2022.9.16 本会議(4日目)~一般質問

 9月16日 10:00から、藤沢市議会9月定例会(4日目)が開催され、昨日に引き続き一般質問が行われました。

※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。

通告4番 東木議員

1. 少子化対策・子育て支援について

(1)産後ケアと多胎児支援等について

 社会的な晩婚・晩産化の傾向に加え、現在はコロナ禍でもあり、出生数の変化と出産年齢別出生数の割合の傾向についての変化、こんにちは赤ち
ゃん訪問事業で把握される産後うつのリスクの高い産婦の割合の変化は?⇒本市の出生数は、平成15年は約3,600人、令和元年は約3,200人となっており、この間、多少の変動はあるが、約400人の減少となっている。神奈川県衛生統計年報の出産年齢別出生割合をもとに、平成15年と、直近の令和元年の2か年を比較いたしますと、20代では40%から27.2%と減少しているが、30代では57.2%から64.2%、40代では1.8%から7.9%と増加傾向を示している。
 また、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」で把握している、継続支援が必要となる産後うつのリスクの高い方は、平成29年度で219人、7.3%、令和3年度173人、6.2%とやや減少傾向となっている。

 産後ケアに関する市としての取り組みの経過と今後の方向性は?⇒昨今の晩婚・晩産化による家族内支援者の高齢化や核家族化による孤立の増加などの背景から令和元年12月に母子保健法が改正され、令和3年4月1日から産後ケア事業が施行された。本市では、まずはモデル的にデイサービス3時間を近隣市外の助産所1か所で開始している。昨年度85人の登録で利用実人数は57人、総利用回数は96回の実績となっている。今年度は、ショートステイ、デイサービス6時間と3時間で個室利用の療養も可能な支援に拡充し、妊娠中の申込みを可能としたため、7月末までの実績では、登録者は妊婦23人、産婦48人の計71人で、利用回数は延べ45回となっている。昨年度よりも短期間で登録者が増加していることから、今後、利用についても増加が見込まれている。
 また、実施施設については、昨年度の市外助産所1か所から、今年度は市内医療機関1か所、市外医療機関3か所、市外助産所4か所、計8か所に拡充を図り、現在も今年度中の開始を目指し、市内2つの医療機関との調整を行っている。このほか、アウトリーチ型の支援についても、令和5年度の開始に向け、準備をしている。

 ハイリスクの方々がより安心して産後ケア事業を受けやすくするため、利用料の低減を図るなど、出産による心身の負担などから健康を守る必要があると思うが?⇒現在、育児に不安がある方に対しては、保健師等による訪問事業や、子育て支援センターでの相談事業のほか、日ごろの不安について産婦同士で話しあえる「さんさんルーム」の活用を勧めることで、不安解消に努めている。なお、産後ケア事業の利用料についても、引き続き、調
整・検討をしていく。

 多胎児の現状や困りごと等の要望への対応状況、多胎児の産後の心身の負担は大きく、個別の状況に合わせた支援が必要となるため、産後ケア事業等も育児負担軽減のために利用料の低減化が必要だが?⇒本市で出生した多胎児については、直近のデータで令和2年度は28組57人、令和3年度は30組60人となっており、地区担当保健師が個別に支援をしている。支援内容としては、妊娠期から、体調や各家庭の状況を聞き取り、困りごとに応じて、ファミリーサポートセンターなどの社会資源の紹介や直接的なつなぎ、家族からの支援に関する助言を行う中で、必要時に産後ケア事業でも対応を行っている。その他、多胎児の家族を対象とした交流の場の開催も検討している。また、多胎児の家庭が産後ケア事業を利用する際には、一人分の費用で利用できるよう負担軽減を図っている。

 産後の心身共につらい状況を緩和していただくとともに、サービス利用の前後も各施設との情報連携等密にして、一人ひとりに必要な支援を提供し
長期的に安心して子育てができるサポートをしてほしいが?⇒今回の産後ケア事業を開始するにあたり、令和2年度に産前産後支援に関するアンケート調査を行っており、産後の育児による深い疲労感や辛さを訴える声を聞いている。今年度も、利用後の声を把握し、一人ひとりに気軽に利用いただけるよう、今後、予定しているアウトリーチ型サービスや、利用施設の拡充などの環境の整備、充実を一層図っていく。現在、出産医療機関とは、妊娠中から情報連携をいただき、産後ケア事業への連携にも協力をいただいている。本市においては、さらに、産後ケア事業の利用促進を図るため、出産医療機関など個別支援を行う施設との連携を強化し、切れ目のない支援を受けられる環境づくりを進めていく。

2. 「スマートふじさわ」の推進について

(1)市民参画とデジタル人材の育成等について

 デジタルを活用した暮らしやすいまちづくりに関するアンケートをWEBで行っており、紙ベースでの回答も可能とのことだが、周知の点で高齢当事者に届いていないように思う。センターや地域にも協力をいただき、少しでも多くの声を拾うことが大事と考えるが?⇒現在、藤沢市LINE公式アカウントを活用して実施している「デジタルを活用した暮らしやすいまちづくりに関するアンケート」については、デジタル活用に関する調査内容であることからWEBを主体とした方法にした上で、紙による回答も可能としている。指摘の紙によるアンケートの周知については、高齢世代の方の声を聴くことは重要であるため、庁内の協力を呼びかけるなど、一人でも多くの声を収集できるよう、取り組んでいく。
 また、公民館の高齢者学級におけるスマートフォンをお持ちでない方からの意見聴取や11月頃に実施予定の市民対話等を通じて直接意見を伺うなど、本アンケート以外でも広く市民からの声を集める中で、デジタルデバイドに関する状況把握に努めていく。

 デジタルデバイド対策には大学生の活用を提案してきた。市として大学生が担い手となって実施している講座の状況及び、講座の実施情報が高齢者に伝わるよう、自治会の回覧や広報宣伝の支援が必要と考えるが?⇒大学生等によるスマートフォン講座については、現在、市主催の事業としては実施していないが、幾つかの地域で、学生が主体的に実施していることを把握している。大学生等が担い手となることで、デジタルネイティブ世代による詳しい説明が期待できるとともに、地域とのつながりの醸成や世代間の支えあいにつながるなどの効果があると捉えている。このことを踏まえ、今
年度、スマートフォン講座のフォローアップとして、身近な地域でいつでも相談ができる「スマホ何でも相談窓口」を市のモデル事業として湘南大庭地区にて実施するなかで、相談員のサポートとして多摩大学の学生にボランティアとして協力いただいている。
 今後については、この取組が他地区への横展開に繋がるよう、市内4大学をはじめデジタルネイティブ世代などの若者に働きかけていきたいと考えてている。学生主体の取組の周知についても、広報や回覧板による周知の充実をはじめ、商店街の掲示板の活用など多様な周知を支援していく。

 国の調査によれば、スマートフォンの利用率は年齢が上がるにつれて低下しており、東京都渋谷区ではスマホの貸し出しと研修を一体で行うとともに、広報等でも高齢者が共感を呼ぶような周知を行っている。「誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル社会」にするには、ここまでする必要が
あると思うが?⇒内閣府の2022年版高齢社会白書によると高齢化率が28.9%となり、おおよそ4人に1人が高齢者という時代を迎えている。このような中で、急速に進展するデジタル化の恩恵を等しく享受できるよう、情報格差をできる限り解消していくことは、大変重要。議員提案の東京都渋谷区の取組にいては、機器の長期貸し出しとともに講座や相談会を継続的に実施するなど、スマートフォンをお持ちでない方や関心がない方に対する取組として有効であると認識しているが、対象者が1,700名と限られた人数のため、増やした場合の経費、公平性の面から課題がある。
 一方、広報・啓発の面では、当事者である高齢者自身がスマートフォンの楽しさや便利さを語り、多くの方の共感を呼ぶような内容は効果的と考えるので、本市でも参考にしていく。今後においては、引き続き他市の取組事例を参考にするとともにスマートフォンによって生活の利便性が向上し、その必要性を実感できる施策について検討していく。

 昨年の議会で、ハローワークが実施する求職者支援制度の活用や職業訓練講座の活用啓発を提案したが、その活用状況や効果、また市の取組状況は?⇒求職者支援制度の昨年度の利用者数について、現時点で国から公表はされていないが、令和4年版の労働経済の分析、いわゆる労働経済白書において、公共職業訓練を受講した求職者が、未受講の求職者よりも、訓練分野を問わず再就職しやすくなる効果が認められるとの報告があった。
 本市にいても、パンフレットの配架や勤労ふじさわなどにより周知を行うとともに、庁内の連携会議などにおいて制度内容を周知し、就労相談などの場において活用を促しているところ。

 女性の就労やデジタルスキルアップをサポートする講座について、市の現状は?⇒急速なデジタル社会の進展を受け、男女を問わず、デジタル人材のニーズが高まっていることから、Fプレイスで実施している就労支援事業において、初心者向けのパソコン講座をはじめITパスポート資格取得をめざした講座を行うなど、事業の充実を図っている。また、女性の就労については、保育付きの就活セミナーを実施するなど、支援に取り組んでいる。

 就労にあたり多様な課題を抱える女性が、デジタルスキルを身に付けることで就労に結び付ける支援のニーズも高いと予想する。デジタルスキルアップに投資するゆとりの無い方が大半であり、今後もコツコツとサポートするしかないと考えるが、市独自にデジタル人材育成支援を進めることについて、市の考えは?⇒本市の就労支援事業においては、受講者がセミナーや資格取得講座で身につけた知識や経験を次のステップにつなげることができるよう、キャリアカウンセラーが支援する体制を整えている。デジタル人材育成支援にいても、この機能を活用し、デジタルスキルを身に付けることで得られる可能性や、身に付けたスキルの活用方法など、ひとりひとりの状況に応じたカウンセリングを行っていく。また、今後のセミナーや講座の開催にあたっては、就労に結び付くデジタルスキルのニーズを把握し、必要な事業の拡充を図るとともに、実施にあたってはオンラインを活用するなど、参加しやすい環境に配慮することで、デジタル人材の効果的な育成支援に取り組んでいく。

(2)介護事業・地域交通等のDXについて

 他市の介護事業所では、利用者送迎のICT化を進めて負担軽減の効果が出ている。現在、市がモデル事業を進めているが、送迎のICT化に向けても、様々なシステムを介護事業所に知ってもらう必要があると思うが?⇒介護事業所における送迎業務のICT化については、通所介護の事業所等における配車の組み合わせの最適化や送迎計画の自動立案等が可能となることから、業務の効率化及び負担軽減に寄与するものであり、生産性向上の一助になるものと考えております。今年度、本市では、介護ロボット・ICT等を導入し、介護従事者の負担軽減、介護現場における生産性向上の推進を目的に「先進的介護実証事業」を実施しているが、利用者の送迎も含めたICT化を進めていくためには、システムの導入による好事例が普及し、身近なツールとして認知されていくことが重要になると捉えているす。そのため、本市としては、まずは、ICTの導入を検討していただく機会として、藤沢市介護保険事業所連絡会等と意見交換を行うとともに、実績のある民間事業者等との情報共有の場を設けていく。

 高齢者の移送支援として、住民主体での地域交通の構築など藤沢市独自の取組が進んでいる。おでかけ六会など、デマンド型の取組はICTを活用することにより効率化が図られると思うが?⇒現在、おでかけ六会の予約方法は、定刻の1時間前までに電話による予約で利用でき、利用者が重なった際は乗り合う形で運行している。しかし、利用者数は、まだまだ少ない状況にあり、運営主体である「おでかけ六会協議会」では、利用者拡大に向けた利用促進策を検討しており、その一つとして、ICTの活用は、予約システムにおいて効果的であり、利用促進に繋がるシステムとして応用できる技術であると考えている。そのため、本市では、ICTを活用したシステムを導入している他市の利用状況や費用対効果を検証し、おでかけ六会協議会の意向や要望に沿った取組を進めていくす。

 建設経済常任委員会では交通マスタープランの改定に向けて、準備を進めていると報告があった。トリップ調査を進める中で、湘南大庭地区が極端に減少したことは団塊世代が退職を迎えたものと予想するが、超高齢社会へ突入した現状をどのように認識しているか?⇒現行の交通マスタープランでは、超高齢社会を見据え、誰もが移動しやすい交通体系の形成をめざし、これまで、ノンステップバスの導入支援や善行・六会地区における乗合タクシーの導入などの施策に取り組んできた。議員の指摘の通り、本市では超高齢社会へ突入していることから、今回行う、交通マスタープランの見直
しにあたっては、定年の延長により60歳を超えても、引き続き働いている方や外出の意向はあるが困難な方、認知症の方など、改めて、高齢者に配慮した視点をもって議論を深めることが重要であると認識している。

 高齢化に向けた取組として、他の自治体をみると、次の10年間のその先を見据えて実証実験を始めている。超高齢社会における地域交通の実証実験など、踏み込んだ検討をする必要があるが?⇒本年7月に新たに設置した藤沢市交通政策推進会議では、交通マスタープラン・アクションプランの見直しに向けた協議や計画作成後の進行管理を所掌し、誰もが移動しやすい環境の整備や地域特性を踏まえた公共交通の利便性の向上など、交通や社会状況の変化に対して、具体的な検討を進めていくことを予定している。その会議体の委員構成については、学識経験者や交通事業者のほか、藤沢商工会議所や藤沢市社会福祉協議会からも参画いただき、多角的な視点での意見を聞きながら、見直し作業が進められるものと捉えている。
 今後も、自動運転やMaaSなど、交通に関わるテクノロジーにも対応した移動しやすい交通の充実に向け、藤沢市交通政策推進会議での協議を深め、見直し作業を進めていく。また、見直しの結果を受け、交通事業者と連携し、本市の交通施策への反映に繋がる実証実験などの取組を進めていく。

3. 「魅力あふれるふじさわづくり」について

(1)健康と文化の森の活性化と魅力創出について

 遠藤笹窪谷公園の駐車場については、増設や周知等が必要だが?⇒遠藤笹窪谷公園内には、高齢の方や障がいのある方等のための「障がい者等用駐車場」を4台分整備している。また、一般の方向けに、本公園から徒歩2分程度の市有地に12台分の駐車場を用意することとあわせ、近隣の湘南慶育病院にご理解ご協力をいただき、同病院敷地内のコインパーキングを案内している。これら公園内外の駐車施設についてホームページで周知をしていますが、来園者にとってわかりやすい効果的な周知方法を検討していく。なお、駐車場については、公園開園以降目立った混雑は確認されていないが、今後の利用状況を勘案しながら、周辺の市有地の活用を検討するなど、必要に応じた対応を図っていく。

 木陰で休憩ができるベンチや四阿等の施設、子ども連れの方、障がい者、高齢の方が楽しめるようなアクティビティについての考えは?⇒本公園の休憩施設については、藤棚をはじめ、園内にベンチ等を12基設置している。さらに、来年度から、本格稼働する生物多様性サテライトセンターの施設内に誰もが利用できる休憩場所も用意している。しかし、現状では藤棚のフジや、植栽した樹木が成長途中であり日影を形成していないことから、議員提案の四阿等の休憩施設の必要性については、今後の樹木の生長具合や、サテライトセンターの本格稼働による利用状況等を踏まえ検証していく。
 また、本公園のアクティビティについては、親子をはじめ多様な世代の方が、楽しみながら豊かな自然にふれあい、生物多様性について体験していただくことを想定している。そのため、例えば園内の水路については、生物の生息場所であると同時に、水路の中に入ることも可能となっているので、マナーを守りながら様々な自然体験を通じて多くの方々に遠藤笹窪谷の豊かな自然環境を知っていただければと考えている。

 遠藤笹窪谷公園は、地域住民の夢の形が具現化されたものであり、このことで健康の森は新たなステージを迎えたと言える。地域の新たな魅力となるこの公園を、地域としてどのように捉えているのか?⇒遠藤の新たな資産となる「遠藤笹窪谷公園」がこの度開園を迎え、地元住民の願いが一つの形になったことで、多くの喜びの声を聞いている。開園後は、主に朝夕の時間帯に散歩やジョギングなど、多くの方々の利用がみられ、また、地区内のみならず、地区外からも多くの家族連れの姿があり、谷戸の自然を楽しむとともに、健康的な暮らしに資する施設であると実感している。
 遠藤笹窪谷公園を含む自然あふれる「健康の森」を、遠藤地区の新たな活動拠点として、様々な取組を展開していくとともに、藤沢市の「新たな魅力」の一つとして、本市の活性化のために活用されることを大いに期待している。

 生物多様性サテライトセンターの地域での活用の考えは?⇒本施設については、生物多様性の普及啓発を目的として今後、様々な講座などを行っていくことを想定しているが、利用していない時間帯については地域の方々をはじめ多くの市民の皆さんに有効に活用していただくことも考えている。

 あらためて、地域ボランティア団体と地域のかかわりと活動状況、また、地域ボランティア団体等の主体的な活動の尊重についての考えは?⇒「地域のボランティア団体」と地域のかかわりについて、公園で活動する愛護会は、これまで健康の森の中で公益的市民活動を行ってきた、「遠藤まちづくり推進協議会」や「地域団体」の方などを中心に、遠藤笹窪谷公園内にある三種五池を管理するために構成された団体。構成員の中には、これまで長年地区内で活躍されている方々に加え、地元からの新たなボランティアの方々にも登録いただき、遠藤地区の協働の輪の広がりを、象徴しているものと捉えている。次に、今年度の具体的な活動は、園内に作られた5つの池の維持管理のため、水張や開墾などの整備と草刈りや水の管理を行うとともに、イベントでは、地域の中学生に愛着を持ってもらうため、青少年育成協力会と三者連携で組織する「秋葉台サンシャイン」、そして秋葉台中学校が主催した花菖蒲の植え付けや、大学生と一緒に行った田植えなどがあった。
 遠藤市民センターとしても、このような新たな地域ボランティア活動は、地域の活性化と新たな人材発掘やつながりを広げるチャンスと捉えており、地域に愛着と誇りをもって主体的に活動するボランティアの方々や団体に対して、これまで以上にその活動を尊重し、ともに郷土愛あふれる地域づくりを推進していきたいと考えている。

 遠藤地区の住民の皆様は周辺地域について「我が郷土」との思い入れが大変大きく、行政に対し期待を抱き、健康の森においても一緒にまちづくりを進めてきた。あらためて今までの取組状況と、健康の森の中心的存在となった遠藤笹窪谷公園を発展させていくことについて、市の考えは?⇒遠藤地区に位置する、健康の森のまちづくりについては、地域の方々とともに検討を重ね、平成24年3月に健康の森基本計画を策定し、地域活性に資する施設として、谷戸底の造成地に都市公園を整備することとした。平成28年には地域の方々が参加するワークショップを開催し、そこでのご意見を踏まえながら整備を進め、本年7月に遠藤笹窪谷公園を開園した。地元遠藤地区や市民活動団体の皆様には、かねてより遠藤笹窪緑地を有する健康の森の里山保全・再生活動に積極的にご参加いただいており、とりわけ、遠藤笹窪谷公園愛護会の皆様には、公園内のしょうぶ園等の維持管理に多大な協力をいただいている。本公園は、豊かな緑地としての地域資源を活用した、地域活性化につながるものであり、本市としても、健康の森の里山景観を残した貴重な自然環境を、地元の皆様とともに守り育てていきたいと考えている。
 また、生物多様性の保全に関する様々な取組を行うこととあわせ、自然に恵まれた本公園の魅力を様々な手法を用いて発信することを考えている。このことにより地域の方々はもとより、市内外から多くの方々に本公園に訪れていただき、利用していただきたいと考えている。

通告5番 清水議員

1. 藤沢の価値向上について

(1)みどりの保全と発展について

 「藤沢市緑の基本計画」では、三大谷戸や公園の未到達地域の解消などが主な政策として掲げられている。緑を守り、発展させる中で現状はどうなっているのか?⇒本市では、緑あふれる質の高い都市の構築をめざす基本理念のもと、「緑」の永続性を少しでも高いものとするため、「藤沢市緑の基本計画」に位置づけております緑地の確保目標の達成に向け、様々な取組を進めている。そのなかで、現在の緑の確保状況の内訳は、都市公園は、令和2年度末現在、緑地全体1,748.67haの約13%にあたる233.98haを整備しており、未到達地域等の解消を図っている。また、市内三大谷戸を含む市有山林や特別緑地保全地区については、緑地全体の約5%にあたる91.26haとなっている。

 藤沢市は緑地の確保目標を30%としているが、令和2年度末時点の25.1%から上げるのが厳しい認識を示している。藤沢の街の価値は自然と都市の調和であり、人が行き交う中心部や住宅地にこそ緑があることが重要と考えるが、市の考えは?⇒市街地の緑の重要性については、議員指摘のとおり、藤沢の街の景観形成に寄与する重要な要素であると認識している。その緑を保全する主な取組としては、都市公園や街路樹等をはじめとする公共施設緑地の適切な配置や、生産緑地、保存樹木等、民有地の貴重な緑を法や条例に基づき指定したり、戸建て住宅等を対象とした建物緑化助成制度を設けることで、市街地における良好な景観の確保に努めているところ。
 しかし、近年民有地の緑については、売買や相続に伴う土地利用転換等の理由により、市域全体では微減傾向になっているのが実情。このようなことから、今後も市街地の良好な緑の確保に向け、これらの取組を推進し、いかに質が高い緑を確保していくかが課題と受け止めている。

 今後、緑を守り、増やしていく取組において、市全体を母数として緑地率の目標を掲げるのは実現に無理があると考える。母数を小さくする何らかの基準に則り、区割ごとの目標を設定するなど、面的な量を担保する数値目標として緑地率は大事と思うが、市の考えは?⇒緑地の確保目標である緑地率の算定にあたっては、市域全域を対象とした最終目標値を30%とし、そのうちの市街化区域を対象とした最終目標値を18%と設定して、この目標を達成するために中間目標を掲げ、段階的に緑の保全を推進している。合わせて、本計画では本市の骨格となる引地川、境川を中心とした緑地の南北軸と伊勢山緑地から城南特別緑地保全地区へとつながる東西軸などを基軸として、都市公園、緑地等を適切に配置し、市域全体で均衡がとれた緑の配置計画の進捗を図っている。このような経緯から、今後についても目標値の設定につきましては区割ごとではなく、現計画どおりに市域全域及び市街化区域の二通りの目標値に向けてバランスよい緑の配置に沿った取組を進めていく。

 鵠沼地区には、法律に基づいた風致地区が存在しているが、緑を保存する責務が果たされず、年々減っていると聞いている。藤沢市として、把握状況と樹木本数の推移、市の指導状況は?⇒鵠沼地区の風致地区である、第三号鵠沼風致地区内の緑地については、地区指定以降、大規模宅地が分譲されたり、駐車場として利用されるなどにより、減少傾向にあると認識している。しかし、当該風致地区は緑地率20%を基準とすることから、分譲等が行われても宅地内の緑地は将来的にも20%が確保されるものと考えている。地区全体の樹木の本数は把握できていないが、新築にあたっては完了時に樹木の全数検査を実施するとともに、必要に応じてパトロールによる現場確認を行うなど、適切に緑地が確保されるよう努めている。

 鵠沼地区では、緑豊かな住環境を守るため、住民自らが主体となって、良好な景観形成に向けた「住民協定」を策定する動きが活発である。しかし、法的な裏付けがないため、トラブルに弱いなどの点が課題となっている。こうした住民活動自体を結成時から法的に保障し、支援していく条例が必要と考えるが?⇒住民協定については、任意性が高く、地域の実情に応じた取組として、良好な景観形成に資する意義深い活動であると認識している。このような活動を法的に保障し、支援するためには、地権者の認知度や同意率に代表される一定の要件を設定する必要があると考えているが、実際にはその要件自体が自由な活動に対する一つのハードルとなり、ひいては地域の意欲的な取組を阻害してしまう懸念もある。従って、本市としては、現在のところ、一律的に制限や支援を位置づける条例化ではなく、任意な活動を尊重する中で、行政としても、住民協定の策定に関する地域住民への周知や適切な助言など、必要な支援に取り組んでいきたいと考えている。

 鵠南みどり会が、景観形成地区への昇格をめざして取り組んでいる。自治会でも住民へのアンケートや広報誌の配布など慎重に意見交換を重ねながら合意形成を行っている。藤沢市ではこうした取組をどう評価し、支援しているのか?⇒鵠南みどり会については、令和元年から、良好な景観形成に向けた基準の作成や、合意形成に向けた活動に熱心に取り組んでいただいており、地域の景観形成の推進力となっているものと考えている。本市としても、市民主体の景観まちづくりの促進に努めているところであり、鵠南みどり会の活動は、このような景観まちづくりを前進させる重要な取り組みであると考えている。このことから、本市では、同団体を令和2年10月に景観形成準備会に、令和4年6月に景観形成協議会に認定し、専門家派遣、活動費の補助のほか、景観計画の策定に向けた助言や、合意形成のプロセスを具体的に例示したパンフレットを提供し、意見交換を継続的に行うなど、必要な支援を行っている。

 住民や民間以外の緑を守る主体は行政だが、その一部に街路樹があてはまる。しかし、中でも街路樹は防災上、厄介者扱いされる傾向が出てきている。藤沢市は管理計画で、景観路線と再生路線に分けて取り組むとしており、景観路線に力を入れていくのは期待するが、伐採も多いように思う。景観路線での樹木の本数の推移と今後の景観路線についての考えは?⇒本市では、土地区画整理事業や街路事業にあわせ、積極的に街路樹を植栽し、「緑豊かなまちづくり」の一端を担ってきた。街路樹は、景観向上、交通安全、防災機能といった様々な機能を有するとともに、「潤い」や「やすらぎ」を市民生活にもたらしている。しかし、近年、街路樹の一部では大径木化による舗装の根上りや見通しの阻害、さらに老木化による倒木など、道路交通や市民生活に影響を及ぼすようになってきている。これらの課題や厳しい財政状況などを踏まえ、より効率的・効果的なメリハリのある持続可能な街路樹管理を実現するため、昨年度「藤沢市街路樹管理計画」を策定した。
 取組にあたっては、議員質問のとおり「景観路線」、「再生路線」、「その他」に分類し、路線特性に応じた街路樹の管理を始めているところ。景観路線での樹木の本数の推移については、令和2年4月時点では高木2,691本、中木772本であり、本年4月現在では高木2,654本、中木776本となっており、バリアフリー事業などによる街路樹の再編などを行った結果、高木が37本減少、中木が4本増加している。
 今後の景観路線については、街路樹管理計画に基づく良好な街路樹景観の維持・創出のため、補植等を行うとともに剪定・除草等の管理水準を高める取組を中心に進め、より安全で魅力的な道路空間となるよう適切な維持・管理を進めていく。さらに、藤沢駅周辺のまちづくりや駅周辺の街路事業
などと連携し、街路樹の創出にも努めていく。

 緑の維持管理には専門的な知識や技術が必要であり、費用もかかる。これらの活動に係わる人材が継続的に担保されるためには、人材を養成する仕組づくりが重要と考えるが?⇒緑の維持管理に係わる人材の育成については、現在、「藤沢市緑地保全協働事業」の事業者である「NPO 法人藤沢グリーンスタッフの会」が緑地保全のボランティアを養成することを目的として、様々な知識と技術を学ぶための講座を開催し、1年間の受講を通じて人材の育成に努めている。また、平成30年度に策定した藤沢市生物多様性地域戦略においても緑を含む自然環境の保全のため「地域の生物多様性を「守り・伝える人」の発掘・充実」を施策の一つに掲げており、本戦略の実行プランにおいて、人材発掘を目的とした普及啓発活動に取り組み始めたところ。今後についても、引き続きこれらの活動を通じて、現在活動している団体を支援し育成するとともに、令和5年度からは、生物多様性センター及びサテライトセンターを活用しながら新たな人材の発掘に取り組んでいく。

 緑の存在は自然と調和するまちの価値だけでなく、暑さなど環境対策としても有効である。今後行政として緑を守り、増やしていくことは今の組織形態である建設部門の下ではなく、緑を守り、発展させる独立した部局、あるいは環境部に入れることが考えられる。市の考えは?⇒近年、都市部におけるヒートアイランド現象の度重なる発生や生物多様性の損失など世界規模で地球環境の劣化が課題となっており、持続可能な開発目標であります
SDGsの各種取組の内、これらに関連する都市緑化の推進や生物多様性の保全につきましては、本市でも様々な取組を行っているところ。最近の本市の取組事例では、今年7月に開園した遠藤笹窪谷公園の整備において、自然が持つ多様な機能を活用した生物多様性の保全と遊水地機能を持たせた防災減
災に寄与するグリーンインフラの考えを取り入れた整備を実施している。また、村岡新駅周辺地区まちづくりにおいても「まちづくり方針」の中で示したグリーンインフラの考えを持続可能なまちづくりの実現に向け推進し、今後の都市基盤整備と合わせた緑の軸を形成する多様な緑化の取組として進めるもの。このように、近年では都市基盤整備を進める上で緑の機能や効果を最大限に生かす取組を計画段階から一体となって進めることが重要であることから、現在の組織形態である建設部門の中で総合的に進めていくことが最も効果的であるものと捉えている。

通告6番 北橋議員

1. 藤沢市のフレイル・認知症対策について

(1)現在の状況について

 コロナウイルス感染症は終息の気配がなく、高齢者のフレイル状態の悪化や認知機能の低下が懸念される。藤沢市のフレイル予防の現状と課題は?⇒昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛や人との接触を避ける生活の中では、高齢者の活動量は著しく低下し、健康状態から要介護状態へ移行する中間の段階であるフレイルの状態になる高齢者の人
数が急増していることが指摘されている。本市においては、このような状況に鑑み、介護予防や、フレイル対策に向けた取組として、訪問型サービスや通所型サービス、さらには介護予防教室など、要介護状態に至る前の高齢者に対する介護予防サービスの充実に取り組んでいる。このような中、各種サービスの人材の確保や育成、多様化するニーズに対するサービスの質の確保などの課題、また、介護予防サービスなどに参加した高齢者が、短期的には改善するものの、サービス提供終了後には元の状態に戻ってしまうなどの問題も見受けられる
ことから、アフターフォローの体制や方法についても重要な課題であると捉えており、各種会議等において、課題の解決に向けた協議を継続している。

 フレイル予防は認知症対策にもつながるものと考えるが、本市における認知症対策について、現在の取組状況は?⇒本市の認知症対策は、「藤沢おれんじプラン」を策定し、「認知症になっても、住み慣れた地域で、安心して暮らせる」という「共生」の視点と、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になってもその進行を緩やかにすると」いう「予防」の視点に立ち、認知症カフェの開催や認知症サポーターの養成、さらには認知症初期集中支援チームによる支援などを実施している。こうした中、最大の課題は、認知症やフレイルに対する正しい理解を広げることだと捉えており、支えあいの地域づくりを進めるため、よりわかりやすい表現でのパンフレットを新たに作成するなど、認知症やフレイルに対する理解が深まるよう、今後も、周知・啓発活動に取り組んでいく。

(2)認知症カフェについて

 「認知症カフェ」についても、新型コロナの影響を受けているものと思われる。近年の実施状況は?⇒本市においても、令和2年に13か所の認知症カフェが運営されていたが、その後、全国的な課題である「当事者が集まらない」「支援者が不足している」「運営方法がわからない」「認知症カフェという名前から偏見をもたれる」などの理由に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在は減少傾向にある。残念ながら、令和3年の調査によると、市内の認知症カフェは4か所にとどまっているという状況にあることから、今後、運営方法の見直しをはじめ、課題の改善に取り組んでいく。

 認知症カフェ運営の課題に対し、本市では、今後どのように取り組みを進めていくのか?⇒認知症カフェについては、例えば、主催者自らがウクレレ教室を開放し、演奏練習の合間に認知症に関する情報交換を行ったり、認知症サポーター養成講座の講師が、自身が経営する喫茶店において、お客さん同士が交流できる環境や気軽に参加できる場を作ったりするな
ど、主催者の様々な工夫により運営が成り立っている状況。本市としては、認知症カフェに関する様々な課題を改善するため、まずは、主催者との情報交換を重ねることで実態の把握に努めるとともに、個々の認知症カフェに即した支援策を講じていく。一方で、利用者を増やすことを目的に、認知症カフェの魅力や参加することの楽しさなどを広く周知するため、効果的な情報発信について検討していく。

(3)デジタル活用について

 フレイル予防・認知症対策の観点からも、高齢者に向けたデジタルの活用を推進していく必要があると考える。市として高齢者を対象にデジタルを活用した取組状況と今後の取組は?⇒コロナ禍における在宅生活は、高齢者の外出や人との交流の機会を減少させ、認知機能やフレイル状態の悪化につながる可能性が高いと認識している。こうした中、本市としては、在宅における介護予防・フレイル対策・認知症対策を充実させることが重要であると捉えており、高齢者が安心して在宅生活を送るうえで、従来型の対策と併せて、スマートフォンやタブレット端末を介したデジタルコンテンツを活用した対策を、積極的に進めていく必要があると考えている。
 一方、在宅生活におけるICTの利活用については、高齢者のICTリテラシーやデジタルデバイドなどの課題があり、これに対しては、携帯電話会社によるスマートフォン教室や、ボランティアによるパソコン教室など、高齢者のICTに対するニーズに、住民主体の支援活動が展開されている。今後については、いわゆるICTのユーザー体験として、高齢者が「楽しい・うれしい」と思えるような機会を創出することで、その先の介護予防・フレイル対策・認知症対策につなげていきたいと考えている。

2. 藤沢市の文化財について

(1)各収蔵庫について

 藤沢市の文化財収蔵施設は、市内数か所に分散していると聞いているが、現在の状況は?⇒本市の文化財収蔵施設の現状は、旧善行学校給食合同調理場、旧北部学校給食合同調理場、旧御所見市民センター及び、公益財団法人藤沢市まちづくり協会ビル内の4か所に分散している。このうち、まちづくり協会ビルを除く収蔵庫については、建築後50年近く経過し、老朽化が進むとともに、各収蔵庫とも飽和状態となっているため、収蔵品の効率的な整理と適正な保管を目的に、新収蔵庫の整備を進めているところ。

 新収蔵庫整備の進捗状況と今後のスケジュールは?⇒新収蔵庫については、旧善行学校給食合同調理場及び隣接する旧あずま保育園の跡地に整備を行うため、収蔵品を仮収蔵施設に移動のうえ、現在、解体工事を実施しており、年度内に完了予定となっている。解体工事完了後のスケジュールは、令和5年度から6年度にかけて、新収蔵庫の設計、及び建設工事を実施する予定。竣工後には、発掘調査等で出土した土器や石器、陶磁器などの考古資料約36,000点、昔の脱穀機や縄やむしろを作る農具、一般家庭で使われていた 生活用品などの民俗資料約7,900点などを種類ごとに整理・集約し、令和7年度から新収蔵庫の運用を開始する予定。

(2)文化財の利活用について

 収蔵施設となっている旧北部合同調理場を見学させてもらったが、六会地区のものだけではなく、市内全域の歴史的価値のあるものが収められていた。このように価値のあるものは市民をはじめ、未来を担う子どもたちにも広く周知し、郷土愛や文化を伝えるべきだと考えるが?⇒文化財については、これまで、保護し、守り伝えることが重要である、とされいたが、平成30年に文化財保護法が改正され、文化財の保存とともに積極的に公開、活用し、その魅力を発信していくことが重視されることとなった。本市としても、公民館での講座などで、必要に応じて文化財を見ていただくことや、イベント等の機会を捉えた公開、南市民図書館内にある常設展示室における展示の実施など、市民の皆さんが文化財に触れる機会の提供に努めているところ。また、市内の小・中学校からの依頼を受け、学芸員が文化財や歴史の講話とともに、実物を直接見て、触れる機会を提供し、好評を得ている。今後、新収蔵庫の完成に伴い、文化財の整理・集約が進むことで、文化財の利活用がさらに容易になってくると捉えているので、これまで以上に文化財を通した郷土愛の醸成につながる取組を進めていく。

通告7番 佐野議員

1. 市長の政治姿勢について

(1)消防力の強化について

 過去に一般質問で触れた機動査察隊は、令和元年に創設された。創設の目的として、「近年の被害の大きかった火災の多くは、重大な法令違反が原因で火災の拡大や多数の犠牲者が発生したと指摘されている」ことなどに対して「本市における対応の万全を図ること」であると伺った。「違反是正は人命救助だ」とも言われ、消防による徹底した是正指導が求められているところ。機動査察隊は、専門的知識、技術を持った隊員で構成する精鋭部隊で、重大違反などに即応し、火災から市民を守ることを任務としている。そこで、これまでの取り組みと成果は?⇒機動査察隊は、発足以来、人命危険のおそれの極めて高い事案、又は疑いがある事案などに対して、部隊を編成、対応を行っている。これ以外にも、大阪市北区で発生した火災を受けての特別立入検査、警察や建築指導課・生活衛生課との夜間合同特別立入検査など、緊急かつ組織的な対応が必要な案件に対して編成、派遣を行った。これまでの取組として、令和元年度2事案、2年度2事案、3年度11事案、今年度15事案、合計30事案に対応している。昨年度までの事案については、ほぼ解決し、14事案は、良好な状態となっている。現在は、主に、直近の16事案について対応中だが、その大部分で、改善計画書や、工事の着工届の提出など、是正に向けた意思を確認している。
 次に、成果について、専門的な知識を持つ機動査察員の即応体制により、事案の収束までにかかる時間が一様に短縮されていることや、機動査察員が行う署内研修などにより、職員のスキルアップ、人材育成の面にも効果があった。さらに、機動査察隊の発足によって、度重なる指導に従わず、是正が困難な違反対象物に対しても、これまで以上に、組織的な対応が図られるようになった。

 近年、全国各地で地震・豪雨等による大規模な災害が頻発しており、昨年は、本市消防局も緊急消防援助隊として活動された熱海市の土石流災害などが記憶に新しい。こうした災害の発生時には、多くの消防団員が即時に出動し、地域の方々と助け合いながら活動しなければならないことから、本市の消防団については、各地域で自治会、町内会等と「地域災害連携のための意見交換会」をしていると聞いているが、その実施状況は?⇒意見交換会については、市内各分団と近隣の自治会・町内会等が顔の見える関係を築き、災害時の協力及び連携を図ることを目的に毎年実施していたが、新型コロナウイルスの影響等により、約2年にわたり開催できていない状況。消防団と地域住民が連携を図り、地域防災力を向上させるためには、各地域での自助、共助の機能を発揮することが重要であることから、今後については、感染状況も勘案しながら積極的に実施するよう努めていく。

 令和2年9月議会での一般質問では、消防団員を確保する対策について質問したが、その後の進捗として、消防団員の処遇改善、装備充実などの取組状況は?⇒処遇改善としては、令和2年12月に「藤沢市消防団に関する条例」の一部を改正し、総務省消防庁から示された額を基準として基本報酬額の引き上げを行っている。また、入団条件についても市内在住者のみではなく、在勤・在学者及び近隣市町からの入団を可能としたほか、休団制度の導入を図るなど、入団し易い環境を整備してきた。
 装備の充実については、平成26年2月に「消防団の装備の基準」(消防庁告示)が改正されたことにより、必要となった無線機やトランシーバーといった通信機器、破壊器具などの救助資機材、消防団員の安全を確保するための保護具等を計画的に整備しており、令和4年度は、倒壊家屋や瓦礫等の救助活動現場で安全に活動するためのプロテクターを整備していく。

 消防局が様々な取組みをされ、消防団の活性化を図っていることは十分理解した。これらの取組みにより、現在の消防団員数の状況と、今後の取組は?⇒令和4年9月1日現在、本市消防団の団員数については、条例定数504人に対して実員443人で61人の欠員、充足率87.9%。積極的な入団促進活動のほか、入団条件緩和等により、令和3年度の入団者数は増加したものの、一部の地域で退団者が集中したことで、充足率が低下している状況。しかし、その地域を除く充足率については、約4%増え、94.6%となっており、一定の効果が出ているものと認識している。更に、本年4月からは学生の就職活動を支援することを目的とした「学生消防団活動認証制度」を導入したことにより、入団に関する問い合わせが増加するなど、今
後の入団数の増加が期待されている。
 次に、課題について、昨今の社会環境の変化に伴い、地域の交流が希薄化することにより、消防団を含めた防災力の低下が懸念されている。この課題に対しては、団員が地域の防災リーダーとして指導的な役割を担い、防災力の向上を図っていく必要があると認識している。具体な方法として、市内の学校・福祉施設・自治会等が行う消防訓練に消防署部隊と共に団員が同行し、防火・防災に関する指導に積極的に関わる取組みを始めているところ。

 藤沢市北消防署遠藤出張所が、2017年4月に運用開始され5年が経過した。この間、新型コロナウイルス感染症の流行など消防行政には、大きな影響があったと思う。遠藤出張所が運用開始されたことによる効果は?⇒遠藤出張所運用開始前と後を比較すると、遠藤地区では、火災を始めとした災害出動及び救急出動とも、消防・救急部隊の平均現場到着時間は大幅に短縮されており、救急出動においては運用開始後5年間の平均で、出動から現場到着まで1分20秒ほど短縮されている。現場到着時間の短縮に伴い、災害の早期対応による被害の軽減、また、迅速な救命処置による救命率の向上につながり、長年の課題であった遠藤地区における消防力の強化が図られたものと認識している。また、新型コロナウイルス感染症により増大した救急要請への対応についても、2020年4月に運用開始した六会救急隊と共に大きな役割を果たしていると考えている。

 コロナ禍での教訓を踏まえ、少子高齢化、人口減少を見据えた中で、市民の暮らしと財産を守る消防力の強化として、市域全体と、特に西北部において取り組むべき、課題と今後の対応は?⇒消防局では、昨年度実施したオリンピック特別警戒により培った大規模災害に対応する様々な知識、消防戦術等を発展させるとともに、時代に即した質の高い消防行政を展開するため、新たなデジタル技術を活用した消防DXの推進、及び救急需要の変化に柔軟な対応が可能となる救急体制の整備について検討を進めている。また、西北部地域では、緊急に対応が必要となっている消防団の活性化などの課題を始め、公共施設再整備プランの検討事業として位置づけられている御所見出張所の再整備といった長期的な課題への対応についても進めているところ。

(2)子育て施策の推進について

 少年の森のナラ枯れの現状と対策は?⇒少年の森でのナラ枯れの現状は、令和3年9月の調査時点で、コナラやクヌギ等の469本のうち、457本が虫の穿入被害にあい、332本は枯れずに生存しているが、125本が枯れているのを確認している。対策としては、倒木の危険を回避するため、昨年度、アスレチック遊具周辺や動線となる園路周辺等の45本を優先して伐採し、被害の軽微な木など49本を対象に殺菌剤を幹に注入して予防措置を行った。今年度は、テントサイト周辺等の倒木の危険のある木を順次伐採していく予定。

 令和3年度に実施したサウンディング型市場調査の結果の概要は?⇒令和3年度に、少年の森という施設の持つ可能性や活用アイデアについて、広く民間事業者からご意見を聞き取ることを目的にサウンディング型市場調査を実施し、3事業者の参加があった。調査に参加した民間事業者からは、「青少年だけでなく幅広い世代の方を対象とする施設へ転換してはどうか」や「オートキャンプや起伏のある地形を利用したアクティビティなどのアウトドアレジャーが楽しめる施設にしてはどうか」、また、「周辺の農園や乗馬クラブなどと連携した体験型宿泊プランの提供が考えられる」、そのほか「リニューアルから運営までを全て民間事業者が独立採算で行うことは難しい」、さらに「施設運営に必要な電気・ガス・給排水などのインフラ整備は、市で行ってほしい」などの意見が出された。

 調査結果を踏まえた、現在の検討状況と今後の検討スケジュールは?⇒サウンディング型市場調査の結果を踏まえ、北部地域の整備や観光という視点から、庁内の関係課の意見を聞き、どのような施設にしていくか再整備の基本的な方針を決めることを目的とした検討会議を開始しており、その結果を基に、公共と民間の役割分担の検討及び再整備事業への民間活力導入可能性の調査を予定している。

 サウンディング型市場調査後の地域との意見交換の状況と地域からの意見は?⇒今年度、6月3日に地権者、6月16日に御所見地区郷土づくり推進会議、6月28日に御所見まちづくり推進協議会、7月21日に遠藤まちづくり推進協議会の方々へ向け、サウンディング型市場調査の結果について説明を行っている。地域の方からは、「地域の人が利用できる施設にしてほしい」、「御所見地区の子どもたちが遊べる場所を残してほしい」、「地元の意見を聞いてほしい」といった意見をいただいている。

 少年の森の再整備については、何もかもスクラップして新たな魅力を創造する方法もあるが、今の強みを伸ばしていくという面、藤沢の子どもたちにとって、健全育成と身近な自然体験の場という点について、今後の考えは?⇒少年の森は、市街化調整区域に位置し、議員指摘のように、「藤沢の子どもたちにとって、身近に自然を体験できる場」。そのため、「子どもたちのための自然体験の場」を残しつつ、幅広い世代の方が楽しめる自然体験施設としての再整備を現在のところ目指していく。また、再整備後もデイキャンプなどで市内の各地区の青少年育成団体などが優先して利用できるような配慮を含め、様々なご意見をいただく中で検討していく。

 遠藤笹窪谷公園との連続性などについての構想はあるか?⇒具体的な構想はこれからになるが、来年度にかけて、周辺地域にある様々なコンテンツを結びつけ、関係部局と遠藤笹窪谷公園と連携した取組をさらに検討していく。

 地域資源の連携として、農業体験や地元農産物を食するキャンプ、さらに地域に広がりをもった取組も可能かと思う。御所見地区の活性化策として、要望を受けるだけでなく、市としても点ではなく面的に資源を捉え、地域とのコミュニケーションのもとにアイデアを練り上げていくことが重要と考えるが?⇒御所見地区をはじめとした北部地域においては、本市の中でも自然が豊富で農業などが盛んな地域であり、海岸を有した南部エリアとは違う魅力のあるエリアと捉えている。そのような地域の特性を活かした農業体験や地産地消など地域資源と連携し、さらには、北部観光振興に資するような北部地域活性化について関係部局と連携しながら進めていく。また、施設の再整備に当たって、地域の方々の意見や民間事業者の意見を参考に計画を練り上げることは重要と考えている。特に地域の方々の意見を取り入れる方策として、ワークショップの開催や少年の森を利用する子どもたちへのアンケートなども検討し、北部地域の活性化に資するシンボル的な施設となるよう進めていきたい。

(3)西北部のまちづくりについて

 平成28年の国土交通省の交通政策審議会の答申における目標年次のほぼ折り返しの時期を迎え、B駅周辺のまちづくりについては事業化検討パートナーが選定され、進捗が図られているものと考えている。鉄道の整備についても並行して進捗すべきものと考えるが、現時点でのいずみ野線延伸の進捗状況は?⇒いずみ野線延伸に向けた取組としては、神奈川県、藤沢市、慶應義塾大学、相模鉄道等で構成されたいずみ野線延伸検討協議会において、概ねの駅位置の関係者間での合意や概算事業費の算定を行うとともに、事業スキームの検討などを進めてきた。現在は、国の交通政策審議会の答申に、「事業性が課題」とされているように、事業採算性の確保のため、延伸の実現に向けた需要の創出、事業費の低減など、検討協議会の中で、さらに深度化した検討を進めていく。また、市長は8月4日に副知事と面会し、神奈川県への「施策・制度・予算に関する要望」を行う中でも、いずみ野線延伸について個別に要望しており、お互いに協力して取り組んでいくことを確認した。

 健康と文化の森地区では、鉄道延伸を見据えた土地利用の増進を図る目的で区画整理事業によるまちづくりを進めており、それと並行して、鉄道が目標年次に開通するような現実感のある希望、実感のある期待、目に見える進捗が必要と考える。そのため、延伸路線全体からの期待も大きい事業であり、情報発信をしっかりと行ってもらいたいが市の見解は?⇒鉄道延伸の情報発信については、これまでも地元の代表者等により構成された会議や地元へのニュースの回覧等で情報発信を行ってきている。現在、神奈川県では事業費の低減策の検討を実施し、市では需要創出策の一環として広域的な需要に鑑みたバス網再編の効果検証を実施しているところ。そのため、現段階では鉄道延伸に関するスケジュール感等を示せないが、今後も、先行区間である湘南台駅から慶応大学間の鉄道延伸の早期実現に向けて検討を進め、その進捗に応じて、情報発信に努めていく。

 (仮称)湘南台寒川線、県道410号、県道湘南台大神に関して、神奈川県、寒川町と連携の強化を図りながら、早期開通に向け取り組むとの答弁だったが、現在の進捗状況は?⇒事業者である神奈川県が、土地所有者に対して個別説明を行いながら、用地買収を進めている。本市としては、用地買収が進捗するように地元との事前調整を行うとともに、取付道路の形状検討などについて、県と調整を図りながら、事業促進に努めている。

 県は、湘南台大神の道路改良について、平成25年度から令和8年度以降と事業計画を策定したものと思う。事業をスタートしてから時間が経過しているが、やっと用地取得がはじまったという状況で、供用開始まではまだまだ時間がかかるように思う。神奈川県における取組の方向性と、それに対する市の対応状況は?⇒県はこれまでも県道湘南台大神に係る予算を確保して事業進捗に努めており、今後も継続して予算を確保し、事業を推進していく予定であると聞いている。本市の対応としては、市長が8月4日に副知事と面会し、「施策・制度・予算に関する要望」を行った際に、地図を示しながら個別に県道湘南台大神の整備推進について要望している。今後も、引き続き、県及び寒川町と連携を図りながら、早期開通に向け取り組んでいく。

 綾瀬スマートインターチェンジが、2021年(令和3年)3月31日に開通した。開通後1年半近く経過するが、この間の本市への通過交通等の影響、波及効果は?⇒綾瀬スマートインターチェンジ開通後は、大きな混乱もなく多くの利用者に利用いただいており、1日の平均利用台数が上り線・下り線合計で、開通直後の令和3年4月には、約11,100台であったものが、1年後の令和4年3月には約15,900台に伸びている。多くの利用があることによる周辺道路の渋滞などは発生していないとのことで、本市への通過交通等の影響もないと捉えている。また、開通による波及効果は、東京都心や、首都圏の主要都市などとの広域的な交通ネットワークが構築されたことにより、「新産業の森」などの新たな産業基盤の整備と併せて、西北部地域の活力創造につながっていくと考えている。

 東名高速道路の渋滞緩和は困難であり、本市への流入が発生すると、湘南台大神の役割が大きくなる。そうなると、御所見へ交通の流れが発生し、活性化のチャンスが生まれる。単に通過で終わらせず「道の駅」など積極的な流入策を講じるべきと考える。長年、農業の6次産業化が叫ばれてきたが、もはや高齢化している農業経営者や農業知識の少ない就農者では、そこまで手が届かない。「道の駅」によって活性化を誘導していくことも検討に値するものと考えるが、市の見解は?⇒「道の駅」は、道路交通情報の発信のほか、地域の創意
工夫により地域振興に寄与することなどを目的に設置されるもので、市内の歴史・文化・観光地などの情報提供や、地域の特産品などの物販、観光レクリエーションや各種イベントによる交流促進などの機能を持つもの。県道湘南台大神が全面開通すると、御所見地区を中心に交通量の増加が想定されるため、道の駅など、車両の一時立ち寄り施設を設置することは、本来通過するだけの人々が本市を知り、立ち寄ってもらうためには大きな効果があると考える。一方で、当該県道は、市街化調整区域内の農地を横断する箇所も多く、様々な法規制なども想定されることから、提案の施設については、関連する部局や機関との調整はもとより、農業関係者や地元事業者の意見、近隣の類似施設の設置状況なども踏まえながら、研究を進めていく。

 新産業の森について、本年7月には第2地区の都市計画手続にも着手され、着実に進捗が図られている一方で、コロナによる企業の業態や従業員の住まい、通勤、働き方の変化を考慮する必要があり、人や企業から捉えたまちづくりも求められていると考える。こうした点を第二地区以降の事業に今後どのように具体化していくのか?⇒新産業の森地区については、自然環境に配慮することとあわせ、産業系土地利用を計画的に誘導することで、市内経済の活性化や、将来にわたる税収の安定化への寄与などの好循環を生み出すことが重要であると捉えている。今後のまちづくりにあたっては、すでに事業が完了した北部地区や、現在取組を進めている第二地区と同様、広域交通機能を生かした新たな産業創出を図るとともに、コロナ禍における行動変容やデジタル化の進展といった社会情勢の変化や、経済産業施策などの立地需要を十分見極めながら進めていきたい。

 遠藤葛原線の整備について、進捗状況は?⇒遠藤葛原線は、全長約3キロメートル、幅員18メートルで、葛原工区約1.5キロメートル、遠藤工区約1.5キロメートルからなり、平成25年度から、葛原第1工区約0.7キロメートルの事業に着手している。現在までの進捗状況は、令和3年度までに、道路本線部分の全ての用地を取得した。令和3年度からは道路整備工事に着手し、昨年度は県道藤沢座間厚木側から延長約100メートルを整備し、今年度は、その先の約220メートルを整備中。今後は、令和7年度の供用開始に向け事業を進めるとともに、地域の浸水被害対策として必要な葛原1号水路の切回し工事や道路内における雨水貯留施設の整備を実施していく。なお、この葛原1号水路の切回し工事に係る用地の取得及び補償に要する費用については、先般補正予算を承認いただいた。

 遠藤工区まで含め、新産業の森事業との事業進捗の連動を図るべきと考えるが、しの見解は?⇒議員指摘のとおり、遠藤葛原線の整備を行うことで、西北部地域周辺地区の市街地や鉄道駅、既存幹線道路と地域内を連絡し、西北部地域と周辺地域との相互連携を促すことが期待される。さらに、現在、まちづくりを進めている「健康と文化の森地区」、「新産業の森地区」との連携を強めるべく、葛原第1工区の整備を進めるとともに、併せて第2工区及び遠藤工区についても、路線検討や道路設計などを進め、早期の全線開通を目指していく。

 少年の森、遠藤笹窪谷公園を含め、市として面的な整備、多機能横断的な検討が求められると思う。1拠点、1路線、1事業でなく、西北部のまちづくりを、空間、時間を総合的に捉え、取り組む時期が到来していると考える。さらに、藤沢慶応前郵便局の前ほか、道路や周辺で毎年浸水が発生している。治水対策も地区を俯瞰して、面的に捉えていく必要があると考える。機能面、防災面、そして時間的概念を取り入れた、一歩進化した総合整備の取り組みについて、市のご見解と意気込みは?⇒西北部地域のまちづくりにおいては、この区域を一つの面として捉え、その中で多くの機能が相互に高めあう横断的な視点を持った検討が必要である、との基本認識を持っている。機能面においては、これまで整備した都市基盤や遠藤笹窪谷などの豊かな自然環境等の資源を活かしながら、このエリアの魅力と活力が維持向上する新たな基盤整備と土地利用を促進していく。これにより、西北部地域全体が多様な機能を発揮していくことが期待できると考えている。
 防災面においては、健康と文化の森地区をはじめ、一色川上流部、目久尻川、小出川流域など、西北部全体を俯瞰して、水害に強いまちを実現すべく、関連する複数の部局が連携して取り組むなど、安全で安心な暮らしを継続できるまちづくりを進めていく。時間的概念については、この地域が持つ歴史や伝統が、将来にわたり、姿・形をかえながらも連続していく、という時間軸の視点を重視していきたいと考えている。
 藤沢市の面積の約5分の1を占める西北部は、本市にとって、豊かな自然と発展の可能性を持つ、大変貴重な地域であり、機能面、防災面、そして時間的概念を取り入れ、西北部
地域のめざすべき将来像である「農・工・住が共存する環境共生都市」の実現に向けて、全力で取り組んでいく。

通告8番 栗原議員

1. 地域共生社会について

(1)孤独・孤立対策について

 本市における、孤独・孤立に関する取組状況は?⇒雇用環境、生活環境や家族構成、地域社会の変化は、職場内・家庭内・地域内において、相互に支えあう機会が減少し、人々が「生きづらさ」や「望まない孤独」、「孤立」を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきたと指摘されている。さらに、社会生活を一変させた新型コロナウイルスの感染拡大は、交流や支えあいの機会を奪い、また、共に過ごす時間が増えることによる人間関係の悪化など、内在していた孤独・孤立の問題を顕在化させ、一層深刻化させる契機になったと考えられている。このような中、本市の取組としては、地域における身近な居場所として地域の縁側事業の展開や、コミュニティーソーシャルワーカーの市内13地区への配置等により、孤立を含めた困窮世帯の早期把握・早期発見、並びに、必要な支援に確実につなげる体制づくりを推進している。
 また、その過程においては、断らない相談を前提に幅広く対応することで、相談件数を増やすこと、また、隠れている問題を顕在化することに取り組んでいる。併せて、連携体制の強化を目的に、藤沢型地域包括ケアシステムの推進に向けた庁内検討体制における専門部会、また、ひきこもり・ケアラーなど、具体的にテーマを絞った分科会を適宜開催し、必要な支援の在り方等に関する情報共有と意見交換を行っている。

 制度・サービスとうまくつながらず、また地域との関係性が希薄だった個別事例に関し、具体的に市としてどのように対応してきたのか?⇒本事案に関しては、対応してくださっている介護サービス事業所の支援状況を踏まえ、サービスの対象となる方の支援ニーズと、ご家族の介護負担等に関する課題解決に向け、関係部門や関係機関が連携する中で検討を重ねてきた。具体的には、本市の高齢者支援、障がい者支援に関する部門と、藤沢市社会福祉協議会などが、本人、家族の意思を尊重し、サービス提供事業所の意見も取り入れながら、ヘルパー派遣、ショートステイなどのサービスの調整を行ってきた。

 支援ニーズが多様化する中、民間サービスやボランティアの活用なども視野に入れるべきではなかったのか、その場合、庁内の部門間の連携はどうなっているのか?⇒多様化する支援ニーズに対応するためには、介護保険制度や障がいサービスなどのフォーマルな社会資源と、地域住民による見守りやボランティアなどのインフォーマルなサービスとを、適切に組み合わせることが必要だと認識している。また、住民同士の声掛けやちょっとした見守りなどは、孤独・孤立の予防という視点からも、大変重要であると考えている。しかし、介護現場における支援ニーズは、高度な専門性が求められる事案も少なくないことから、ボランティアとして関わっていただくことが難しい場合もある。そのため、様々なインフォーマルな活動や取組は、地域の重要な社会資源であるという認識を持ち、そのような活動を支援ニーズと結びつけるために、先ほど答弁した専門部会の一つである、地域活動の支援・担い手の育成に関する部会において、福祉部門だけではなく、市民自治部や生涯学習部との間で、現状の確認や情報共有を行い、連携を進めている。

 部局間の連携を図っているとのことだが、孤独・孤立に関する具体的な取組に関する、今後の方向性は?⇒個別支援の展開については、具体的な支援ニーズと、実際に提供されるサービスの間には、利用要件や、実施に関する様々な規定がある中で、求められる対応が十分にできないという難しさがある。このサービス提供の限界や制度の狭間を、新たな孤独や孤立の状況を生じさせる要因としないためにも、必要に応じて既存のサービス機能の在り方等を検討していきたい。また、支援を求める声を上げやすい相談体制の構築、見守り・交流の場や居場所づくり、支援を求める声を上げることができない当事者や家族に対するアウトリーチ型の支援など、これらを推進していくことで、誰一人取り残すことなく、安心して暮らせるための包括的な相談支援体制づくりを進めていく。

2. 安心安全な藤沢の取組について

(1)公園について

 今年の3月に公園におけるLINE通報制度を導入しているが、公園の要望や苦情の件数は、電話や窓口なども含め、年間どのくらいなのか?⇒令和3年度になるが、公園課として約1,800件受けており、指定管理者である、公益財団法人藤沢市まちづくり協会の約200件を合わせると、年間で約2,000件の要望等をいただいている。主な内容としては、草刈りや、樹木の剪定、不法投棄、遊具の異音などの要望をいただいている。

 公園課のホームページに、遊具点検の状況が毎月掲載されているが、どのような方法で点検を行っているのか、また、不具合のあった遊具についてはどのような対応をしているのか?⇒遊具の点検は、毎月すべての公園をパトロール業務により巡回し、遊具の外観の目視や触診、可動部を動かして異音を聴診するなど、作動状況等の日常点検を実施している。また、年1回、専門業者へ委託し、目視や触診、聴診のほか、ハンマー等で打診し、異音等を確認するとともに、器具を用いて計測するなどの定期点検を実施している。そのほかにも、職員が現場に出た際には、遊具の状況について確認を行っている。

 ホームページに点検結果を掲載しているが、市民の方から、隣接の綾瀬市のような、遊具点検を行った際には「点検済みシール」を貼ってあるとの意見も聞いているが?⇒遊具点検結果の周知については、市民の皆さんが安全に安心して公園をご利用いただくために、大変重要なことと認識している。今後の点検結果の周知方法については、引き続き、ホームページへの掲載を行っていくことと合わせて、議員指摘のとおり、誰もが利用時に、すぐ分かる取り組みとして、点検した遊具への「点検済みシール」の設置を検討していく。

※以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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