9月17日 10:00より、藤沢市議会9月定例会(5日目)が開催され、引き続き一般質問が行われました。
※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。
通告7番 土屋議員
1. まちづくりについて
(1)村岡新駅周辺地区のまちづくりについて
昭和61年に全会一致で採択された新駅設置の請願の内容は?⇒1点目は、「湘南貨物駅跡地利用については、藤沢市の都市計画の一環として位置づけてほしい」、2点目は、「湘南貨物駅跡地利用について、国鉄側と研究を進める体制を藤沢市として早急に確立してほしい」、3点目は、「その場合、東海道線の混雑緩和へ向けて貨物線の利用促進と合わせ、貨物駅跡地へ大船駅~藤沢駅間の中間駅を設けることを検討してほしい」と記載されている。
昭和61年当時、市は、東海道線の中間駅ではなく、根岸線の延伸を想定していたのでは?⇒請願が出された昭和61年6月の総務常任委員会では、国鉄に対し、「貨物駅跡地利用並びに貨物線を利用しての根岸線の延伸についてお願いに行っている」ことと合わせて、「今後も、根岸線の延伸の実現に向けて粘り強く要望していきたい」と説明している。
なぜ、当時の藤沢市は東海道線の中間駅ではなく、根岸線の延伸としたのか?⇒当時の総合計画では根岸線の西側への延伸を計画していた。一方、当時の国鉄から、「根岸線の延伸については現状の旅客の需要から国鉄としては必要ないと考えており、新駅として考えるのであれば、現在の東海道線の藤沢~大船間の新駅であろう」と言われた。
今回の質疑で確認した経過を記載すべきだが?⇒過去の経過については公になっている正しい情報として取り扱っている。今年6月に開催した説明会の資料では、新駅設置の検討がいつから始まったのかを伝えるために簡素に示したもの。
村岡新駅周辺地区のまちづくりについて、具体的にどのような地区を目指すのか?⇒「尖る創造」とは、知的人材を集積し、最先端の研究・ものづくりから創造を生み出すことや、生み出す場のことを意味し、「広がる創造」とは、市民が「尖る創造」と身近に交流したり、地域の歴史ある緑や文化などを背景に、創造力が喚起されることで、暮らしや感性をより豊かにすることを意味している。そして、「尖る創造」と「広がる創造」が相互に作用し高めていくことを目指すもの。
新駅がなくても成立するのでは?⇒都市拠点の形成にあたっては、駅は必要不可欠。東海道線沿いに形成された工業地域の通勤など多くの就業者の利便性の向上を図るとともに、藤沢駅及び周辺の混雑緩和にも資する役割を担っている。駅が持つポテンシャルを活かし、市全体にもたらす様々な交流、活力の創出をめざしており、これらの効果、役割を実現するためにも、村岡新駅は必要。
基本的に企業目線で、住民目線が少ない。このまちづくりに住民の要望がどれだけ反映されているのか?⇒「まちづくり方針」の作成にあたり、地域住民等が入った検討組織を設置し、検討いただくとともに、村岡地区郷土づくり推進会議でのワークショップ、地元住民を対象とした説明会、パブリックコメントなどを実施し、様々な意見をいただきながら、取りまとめたもの。今後も意見を聞く場を設けながら取り組んでいく。
このまちづくりは、住民のためのまちづくりというより、新たな研究開発拠点として企業を呼び込むためのまちづくりではないか?⇒都市マスタープランで都市拠点として位置づけられている。都市拠点とは、市民生活を支えることが前提となる。村岡新駅周辺については、「先進的な研究開発、生産、業務機能が集積した広域に発信する拠点の形成を目指すとともに、地域サービスの充実を図る」ことを明記している。市民・住民生活を支える拠点の形成に向けて取組んでいく。
住民の要望を活かした地域住民が住みよいまちづくりにすべき。新駅を設置せず、暮らし密着した福祉の拠点としていくべきだが?⇒新駅を核としたまちづくりが、市全体の更なる発展に寄与することで、住民の福祉、命と暮らしを守るひことにつながると考える。
通告8番 松長議員
1. 藤沢聖苑について
(1)残骨灰の処理について
残骨灰の法的な取り扱いと藤沢市での処理状況は?⇒残骨灰の中には、ダイオキシンなどの有害化学物質が含まれているほか、歯科診療などに使用される貴金属などの有価物も含まれている。残骨灰には法の定めはないが、厚労省から、墓地、埋葬等に関する法律の主旨に鑑み適正に取扱うこと、有害化学物質の排出抑制に努めること、宗教的感情の対象として取扱われない場合は、廃棄物となるという内容の通知が出されている。本市の火葬業務についは、現在、株式会社五輪に委託しており、その業務の一部である火葬残骨灰処理については、株式会社アゲインテックに再委託をしている。
他の自治体における残骨灰の処理状況は?⇒平成30年厚労省調査によると、調査をした95自治体のうち、結果的に有価物を売却しているのは20自治体で、近隣市では、横浜市、横須賀市、秦野市が残骨灰を売却している。
藤沢市の残骨灰の処理について、これまでの経過と現在の課題は?⇒平成21年度までは火葬残灰処理業務委託として1事業者と0円で随意契約をしていたが、当時、新聞報道等で残骨灰に有害化学物質が多く含まれることが報道され、その処理に関心が高まったことや、0円での随意契約が適切な事務処理ではないという判断により、平成22年度から火葬残灰処理を藤沢聖苑火葬業務の一部とした。金額は年間36万円。現在の課題は、残骨灰に含まれる有価物を売却することについて、広く市民の理解が得られるかという点であり、今後、様々な観点から検討が必要と捉えている。
その課題を踏まえて、今後の残骨灰の取扱の考えは?⇒現在、様々な歳入確保策に積極的に取組んでいる。残骨灰を売却し、火葬場の運営や整備のための財源とすることについては、現在のように残骨灰を宗教的感情の対象として取扱うべきか否か、売却した場合に有害化学物質を適正に無害化処理がされるのかという課題もある。これらを踏まえて、火葬に関わる関係団体の意見を聞き、他自治体の動向も見ながら、庁内での議論を深めた上で、慎重に判断していく。
2. 生きがい就労センターについて
(1)事業の在り方について
生きがい福祉センターの事業対象や開設当初の目的、これまでの経過は?⇒生きがい福祉センターは、「高齢者や障がい者、女性など、就業機会に恵まれず、「社会から孤立しがちな方々へ就業機会の提供と社会参加の加速」という目的で、昭和53年に開設した施設。現在では、この施設で、「生きがい就労センター事業」と「シルバー人材センター事業」を実施している。
時代の変化に合わせた「生きがい就労センター事業のあるべき姿」についての考えは?⇒事業開始以降、障がい者については、社会参加できる場が徐々に増えていることや、女性については、男女共同参画社会の進展などにより、女性の就労機会は格段に拡充している。このことから、開設当初の公の施設としての役割は、ほぼ達成されたと考えている。今後は、改めて本施設の目的である就業支援を通じた社会参加について、従来の対象者に加えて柔軟に対応できる体制への見直しを関係団体と協議調整をしながら取組んでいく。
通告9番 甘粕議員
1. 新しい時代に向けたまちづくりについて
(1)村岡新駅周辺地区などの新たな取組について
グローバル企業の誘致をはじめ、住民が幸福感を得られるまちとして、村岡新駅周辺地区は整備を進めるべきだが?⇒新駅設置と合わせて、先進的なまちづくりに取組むことで、地域住民の利便性が向上することはもとより、「創造」をキーワードに豊かさや楽しさを得られる場を形成することで、幸福感につながることを目指している。また、村岡新駅周辺で創出する活力を市全体に持続的に波及できるよう取組んでいく。
村岡新駅周辺地区の整備において、新しい交通であるLRTの導入を考えているか?⇒村岡新駅周辺地区では、新駅を核に新たな交通結節点を形成するにあたり、それぞれの人に即したモビリティサービスの実現を目指している。LRTのように土地利用を規定する専用軌道を設けることにこだわらず、モビリティ等の技術革新の進展をにらみながら、住民や訪れた人等がより快適にシームレスに移動できるモビリティの導入ができるよう、今後検討していく。
村岡新駅周辺地区まちづくり方針には先進的な研究機関や業務機能などクリエイティブ産業の集積と発信とあるが、具体的なスケジュールは?⇒今後、土地区画整理事業により基盤整備を実施した上で、具体的な土地活用が可能となるが、新駅開業の前後の時期になることが想定される。一方で、研究開発拠点の形成に向けては、官民連携で取り組むことを目指しており、土地活用が見込める時期から逆算しながら、村岡新駅周辺地区で目指す拠点の姿等を積極的に情報発信し、機能集積に繋げることが重要と考えている。今年度、官民連携の可能性及び手法等を検討し、全体のスケジュールを整理していく。
こうした取組は、企業や住民とのパートナーシップなど、まちづくりに向けた共感や共創の視点は不可欠であると考える。先の議会でDXの推進については、コミュニティとパートナーシップ、テクノロジーの3つの柱で進めると報告があったが、地域住民への対応はどのようなことを想定しているのか、村岡地区での今後の予定も含め検討状況は?⇒これからのまちづくりについては、6月議会で報告した、コミュニティ、パートナーシップ、テクノロジーを柱とするDXなどに取組んでいくものと捉えている。現在、湘南アイパークをはじめとする民間企業の皆さんと村岡地区のまちづくりに住民の要望をどのように活かし、暮らしやすさを追求するかなど、フューチャーセッションで取組むことを検討しており、まちづくりの目的を地域の皆さんと共有し、特にソフト施策においては、今後においても多様な立場の関係者を交えながら、スマートシティなどの取組に活かしていきたいと考えている。
ヘルスツーリズムに取り組むことで健康増進などに関心のある訪問者や観光客による交流者を呼び込むことが可能と考える。こうした取組も視野に入っているのか?⇒神奈川県では、村岡・深沢地区をヘルスイノベーションの最先端拠点の形成を目指して、誰もが健康で生き生きと誇りを持って暮らすことができ、持続可能な地域社会のリーディングエリアを構築し、健康寿命の延伸やヘルスケア分野の産業創出などを進めている。ヘルスツーリズムの視点なども取り入れながら、新しい創造社会の形成に寄与し、さらに持続可能なものとなるよう、グローバル展開を視野に取り組んでいく。
コロナ禍の中にあって、本市が先進的に市の価値を高め、将来に向けて新たな価値も創造していくべきと思うが、理事者の見解は?⇒魅力と活力あふれる都市であり続けるためには、今後予測される人口構造の変化や世帯構成の変化、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の新しい生活様式への対応を着実に進め、デジタル化を積極的に推進しながら、最先端テクノロジーを活用した安全安心で暮らしやすいまち、スマート藤沢を実現させる必要がある。今後も、LINEの活用など具体的な取組をはじめ、環境、エネルギー、防災・防犯、交通、物流、健康や福祉、介護・医療、子育て・教育、農業、インフラの維持など、藤沢市全体でICTをはじめとしたテクノロジーを積極的に活用していく。こうした取組を重ねながら、市民の皆様に便利さを実感していただけるよう、FujisawaSSTや健康と文化の森周辺地区のまちづくり、村岡新駅周辺地区における研究開発拠点形成など、多様な主体と連携しながら、市域全体のグランドデザインを描き、社会実装を進めていく。
2. 受け継がれる地域の想いについて
(1)イベント開催への市の支援について
地域の方々の想いが受け継がれてきた藤沢市民まつりについて、本年度も中止となったが、その経緯と今後の考えは?⇒本年度の市民まつりについては、令和2年度に中止となった経緯を踏まえて、実行委員会事務局において、新型コロナウイルスの感染状況に応じた開催方法を検討するとともに、国・県の動向や他市町村のイベント開催状況を注視しながら、ぎりぎりまで実施の可能性を模索してきたが、7/6の実行委員会役員会で、中止の方針が決定したもの。今後に向けては、「地域の伝統文化を保存・継承し、新たなる市民文化を創造していく場」として、コロナ禍でのイベント開催に係る課題を教訓としながら、次年度こそ開催できるよう、市としても支援していく。
感染防止対策として、密を防ぐのであれば、市民まつりの分散開催も考えられる。すでに藤沢駅周辺のほか、遊行寺エリア、秋葉台エリア、湘南台エリアなどで開催されており、一定、分散開催の素地はできている。他のエリアでも実施できないのか?⇒市民まつりを遊行寺、秋葉台、湘南台の各会場で開催することについては、実行委員会が藤沢市全体のイベントの一部として「盛り上がり」や熱気を参加者全体が共有できる場となるように工夫しながら、企画、承認されているもの。会場を分散して開催することにより、賑わいが希薄にならないよう、総合的に判断していく必要があると考える。
市は「藤沢市民まつり」を総括する実行委員会に対して「市民まつり開催費」を支出しているのであって、個別の会場に対して負担金を支出しているのではないものと考えるが、その認識でよいか?⇒「市民まつり開催費」は、市民まつりを企画、実施し、まつり全体を総括している実行委員会に対して一括して支出している。実行委員会が会場ごとに予算配分するに当たっては、自主的な議論の結果として、市としても尊重すべきものと考えている。
市民まつりとは別に各地区で、地域の方々が取組んでいる地域のイベントに対しての市の支援は?⇒各地区の実情に応じた特色ある地域づくりとして開催されているような、伝統文化・郷土に根差したまつり、地域振興イベントについては、市民まつりとは一線を画すことにはなるが、地区によっては「地域まちづくり事業」に位置付けているところもある。例えば、鵠沼地区で実施されている「鵠(くぐい)まつり」に会場運営費を補助しているので、市としては、そういった事業として引き続き支援していく。
※以上、報告とします。