3月1日 10:00より、藤沢市議会2月定例会(3日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
【建設経済常任委員会(2/20開催)に付託された議案】
議案第59号 市道の認定について(下根広町線ほか109路線)
議案第60号 市道の廃止について(下根広町線ほか156路線)
※上記2議案は、全会一致で可決されました。
議案第73号 藤沢市建築基準等に関する条例の一部改正について
※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
【厚生環境常任委員会(2/21開催)に付託された議案】
議案第76号 藤沢市災害弔慰金の支給等に関する条例の一部改正について
※この議案は、全会一致で可決されました。
請願30第4号 地域共生社会にむけての請願
※この請願は、民主クラブ、共産党、市民派クラブが賛成しましたが、採決の結果、不採択となりました。
【子ども文教常任委員会(2/22開催)に付託された議案】
議案第63号 藤沢市青少年問題協議会条例の一部改正について
※この議案は、全会一致で可決されました。
【総務常任委員会(2/25開催)に付託された議案】
議案第62号 藤沢市表彰条例の一部改正について
議案第64号 藤沢市印鑑条例及び藤沢市住民基本台帳カードの利用に関する条例の一部改正について
議案第68号 藤沢市常勤の特別職職員の給与に関する条例の一部改正について
議案第70号 藤沢市手数料条例の一部改正について
※上記4議案は、全会一致で可決されました。
議案第66号 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について
※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
議案第69号 藤沢市一般職員の給与に関する条例等の一部改正について
※この議案は、共産党、市民派クラブが反対しましたが、賛成多数で可決されました。※なお、湘風会の堺議員は採決に加わらず退席しました。
請願30第3号 全国知事会「提言」による日米地位協定の抜本的改定を求める請願
※この請願は、湘風会、公明党、自民党藤沢が不採択としましたが、採決の結果、採択されました。
【補正予算常任委員会(2/26開催)に付託された議案】
議案第78号 平成30年度藤沢市一般会計補正予算(第5号)
議案第79号 平成30年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第81号 平成30年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第82号 平成30年度藤沢市柄沢特定土地区画整理事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第83号 平成30年度藤沢市介護保険事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第84号 平成30年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第85号 平成30年度藤沢市下水道事業費特別会計補正予算(第1号)
※上記7議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。※なお、湘風会の堺議員は採決に加わらず退席しました。
議案第80号 平成30年度藤沢市墓園事業費特別会計補正予算(第1号)
議案第86号 平成30年度藤沢市市民病院事業会計補正予算(第1号)
※上記2議案は、全会一致で可決されました。※なお、湘風会の堺議員は採決に加わらず退席しました。
議案第58号 工事請負契約の締結について(藤沢市南市民図書館等の暫定移設に伴う工事に係る負担)
※この議案は、委員会付託ではありませんが、補正予算を伴うため、本日、採決がされたものです。全会一致で可決されました。
ここから、平成31年度一般会計予算ほか9議案に対する代表質問
※なお、代表質問については、私が所属する「民主クラブ」の質疑は質問~答弁の概要を掲載し、その他の代表質問は、件名・要旨等、概要のみ掲載することとします(答弁は割愛)。
1. 竹村雅夫議員 【民主クラブ 質問時間100分】
平成31年度一般会計予算をはじめとする諸議案に対する代表質問をさせていただきます、民主クラブの竹村雅夫です。
それでは件名「市長の政治姿勢について」、要旨1「市政全般の課題について」、質問を始めさせていただきます。
(1)市政全般の課題について
今から7年前、私たちは鈴木市政の誕生を心から歓迎しました。パフォーマンスではなく、地味ではあっても堅実で、法令やルールを守る透明性のある市政を期待したからです。その後鈴木市政は、基本的にはその道を歩まれたものと思っています。鈴木市長の下で生まれた藤沢市の施策には、広く社会的な注目を集めるわけではありませんが、その道の専門家からは高い評価を集める、いわば「いぶし銀」のような政策も少なくありません。
藤沢型地域包括ケアシステムは、いまや全国的にも先進事例として高く評価されています。藤沢のインクルーシブ教育も、障害者差別解消法の趣旨をまえたモデル例として国内外からの視察が相次いでいます。これらは鈴木市長をはじめ、職員の皆さんのご努力の賜として、私たちは率直に評価をしたいと思います。ですが100人のたゆまぬ努力は、たった1人の不適切な対応であったとしても一瞬にしてその信頼を失います。その意味では、鈴木市政は発足以来最大の試練に直面していると言って過言ではありません。ぜひ、一連の「不祥事」がなぜ起きたのかを正面から見据え、「再発防止」に止まらず、全国の範となり得るような改善策を打ち出されることを心から願っています。
そのためには、職員の皆さんひとり1人の意識改革はもちろんですが、同時に問題を生んだ「組織」のあり方についてもしっかりと検証をしていただきたいと思います。私たち民主クラブは昨年10月、「藤沢市役所の再生に向けて」という申し入れ書を市長宛に提出させていただきました。この申し入れ書において、私たちは①理事者が先頭に立って組織再生にあたること、②新たな内部統制組織の立ち上げへの懸念、③組織文化の変革が必要である、という3点を申し述べました。特に、藤沢市が以前採用していた「部門総務機能」は人材育成とガバナンスに有効だったと考えるので、復活すべきではないか、と指摘させていただきました。
★もちろんかつての組織をそのまま復活させれば良いと考えているわけではありませんが、総務機能の改革について、お考えをうかがいます。
【答弁:小野副市長】
本市の行政組織における総務機能につきましては、これまでも、時代に即した行政事務を常に効率的かつ迅速に執行すべく、組織改正の時期を捉え、改善に取り組んでまいりました。平成12年には、財務、人事等に関し一定の権限を持ち、単独の「部」を超えた広範な総合調整機能を有していた「部門総務課」を廃止し、部長を補佐し部内課題の調整と部間の連携を担う「調整課」を各部に設置いたしました。このことにより、部長を中心とした責任処理体制を構築するとともに、事務処理の簡素化・迅速化が図られたものと考えております。
その後、平成21年、25年の組織改正を経て、部内における事務事業の進行管理と予算の執行管理など、総合調整機能を有する「総務課」を各部に設置いたしました。以降、この総務課を軸として、意思決定の迅速性を確保しつつ、部間相互の緊密な連携に努めてまいりました。
一方で、今回、一連の不適正な事務処理が判明したことを受け、組織としてのガバナンスが一層機能するよう、庁内組織の見直しが必要であると認識しております。常に市民から信頼される組織としていくには、ご指摘にもございますように、組織文化を変革していく視点も大変重要であると考えております。今後の大規模な組織改正を視野に入れ、市長の指揮の下に、円滑に行政機能を発揮するための総務機能につきまして、その在り方の検討を進めてまいります。
【引き続き質問】
つぎに、藤沢市の財政見通しが非常に厳しい局面を迎える中で、中期財政見通しでは財源不足の解消に向けた取り組みとして「歳出抑制対策」「歳入確保対策」「その他の対策」に取り組むとしています。
★平成31年度予算編成においては、これらの点についてどのような取り組みを行われたのか、伺います。
【答弁:松崎財務部長】
平成31年度一般会計予算の編成における財源不足解消の取組でございますが、主な内容を申し上げますと、まず歳出の抑制策として、道路や公園等の都市基盤整備事業における実施の先送りや、事務事業の抜本的な見直しの取組における事業の廃止や縮小、また国の制度に基づく扶助費や特別会計への繰出金等の精査による縮減、などの対応を行っております。
次に、歳入面においては、引き続き、国・県補助金の積極的な獲得に努めるとともに、不要となった土地の売払収入のほか、ふるさと納税やクラウドファンディングによる寄付金収入など、自主財源の確保に努めたところでございます。また、市税の多様な納付環境の整備として、これまでの「モバイルレジ」の取扱にクレジットカード決済機能を追加し、対象税目と納付上限額を拡大するなど、今後の歳入確保に向けた対策も進めております。
また、こうした対策によっても、なお解消できなかった約13億円の財源不足につきましては、財政調整基金を活用した年度間の財源調整を行うこととし、平成30年度2月補正において26億円の積み立てを行った上で、平成31年度に13億円の繰り入れを行い、財源不足の解消を図ったものでございます。
【引き続き質問】
「平成31年度施政方針」には「市民の皆さまと議論し、共感・共有する基本姿勢を持って」とあります。中期財政見通しにおいては、584億円の収支かい離が生じており、これは、各課が必要とする事業の質や量に対して、財源が大幅に不足しているという状況の表れでもあります。
★これによって、市民サービスにも一定の影響が出てくることが懸念されますが、その場合、厳しい財政状況を、市民と共有するよう合意形成に取り組むべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
【答弁:松崎財務部長】
行財政改革2020においては、将来に向けて、今後厳しさを増す財政状況への市民理解を深めるため、中期財政見通しや、事務事業の抜本的な見直しに関して、各部局がしっかりと、丁寧に説明を行い、住民合意を形成する必要があるものと認識をしております。
このため、事務事業の見直しに当たりましては、見直しの前提となる、中期財政見通しについての庁内研修を実施することなどにより、各部局が関係者に対し主体的に説明できる体制を、構築してまいります。
また、中期財政見通しにつきましては、ホームページへの掲載はもとより、毎年度作成しております「わかりやすい藤沢市の財政」において、紙面を拡充し、積極的な周知を図ってまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
法改正に伴い、平成32年度から市で働く多くの臨時・非常勤職員が「会計年度任用職員」となります。これまで曖昧だった根拠を明確にするとともに、期末手当の支給が可能となるなど、処遇の改善が図られることとなります。
先日、ある専門性の高い職場の方から、「藤沢市が取組んでいる内容が他市に比べて質が高いので、藤沢市で働こうと選んだ」「藤沢市で働くことで、自分の資質も向上し、できるならずっと働きたいと思う」という、とても嬉しい声もいただきました。
しかし、その方はこうもおっしゃいました。「今回の会計年度任用職員制度の導入により、今の働き方、勤務日数や勤務時間が変更となるため、もしかしたら働き続けられないかも知れない」というのです。介護や子育ての関係で、今の勤務日数や勤務時間であれば働けるのに、と思っている職員もおられるようです。
★意識の高い職員が辞めざるを得ないことで市民サービスを低下させてはならないと考えますが、そのような視点から、会計年度任用職員制度の制度設計の進捗状況と、臨時・非常勤職員の皆さんが新制度後も働き続けられる制度づくりについて、考えを伺います。
【答弁:黒岩総務部長】
会計年度任用職員制度に関する制度設計の進捗状況でございますが、勤務条件に関する勤務日数や勤務時間などの詳細な制度設計につきましては、平成32年度からの円滑な制度移行に向けて、現在、関係課等との調整を進めております。
次に、新制度後も働き続けられる制度づくりに向けた考え方でございますが、新制度では、より適正な勤務条件や公平な職場配置が必要なことから、一定の範囲において、勤務日数や勤務時間の集約化・パターン化は必要不可欠なものと考えております。また、任用に当たっては、地方公務員法の平等取り扱いの原則や成績主義のもと、客観的な能力実証が必要となってまいります。
本市の臨時職員・非常勤職員は、業務に対する意識が高く、貴重な人材であると認識しております。市民サービスの低下を招かないためにも、改正法の趣旨を踏まえるなかで、適正な勤務条件となるよう、働き続けやすい制度づくりに努めてまいります。
【引き続き質問】
昨年9月に「市民病院健全経営推進計画書」の見直しが議会に報告され、経営形態について「地方公営企業法の一部適用から、全部適用に変更することを前向きに検討する」とされました。推進計画書では、地方公営企業法全部適用の特徴として、人事給与制度を独自に設定することが可能となる、また病院を自主的に経営する自由度がある、とする一方で、「定数条例や人事異動について自治体の一部として運営することが必要であり、現実的な自由度は限定的とされる。」とも記載されています。
しかし、非常に抽象的な表現であり、どこに課題があり、全部適用によってどのように改善されるのか、分かりません。現在の人事給与制度や予算のどこに問題があるのでしょうか。問題があるとすれば、市組織の中で改善することができないのでしょうか。
また病院側でも認識しているように、全部適用となれば事務量が増大するため、定数増による人件費コストが増大することをどのように考えているのでしょうか。
★民主クラブとしては、識者との意見交換や、全部適用した他自治体病院関係者の意見を踏まえると、市民病院の経営形態について、地方公営企業法の全部適用にしていく必要性は低いと考えます。慎重に検討するべきと思いますが、見解を伺います。
【答弁:林市民病院事務局長】
現在市民病院は健全経営推進計画に基づき、経営基盤の強化に努めております。平成30年度には、この計画の中の数値目標を上方修正するとともに経営形態に対する考え方の見直しを行ったところであります。こうした経営改善の取組を進めているものの、医師の時間外労働に代表される働き方改革に対する取組や、地域完結型医療を推進するための体制づくり、非常勤職員等が対象となる会計年度任用職員制度の導入、消費税率の引き上げなど、病院経営を取り巻く厳しい環境への対応が求められております。
こうした中で、将来にわたり安定的かつ継続的に公立病院としての責務を果たしていくために、事業管理者を設置することで、経営責任の明確化や意思決定の迅速化、職員の経営意識の醸成が図られることに加え、医療現場の特性を踏まえた多様な任用形態による職員の効率的な活用等も視野に入れ、経営形態を全部適用へ見直すことについて検討しているところでございます。
今後につきましても、現状の課題等を整理するとともに、経営形態の見直しについての職員の理解を深めるため、院内の情報共有などを行いながら引き続き見直しについて前向きに検討してまいります。
【引き続き質問】
藤沢市『文化芸術検討委員会』は2016年7月に『藤沢市の文化芸術の振興に向けて』という提言書を提出しました。記述の多くは拠点施設である市民会館のあり方に費やされており、建て替えにあたっては、現在藤沢市に存在しない「美術館」の機能を加えることも検討するよう提言されています。
そして、「文化芸術の振興に関する条例及び条例に基づく振興計画の策定の必要性」を謳っています。文化芸術は「人間にとって欠かせないものである」「地域への愛着、周辺ビジネスへの波及効果が期待できる社会的効用を持つ」と、市が文化芸術振興策にとりくむ必要性を述べた上で、条例を策定することにより、文化芸術振興に対する市の姿勢を明確にすることを提言しています。
これに対して市は結局、条例を策定せず計画のみ策定、となってしまいましたが、私たちはやはり文化芸術振興の施策展開の根拠となる条例をつくる意義は大きいと考えます。
★検討委員会の提言のとおり「文化芸術振興条例」が必要と考えますが、お考え方を伺います。
【答弁:秋山生涯学習部長】
文化芸術振興に関する条例化につきましては、本市では昨年度「藤沢市文化芸術振興計画」を策定いたしましたが、その際、学識経験者や文化団体、公募市民等からなる「藤沢市文化芸術振興計画等検討委員会」からも条例化について、ご意見をいただいた経過がございます。
しかしながら、条例化につきましては、十分な議論や気運の高まり等が重要となってくると考えております。このため、まずは文化芸術振興計画に基づく事業の実施に取り組むことで、文化や芸術に対する市民の関心を高め、気運の高まりに繋げてまいります。その成果を見極めさせていただき、文化芸術基本法や市民憲章の考え方も踏まえた中で、条例化について整理してまりたいと考えております。
【引き続き質問】
次に、市民会館についてです。藤沢市が条例の策定に踏み込まなかった理由は「条例化の際には、市民の間に気運が高まっている必要がある」というものでした。確かに「気運を高めてからの条例づくり」ということは、市民参加を想定するならばより効果があるとは思います。であれば、市民会館の建て替えの時が、条例制定のベストタイミングではないでしょうか。
厳しい財源不足の中ではありますが、文化芸術振興は、やはり拠点施設がないと始まりません。私たちは、市民会館は藤沢市民に最も親しまれている施設だと思っています。藤沢育ちであれば、市民会館に行ったことがない、という人はまずいないのではないでしょうか。市内中学校の合唱コンクール、成人式、各種コンサートをはじめ市主催の催しや、各団体の総会・大会の会場として用いられ、パーティー会場としても頻繁に使われています。利用率も高く、大ホールで70.2%、小ホールは93.9% で、展示集会ホールも9割ほどとなっており、まさに市を代表する施設です。
しかし一方で、ホールの座席をはじめ設備・躯体とも老朽化が進んでおり、ついに建て替え方針が決定したところです。2012年に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が制定され、公共ホールの法的基盤が整いました。これにより、従来の公共ホールに欠けていたとされる「理念と運営方針」が求められるようになっています。
そして理念と運営は市民とともに作り上げていくことが望ましく、例えば、小田原市のように、施設自体のハードの計画づくりとともに、ソフトである運営計画づくりは、ぜひ市民参加で行って欲しいと思います。
★市民会館の建て替えに着手するのは早くても2021年ということになります。その間に、市民参加により、確固たる理念と運営方針を定め、運営計画を構築することが必要だと考えますが、市の見解を伺います。
【答弁:秋山生涯学習部長】
再整備後の市民会館につきましては、発表や鑑賞の場としての市民利用施設である現状の機能を保持することを基本として、その規模や機能、複合化対象施設などを検討してまいります。検討に際しましては、市民や関係団体等からご意見をお伺いする機会を設けるとともに、他の自治体の先行事例を参考としたワークショップを開催するなど、市民の方々とともに、よりよい施設となるよう取り組んでいきたいと考えております。
また併せて、本市においてこれまで創造されてきた文化の継承や、文化芸術振興計画の基本理念である「新たな『ふじさわ文化』の創造」に資する施設となるよう、その運営手法や整備手法について検討を行ってまいります。
【引き続き質問】
鈴木市長のイニシアティブで、藤沢宿活性化への取り組みが大きく進みつつあることは評価したいと思います。ですが「藤沢宿」とひと口に言っても、江戸時代以前の宿場町としての藤沢宿と、主に関東大震災を生きのびた現存する歴史的建造物群とではその意味合いが違います。その両者を視野に入れた振興策が必要です。江戸期以前の「藤沢宿」を語る上では、遊行寺の存在は欠かせません。
遊行寺には国宝である一遍上人絵伝(えでん)のほか、後醍醐天皇像として有名な絵画など4つの国指定重要文化財、多くの登録有形文化財、史跡などがあり、その文化的価値は計り知れません。
もちろん遊行寺を単なる観光資源として捉えるのは失礼にあたるかもしれませんが、その全国的な訴求力はきわめて大きなものがあります。
★遊行寺と連携した藤沢宿の振興をさらに進めるべきではないでしょうか。
【答弁:秋山生涯学習部長】
遊行寺と連携した取り組みについては、歴史的な側面、経済的な側面からも、極めて重要なものと考えております。本市におきましては、旧東海道藤沢宿周辺は、遊行寺をはじめ、多くの歴史や文化が集積している地域でもございますことから、当該地域を街なみ継承地区として指定し、魅力あるまちづくりに取り組んでまいりました。
その中で、地域の活性化と賑わいの創出の拠点となるふじさわ宿交流館におきましては、運営協議会の委員として、遊行寺には、ご参画いただき、事業に協力をいただいているところでございます。これまでも、ふじさわ宿交流館における講演会や、遊行寺宝物館における展示会、「藤沢宿・遊行の盆」などにおいて、連携しながら事業を進めてまいりました。
今後につきましても、遊行寺と連携しながら、ふじさわ宿交流館を拠点とした取り組みが、旧東海道藤沢宿全体のにぎわいの形成に繋がるよう事業を進めてまいります。
【引き続き質問】
藤沢宿には江戸時代、朝鮮国王の国書を持った使節団である朝鮮通信使が度々宿泊しています。通信使が宿泊した蒔田本陣には多くの人々が訪れ、江戸時代の藤沢では国際交流が行われていたのです。
朝鮮通信使は昨年、ユネスコの世界記憶遺産に登録されました。この登録申請書には、通信使の意義がこのように書かれています。「(朝鮮通信使には)悲惨な戦争を経験した両国が平和の時代を構築、維持していく方法と知恵が凝縮されている。」
★いま日本と韓国の関係はけっして良好なものとは言えませんが、そのような時であればこそ、市民と市民同士の国際交流のシンボルとして、この朝鮮通信使を活かしていくべきだと思います。地域教材の開発や、通信使ゆかりの都市で作る朝鮮通信使縁地連絡協議会、「縁地連」への参加などを進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
【答弁:秋山生涯学習部長】
「朝鮮通信使に関する記録」が平成29年に世界記憶遺産に登録されたこともあり、本市といたしましても、旧東海道藤沢宿に朝鮮通信使が宿泊した地であることから、ふじさわ宿交流館等において、展示・講座等を実施しております。
平成31年度はふじさわ宿交流館において、小学校の社会科見学の受入れを計画しておりますが、そのなかで、朝鮮通信使も含めて、旧東海道藤沢宿の歴史や文化を来館した児童にご案内ができるよう進めてまいります。
また、朝鮮通信使縁地連絡協議会、通称 縁地連への参加につきましては、主に西日本の民間団体及び自治体を中心に加盟されており、神奈川県内の旧東海道沿道の自治体で加盟がないことから、参加について見送っている状況でございます。
本市といたしましては、縁地連の事業である「21世紀の朝鮮通信使 ソウル 東京 友情ウォーク」が、本市を通過の際には、休憩所の提供などの協力を行っております。今後につきましても、ふじさわ宿交流館において、このような取組みに対して、支援を進めてまいります。
【引き続き質問】
藤沢型地域包括ケアシステムは今日、先進的な事例として全国的にも注目を集めています。ぜひ、いっそうの充実と発展を要望します。ただ今後の展開においては、ぜひ今日的な「介護」の実態をふまえたものすべきではないでしょうか。
今から20年前に介護保険制度が生まれた頃、介護の主たる担い手として想定されていたのは「専業主婦の、長男の嫁」モデルでした。制度の主体はあくまで要介護者であって、介護を「する」者への支援はあくまでより良い介護を実現するためのものでした。ですが今日、日本では少子高齢化、非婚・晩婚化が急速な勢いで進んでいます。介護の担い手の過半数は今や働きながら介護をしている「ワーキングケアラー」となりました。その結果、何が起きているでしょうか。
いま日本では年間約10万人が「介護離職」をしています。離職を避けるには家族全体で介護を分担せざるを得ず、そのために子どもが介護を担う「ヤングケアラー」が登場していることも、一昨年の藤沢市での調査から明らかになりました。さらには育児期間中に介護が始まる「ダブルケア」、未婚・非婚の子どもが親を介護する「シングルケア」など、20年前には想定されていなかった今日的な介護の実態があらわれています。地域包括ケアシステムの構築に際しては、このような「今日的な介護の実態」をふまえる必要があるのではないでしょうか。
介護離職やヤングケアラーなどの問題を考えたとき、必要な支援は「レスパイト」という次元の問題ではありません。
★介護によって介護を「する」側の生活や人生が奪われることのない、介護者も自分自身の人生が送れるような「ワーク・ライフ・ケア・バランス」の実現に向けた「ケアラー支援」に注目した、新たな施策がぜひ必要です。このことについて、お考えを伺います。
【答弁:片山福祉健康部長】
本市では、介護者の地域での孤立防止や介護ストレスの緩和の視点から、家族介護者教室や講演会の開催、交流の場の提供などを実施しております。また、地域包括支援センターやバックアップふじさわ、コミュニティソーシャルワーカーなどの個別支援において、ご家族の抱える悩みもしっかり受け止め、必要な支援を行っているところでございます。
しかしながら、価値観やライフスタイルの変化により、介護離職やダブルケア、ヤングケアラーなど、家族介護者を取り巻く課題は多様化し、新たな視点でのケアラー支援が求められていると認識しております。今後のケアラー支援につきましては、介護と仕事を始めとする社会参加との両立や、介護者自身の充実した人生という視点を持ち、しっかりアセスメントしながら、地域の専門職と連携して、支援方針を組み立てていきたいと考えております。
そして、支えあいの地域づくりに向け、ケアラーを支える重要性について、より多くの市民への周知啓発に取り組み、地域の力をお借りしながら、虐待防止を含め、家族介護者本人の心身の健康及び生活・人生の質を維持向上するための支援施策に取り組んでまいります。
(2)安全で安心な暮らしを築く
防犯にかかわる職員や市民の皆さんのご努力によって、藤沢市の刑法犯認知件数は年々下がり続け、近年は年間3,000件を大きく下回るようになりました。もちろん、いわゆる「振り込め詐欺」の増加など深刻な犯罪は続いていますから、手放しで喜ぶわけにはいきません。ですが、かつて「暴力団の町」だった藤沢をここまで立ち直らせた市民や警察、そして防犯担当の職員のみなさんのご努力には、心から敬意を表するものです。
★今後の犯罪の抑止について、カギを握るのは「再犯」の防止です。罪を償い終わった方の社会復帰対策などを進めることが犯罪の低減の大きなカギをにぎると思いますが、お考えを伺います。
【答弁:片山福祉健康部長】
刑法犯の認知件数は、警察のご努力や防犯協会などによるパトロールなど、さまざまな啓発活動により、年々減少しておりますが、刑法犯検挙者中における再犯者の割合が高い現状からも、再犯防止に関する取組は非常に重要であると認識しているところでございます。
平成28年12月に公布、施行されました「再犯の防止等の推進に関する法律」により、地方公共団体は、再犯防止等に関し、その地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有すこととされております。これを受け現在、神奈川県では「再犯防止推進計画」の策定に向け準備を進めていると聞いております。
本市といたしましても、県の動向を注視するとともに、保護司会や更生保護女性会の方々と連携し、再犯防止に向けた取組について検討を進めてまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
防犯・交通安全対策として、自転車等の利用者の利便性向上をはかるため、藤沢駅周辺に民間事業者による小規模分散型駐車場整備事業と連携し、あらたな駐輪スペースを確保することが予定されています。
★具体的には大和市が全国初の協同運用を開始した駐輪場駐車場シェアサービス「みんちゅう」を導入するとのことですが、そのサービス概要と導入時期、またどの程度の駐輪スペースを確保することを想定しているのかお聞かせください。
【答弁:古澤道路河川部長】
本サービスの概要といたしましては、民間事業者がビルや店舗などの未利用地や空きスペースを借りたうえで小規模分散型の駐輪場として整備し、その駐輪場を会員登録した会員同士がシェアして利用していくものでございます。会員登録や駐輪場を利用する場合は、スマートフォンのアプリなどを利用して行うことになります。なお、藤沢駅周辺の自転車等放置禁止区域内を対象に導入を予定しているものです。
本市と民間事業者との役割分担といたしましては、民間事業者は駐輪場のスペースとして貸し出し可能なオーナーを募り、駐輪場の整備を行い、シェアサービスの運営を行います。本市は、各駐輪場のパトロールを行い、不正利用する自転車への警告・移動・保管の業務を担っていくものです。今年度内に事業者との協定を締結し、この4月からの運用開始を前提に調整を進めております。また、駐輪場の確保台数でございますが、目標台数は200台としています。
【引き続き質問】
市民の人権を守る取り組みに関しては、とりわけインターネットを使った人権侵害をいかに防ぐかが大きな課題です。昨年、川崎市の在日コリアンの女性に対し、ツイッターで1万件を超えるヘイト書き込みを行った男が書類送検されましたが、この犯人は「藤沢市在住の50歳の無職男性」だったということが報道されていました。藤沢にとっても、無縁ではありません。
インターネットに部落地名総鑑をアップするような動きも深刻化しています。「人権」とは、抽象的な一般論で語っても何の意味もありません。個別課題に真摯に向かい合う中から、結果として普遍的な課題が見出されるのであって、けっしてその逆ではありません。
★当面、インターネットなどに差別的な書き込みが確認された場合、迅速な削除要請を行うなどの対応を進めるべきだと思いますが、見解を伺います。
【答弁:関口企画政策部長】
近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチが社会問題となり、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進するため、平成28年6月に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行されました。また、情報化の進展に伴い、インターネット上で部落差別を助長・誘発する事案も発生していることなどを踏まえ、同年12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。特に、インターネット上の情報は、一度拡散されてしまうと完全に削除することが難しいため、問題となっております。
本市におきましても、差別や人権侵害はあってはならないものと認識しており、インターネット上において部落差別やヘイトスピーチのような差別的書き込みを確認した場合には、横浜地方法務局に相談し、対応について依頼をしております。
今後とも、一人ひとりの人権が尊重される社会の実現を目指し、県や法務局及び関係団体等と連携し、意識啓発等に努めるとともに、人権施策を積極的に推進してまいります。
(3)「2020年」に向けてまちの魅力を創出する
2020オリンピックに向けた関係部局の皆さんのご努力には、あらためて敬意を表します。ただオリンピックに関しては、ともすれば金メダル至上主義に陥ってしまったり、他国の選手に対する差別・排外主義的な発言が生まれることも危惧されます。オリンピックの理念は、スポーツを通じて戦争のない、平和な社会を築くことだったはずです。
★オリンピックに際しては、ぜひ藤沢らしい、「オリンピック憲章」の理念を踏まえたものとしていただきたいと思いますが、お考えを伺います。
【答弁:秋山生涯学習部長】
オリンピック憲章では、オリンピック開催の目的の一つに、「スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てること、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会の推進」とされています。これを踏まえ、本市では、ボランティア活動や文化事業等による、おもてなしの取組や、パラスポーツの普及啓発など、大会を契機とした様々な取組を通じて、友情やフェアプレー精神の大切さなどを学ぶ機会を創出し、お互いを理解し共に助け合うことの大切さを学ぶなど、共生社会の推進に向けて、取組を行っております。
本市といたしましては、オリンピック・パラリンピック開催の主旨に鑑み、「人の和」を大切にした共生社会が一層推進するよう、様々な取組を更に積極的に進めてまいります。
【引き続き質問】
一昨年、障がい当事者に行われたアンケートがあります。「パラリンピックを通じて障がい者に対する理解が広がると思うか」という設問に対して、約8割が「そうは思わない」と回答しています。事実藤沢でも、身体障害者団体の一部を除いて、障がい者団体や保護者会、社会福祉法人などからも、パラリンピックについて言及する声はあまり聞こえてきません。この現実を重く受け止めるべきだと思います。
パラリンピックの意義を否定しているのではありません。ただ、障がい者スポーツが身体機能の優劣を競い合うだけのもので終わってしまえば、障がいが軽い方が有利に決まっています。重度の障害者はどうしたら良いのでしょうか。
★金メダルの数ではなく、「すべての人間には可能性があるのだ」という視点や、障がい者のスポーツの権利を定めた障害者権利条約の理念をふまえたパラリンピックや障がい者スポーツの振興を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁:秋山生涯学習部長】
パラリンピック開催の大きな意義の一つに障がい者理解の推進があります。オリンピック憲章では、「スポーツをすることは、人権の一つであり、すべての個人は、いかなる種類の差別を受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。」と定められています。
本市では、パラスポーツフェスタやボッチャ競技大会を開催するなど、障がいの有無にかかわらず、気軽にスポーツに親しみ、多様性を認め合う機会の創出に努めているところでございます。
障害者権利条約にも定められている、障がいのある方も平等にスポーツに参加できる権利が確保できるよう、藤沢市障がい者スポーツ連絡協議会をはじめ関連団体と連携し、今後も取り組んでまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
★オリンピックに際しては、来訪する観光客に対する多言語対応が必要となります。この多言語に対応した観光案内サインについて、クラウドファンディングによる目標金額と整備の概要、認識されるリスクと課題についてどのように対応されるかお聞かせください。
【答弁:和田経済部長】
本市では、東京2020大会を契機に、今後ますます増加が予想される観光客や観戦者への受入体制を充実させるため、今年度、観光案内整備プランを作成し、来年度以降の観光案内サインの整備に向けた取組を進めております。この整備にあたり、新たな財源確保の手法として、クラウドファンディングを実施し、集まった寄附金を案内板の設置費用に充てることを予定しております。
寄附金への返礼につきましては、寄附金額に応じて異なりますが、設置する観光案内サインの中のマップや、方向案内板への表示のほか、寄附者の氏名または社名を記載したプレートの設置や市のホームページへの掲載などを考えております。
ご質問のクラウドファンディングの目標金額につきましては150万円とし、実施時期を設置予定箇所が明確になった時点からとし、約2カ月間を予定しております。目標金額に達しない場合においても、事業は執り行うことを想定しております。また、リスクや課題につきましては、公共の観光案内サインであることを踏まえ、マップや方向案内板への寄附については対象を限定する必要があることや、寄附者の希望する表示内容が屋外広告物条例に抵触しないよう調整が必要なことが考えられます。
加えて、東京2020大会におけるアンブッシュマーケティングに関連し、大会の期間中には表示できない可能性が考えられ、これらのことなどについて、募集段階で適切に周知することが課題だと考えております。
【引き続き質問】
いまスポーツ界は、暴力やパワハラ、過度の精神主義などの古い体質からいかに脱却するかで苦悩しています。このような中で昨年、スポーツ庁が全国の学校に向けて、科学的な知見に立って生徒の健康を守るための「運動部活動ガイドライン」を示したことは、画期的なことでした。最近では新潟県高野連が「球数制限」打ち出すなど、いまスペーツをめぐる「潮目が変わりつつある」といえる状況にあるのかもしれません。
体罰や暴言について、学校現場ではかなり減少してきたものの、少年スポーツなどでは依然として古い体質のコーチの存在も指摘されています。
★この機会に従来の体罰や過度の精神主義、経験則のみに基づく指導ではなく、スポーツ科学の立場に立った指導への転換に向けた啓発を進めるべきではないでしょうか。
【答弁:秋山生涯学習部長】
スポーツは子ども達が成長していく過程で、体力、技術力の向上のみならず、心身の健全な発達を促す上で、重要な役割を担っているものと認識しております。公益財団法人 日本スポーツ協会では、スポーツ界における暴力行為の根絶を宣言し、公認スポーツ指導者の養成を推進しております。本市では、スポーツ少年団本部に属する232名の指導者がこの資格を取得し、日々、指導にあたっております。
本市においては、「湘南藤沢スポーツフォーラム」や、「指導者講習会」、救急法を学ぶ「赤十字社正規講習会」など、藤沢市体育協会や藤沢市みらい創造財団、関連団体と連携し、スポーツ指導者の養成に取り組んでおります。また、今年度は、藤沢市まちづくりパートナーシップ事業として、NPO法人湘南栄養指導センターとの共催で、公認スポーツ栄養士が指導する「食事」をテーマとした「ジュニアのためのスポーツ栄養講座」を開催し、栄養学の面での啓発にも取り組んでおります。
今後につきましても、スポーツに関する資格取得の促進を図るとともに、平成25年に文部科学省が、殴る蹴るなどの体罰や長時間練習の禁止を示した「運動部活動での指導のガイドライン」などを参酌し、科学的なスポーツ指導法の習得、意識の啓発に努めてまいります。
(4)笑顔と元気あふれるごともたちを育てる
低賃金・長時間労働の是正などの「働き方改革」は待ったなしの問題となっています。特に教職員に関しては、いま「新潟ショック」と言われる深刻な問題が全国の学校現場を震撼させています。全国の7割の自治体で、教員採用試験の応募倍率が下がり、新潟県の小学校に至っては応募倍率が1.2倍と、辞退者を考えれば定員割れを引き起こしかねない深刻な状態が生まれています。
藤沢でも産休・育休などの代替者がみつからず、欠員を抱えたまま授業を行っている学校が何校も生まれています。これも背景には、教員免許状の所持者が減少していることも一因となっています。
★持続可能な学校教育のために、教職員の「働き方改革」に向けてはどのように取り組まれるのでしょうか。
【答弁:平岩教育長】
教育委員会といたしましても教員不足は深刻な問題と認識しており、教員不足の解消と労働環境の改善の面からも教職員の働き方改革は大変重要であると捉えております。こうした状況を踏まえ、現在、教育委員会におきましては、「藤沢市立学校 教職員の働き方改革基本方針」の策定に取り組んでおります。策定にあたっての基本的な考え方といたしましては、この働き方改革によって教職員の長時間労働の是正を行うとともに、教職員自身が心身ともに健康で、元気でいきいきと働けることで児童生徒としっかりと向き合うことができ、子どもたちの豊かな学びや健やかな成長に結びつくものと考えております。また、教職員・学校・教育委員会の3者が一体となって、働き方改革の必要性や目的について共通認識を持ち、それぞれの役割を果たすことで改革を推進してまいります。
具体の取組としては4つの柱を考えており、1点目は児童支援担当教諭の配置やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等による人的支援・人材活用、2点目はICT等を活用した業務改善による効率化、3点目は学校や教職員の担うべき業務の適正化、4点目は教職員一人ひとりの働き方改革に向けた意識の醸成により、教職員の働き方改革を推進してまいりたいと考えております。なお、方針については今年度中に策定し、来年度以降に具体的な取組についてさらに協議、検討してまいります。
また、中学校においては、部活動指導が教員の長時間勤務の課題となっていることから、現在策定に取り組んでおります「藤沢市の部活動の在り方に関する方針」の中で、部活動指導員制度の導入などにより、教員の長時間勤務の縮減および負担軽減を図り、教職員の働き方改革を推進してまいります
【引き続き質問】
藤沢市の「支援教育」は、先進的な取り組みとして注目を集めています。昨年はモンゴルの文部科学省や国立大学の研究チームが藤沢を視察に訪れたほか、障がいのある自治体議員のネットワークも藤沢の学校を視察しました。
ただ、この支援教育は、現場の多大な努力の上に成り立っています。いま藤沢の普通学級に、重度の知的障がいや医療的ケアを必要とする児童・生徒も通学している姿は珍しくありません。自立排泄ができず、オムツの交換を担任の先生が担っているケースもあります。
また普通学級とまでは言わなくても、地域から離れた特別支援学校ではなく地域の学校の特別支援に通いたい、と希望する重度・知的障がいのお子さんも増えています。
★特別支援学級の全校設置を急ぐとともに、知的・情緒だけではなく医療的ケアの必要な子どもたちへの合理的配慮、さらには普通学級への介助員の増員、特別支援教育ボランティアの制度化など、藤沢の支援教育を持続可能なものとするための支援を進めるべきだと考えます。お考えを伺います。
【村上教育部長】
1点目の特別支援学級の全校設置に向けてでございますが、平成31年度の4月に新たに六会小学校に特別支援学級を設置いたします。また平成32年度には大庭小学校と滝の沢中学校に設置を予定しております。
教育委員会といたしましては、全ての児童生徒が地域の中で育ち、居住学区の学校に就学することができるよう、特別支援学級の全校設置に向けて順次進めてまいります。
2点目の医療的ケアが必要な児童生徒については、現在、学校看護介助員を派遣しているところですが、今後、医療的ケアが必要な児童生徒が増えていくことが予想されることから、学校看護介助員の人員を確保するとともに、医師と連携した校内支援体制の構築等、適切な支援が行われるように努めてまいります。
3点目の通常学級への介助員の派遣は現在も行っているところですが、介助員を必要とする児童生徒の増加に伴い必要な時間数を予算として計上しているところでございます。4点目の新たなボランティア制度の導入についても研究するなど、持続可能な本市の支援教育をめざしてまいります。
【引き続き質問】
鈴木市長が先頭に立って実現してくださった藤沢市独自の給付型奨学金については、従来進学が非常に困難だった生活困窮世帯や児童養護施設出身の若者たちにとって、人数こそ少ないものの、将来の「ロールモデル」を示せたという意味で、「希望の奨学金」と言えるものです。
★今後、国の大学無償化の動向も留意する必要はありますが、昨年度の奨学生の現状と入学後の支援、さらには二期生の状況について伺います。
【神原教育次長】
昨年度選考した3名の奨学生の状況につきましては、2名が生活保護受給世帯で進学先は専門学校、1名が住民税非課税世帯で進学先は私立大学です。入学後の支援としましては、関連する福祉健康部の職員と連携し、これまでに3回の定期面談を実施しております。面談の中では、学校生活の状況や私生活の状況を確認するとともに、困りごとや悩み事などについても伺っており、3名とも元気に通学していることを確認しております。
今後につきましては、今月から来月にかけて4回目の定期面談を実施し、世帯状況や成績等を確認してまいります。今年度選考した二期生3名の状況につきましては、2名が児童養護施設入所者で進学先は私立大学と専門学校、1名が住民税非課税世帯で進学先は私立大学です。3名とも希望校の試験に合格したことから、入学準備金を支給し、入学手続きを済ませていただいております。
今後も、選考した奨学生たちがそれぞれの夢に向かって進んでいけるよう、引き続き奨学生の丁寧なフォローアップに努めてまいります。
【引き続き質問】
野田市で起きた父親による小学生殺人事件は、教育委員会が少女の書いた「いじめアンケート」を父親の強要に負けて渡してしまうという、信じられない事態もひとつの要因でした。ですがそこまで行かなくても、藤沢でも保護者対応に学校現場がきわめて困難を強いられる事例が多発しています。もちろんその背景には、わが子を思う保護者の切実な願いがあります。けっして「モンスター」などと安易なレッテルを貼ることがあってはなりません。しかし、中には金銭の要求に至ったり、深夜に及ぶ長時間のクレームなど、教職員の多忙の原因のひつとは、この「保護者対応」でもある、と言われる状況も生まれています。
一方、茅ヶ崎市で起きたいじめ問題への不適切な対応については、いじめ防止対策推進法への理解の不徹底が、問題の要因とも言われています。もはや学校教育も、法律にもとづく視点を必要とする時代を迎えています。茅ヶ崎市や厚木市などでは、教育委員会に「スクールロイヤー」と呼ばれる常勤の職員弁護士が配置されるようになりました。野田市の場合も、もしスクールロイヤーが配置されていれば、事件は起こりえなかったはずです。
★藤沢でも校長会をはじめ、現場からはこの導入が強く求められています。ぜひ、藤沢でもスクールロイヤーを導入すべきだと思いますが、お考えを伺います。
【答弁:村上教育部長】
近年、学校で起こる問題は多様化、複雑化し、学校の教職員だけで対応することが困難な事案が増加していることから、現在は、学校や教育委員会が法的な判断を必要とする場合には市の顧問弁護士を予約し、相談や助言をいただくことで対応しております。
しかしながら、学校が迅速に相談を必要とする場合や、保護者が弁護士等第三者を連れて面談に来校する際の対応などもあることから、スクールロイヤーの導入については、現在策定している「藤沢市立学校教職員の働き方改革基本方針」に位置づけ検討するとともに、導入に向けて、国や県に働きかけてまいります。
【引き続き質問】
保育需要の高まりに対応するために、保育所整備による192人の定員拡大とあわせて、これまで行ってきた保育士のための宿舎借り上げ補助制度の他に、新たに奨学金返済の助成制度等による保育士確保を進めていかれるとのことであり、おおいに推進していただきたいと思います。一方で、2018年10月時点での藤沢市の待機児童数は347人、希望したものの認可保育所に入れなかった保留児童数は1,213人となっています。
★これらの状況をふまえ、保育士不足への対応について、どのように対処して行かれるのでしょうか。また保育園にかかわる課題としては、さらに育休退園、兄弟別園などを含め、様々な課題について総合的に取り組む必要があると考えますが、お考えを伺います。
【答弁:村井子ども青少年部長】
本市の民間保育所におきましては、依然、保育士不足の状況が続いており、保育士確保が急務となっております。現在も保育士の円滑な就職・復職に向け、様々な取組を行っておりますが、来年度におきましては、それらの一層の充実と、新たな取組により、保育士確保に努めてまいります。
具体的には、「保育士のための宿舎借り上げ制度」の内容を充実させたり、「奨学金」を利用して保育士資格を取得し、本市の民間保育所に就職した新卒保育士のために、奨学金返済に対する補助制度を新たに創設いたします。また、保育士に対するイメージアップを図り、市内の民間保育所を広く紹介するためのリーフレットを作成し、市内各所で配架・配付を行ってまいります。これらの取組などによりまして、今後も保育士の確保に努めてまいります。
次に、「保育園にかかわる課題」でございますが、毎年多くの方が保育施設の利用を希望されており、その中、入所にかかることなど様々な課題が生じております。現在、保育施設に入れなかった場合の育児休業が2歳まで延長できるようになったことに加え、保護者の就労形態が多様化してきたことなどにより、特に低年齢児の利用申し込みが増えており、この状況の解消が急務となっております。
そのためには、まず、待機児童対策や保育士確保等への対応が必要であり、従来の取組に加え今後は、企業が設置主体となって保育を行う、企業主導型保育の活用なども有効になると捉えております。
今後とも、子育てと仕事を両立する保護者の、様々な働き方などに対するニーズを踏まえながら、保育にかかる課題一つ一つに取り組み、一層の子育て支援の充実に向けて努めてまいります。
【引き続き質問】
Fプレイスや鵠南小学校など、藤沢市では公共施設の「複合化」が進んでいます。また富士見台小学校では体育館を開放しての放課後子ども教室が実現することになりました。私たちは、市内の1/3の小学校に仮設校舎が設けられているような状況が改善され、当面の特別支援学級の全校設置が完了したのであれば、学校施設の複合化や学校開放もぜひ積極的に進めるべきだと思います。ですが、その際に確認すべきは、学校開放や複合化の際のルールです。
かつて前市長の時代、このルールを省みない恣意的な事例が頻発した結果、学校現場や教育行政にもたいへんな混乱が生じました。
★学校事故の防止や防犯の観点からも、文部科学省の「学校施設整備指針」や「放課後児童クラブを運営する際の基本原則について」などの遵守について、確認させていただきます。
【答弁:神原教育次長】
学校施設の開放や複合化などにおける「学校施設整備指針」や小学校校長会と協議済みである「放課後児童クラブを運営する際の基本原則について」の確認ということでございますが、「学校施設整備指針」におきましては、学校教育目的以外に学校施設を使用する場合には、学校や地域の特性に応じた防犯対策を実施し、安全性を確保したうえで、地域住民の積極的な利用促進を図るとされておりますが、その前提として、学校施設における児童の学習と生活に支障のないことが原則となっております。また、使用にあたっては、非開放部分に部外者が入らないように施設面での措置を講じることや、使用領域を明確化し、その防犯対策に関する責任の所在や役割分担についても明確にしておくことが重要であるとしております。
次に、「放課後児童クラブを運営する際の基本原則について」は、平成29年度に小学校校長会と子ども青少年部の間で協議されたもので、学校内に放課後児童クラブを設置する場合、「学校運営に支障をきたさないこと」を大原則とし、具体的には、学習・学校生活等教育活動に影響を与えないこと、学校の管理上支障がないこと、管理・セキュリティー・運営等において独立していることを前提条件として、各学校の実情に合わせて学校と運営事業者がルール等を明確化するといった内容になっているものでございます。
教育委員会といたしましては、今後におきましてもこれらの指針等を踏まえた上で、学校現場の実態に鑑みながら、子ども青少年部と協力し、放課後児童の居場所づくりのための施策に対して支援してまいります。
【引き続き質問】
「藤沢市子どもと子育て家庭の生活実態調査」の結果からは、単に「子どもの貧困」だけに止まらない、様々な課題が読み取れます。
中でも授業の理解度が「あまりわからない」「わからないことが多い」「ほとんどわからない」と答えた割合は小学生で10.8%、中学生では18.0%にのぼりました。特にひとり親家庭では小・中学生ともに3割近くに及びます。
さらに、将来の夢の有無を尋ねた設問では小学生の25.0%、中学生の42.8%が「ない」と回答しています。またその理由として、小学生の6割、中学生の7割が「夢がかなうのがむずかしいと思うから」と答えています。
ここからは、藤沢市でも子どもの経済的・社会的貧困が厳然として存在しており、そのことが子どもたちが自分の未来を選ぶことのできない「希望の格差」につながっている、という厳しい現実が浮かび上がってきます。子どもの貧困対策は、待ったなしの課題です。
★「藤沢市子どもと子育て家庭の生活実態調査」を、子どもたちの笑顔と元気を保障する政策立案のためのエビデンスとして活かしていく必要があるのではないでしょうか。さらに、子どもの貧困対策としてはどのような政策をお考えでしょうか。
【答弁:村井子ども青少年部長】
先の子ども文教常任委員会でもご報告させていただいたとおり、平成31年度中に本実態調査の結果を踏まえた、実効性のある「(仮称)藤沢市子どもの貧困対策実施計画」を策定してまいります。
また、子どもの貧困対策としての政策につきましては、子どもたちの未来が生まれ育った環境によって左右されず、等しく光輝くものとなるよう、本実態調査結果にさらなる詳細な分析を加えながら、実施計画を策定し、その中でお示しさせていただきたいと考えております。
(5)健康で豊かな長寿社会をつくる
従来の施策の枠組みでは、「高齢者政策」と「障害者政策」は別のものとして分けられてきました。ですが、人は加齢とともに様々な身体機能や認知機能に「障がい」に相当する問題が生じ、手帳の取得者も増えていきます。一方、障がい者もかならず老います。しかも、その時期を多くは「親亡き後」として迎えます。
この問題に一石を投じたのはまさに「65歳以上の障がい者の介護保険優先原則」の問題だったのではないでしょうか。いまようやく、「共生型サービス」が具体化し始めましたが、横浜市ではすでに担当課は「高齢・障がい者支援課」として一体的な支援を進めています。
★藤沢市でも、今後「高齢者」「障がい者」の枠を越えて総合的な施策を進めて行くべきだと考えますが、いかがでしょうか。
【答弁:片山福祉健康部長】
「高齢者」「障がい者」の枠を超えた総合的な施策についてでございますが、国の動向といたしましては、障がいのある方の高齢化への対応が課題の1つとされており、平成30年度の制度改正では、共生型サービスが創設されました。共生型サービスは、介護保険サービスと障がい福祉サービスを同一の事業所で一体的に提供するもので、1月末時点で、県内に13事業所、そのうち本市では2事業所が実施しております。
そのような背景のもと、本市では、平成32年度に、障がい者計画のほか、様々な福祉計画の見直しを行いますので、その際には、関係部署と連携し、高齢者や障がい者のみならず、制度の枠を超えた施策の展開について協議してまいります。
さらに、すべての人が自分らしく生活できるよう、高齢者や障がい者といった枠にとらわれない支援の充実に向けて、社会資源の確保に努めてまいります。
【引き続き質問】
今年の1月10日、保健予防課主催の研修会「精神障がいのある親を持つ子ども(ヤングケアラー)の支援教育」が開催されました。会場は教育関係者だけでなく、福祉関係者や一般市民などの参加者で満杯となり、さらにNHKやTBS、各新聞社などのメディアも取材に訪れ、たいへんな注目を集めました。
このような企画は、自治体主催のものとしては全国でも初めてのものです。いままであまり光が当たらずに来た、障がい者とその家族に対する支援という課題がいかに求められていたか、という証しだったのだと思います。
★精神疾患のある親を持つ子どもへの支援をはじめ、障がいのある方の家族支援について今後も積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁:片山福祉健康部長】
家族を支援するための重要な取組といたしましては、啓発活動の充実や気軽に相談できる機会の確保、介護者の負担軽減につながるサービスの提供などであると考えております。本市では、今年度、啓発活動の一つとして、教育、子ども、福祉の3部が連携し、「精神障がいのある親を持つ子ども(ヤングケアラー)の支援教育」をテーマに、研修会を開催いたしました。この研修会には、非常に多くの方々が参加し、様々な視点から必要な支援について考える機会となりました。
また、相談支援の充実・強化に向けて、障がい福祉相談員や、家族会の方々によるサポート活動、障がい者相談支援事業所による専門的支援を行っており、地域との連携を一層重視した相談支援体制のあり方について、具体的な検討を進めているところでございます。
そして、介護者の負担軽減につながるサービスといたしまして、短期入所・日中一時支援等のサービスを実施しており、日中一時支援につきましては、より弾力的な運用が可能となるよう、事業の拡大を予定しております。
今後につきましても、障がいのある方ご本人の福祉の向上はもとより、介護者支援の視点を重視し、ご家族の負担軽減が図られるような施策の充実に取り組んでまいります。
【引き続き質問】
様々な課題はあるものの、障がい者施設はこの藤沢市においても次第に充実してきています。ですが、長年にわたる要望にもかかわらず依然としてかなわないのが、湘南東部医療圏にも重症心身障害児・者の療養介護入所施設を開設してほしいという要望です。
重症心身障害児とは、重度の肢体不自由と知的障害とが重複した状態にある子どものことです。それだけに医療的ケアも含めた手厚い支援が必要です。ですが、現在藤沢には生活介護事業所はありますが、近隣の地区に療養介護入所施設はありません。もちろんこれは藤沢市だけで実現できるものではありませんが、その要望は切実なものがあります。
★湘南東部医療圏への療養介護入所施設の設置について、お考えを伺います。
【答弁:片山福祉健康部長】
本市といたしましても、当該施設の必要性を十分に認識し、圏域内に整備していきたいと考えており、関係団体との意見交換や協議を行っているところでございます。今後も引き続き、用地確保や建設費用、事業運営の採算性などの課題の解決に向けて、関係団体の協力のもと、中長期的な視点に立ち、茅ケ崎市や寒川町とも情報を共有しながら、施設整備について検討してまいります。
【引き続き質問】
高齢者の抱える現実は、およそ「健康で豊か」と言えるものではありません。中でも独居高齢者の場合、ましてわずかな年金収入しかなければ「アパートへの入居を断られる」という深刻な問題に直面します。その意味で、改正住宅セーフティーネット法に盛り込まれた「断らない住宅」への期待は大きなものがあります。これについて、藤沢市が「居住支援協議会」を積極的に設置しようとしておられることは評価したいと思います。
★「居住支援協議会」の現状と、今後の取り組みについて伺います。
【答弁:石原計画建築部長】
本市ではこれまでも、福祉部門と住宅部門が連携を図り、福祉関係団体等に対し、役割や必要性などを説明しながら、協議会の設置に向けた取り組みを進めてまいりました。また、協議会の委員構成や活動内容などを検討するために、既に設置されている神奈川県との意見交換や、準備会がある鎌倉市への視察などを実施し、本市の実情にあった協議会となるよう、検討を進めているところでございます。
さらに、今年度策定した「藤沢市住宅マスタープラン」では、総合的な住まい施策の推進に向けた重点施策として、居住支援協議会による住宅確保要配慮者への支援などを定めております。
今後につきましても、引き続き、庁内関係課と連携を図るとともに、誰もが安心して暮らせる環境づくりに向け、不動産や居住支援の関係機関のほか、福祉関係団体などの皆様と協働した取り組みを進めてまいりたいと考えております。
(6)都市の機能と活力を高める
未来の市民生活を支えるロボット産業の推進については、ロボット利活用とロボット産業の振興に重点を置いた施策の展開と、庁内でのロボットの活用を試行的に導入することが示されています。
これまでも本市においては産官学の連携で様々な先端テクノロジーを活用した試行的取り組みが行われてきましたが、他自治体においてはこうしたテクノロジーの活用による社会課題へのアプローチも進んでいるところです。
★ロボットの最先端都市をめざす藤沢市においても、社会課題に対してテクノロジーでアプローチする積極的な推進体制が望まれますが、ご見解を伺います。
【答弁:鈴木市長】
本市では、さがみロボット産業特区と連携し、生活支援ロボットに関するさまざまな取組を行っており、平成30年度からは「藤沢市ロボット未来社会推進プロジェクト」として2つの推進体制での取組を想定しております。
まず1つ目は、従前から行っていた庁内関係課の連携を平成30年4月から「ロボット施策庁内連携推進会議」として位置づけ、平成31年度からは多言語通訳ロボットや清掃ロボットのほか先端技術等について試行的導入を行ってまいります。
2つ目は、ロボット導入施設やロボット関連企業、大学、行政など多様な主体が参加し、「ロボットと共生する未来社会」を目指し取組を進めていく「藤沢市ロボット未来社会推進会議」を立ち上げる予定でございます。この会議により、ロボット導入施設とロボット関連企業のマッチングによる実証フィールドの提供や大学との連携などロボットの利活用や産業振興に対する好循環を生み出すことが期待できるものと考えております。
今後につきましては、この2つの会議によりロボットをはじめAIやVRなどさまざまな先端技術を積極的に活用することで、今後想定される社会課題の解決を図り、ロボットの最先端都市をめざしてまいります。
【引き続き質問】
現在、人口43万人の藤沢市には約6,000人の外国人市民が暮らしています。日本国籍は持っているものの日本語の習得が十分ではない方や、国際結婚によって生まれた複数のアイデンティティを持つ「ダブル」の方たちを合わせれば、外国につながる市民は10,000人に及ぶと言われています。
その内容も、在日コリアンの皆さんのようなオールドカマーに加え、主に労働者として渡日した方たち、留学生や研究者と多岐にわたります。最近はイスラム教徒(ムスリム)の方や、ミャンマーのロヒンギャ難民の方も藤沢で暮らし始めました。
これからの日本社会は間違いなく、多くの外国籍市民を受け入れていくことになるのは避けられません。ですが、市政方針や予算書の中では、この「外国にルーツを持つ市民との共生」についてはほとんどふれられていません。市の部課名からも、「国際」という名前は消えました。
★外国籍市民との共生の課題については、どのように取り組まれるのでしょうか。
【答弁:関口企画政策部長】
本市住民記録台帳による外国人住民人口は、増加傾向が続いており、平成31年2月1日現在、6,261人と、現行の制度に基づく統計上、最も多くなっております。一方、国においては外国人材の受入れに向け、本年4月1日に新たな在留制度を創設することを踏まえ、外国人材の受入れ・共生に関して目指すべき方向性として平成30年12月25日に「外国人材の受入れ、共生のための総合的対応策」を取りまとめ、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図るとしております。
本市におきましては、平成19年に策定し、平成26年に改定した「藤沢市多文化共生のまちづくり指針」に基づき、だれもが多様な文化を認め合い自分らしい生き方ができる「共に生きる」地域社会づくりを目指しております。今後、外国につながる市民が大幅に増加することが予測されますので、この指針に基づき市民や団体、大学、企業等と協働し多文化共生施策を推進してまいります。
【引き続き質問】
また、観光客のみならず藤沢で暮らす外国人市民への支援を考えた場合、多言語対応も必要になってきます。さらに外国人市民だけではなく、障がい者や高齢者、様々な理由で識字が十分ではない市民の方もいらっしゃいます。
★多くの自治体で導入が進む「言葉のユニバーサルデザイン」とも言うべき「やさしい日本語」の取り入れは藤沢でもぜひ必要だと思いますが、これについての進展を伺います。
【答弁:関口企画政策部長】
外国人住民登録者の国籍が多様化する中、市として外国につながる市民に必要な情報を届けるために「やさしい日本語」を活かしていくことは、多言語による情報発信を補完する大変有効な手段であるだけでなく、結果として、すべての人にとってやさしい、わかりやすい行政文書づくりにつながるものと理解しております。
また、「藤沢市外国人市民会議」からも、平成28年3月に市長に提出された提言書の中で、「情報は多言語表記が望ましいが、翻訳が難しければ、ひらがなや、やさしい日本語の情報を増やしてほしい」との要望をいただいております。
本市における取入れ状況でございますが、「藤沢生活ガイド」等を「やさしい日本語」で提供しているほか、防災安全部におきまして今年度設置分の津波避難経路路面標識に採用する等取組を進めているところでございます。また、平成30年3月には神奈川県立国際言語文化アカデミアから講師を迎え職員向けに啓発研修を行ったほか、庁内各部局が所管する行政情報を多言語に翻訳する際には「やさしい日本語」による文書作成を勧奨するなど、啓発に努めております。
こうした取組を通じ、市として「やさしい日本語」の活用が進むよう、今後とも努めてまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
今日、藤沢市の勤労者の過半数は藤沢市外に通勤しています。東海道線や小田急線で東京や横浜に働きに行き、夜、藤沢に帰ってくる市民が勤労者の主流だということです。つまり、藤沢は東京から50キロ圏に位置づく、典型的なベッドタウンだということです。
藤沢市の「都市の活力」を考える上で、このような勤労者の視点も必要ではないでしょうか。小田急百貨店への南図書館の暫定移転では、帰宅した市民へのサービスが展開されます。限られた時間や限られた条件の中で取り組まれた担当職員の皆さんのご苦労には、敬意を表するものです。大切な施策ですので、論議と検証を進めながら、着実な取り組みをお願いしたいと思います。
★そのような観点から、従来の「13地区」という視点に加え、通勤・通学している市民のニーズをふまえた行政サービスをいっそう検討することが藤沢の魅力アップにもつながると思いますが、いかがでしょうか。
【答弁:関口企画政策部長】
本市では、これまでも市外へ通勤・通学をしている市民が多いことを考慮し、夜間や休日の閉庁時間帯の証明書の交付や、市民が参加する会議の夜間・休日の開催等を広げてまいりました。今後も、引き続き、時間的な配慮に限らず、市外通勤者等のニーズにも配慮した行政サービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
また、市外へ通勤・通学をしている市民は、市役所に来庁する時間をつくること自体が難しいと思われることから、ICTの利活用などにより、来庁しなくても行政手続きが行えるよう、行政のデジタル化も推進していかなければならないと認識しております。今後も、市外へ通勤・通学をしている市民の皆様はもとより多くの皆様に、便利で暮らしやすいまちと感じていただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
【引き続き質問】
地球温暖化対策について、本市では2014年度に「藤沢市エネルギーの地産地消計画」の策定を行い、率先した再生可能エネルギーの導入等を推進してきました。さらに2016年度に「藤沢市環境基本計画」及び「藤沢市地球温暖化対策実行計画」の見直しが行われ、温室効果ガス削減については、2017年度から2022年度までの後半6年間での目標実現を見据えた内容に修正されました。
★温室効果ガスの削減目標を、1990年度の排出量を基準に2022年度までに-40%として施策を展開している中で、直近の排出量の状況と、目標に対してどの程度削減が進捗しているのかお聞かせください。
★また、部門別の排出割合の概要と、それに対し現状どの様な削減策を取っていて、今後は目標達成に向けてのどのような施策の展開を図って行くのか併せてお聞きかせください。
【答弁:黛環境部長】
まず、本市における温室効果ガスの排出状況についてでございますが、国等の統計データを活用して算出していることから、2015年度の実績が直近の値となっており、排出量は273万3,300トンで、1990年度の排出量378万3,000トンと比べ、約27.7%の削減となっております。
排出割合については、製造業を中心とした産業部門の排出量が143万7,500トンと一番多く、全体の約52.6%を占めており、次いでオフィスビルや商業施設もしくは一般家庭を中心とした民生部門が91万4,000トンで、約33.5%を占めております。
このため、製造業やオフィスビル、商業施設への対策が求められていることから、「いわゆる『わがまち特例』において、再生可能エネルギー発電設備設置に係る税負担の軽減措置を図ること」や「商工会議所を通じた情報提供」など、側面からの支援を行っております。
また、一般家庭への対策といたしましては、これまで、「太陽光発電システムやエネファームなどの導入時の補助事業」、「エコライフハンドブック概要版の全戸配布事業」などを実施してまいりました。
今年度からはこうした事業に加え、市長がクールチョイス宣言をするとともに補助率100%の国の補助事業に採択され、「ウォームビズ・クールビズの推進」、「省エネ機器の買い替えの推進」、「公共交通機関の利用促進」、「省エネ住宅の普及促進」などを柱とした「COOL CHOICE啓発事業」を始めたところでございます。
来年度につきましても、既存の補助制度を継続するとともに、「COOL CHOICE啓発事業」をさらに充実させながら、市民、事業者、NPO法人等、大学、行政の協働と連携のもと、本市の温室効果ガスの削減目標の達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
※以上、報告とします。