹窪谷(やと),さらには少年の森等へとつながる魅力ある自然環境を活用することが将来のまちづくり,ひいては地域の振興において重要であると考えております。
今後も,これら拠点形成事業や鉄道延伸事業とともに,魅力あるまちの創造に向けて,地域の主要施設や自然環境等の資源を活かしながら,北部地域の活性化に取り組んでまいります。
【引き続き質問】
④ 環境について
私は、これまで、ごみ発電について何度か質問させて頂きました。それは、電力の地産地消と言う目標に対して、ごみ発電は有力な手段だからです。電力の地産地消をめざす理由としては、まず、地球温暖化の防止、限られた化石燃料の節約、というエコロジーの見地があげられます。次に、日本はエネルギーについては圧倒的な輸入超過であり、ものをつくってせっせと稼いだお金が、ごっそりとアラブの王族に持ち去られてしまう、という貿易の構造を是正したいという思いからでもあります。
プラスチックのリサイクルに疑問を呈しているのも、プラスチックリサイクルは石油の節減になっていないのではないか、という疑問があるからです。ともあれ、石油頼みのエネルギー政策は、エネルギー安全保障という点から見直すべきですし、資源の奪い合いで血が流れていることへ抗議する、というヒューマニズムの観点からも、出来るだけ自然エネルギーを用いるべきであると思っています。そして、脱限発に舵を切るべし、という国策の転換に対する確信があります。
そうした原発ゼロへ向けた取り組みは、小泉元首相をはじめとした与党で活躍した政治家も名を連ねる「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」略称「原自連」のように、経済界にも波及し、「国民運動」の様相になりつつあります。
★そのような立場からの質問です。
「北部環境事業所余剰電力地産地消事業」が実施されています。取り組みの成果と展望について、伺います。
【答弁 黛環境部長】
「北部環境事業所余剰電力地産地消事業」の具体的な内容についてでございますが、この事業は、北部環境事業所のごみ焼却発電の余剰電力を、小売電気事業者のタクマエナジーを介して、78公共施設へ供給するものでございます。
また、事業者側の提案により、リサイクルプラザ藤沢の啓発施設内に、展示ブースを常設するとともに、児童・生徒を対象に、電力の地産地消の仕組みを紹介するチラシやポスターを作成して、エネルギーの地産地消の普及啓発を図っております。
「北部環境事業所余剰電力地産地消事業」の、これまでの主な実績や成果についてでございますが、展示ブースの設置や市立学校へのポスター配布以外に、タクマエナジーが、「リサイクルプラザ藤沢フェア」や「ふじさわ環境フェア」のほか、Shonan BMWスタジアム平塚で、藤沢市民デーとして開催された、
湘南ベルマーレの試合に出展して、本市の電力の地産地消を紹介するチラシやうちわを配布いたしました。
また、財政面では、旧一般電気事業者と通常に契約した場合と比較して、1月末日現在で、売電(うりでん)は約1,280万円の増収、買電(かいでん)は約8,070万円の削減で、合わせて約9,350万円の財政効果が出ております。
【引き続き質問】
自治体出資による「地域新電力」がいくつか誕生しています。
電力の地産地消は、電力の「民主化」です。中央集権のエネルギー政策は時代遅れです。経済効率も悪いし、自然エネルギー利用などのイノベーションに対する国の動きは大変疑問です。それに対して、市民が「自分たちで使う電気は、自分たちで決め、自分たちでつくる」という、民主主義・地方自治に根ざした地域電力会社の仕組みは素晴らしいと思います。
★自治体が関わる新電力会社について、現状、事例など説明して頂ければと思います。
【答弁 黛環境部長】
自治体が出資をして設立した「地域新電力」の数や、最近の事例についてでございますが、新聞報道やウェブサイトなどによりますと、昨年の7月現在、自治体が出資をして設立した「地域新電力」といわれる企業は、全国で約20社ございます。
また、最近の事例でございますが、昨年7月に、奈良県生駒市で、「いこま市民パワー株式会社」が設立されました。
いこま市民パワーは、生駒市のほか、大阪ガスなどが出資し、生駒市長自らが代表取締役を務める地域新電力で、昨年の12月から、市内65の公共施設に販売を開始し、その後は民間施設にも拡大し、平成31年度以降には、一般家庭にも販売を行う計画で、事業を進めております。
【引き続き質問】
★藤沢市でも実施するべきだと思いますが、お考えを伺います。
【答弁 黛環境部長】
藤沢市が出資をして、新電力会社を設立する予定についてでございますが、自治体による、新電力事業の効果といたしましては、資源の有効活用によるエネルギーの地産地消の推進や、地域経済の活性化などを挙げることができます。
一方で、昨年12月に、自治体出資による地域新電力の先駆けの一つである、福岡県内の企業が、2年連続で債務超過の状態に陥っているとの新聞報道もあり、新電力事業に限らず、自治体出資の事業においては、何よりも安定的な経営が、最重要課題として求められるものと認識しております。
以上のことに鑑みまして、エネルギーの地産地消を推進するに当たりましては、市が出資をして地域新電力を設立するのではなく、引き続き、『藤沢市エネルギーの地産地消推進計画』に基づき、民間の新電力会社と連携をする形で、取り組んでまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
★市民によるエネルギーの地産地消の取り組みについて、市の支援状況と今後の取り組みを伺います。
【答弁 黛環境部長】
市民が主体となってエネルギーの地産地消を進めることについてでございますが、これまで、エネルギーの地産地消に取り組む団体に対しましては、意見交換を行うなどのほか、総会や講演会に出席するなど、市といたしましても相談・協力等の支援を行ってまいりました。
今後につきましても、団体の活動状況などを、機会を捉えて紹介するなど、市民が主体となって取り組むエネルギーの地産地消の機運を、市としても高めてまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
⑤ 福祉について
「藤沢型地域包括ケアシステム」について、伺います。藤沢市は、13地区に市域を分け、これを一つの地域と位置づけています。しかし、住民の生活圏域で、というと、13地区では大きすぎます。実際、国の指針では、基本的に小学校区域です。13地区は、公民館など社会教育としては適度な規模かもしれませんが、地域福祉の単位として考えられたものではないと思います。あるいは、医療など、専門性が高い分野になると、逆に13地区ではマンパワーが不足していると言えます。
★13地区の単位で地域包括ケアシステムを構築するのが適当なのか、ならばどのような成果があり、機能を果たしてきたのか。お聞きします。また、今後も13地区で進めていく考えなのか、伺います。
【答弁 鈴木市長】
藤沢型地域包括ケアシステムにおける13地区での成果と機能について,お答えいたします。これまで本市では,市民センター・公民館を拠点とした13地区ごとに,地域の特性を生かして,住民主体の活動が育まれてきた歴史と文化がございます。
このような地域の活動を大切にし,地域の皆様の声や生活課題を受け止めながら,現在,藤沢型地域包括ケアシステムの取組を進めており,各地区における,住民の皆様の力と地域のつながりの中で支えあう体制づくりが,より厚みを増してきたものと,私は考えております。
しかしながら,住民の抱える課題は多岐にわたり,分野によっては,13地区という枠組みでは解決できない課題も多いため,市全域から13地区,さらには,より小さなコミュニティエリアの視点から,重層的な,医療・介護・福祉などのサービス提供基盤の構築と,支えあいの地域づくりを進めたいと考えております。
そのような観点から,平成30年度の取組の一例として,善行地区,湘南大庭地区に地域包括支援センターのサテライトを設置するとともに,市社会福祉協議会に配置しているコミュニティソーシャルワーカーを3人増員する予定でございます。
私はこれからも,変革する社会経済状況に対応した持続可能なまちづくりを進めるために,多様な主体とのマルチパートナーシップにより,13地区を基本としながらも,多角的視点から,地域包括ケアを推進してまいります。
【引き続き質問】
次に、「ひきこもり」についてです。「引きこもり」状態の若者支援として、訪問型のアウトリーチ型支援が必要ではないかと、竹村議員が指摘させていただき、「藤沢型」を検討する、との答弁があました。
また「引きこもり」は若者だけの課題ではありません。政府も40代、50代の中高年の引きこもりについても調査をする旨を公表しています。「ニート・引きこもり」支援は、青少年課題ではなく全世代を対象とした政策に転換すべきであります。ただ、いったいどのくらい支援対象者がいるのか、現状把握が困難かと思いますが、国では一定の推計をおこなっていますので、その数字は援用できるかと思います。市の現状把握と、今後の支援についての所見を伺います。
【答弁 片山福祉健康部長】
ひきこもりの状態にある方の把握状況と支援について,でございますが,これまで内閣府による若者への実態調査の結果や,厚生労働省による「ひきこもりの評価・支援によるガイドライン」により,全国的な推計値などが示されてきましたが,本市における実態を詳細に把握することは難しい状況にございます。
しかしながら,ひきこもりの問題は,その長期化により本人やご家族の身体的,精神的,そして社会的な健康に深刻な影響を与えるとされており,早期把握と早期支援が極めて重要であると考えております。
そのような観点から,本市の生活困窮者自立支援事業における個別支援や,コミュニティソーシャルワーカーの活動におきましては,ひきこもりの状態にある方についても,民生委員児童委員をはじめ,地域の支援関係者と連携し,早期支援につながるよう努めております。
そして,特に最近は,40代から50代以上の,年齢が高い方も顕在化しており,必ずしも若者に特有の傾向ではなく,幅広い世代にわたっているという現状もございます。今後,このような支援事例の積み重ねと,精神保健相談における実績や内容の分析を行うとともに,教育委員会や子ども青少年部などとも連携し,他市の状況との比較や,内閣府が来年度,実施を予定している40代から50代への実態調査の結果なども活用し,取組の方向性や,効果の指標等について検討を進めてまいります。
【引き続き質問】
ケアラー支援について。ダブルケアやヤングケアラーの問題に象徴されるように、介護は「される」側だけではなく、「する」側にも同水準の支援が必要です。虐待などの悲劇を招かないよう、「ケアラー支援」により焦点をあてた施策が求められます。
一昨年藤沢で実施したヤングケアラー実態調査から、ケアを担う子どもたちが一定存在することが明らかになりました。このヤングケアラーへの支援を今後どのように進めていくのか、また今後、より介護責任の重くなる18歳以上の「若者ケアラー」への支援が課題となってきます。この調査にも取り組んでほしいと思いますが、支援の取り組み及び課題と、今後の方向性について伺います。
【答弁 片山福祉健康部長】
ケアラー支援について,でございますが,要介護高齢者をはじめ,障がい者や医療的ケア児等,介護が必要な方々の在宅生活を支えるケアラーへの支援は,孤立化の防止や介護負担の軽減等に向け,急務であると認識しております。
これまで本市では,家族介護者教室をはじめ,レスパイトケアのための一時入所事業の実施や,同じ立場にある方同士の相談や交流ができる場の支援に努めてまいりました。また,今年度につきましては,ヤングケアラーやダブルケアといった課題に対し,研修会や講演会を開催し,専門職の皆様とも,課題を共有し理解を深めてまいりました。
平成30年度につきましては,障がい者の緊急時における居室確保事業を開始するとともに,当事者の体験談を含めた,「介護者応援ハンドブック」の作成を進めるなど,ケアラー支援の視点を重視した包括的な支援体制のあり方を検討してまいります。
また,支えあいの地域づくりに向け,今後誰もがケアラーを支える重要性について認識を深めていただくために,引き続き,より多くの市民への周知啓発に取り組み,介護負担による虐待防止なども含め,ケアラーの孤立防止や負担軽減のための施策に取り組んでまいります。
【引き続き質問】
犯罪当事者の支援について、自治体における防犯政策については、矯正保護の観点からの再犯防止や福祉的支援が必要です。また、犯罪被害者・加害者家族など、従来の福祉の分野に当てはまらない人についても、支援が必要です。そういう方々を、市としてどのように支援していくのか、伺います。
【答弁 片山福祉健康部長】
犯罪被害者や加害者家族等を「地域の仲間として支えていくこと」について,でございますが,地域で支えるためには,地域住民の方々に対し様々な人権課題についての意識啓発を行うとともに,他人事を我が事に変える働きかけを進めていくことが重要でございます。
そのような観点から,地域から排除されがちな課題を抱える方に対しましても,生活困窮者自立相談支援機関である「バックアップふじさわ」やコミュニティソーシャルワーカー等が,その思いや支援ニーズの把握に努めながら,地域とのつながりを再構築できるよう支援をしているところでございます。
そして,議員ご指摘の「持続可能な開発目標」にある「誰一人取り残さない」というキーワードにつきましては,弱い立場におかれた人々に焦点をあてた理念であり,藤沢型地域包括ケアシステムの推進と地域共生社会の実現という,今後の福祉のめざす姿とも通じる考え方でございます。
当事者の置かれた状況の厳しさを鑑みますと,向き合うべき課題は多くございますが,地域住民の理解と協力や様々な関係機関との連携の中で,社会的包摂の視点をもって,誰もが安心して暮らせる地域づくりに,取り組んでまいります。
【引き続き質問】
福祉の相談については、支援を必要とする本人が相談することもあるでしょうし、支援者・支援団体や、関わりを持った人、例えば保育園や学校などの第三者が市役所に相談することも少なくないと考えます。
今、私たちの会派では、子どもの貧困対策推進条例の策定について、検討しているところです。子どもの貧困については、支援を必要とする本人、すなわち子どもに対して、私たちが直接話しを聞くことはほぼ不可能ですので、条例素案の策定に際しては、そうした子や家庭を支援する団体の方々のお話を聞いて回りました。すると、皆さん異口同音に、どこに相談したら良いか分からないことが多い、とのことでした。これは、他の福祉の分野も同様で、相談先が分からないという声は本当によく聞きます。
★支援を必要とする人に対する相談窓口のあり方、具体的にはワンストップの相談体制について、市の考えを伺います。
【答弁 片山福祉健康部長】
ワンストップの総合相談窓口について,でございますが,地域住民の生活課題が複雑化・複合化する中で,相談ごとを包括的に受け止め,解決に向けた支援を行うととともに,必要に応じて支援関係機関につなぐことのできる体制の整備は,重要な課題となっております。
本市におきましては,今年度から「福祉総合相談支援センター」及び「北部福祉総合相談室」を設置し,相談先のわからない困りごとや,課題が多岐にわたる相談ごとなどへの包括的な相談対応と庁内各課における相談対応へのサポートを担っております。
また,「福祉総合相談支援センター」に,生活困窮者や,いわゆる制度の狭間の問題も含め,伴走型の支援を行う「バックアップふじさわ」,高齢者の総合相談支援を統括する「基幹型地域包括支援センター」等の専門相談機能を一元化することで,包括的な相談支援が実現できる体制といたしました。
平成30年度におきましては,これらの相談窓口のさらなる周知に取り組むとともに,専門性を有する庁内各課の相談窓口との連携強化と,幅広い様々な関係機関等とのネットワーク化に取り組んでまいります。
【引き続き質問】
⑥ 医療について
これについては、保健所と市民病院に分けてお聞きしたいと思います。
薬物依存症について。この問題は、単に犯罪としてとらえるだけではなく、依存症対策の観点から新たな啓発や支援を進めるべきだと考えます。保健所で実施している依存症対策についてお聞かせください。
【答弁 阿南保健所長】
依存症の普及啓発に関する取組といたしましては,薬物乱用防止に係る講演会や街頭キャンペーン等を開催するとともに,広く市民の皆様に依存症に関する理解を深めていただくための「精神保健福祉公開講座」を開催しているところでございます。
依存症の当事者及び家族等への支援に関する取組といたしましては,神奈川県精神保健福祉センターとの共催により,「家族支援セミナー」を開催するとともに,嘱託の精神科医及び保健師等による相談,さらには,断酒会やAA(エーエー),ダルクなどの自助グループの活動に対する支援を行っているところでございます。
【引き続き質問】
薬物依存症を含めて,依存症を治療すべき疾患として捉え、専門的な治療につなげ、社会復帰への支援が必要と考えますが、取り組みの状況について、伺います。
【答弁 阿南保健所長】
「依存症の専門的な治療へのつなぎや,社会復帰等の支援」に関するご質問にお答えいたします。
依存症の専門治療を希望する方やご家族の相談があった場合には,対象者の依存症のタイプや過去の治療歴等を踏まえた上で,「独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター」,及び「神奈川県立精神医療センター」等の,アルコールや薬物をはじめとする,依存症の専門的な治療を実施している精神科病院につながるよう,丁寧な相談対応を行っているところでございます。
また,退院後も治療が継続できるよう,入院中から,ご本人やご家族,主治医等と相談し,訪問看護等のサービスの導入を検討するとともに,対象者の退院後の生活状況等を見据えて,関係機関と連携し,自助グループ等への参加を促すなど,就労や住居の確保,経済的な支援等を含めた包括的な支援を実施しているところでございます。
【引き続き質問】
依存症には、薬物やアルコール依存症以外にも、ネット依存やスマホ依存など、様々な状態があるとされています。支援の事例があればお聞かせください。
【答弁 阿南保健所長】
「薬物やアルコール以外の依存症に対する支援の事例」に関するご質問にお答えいたします。
議員ご指摘のとおり,違法薬物やアルコール,処方薬依存症に代表される「物質依存」と言われるもの以外にも,依存症には「ネット依存」や「スマホ依存」,「ギャンブル依存」など,実に様々なものがございます。
本市としての支援の実例につきましては,高校生がネットゲームに“はまり”,昼夜逆転の生活で学校にも行かなくなり,対応に困っているとの,保護者からの相談がございました。このケースにつきましては,かなりの金額の課金を重ねていたこともあり,「ゲーム依存症」の状態にあるものと判断したことから,久里浜医療センターの「ネット依存治療部門」につなぎ,通院による認知行動療法等の専門治療を受けることで回復し,復学したといった事例がございました。
【引き続き質問】
オーラルフレール、について。成人歯科健診の目的と対象年齢変更に伴う効果について、伺います。また、オーラルフレール対策としては、高齢者への歯科健診実施が有効かと思います。市の考え方をお聞かせください。
【答弁 阿南保健所長】
「オーラルフレイル予防」に関するご質問にお答えいたします。
オーラルフレイルとは,「食べる」「話す」などの口腔機能の軽微な衰えが,栄養状態の悪化などにつながり,体力の低下,外出が少なくなるなど,生活にも支障をきたしていくものであり,これらを予防することは,全身状態の介護予防につながるための重要な役割を担っていることから,積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
具体的な取組といたしましては,今年度,新たに藤沢市歯科医師会の協力により,市内3ヶ所で,オーラルフレイル予防講座を開催したところでございます。
今後につきましても,全身のフレイル予防の取組の中で,オーラルフレイル予防の重要性について,積極的な周知・啓発に取り組んでまいります。
「成人歯科健診」に関するご質問にお答えいたします。
成人歯科健康診査につきましては,歯の喪失をもたらす主要な原因疾患である歯周病などの疾病の発見のみならず,健診により,生涯にわたって歯・口腔の健康を保つための自己管理能力を高め,実践へ結びつけることで,豊かな高齢期を迎えることを目的に実施しているところでございます。
歯科健診の対象年齢につきましては,40歳から70歳までの間の10区分で実施していたものを,今年度より,20歳から70歳までの5歳ごとに変更したところであり,この変更による効果といたしましては,若年層の方が,早い段階から歯・口腔の重要性を理解していただく,良い機会となったものと考えております。
議員ご指摘の高齢者への歯科健診拡充につきましては,75歳となった方を対象に,平成27年度より,神奈川県後期高齢者医療広域連合において,後期高齢者医療制度における歯科健診を実施しているところであり,本市といたしましては,それらの実施状況を踏まえ,今後の高齢者の歯科健診のあり方について検討してまいります。
今後につきましても,かかりつけ歯科医の定着と定期歯科健診の受診につながるよう,歯科医師会を始めとした関係機関と連携を図り,市民一人ひとりが健康づくりに取り組みやすい環境づくりに努めてまいります。
【引き続き質問】
つぎに、市民病院について。
病院の収入は国で定めた診療報酬に応じて決まりますが、これは公立であろうが民間であろうが同じ基準です。収益の柱は入院ということ、保険医療であれば患者負担も全く変わりません。公立と民間の違いは、実は曖昧なのではないでしょうか。
その上で、市として病院を運営する意義とは何か。全国自治体病院協議会では、「倫理綱領」を定めています。「自治体病院は、都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政機関、医療機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献することを使命とする」という高邁な理念を謳っています。
その通りと思うものの、もう一つ具体的内容が分かりませんが、私は公立病院を否定するものではなく、むしろぜひ必要だと思っています。それは「誰にでも」医療を提供するからで、綱領でいうと「公平」になるでしょうか。これは、市民病院へ患者を託す市中の医療機関も同様かもしれません。一方で明快なのは、病院は国家資格を持つ専門職の占める割合が非常に高く、組織への帰属意識とともに高度職業人として職能への帰属意識が高い、これは学校も同様かもしれませんが、ここが、市の施設として他の職場と大きく異なる点かと思います。その意味では、地方公営企業法の全部適用への移行は、そうした病院の特殊性に鑑みると理に適っているとも感じます。
仮に全部適用となった場合は、病院の運営責任者が市長から病院長などの病院事業管理者に代わり、人事権や組織の改廃の権限が市長から事業管理者に移ることになります。大きな変更となりますので、基本的なことから確認したいと思います。
★藤沢市民病院に求められる役割は何か。公立病院としての存在意義について確認させてください。
【答弁 林市民病院事務局長】
市民病院の公立病院としての役割についてでございますが,市民病院は地域における基幹病院として,市民はもとより,地域の医療機関からも,高度急性期医療・急性期医療といった高度な医療の提供を求められており,地域の医療機関と連携し,二次医療・三次医療の段階でこうした高度な医療を担うことが市民病院の役割であると考えております。
また,市民病院は,地域医療支援病院,救命救急センター,地域がん診療連携拠点病院,小児救急医療拠点病院,周産期救急医療中核病院,災害拠点病院など,様々な指定病院としての機能を担っております。さらに,高度医療,救急医療,小児医療,周産期医療といったいわゆる不採算の領域についても,地域の中核病院として,市民の安全安心へ向けた医療を提供しております。
今後とも市民病院は,地域における基幹病院として担うべき役割を果たしながら,地域の医療機関との連携を進め,神奈川県地域医療構想が目指す「地域完結型」の医療体制の構築へ向けて取り組んでまいります。
【引き続き質問】
経営形態の変更により、市民(患者)、病院経営、職員にとってどのようなメリットがあるのか。
【答弁 林市民病院事務局長】
経営形態変更の検討におけるメリットについてお答えいたします。
地方公営企業法の一部適用と全部適用の最も特徴的な差異につきましては,病院経営の責任を負う事業管理者設置の有無にございます。全部適用とした場合に設置する事業管理者には,予算原案の作成や職員の任免などの権限も与えられ,経営責任が明確になることに加えて迅速な意思決定が可能となり,より自律的な経営が可能となるものでございます。
また,病院運営や医療に精通した事業管理者によるトップマネジメントにより,院内の様々な職種の職員に「病院経営に関わる意識の醸成」を促し,病院が向かう方向性を共有することで,患者サービスの向上やよりよい医療の提供が可能となり,ひいては病院の経営にも効果があるものと考えております。
また,職員の給与につきましては,種類及び支給の基準は条例で定められ,他の職種などとの均衡の観点からも,現行の制度を基本とするものと考えております。
関係団体との関連につきましては,管理や運営に関する事項を除く労働条件についての労働協約の締結や,団体交渉が可能となります。この点につきましては,今後,経営形態変更の検討と並行して丁寧な説明と議論を重ねてまいります。
【引き続き質問】
県内他市の公立病院で全部適用に移行した事例では、どのような効果があったのか。また、検討を進めていく上でどのように評価しているか、所見を伺います。
【答弁 林市民病院事務局長】
全部適用に移行した事例の効果などについてお答えいたします。
平成28年3月に総務省が取りまとめた「公立病院経営改革事例集」では,地方公営企業法の全部適用化を実施した全国の病院に対し,経営状況に関するアンケート調査を実施した結果を公表しております。
調査結果によりますと,回答のあった100病院のうち「経営の自主性に効果があった」とする回答が76%,「経営の効率化に効果があった」とする回答が68%となっており,全国的に見ても効果が認められる結果となっております。
また,県内他市の全部適用に移行した事例といたしましては,権限が事業管理者へ移ることで意思決定がほぼ病院内で完結するため,専門性や至急な判断を必要とする案件への迅速な対応が可能となった事例や,定数条例という制約はあるものの,医療の質を上げるため,病院の裁量において定員の増員を行った事例などがございます。
これらの事例は,自主性や効率性を追求し,迅速かつ柔軟な判断が求められる病院経営において評価できるものであり,全部適用へ移行した場合の効果として期待されるところでございます。
【引き続き質問】
⑦ 教育について
教員の多忙化の解消について、伺います。もはや教員の多忙化は社会問題であると言えます。文科省の調査では、公立中学の6割、小学校で3割の教員が「過労死ライン」を超えているということでした。そのせいか、教員の志望者も減少傾向にあると言われています。
そのような状況に危機感を覚えたか、文科省は昨年末に「学校における働き方改革に関する緊急対策」を打ち出しています。今、学校が担っている業務のうち、「学校以外が担うべき」「学校の業務だが教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」と分け、改善を行う考えです。これで教員の多忙化が解消に向かえば良いのですが、それは市の現場の取り組み如何によるでしょう。
★そこで、質問します。こうした国の方針を受け、市教委の教職員の多忙化解消の考え方を伺います。
【答弁 平岩教育長】
教職員の多忙化解消につきましては、教育委員会では、これまでも教職員自身の意識改革、各校における分掌や体制の見直し、教育委員会が取り組むICT環境等の改善など、3つの視点で進めているところです。
文部科学省は、平成29年12月26日に「学校における働き方改革に関する緊急対策」を取りまとめ、学校・教員が担う業務とそうでないものを明確化し、部活動の適切な活動時間や休養日の設定を行うためのガイドラインを示すなどの具体的な方策を示しました。これらの方策の実施に必要な環境整備を行うとともに、今後も必要な予算の確保に努めるなどの取組を進めるとしております。
教育委員会といたしましては、平成30年度に児童支援担当教諭の全校配置やICTを活用した業務改善を進めてまいります。あわせて今回の緊急対策を踏まえ、業務改善方針について校長会等と協議しながら、教職員の多忙化解消にむけた取組をさらに進めてまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
取り組み例として、「学校閉庁日」があげられていますが、市の考えを伺います。
【答弁 村上教育部長】
学校閉庁日につきましては、日直を置かずに原則として学校のすべての業務を停止し、教職員が休暇を取得しやすい環境を整えるものであり、先の「緊急対策」においては、勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制のための必要な措置として「長期休業期間において一定期間の学校閉庁日の設定を行うことを促す」とあります。
教職員は、夏季休業中において研修や部活動の大会等で休暇を取得しにくい状況があり、すでに学校閉庁日の設定を行っている自治体からは、「教職員から夏季休業中に休日出勤の振替休暇や年休の取得がしやすくなったという声が多い」と聞いております。
教育委員会といたしましても校長会の意見を踏まえ、近隣市町と連携して実施について検討を進めているところでございます。
【引き続き質問】
教員の多忙化においては、とりわけ中学校の部活動も大きな要因です。
スポーツ庁は部活動について、適切な休養日を設定するよう求めるガイドラインを示し、神奈川県や横浜市などの教育委員会も土・日曜日、および平日にそれぞれ一日以上の休養日を設定するよう通知を出していると聞いています。藤沢市教育委員会としても、教員の多忙化解消という観点のみならず、生徒の健康という観点からも、方針を明確にするべきだと思います。お考えを伺います。
【答弁 平岩教育長】
中学校部活動の休養日についての取組でございますが、部活動は、学習指導要領上、生徒の自主的、自発的な参加により行われる教育課程外の学校教育活動と位置づけられているものでございます。しかしながら、生徒によっては学校生活の中心に据えて多くの時間を費やしている実状があり、顧問にとっても生徒にとっても過度な負担になりかねないことから、教育委員会といたしましても休養日の設定については必要であると認識しております。
教育委員会といたしましては、スポーツ庁が今年度末までに策定する運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン及び県教育委員会の方針をもとに、顧問の負担軽減の観点や、生徒の成長過程を踏まえた発育、発達の観点から、適切な休養日数や活動時間を設定するなど、平成30年度内を目途に本市の中学校部活動にかかる指針を策定してまいります。
【引き続き質問】
インクルーシブ教育の推進に関して伺います。「藤沢市立学校における障がいを理由とする差別解消の推進に関する対応要領」についてです。
これは障がい者差別解消法を受けて策定された、という受け身の姿勢というよりも、藤沢のインクルーシブ教育の実践から策定されたものです。これまで教員の多忙化について述べましたが、このインクルーシブ教育は、一人一人の障がいに応じたきめ細かい教育を行うものであり、一見多忙化の解消と逆行するようにも見えます。
しかし、藤沢のインクルーシブ教育は、全ての子どもの学びを保障するために合理的配慮をおこなうという、教育のあるべき姿の実践であり、対応要領のさらなる現場への浸透を図る必要があると考えます。市の方針を伺います。
【答弁 村上教育部長】
「藤沢市立学校における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」につきましては、策定した平成28年度に、校長会、教頭会、担当者会等において周知・説明し、各校における校内研修会を通して、全教職員へ周知を図りました。
さらに、各学校の合理的配慮対応事例を年に2回集約し、データベース化し、他の学校の対応事例を参考にできるようしております。
具体的には、情緒的に不安定な生徒の職場体験学習において、学校外の活動は難しいとの保護者からの相談を受けて、保護者・本人と学校とで、学習場所や内容について合意形成を図りながら、保健室において、職場体験学習に参加した事例等の掲載がございます。
データを更新する毎に管理職に対して、新たな対応事例の概要を情報提供しており、各校が参考にして適切な合理的配慮の提供を行うよう周知を図っております。
データベースに挙げられる対応事例が増加していることからも、各学校においては、対応要領の趣旨を理解し、合理的配慮の考え方が広がり、浸透してきているものと捉えております。
今年度開催した校内支援担当者会においても、このデータベースから具体的な事例を取り上げて紹介し、対応要領の趣旨や考え方、合理的配慮の在り方等についての研修を実施しております。
今後につきましても、教育委員会が、引き続き管理職に対しての周知や担当者会等での発信を重ねていき、一人ひとりの教員の意識を高めることにより、各校において、障がいのある児童生徒やその保護者の意向を十分に聞き、相談して、適切な合理的配慮の提供が行われるように、学校に対して働きかけてまいります。
【引き続き質問】
⑧ 平和について
最後に平和行政について、お聞きします。ご存じ、オスプレイ、についてです。
オスプレイは通常のプロペラ機とヘリコプターの、いわば「いいとこ取り」をした高性能な機体ですが、その分、機構が複雑になり、操縦も難しく過去に度々重大事故を起こしてきた曰く付きの輸送機です。そのため、オスプレイの飛来を不安視する声は根強く、藤沢市内で飛行が確認されると、市民からの抗議の声を聞くことになります。つい最近も厚木基地へ飛来したとのことです。
米軍機の問題については、三沢基地所属のF16戦闘機が、湖に燃料タンクを投棄した事故が発生、沖縄でも普天間基地の米軍ヘリの窓が小学校の校庭に落下するなど、一歩間違えれば重大な事故になるところでした。厚木基地に飛来する軍用機の飛行ルートにあたる本市にとっては他人事ではありません。藤沢市として、市民の生命財産を守るという立場から、米軍および日本政府に対し、抗議の声を上げて頂きたいと思います。
そして、このような事故が起きても、日本の主権が及ぶ地域にも関わらず、日米地域協定により日本の捜査権が及ばないという、国際的に見ても異常な状況です。
冷戦最中に締結されて以来、今や世界は一変したにもかかわらず改正されず、そのまま、というのも理解できないことです。まるで占領下のような地域協定は、対等な主権国家同士のものとは言えず、抜本的に見直さなければなりません。
★そこで質問です。オスプレイの飛来に関して、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
【答弁 吉原防災安全部長】
オスプレイの飛来でございますが,平成26年7月以降,厚木基地にたびたび飛来しており,市内各所からもその飛行が確認されているところでございます。
最近の状況につきましては,2月5日に防衛省南関東防衛局から,2月15日から3月2日までの期間,オスプレイ4機程度が宮城県の王城(おうじょう)寺原(じはら)演習場等で行われる日米共同訓練に参加するため,厚木基地に飛来する旨,情報提供がございました。その後,2月21日にオスプレイを使用する訓練は同日をもって終了したとの情報提供を受けているところでございます。
本市の取組といたしましては,市のホームページ上に,オスプレイの飛来関連情報を掲載している神奈川県のホームページへのリンクを設け,市民が直接情報を確認できるよう作成してございます。
また,オスプレイを含む米軍機の事故防止及び安全確保につきましては,昨年8月に,県や米軍基地に関係する自治体で構成される神奈川県基地関係県市連絡協議会において,機器の点検や整備等の徹底について,外務省及び防衛省等に要請をしており,今後も継続して取り組んでまいります。
【引き続き質問】
日米地位協定の見直しについて、基地に隣接する藤沢市として、どのような取り組みを行っているのか。また、考え方について伺います。
【答弁 吉原防災安全部長】
「日米地位協定の見直し」でございますが,日米地位協定は,日米安全保障条約第6条を受けて,施設・区域の使用の在り方や日本国における米軍の地位について定めた国会承認条約でございます。
本市では,神奈川県基地関係県市連絡協議会における重点要望項目の一つとして,日米地位協定の見直しや運用の改善について,外務省及び防衛省等に対して要請しているところでございます。
今後も,本市といたしましては,米軍機の騒音による被害や事故への不安等も含め,様々な基地問題に対しまして,県や基地関係市と連携を図りながら,要請活動等に取り組んでまいりたいと考えております。
以上、報告とします。