10月8日 10:10より、藤沢市議会9月定例会(9日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
まず、平成30年度認定に関する各会派の討論がされました。ここでは私の所属する会派「民主・無所属クラブ」の討論を掲載します(全文掲載)。今回は竹村議員が決算討論を行いました。
平成30年度決算討論
認定第1号「平成30年度藤沢市一般会計」ならびに「8特別会計」の歳入歳出決算に対して認定、議案第40号「平成30年度下水道事業費特別会計剰余金の処分および決算」に対して賛成・認定の、民主・無所属クラブの討論を行います。
平成29年度決算について
まず、あらためて平成29年度決算審査について述べます。
報酬・賃金の支払い遅延など不適正な事務が次々と判明し、平成29年度決算については採決の結果、一般会計と介護保険事業費特別会計が、藤沢市として初めて不認定となりました。
そもそも決算の認定というのは、どのようなものなのでしょうか。
「予算を認めた事業に対して、予定通りに執行がされていたのか?」「執行率が低いなら、その要因は何なのか?」それらを審査して、その年度の事業費を確定するものです。
私たちの会派は、介護保険事業費については「第三者行為によるものに対して、第三者に請求が出来ていなかったことは、予算で認めた事業の事務が適切に執行されていなかった」という理由で不認定としましたが、一般会計については事務の遅延はあったものの、「予定していた事務処理の内容で平成29年度事業費の決算額が確定した」ということで認定としました。
この決算の不認定により、市役所で働く職員への影響はどうだったのでしょうか。市役所全体が疲弊しているという声を多く聞きました。
不適正事務の根底に何があったのか、もちろん市として分析し、解決策を示して取組んでいることは承知していますが、その本質を見極める必要があると思います。
本市では、平成8年度からスタートした第1次行革から第3次行革までで763人の人員削減効果、財源効果は500億円を超えています。その後も「経営戦略プラン」「新行革プラン」、現在の「行革2020」と行革の取組みが続いています。
一時期は退職者不補充を実施したため市職員の年齢構成がいびつになり、それを改善するための社会人採用も行いました。さらに多様な任用形態の導入により、市で働く職員構成も大きく変化しました。
また、その時々で組織改正も行われてきましたが、私たちがこれまで指摘してきた「部門総務」の廃止は、予算執行や事務執行のチェック機能の低下、職員の人材育成への影響もたいへん大きかったと思います。
不適切事務処理については単なる職員個々の問題ではなく、そうした様々な変遷によるデメリットの蓄積もあるかも知れません。「部門総務機能」の導入・強化について、あらためてその必要性を指摘しておきます。
さらに職員がモチベーション高く働くことが、市民サービスの向上につながることは言うまでもありません。
今回の決算特別委員会で、職員の持ち家に係る住居手当について、市が職員組合に対して廃止を提案していることが明らかになりました。
しかし、職員の賃金・労働条件については労使交渉で決めるべき事項で、議会の指摘があったとしてもその影響は最小限であるべきだと、指摘しておきます。
本市の財政状況についてふれます。今定例会でも示されたように、「健全化判断比率」および「資金不足比率」の評価はすべて良好な状況にあるという結果です。しかも「早期健全化基準」とはかけ離れている数値でした。
さらに財政状況ですが、財政力指数が1を超えている自治体は全国でほんのひと握りしかありませんが、本市は1を超えています。
ですから、本市が示している中期財政見通しについては十分受け止めつつも、私たち議会も本市の客観的な財政指標と中期財政見通しをしっかり分析・把握していく必要があると思います。
つぎに全体的な課題について、意見を申し述べます。
まず、鈴木市長の主要政策でもある、文化芸術政策について述べます。
それまであまり顧みられることのなかった藤沢宿の維持・保全や、文化・芸術にかかわる政策は鈴木市長の下、大きく前進しました。このことを私たちは高く評価します。
本市は2018年3月に「文化芸術振興計画」を策定し、4月から計画年度がスタートしました。おおむね評価できる内容ですが、ここでは基本的なことについて3点指摘しておきます。
最初に、「人々の多様性」という概念です。
都市には異なる背景を持つ人々が集まります。そうした多様な人々が互いに刺激し合う事により、思いもよらない素晴らしい・新しい表現が生まれる。古来、文化芸術とはそのようなものだったのではないでしょうか。「多文化・異文化」との交流促進を施策体系に加えていただきたいと思います。
2点めは「文化芸術を活かしたまちづくり」の視点です。
文化芸術は(これには学術も含まれますが)あらゆる産業の源になるものです。美術との近接領域では商業デザイン・産業デザインがあげられますし、文化芸術は観光誘客に資するものであることは言うまでもありません。
また文化芸術によって、まちのアイデンティティが形づくられて人々の一体感を生み、そのことが住民自治を深化させます。文化芸術をまちづくりと一体的に捉える「都市文化政策」について、検討を求めます。
そして、もっとも重要な「表現の自由」の視点です。
8月から開催されている「あいちトリエンナーレ」では、企画展「表現の不自由展・その後」が脅迫によって中止に追い込まれました。
表現の自由は「民主主義の砦」と呼ばれます。
権力を持った者が認めた表現しか世に出なくなった結果、何が起きたのか。ナチスドイツの芸術弾圧の歴史を、私たちは胸に刻まなくてはなりません。文化芸術振興の理念に「表現の自由の保障」を掲げていただきたいと思います。
なお加えて、大きな危惧を申し述べておきます。
昨年度の議会で、羽鳥の三觜家住宅の可能な範囲での保存が趣旨了承となりました。ですが率直に申し上げて、三觜家住宅の維持保存については私たち議会の自戒も含めて、「後手に回ってしまった」と言わざるを得ません。
このような状況は三觜家住宅だけではありません。固有名詞は申し上げませんが、藤沢宿のメルクマールとも言うべき重要な歴史的建造物の中にも、今後の維持保存が危惧されているものもあります。
他市に比べて、とりわけ民間所有の文化財が多いのが藤沢の特長です。このままでは相続などの際、藤沢市の歴史的建造物が次々に失われていってしまうのではないでしょうか。私たちは強い危機感を持っています。
歴史的建造物の維持保存については、ぜひ抜本的な対策を早急に打ち出してくださるよう、強く要望します。
住民参加のまちづくりのあり方
これまでも私たちの会派は住民と行政との合意形成について提言してきました。
今後も本市の公共施設の建て替えが続くこともふまえ、具体的に、5つの要素について述べたいと思います。
1.【「主催者」としての事務局の姿勢について】
住民との合意形成以前に、しっかりと「政策の全体像を把握する」ことと「行政内部の合意形成に注力する」、つまりしっかり行政内部の合意形成をしていただきたいと思います。
2.【参加者の選定について】
「全ての利害関係者が参加しているか・漏れはないか」。このことは、市民のみならず専門家や行政側参加者にも当てはまります。
3.【参加者の姿勢】
住民構成を反映した、幅広い層を代表するような参加者が望まれます。また、参加者はどの段階までの決定に関与する権限があるのか、を共有しなければなりません。
例えば、施設建設の合意形成会議の参加者が「政策の意思決定へ参加することで当事者意識が醸成され」「建物ができた後の管理運営にも主体的に参加するようになる」といった事まで想定するべきです。
4.【会議の広報について】
例えば、市民会館の建設事業について市民参加の会議をおこなう場合、その会議体としての広報紙を発行するなどして、住民の気運を高め、住民の理解を深める取り組みが必要です。
5.【住民意見の広聴について】
会議には多くの人は参加できませんので、会議に参加しない・できない人の意見を聞く機会を設ける必要があります。公聴会やシンポジウム、特設Webサイトなどが考えられます。
以上述べたような事が必要だと考えます。要は住民合意形成の基準を作成し「まちづくり」に取り組む必要があるという事です。
そして、「まちづくり条例」を定めることを検討するべきだと考えます。条例で市の責務や市民の努力義務などを謳い、市のまちづくり方針に法的根拠を与える。そのような、住民参加のあり方を示して頂きたいと思います。
さて、こののちは個別の課題について意見を述べます。
【総務費/人権施策推進事業費】
オリンピック憲章は「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別もあってはならない」ことを定めています。
しかし残念ながらいま日本では、ヘイトスピーチやSNS上の差別書き込みなどが深刻化しています。昨年、川崎の在日コリアン女性に対して「しね」「ナタを持っていく」など執拗な脅迫・嫌がらせツイートをして書類送検されたのは、「藤沢市の50歳の無職の男性」でした。
私たちの藤沢にとっても、差別はよそ事ではありません。具体的には申し上げることが差別の拡散につながるおそれがありますので具体的には触れませんが、さらにきわめて深刻で重大な人権侵害も起きています。
オリンピックに向けあらためて人権啓発を進めるとともに、インターネット上の差別書き込みについては早急な削除要請などを行い、市民の人権を守る取り組みを進めてくださるよう、強く要望します。
【男女共同参画事業費】
神奈川県内においても横須賀市や逗子市など、同性パートナーシップ制度を導入する自治体が増えつつあります。
藤沢市においてはLGBTへの支援を求める声はまだあまり大きくないかもしれませんが、それは要望が「ない」ということではなく、社会的な差別や偏見の前で声をあげることが難しいからだ、ととらえるべきではないでしょうか。
そうであれば、行政が先導することがぜひ必要です。同性パートナーシップ制度の導入に向けて、積極的な検討を要望します。
【多文化共生推進事業費】
藤沢市にの外国籍市民は、平成30年度末時点で5821人を数えました。さらに、その2倍はいると推定される日本国籍を持っていても外国にルーツを持つ市民や、国際結婚で生まれたダブルの子どもたちも増え続けています。
これらの方たちが必要としている市民サービスは、労働、住居、福祉、医療、教育と多岐にわたります。ですが、藤沢市にはそれらを総合的に包括する国際交流協会はありません。また「国際」の名を冠した課もなくなってしまいました。
今後ますます増加するであろう「外国につながる」市民のための、総合的な施策を要望します。
【防災設備等整備事業費】
平成27年から始まった、スマートフォンアプリ「ふじさわまち歩きナビ」は、9月30日をもって事業の終了を迎えました。3700万円を超える費用をかけて運用してきた事業が、4年を待たずに終了したこととなります。
様々なアプリが日進月歩で進化する市場において、自治体がアプリを開発し運営することの難しさが顕著に現れたケースと言えるのではないでしょうか。
この事業の経過については、課題分析をしっかりと行う必要があると指摘しま
【環境保全費/防犯対策強化事業費」
日本の防犯政策はいま「犯罪抑止」に加えて、「再犯防止」や「社会復帰促進」という考え方に重点が置かれるようになりました。
罪を償い終わった方の社会復帰は、再犯の防止に加え、犯罪被害者に対する賠償を継続させる上でも重要です。
神奈川県における再犯防止計画の策定をふまえ、藤沢市においても今後、再犯防止の総合的な計画を策定し、犯罪被害者支援と同時に「やり直し」のできる社会づくりに取り組んでくださるよう要望します。
【街頭防犯カメラ設置推進事業費】
街頭防犯カメラの設置は、市政の重点施策と位置付けられています。
今後2020年までに15台の設置方針が示されましたが、現状では設置台数はまだ6台であり、設置が遅れていると言えます。重点施策に掲げていることからも、次年度以降、設置増進にむけて取り組むよう要望します。
【民生費/民生費全般】
私たちは介護を「される」側だけではなく、介護を「する」側のいわゆる「ケアラー」に対しても、介護によってその人の人生が奪われることのないような支援を要望してきました。
ケアラーに必要な支援は単にレスパイトだけではありません。虐待や介護殺人などの悲惨な結果を防ぐためにも、ぜひ介護者に対するメンタルチェックの実施をはじめ、「ケアラー支援」の立場に立った施策を要望します。
【ヤングケアラー支援】
「介護やケアを担う18歳未満の子どもたち」、いわゆるヤングケアラーについては、昨年度ようやく全国調査が実現しました。「ヤングケアラー」という言葉の認知率も25%を越え、社会的な理解も進みつつあります。藤沢の調査がその一助となったことは、貴重なことだったと思います。
藤沢市においてはヤングケアラーの問題はいまや「課題の把握」の段階から、「支援の具体策の検討」の段階に入っているのではないでしょうか。ぜひ具体的な支援のあり方の検討を進めてくださるよう、要望します。
【アウトリーチ型訪問支援】
総合的な課題として検討をお願いしたいのが「ユースワークふじさわ」の発展とアウトリーチ型の訪問支援です。
いわゆる「ニート・ひきこもり」は、青少年だけの問題ではありません。ロストジェネレーションと呼ばれる40代など、いわゆる「中高年のひきこもり」の問題もようやく注目されるようになってきました。
また支援窓口があったとしても、それだけでは、そもそも窓口にたどり着くことが難しい方や、孤立しがちなご家族への支援には有効ではありません。
「ユースワークふじさわ」は非常に有意義な施策として評価していますが、今後は福祉、労働、精神保健とジャンルの別れている施策を総合的に見直した上で、「ユース」にも「ワーク」にも限定されない支援策と、アウトリーチ型の訪問支援の検討をお願いします。
【不就学児童生徒】
ここでは浜松市などの「不就学ゼロ作戦」などの取り組み内容をふまえ、あえて子ども青少年政策、および福祉政策として要望します。
今年の1月、毎日新聞は約1万6千人の就学先不明の外国人児童生徒がいることを報じました。藤沢市においても、就学先不明のる児童生徒が46名いることが確認されています。
国際人権規約や難民条約は「内外人平等」の原則を掲げ、国籍や在留資格の違いにかかわらずすべての子どもに「教育を受ける権利」を保障することを求めています。不就学の問題を放置するわけにはいきません。
注目すべきは藤沢よりはるかに多くの外国籍児童生徒のいる豊橋市の場合、就学先不明児童生徒はひとりもいません。浜松市も9人以下です。これは市をあげて「不就学ゼロ」作戦を展開したためです。
藤沢においても、教育委員会、福祉健康部、子ども青少年部の連携で、ぜひ「不就学ゼロ」をめざしていただきたいと要望します。
【介護保険】
先般、介護保険制度の更新申請で、介護の認定が期限までに間に合わなかった件数が1年間で7000件を越えることがわかりました。申請から認定までにかかった平均日数も60日を越える異例の事態です。
困難な状況も理解しますし、市としても審査会の回数を増やすなどの努力をしてくださっていることは承知していますが、なかなか解消には至っていません。
体制の充実など、早急の対応をお願いします。
【衛生費/精神保健福祉】
2016年度に藤沢市で実施した「ヤングケアラー実態調査」から見えてきた課題のひとつは、「心の病を抱えた親を持つ子ども」たちの存在でした。
いままでほとんど光の当たらずにきた課題ですが、1月に開催された「心の病を抱えた親を持つヤングケアラーへの支援教育」の講演会を先週のTBS「報道特集」が報じるなど、藤沢の問題提起は大きな反響を呼んでいます。
心の病を抱えた当事者への支援に加えて、その配偶者やきょうだい、子どもへの支援の取り組みを要望します。
【難病対策】
同じく光が当たらずに来た課題のひとつに、「難病」の問題があります。
藤沢市が、「難病」問題についての横断的な対応をはかるため、関係部局や患者・家族団体などから構成される「難病対策地域協議会」を設置してくださったことは、高く評価したいと想います。
ぜひ課題を精査し、困難で、社会的理解の得にくい「難病」の課題について支援の取り組みを進めてくださるよう要望します。
【廃棄物等個別収集事業費】
ペットボトルと鍋・缶の夏場における毎週収集の試行については、猛暑が続く中で収集職員の作業量や作業時間が増大し、たいへんな負担が生じています。
そもそも環境問題への取り組みが求められる中、プラスチックを減らすという世界の潮流に逆行することではないのでしようか。さらに収集車の増車による排ガス問題や中間処理施設の限界などを踏まえ、施策の方向性の再検討を要望します。
【農林水産業費】
2022年の生産緑地地区の放出を目前に、本市ではおおよそ3割の農家が継続就農を希望しないというアンケート結果があります。
生産緑地地区が大量放出され農地が減少することは、本市の農業政策のみならず、様々な施策に影響があります。
とくに市街化農地の価値は、営農という点だけではなく、自然環境の保全や良好な景観の形成、防災空間としての活用など、むしろ地域の価値を高めることに貢献しています。
こうしたことからも、2022年問題対策として、農地を使って地域コミュニティ活性化に資する動きなどを支援し、農地がある地域の価値を高めるなど、庁内横断的に農地確保にむけて総合的な対策を検討することを要望します。
【商工費/拠点駅周辺商業活性化事業費】
本事業は、藤沢宿エリアの回遊性向上と賑わい創出を目的とした「個店の出店に対する補助制度」となっています。
しかし、本来、行政が担うべきは藤沢宿エリアの活性化に観光客をどう誘導するかがもっとも重要であり、その結果として、回遊人口が増加することで、自然発生的に店舗ができることを誘導するべきではないでしょうか。
本事業がただの出店補助制度にならぬよう、事業の見直しもふくめ、再度検討を要望します。
【土木費】
遠藤笹窪谷戸における公園整備計画は、散策路などを整備し、自然環境を生かした公園を目指すことが示されています。
ですが一方、駐車場については市民が車両を駐車するスペースが無いことが危惧されます。多くの方の利用を促すためにも市民が利用できる駐車場の確保を要望します。
【教育費/教育費全般】
教職員の「働き方改革」は、教職員の労働条件の改善だけではなく、教職員が目の前の子どもたちのことに専念できる環境を作ることによって、教育の「質」を確保する上でも重要です。
教職員の多忙の原因は、「業務量の多さ」と「人手不足」のふたつです。このうち教職員の定数改善は早晩望めないことを考えれば、業務量を減らす以外にありません。
当面、学校にあらたな事業を求める場合は「スクラップアンドビルド」を原則とすることを求めます。
また、教職員の働き方改革には地域や保護者のみなさんとの合意形成が欠かせません。市として学校・家庭・地域の役割分担の見直し論議に主導的な役割を果たししてくださることを要望します。
【部活動について】
部活動についてはその教育的役割も大きなものがある一方、過度な活動は生徒の健康や学業に影響を与えます。
部活動の「ガイドライン」は、過去に何度か定められてきましたが、時間の経過とともにいつの間にかうやむやになってしまうことが繰り返されてきました。
今度こそ、「ガイドライン」が遵守されるよう、その実施状況の把握と、必要な指導を要望します。
また、部活動指導員の積極的な配置も求めます。
【奨学金給付事業費】
藤沢市には県下最大の児童養護施設である「聖園子供の家」があります。
児童養護施設の子どもたちは、これまでは保護者の支援もなく、たった一人で社会に巣立って行かなければなりませんでした。
しかし、市長のリーダーシップの下で創設された給付型奨学金制度によって、今春はじめて児童養護施設出身者の大学進学が実現しました。
わずかな人数かもしれません。ですが、いままで自分の将来に希望を持つことができずにいた彼ら・彼女らにとって、新たな「可能性」が生まれました。ロールモデルを示すことができたのです。
その意味で、この事業はまさに「希望の奨学金」と言えるものです。
「社会的養護」の意味をふまえ、「あすなろサポートステーション」との連携や、介護人材育成講習の受講支援などを通して、ぜひ今後とも彼ら・彼女らを支えてくださるよう要望します。
加えて「子どもの貧困」対策について、平成30年度に実施された「子どもと子育て家庭の生活実態調査」の結果をふまえ、すべての子どもたちが未来に希望の持てるような、実効性のある政策の展開を要望します。
【特別支援教育】
藤沢市ではようやく遅れていたIT機器の配備が進みつつあります。ただ、このことだけを持って「藤沢の教育施策が遅れている」と評価するのは妥当ではないと思います。
藤沢市では教育予算は、「モノ」ではなく、障害のある児童生徒に対する介助員や、小学校への児童支援担当教諭など、「ヒト」に重点投資を行ってきたのです。
そして、そのことが障害者権利条約の理念をふまえた「共に生きる」教育の先進自治体の1つとしての評価につながったものと言えます。
ただその一方、この取り組みは藤沢市の特別支援教育の対象となる児童生徒の大幅増加という結果をもたらしました。
特に白浜養護学校については、今後太陽の家のしいの実学園の児童の多くが入学するであろうことを考えると、校舎や教室はほとんど限界に来ているのではないでしょうか。白浜養護学校の施設について、抜本的な対策を要望します。
~ここより認定議案の採決~
認定第1・2・4・5・7・8号の決算については、共産党が反対しましたが、賛成多数で認定されました。
認定第3・6・9号の決算についは、全会一致で認定されました。
議案第40号 平成30年度藤沢市下水道事業費特別会計剰余金の処分及び決算の認定については、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
~ここから追加議案~
議案第46号 損害賠償の決定ついて
この議案は、先の台風15号により、市有地に設置していた立入禁止のフェンスが飛散し、相手の自家用車に損害を与えたものです。
議案第47号 令和元年度一般会計予算(第4号)
この議案は、補正予算常任委員会に付託されました。
~ここより補正予算常任委員会~
【総務費】 68万5千円
台風15号により、市有地立入禁止のフェンスが飛散し民有自家用車に損害を与えたもの。
【民生費】 484万2千円
(1)台風15号による少年の森の修繕・復旧をするものです。
(2)俣野地域子どもの家の外壁改修、長後市民の家の屋根修繕。
【土木費】 9,083万8千円
(1)台風の15号の影響により、二次被害のある街路樹の伐採等をするもの。
清水委員
防災のために伐採をするのは分かるが、緑の保全の観点で安易に伐採すべきではないが?⇒今後は、街路樹管理計画の策定に向けて、緑地の観点も入れて策定していく。
石井委員
今週末の台風19号に備えて、市のイベント中止の判断はいつするのか?⇒進路の予測をして、しかるべき対応をしていく。
(2)台風15号の影響により、法面崩壊のあった御所ヶ谷緑地において、法面対策工事を行うものです。
甘粕委員
土砂災害警戒区域における公園の箇所は?⇒23か所。
その実施状況は?⇒その他15カ所に付いては、令和2年度以降に一次調査をしスケジュールを検討していく。
味村委員
対応する法面の両側も対策すべきだが?⇒両側各5mも施工していく。
※補正予算常任委員会としての採決
議案第47号については、全会一致で可決すべきものと決定しました。
※本会議再開
議案第47号・46号については、全会一致で可決されました。
※以上をもって、令和元年度9月定例会が閉会となりました。