9月20日 10:00から、藤沢市議会9月定例会(5日目)が開催され、引き続き一般質問が行われました。
※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。
通告9番 平川議員
1. 誰にも優しいまちづくりについて
(1)障がい者支援の取り組みについて
障がい者支援の取り組みの一つである情報の保障と当事者の暮らしやすさの追求について、デジタルの側面からお聞く。まず、障がい者手帳をお持つ市民の状況は?⇒本市の、障がい者手帳を持つ方の人数は、本年4月1日現在、身体障がい者手帳をお持ちの方が1万824人、精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方が4千521人、療育手帳をお持ちの方が3千50
8人、合計1万8千853人。
市の制度以外にもETCやNHKの割引、電車、バス、タクシーなどで障がい者割引制度があるが、手帳を見せることにためらいがある人も相当数いると思う。カバンや財布から取り出していた障がい者手帳を、スマホで提示できるミライロIDとは?⇒ミライロIDとは、障がい者手帳の情報をスマートフォンなどに取り込み、それを提示することによって、窓口での確認を円滑、効率的に行うもので、各種割引などに活用される、民間のアプリケーション。また、電子クーポンの提供、オンラインチケットの販売、障がい種別に応じた、生活に役立つ情報提供などの機能を有している。
本市ではミライロIDが既に導入されているようだが、導入の経過は?⇒ミライロIDについては、障がい者が手帳を提示することなく気軽に施設等が利用できることから、経済部が観光振興施策の一つとして、令和3年4月に江の島周辺の観光関連施設等において、導入を促進したもの。このほか、障がい者の利便性を確保するため、一部の公共施設や公共交通機関においても導入されている。
江の島周辺、公共施設、公共交通機関等の一部で利用可能とのことだが、具体的には?⇒スポーツ施設として秋葉台文化体育館をはじめ、秩父宮記念体育館、八部公園、石名坂温水プールで利用可能。施設内においては、障がい者手帳の提示と同様に、画面の提示により、プール、トレーニングルーム、サウナ等の利用料を軽減している。また、文化施設として湘南台文化センター子ども館など3施設、駐車場として奥田公園駐車場、鵠沼海浜公園駐車場など、4施設でも利用可能。
市の施設でのミライロIDの今後の活用拡大について、市の考えは?⇒市としては、障がい者の利便性を高め、暮らしづらさの解消に寄与できるよう、原則としてすべての施設でミライロIDを活用できるよう努めていくす。あわせて、障がい者手帳を提示する必要のない、免除等の仕組みについても継続して検討していく。
障がい者の立場から、地域、民間を含めた、より効果的なミライロIDの活用シーンの拡大についての考えは?⇒民間での導入拡大については、コロナ禍における障がい者の外出支援として、効果があると考えている。まずは、民間事業者に委員として参画いただいている障がい者差別解消支援地域協議会を通じて、普及促進に努めるとともに、関係部局や経済団体などとも協議を進めていく。
市のサイトでは、ミライロIDの情報を探してもなかなか見つからなかった。障がい者へのWebでの情報発信、情報提供が不十分に感じる。現状と課題は?⇒本市のミライロIDに関する情報提供については、各施設のホームページにおいて、利用が可能である旨をご案内している。また、障がい福祉サービスに関する情報については、障がい種別と等級により利用できるサービスが異なるため、条件が複雑で、説明が長くなる傾向にある。市としては、多岐にわたる複雑な情報をわかりやすく丁寧に提供すること、一方で、必要とする方が簡単に情報を得られるようにすることが課題であると捉えており、その方法を検討するとともに、今後も効果的な情報発信に努めていく。
茅ヶ崎市では来年1月に障がい者支援アプリを導入される。障がい者を対象とした本市のデジタル化推進に向けて、支援アプリの導入が必要と考えるが?⇒茅ヶ崎市では、障がい者一人一人のニーズにあわせた情報提供、ミライロIDとの連携、サービスの案内、障がい福祉サービスの空き状況等を表示するアプリをリリースすると聞いている。本市においても、スマートフォン等の活用は、現状の様々な課題の解決策として有効な手法であると考えているので、当事者から意見もいただきながら、導入に向けた検討を進めていく。
なお、検討に当たっては、まずは情報が「わかりづらい」「届きにくい」などの課題について、障がい種別、生活シーンに応じた項目の整理など、現状のホームページの見直しを行う。また、支援アプリには、本市独自のコンテンツとして、地域において障がい者と健常者をつなぐツールとするため、スマートフォン等の画面にヘルプマークを表示するなど、新たな機能についても研究していく。
「こえとら」というアプリがあり、音声、手入力など多様な入力方法に対応している。こうした機能を併せ持つことが望ましいと考えるが?⇒「こえとら」をはじめとする、多様な入力方法によるコミュニケーション機能は、バリアフリー、並びに障がい者と健常者のコミュニケーションの点からも必要と認識している。機能の実装に当たっては、操作性や必要な情報に到達するまでの操作回数などの検証も行い、利用者のニーズと使いやすさを把握した上で、最適な機能を提供できるよう努めていく。
財源としても、デジタル田園都市国家構想推進交付金が継続された場合に活用するなど、市の負担を軽減しつつ取り組むことができる最良の時期と考える。今後の取り組みに向けた意欲は?⇒デジタル田園都市構想については、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を標榜しており、この推進交付金は、既存サービスの横展開についても、交付の対象としている。また、構想の「誰一人取り残されないための取組」については、本市の「共生社会の実現をめざす誰一人取り残さないまち」インクルーシブ藤沢のコンセプトとも合致する。こうしたことを踏まえ、財源確保の時期も見据えながら、デジタルトランスフォーメーションとしての価値創造、利用者のニーズと行動を捉えた機能実装、厳格な個人情報の管理などを念頭に、障がい者にとって実用性の高い仕組みの導入に向け、しっかりと取り組んでいきたい。
(2)がん患者支援について
乳がんを含め、がん患者は増えていると感じている。市では、がん患者の数などをどのように把握しているのか?⇒本市のがん患者の直近の状況は、令和4年3月に公表された平成30年の神奈川県のがん登録年報に基づくと、神奈川県全体のがん罹患数が70,119人、うち、本市のがん罹患数は3,257人となっている。また、乳がんの罹患数については、県全体が7,709人、本市が383人となっている。がんの罹患数は全体として増加傾向にある中で、乳がんの罹患数は、平成25年と平成30年を比較すると、県全体で1.35倍、本市で1.64倍に増加している。
がんの治療に伴い、外見の変化が起こり、大変な思いをされる方がいる。ウィッグは高額であり、購入費の補助について市に相談したが、サービスはなかったという声を多く聞く。そのような相談はどのくらいあるのか?⇒市民からの相談件数は、具体的な数字は捉えていないが、これまで医療用ウィッグの助成制度の有無について、問い合わせをいただいている状況。また、地域がん診療連携拠点病院である藤沢市民病院のがん相談支援センターでは、がん治療による外見の変化で苦痛や不安を抱えている方々の相談にも応じており、ウィッグの購入を検討されている方々からは、もう少し値段が安ければ良いといった声があることを聞き及んでいる。
これまで、ウィッグの購入費助成を要望してきたが、令和4年3月の予算等特別委員会において、アピアランスケアの助成に関し、より具体的に検討を進めていくとの前向きな答弁があった。その後の検討状況は?⇒アピアランスケアに関し、本市ではこれまで、広域的に対応すべき問題として、神奈川県への要望を継続するとともに、国や県の動向を注視してきた。しかし、県でのウィッグ助成に関する進展が見込めないことから、本市としては、がん患者の方々の就労や社会参加を支援するとともに、療養生活の質の向上及び経済的負担の軽減を図っていくため、アピアランスケアとして、ウィッグ及び胸部補正具の購入費助成について、令和5年度中の開始に向け、具体的な検討を進めているところ。
がんの治療により外見の変化が起こっている方にとっては、補正下着も重要なアイテム。個人のニーズに応じた助成制度が望まれるが、検討されている内容は?⇒本市としては、アピアランスケアの助成制度の構築にあたり、ウィッグと胸部補正具について調査・研究を進めており、必要な患者さんには、両方の助成を受けていただけるような制度設計で検討を進めているところ。今後も、がん患者さんに寄り添えるよう、取り組んでいく。
2. 生涯安心して暮らせるまちづくりについて
(1)地域医療、終末期医療、介護について
市民病院におけるがん患者数の状況は?⇒がん患者数は、国立がん研究センターに報告する、令和3年1月から12月の入院患者の延べ人数は2,797人、外来患者の延べ人数は4万9,456人となっている。
市民病院にかかっているがん患者さんの数を聞いたが、市民病院のがん治療にかかる役割と、がん治療でも様々な場面がある中での緩和ケアの取り組み状況は?⇒市民病院は平成17年に地域がん診療拠点病院に、令和2年にはがんゲノム医療連携病院に、さらに令和3年4月には地域がん診療連携拠点病院の高度型の指定を受け、ゲノムセンターを設置するなど、専門的ながん医療や緩和ケアなど、質の高いがん医療の提供に努めている。がんの治療については、近年、がんゲノム医療や化学療法など多くの選択肢が出てきており、これにより、患者さんが、がんと向き合う期間が長くなってきている。このため、がんと診断された時から適切な緩和ケアを提供するため、「苦痛のスクリーニング」を実施し、患者さんの様々な苦痛を把握し、多職種が連携して患者さんの苦痛の緩和に努めている。今後も、医師、看護師をはじめとする多職種が地域の医療機関、訪問看護、ケアに携わる方々ときめ細かい連携をとりながら、1人1人の患者さんに最適な緩和ケアの提供に努めていく。
市民病院から退院する際の支援・調整は、どのように行われているのか?⇒市民病院を退院する際の転院・退院調整については、患者総合支援センターの入退院センターが担ってお
り、入院が決まった段階から退院後に向けて、医療・看護・介護が必要な場合の転院や在宅療養に関する支援をしている。
緩和ケア病棟について、がんの末期患者の家族から、市民病院で入院中、緩和ケアのため転院を求められ、余命いくばくもない中で、この期に及んで転院を勧められとても切なく、つらい思いをした。市民病院に緩和ケア病棟を設置できないか、という切実な思いが寄せられた。市民病院に緩和ケア病棟を設置できないか?⇒まず当院は救命救急センターを有する病院として、湘南東部二次保健医療圏の3次救急を担い、高度急性期や急性期の患者さんを中心に診療している。また、がん診療連携拠点病院として、抗がん剤などの積極的な治療ではなく、症状などをやわらげる治療を選択された患者さんには、今後の過ごし方に関する相談を受ける際に、緩和ケアを実施する病院や在宅療養支援診療所などについて情報提供を行っている。このように、当院では地域の医療機関等と連携し、それぞれが与えられた役割を分担することで地域全体で地域医療を支える「地域完結型医療」を推進しており、当院に緩和ケア病棟を整備する予定はない。
限りある医療資源を有効に活用していくことについては、地域医療機関と連携して「地域完結型医療」が要請されていることは理解した。末期のがん医療の体制、それぞれの病院の役割を多くの市民に理解していただくことが重要と考える。このような市民病院のあり方やがん医療、緩和ケアの意味を広く市民に周知していく努力が必要と思うが?⇒患者さんにとっては、病院や在宅訪問診療、入所施設に訪問看護ステーションが併設された施設など、様々な療養の場の選択肢がある。当院では、患者さんと家族の思いを大切にしながら情報提供を行い、患者さんと家族の意思決定を支援している。今後も患者さんと家族が納得して次の療養の場に移れるよう、患者さんと家族に寄り添った、丁寧な支援に努めるとともに、地域における市民病院の役割について、当院のホームページや広報などで市民の皆さんに理解を深めていただけるよう、情報発信を行っていく。
通告10番 井上議員
1. 行財政改革について
(1)駐車場等の運営について
令和3年度開始の朝日町駐車場における民間事業者への貸付の効果は?⇒朝日町駐車場は、令和3年度から民間事業者への貸付を開始したが、利用者に対する効果として、電子マネーやクレジットカードによるキャッシュレス決済が可能となった。また、駐車場の混雑状況をスマートフォンのアプリで確認できるようになり、駐車料金についても、1日の上限額が設定され、パーク&ライド割引が導入された。また、財政的な効果として、貸付料として5年間で6,138万円(年間1,227万6千円)の歳入が確保されるとともに、年間で649万5千円の維持管理費の削減が図られた。
駐車場の運営手法の見直しで効果があったとのことだが、他の公共駐車場の管理手法の見直しについて、取組状況は?⇒駐車場の管理手法の見直しは、行財政改革2024実行プランの「駐車場における管理手法の見直し及び利便性の向上」において取組を進めており、湘南台駅地下自動車駐車場においては、令和4年度から指定管理者制度を導入し、維持管理費や施設更新費の縮減の取組を始めたところ。
行財政改革2024実行プランでは、その他の駐車場についての具体的な記述がない。効果が認められるのであれば、他の駐車場についても早急に検討すべきだが?⇒その他の駐車場への外部資源導入の検討は、令和6年4月の改定を目指して作業を進めている公共料金の見直しにおいて、各公共施設の駐車料金の適正化を行ったうえで、市民利用が多く比較的規模の大きな駐車場等を対象に、民間事業者への貸付や指定管理者制度の導入等の手法の検討を進めていく。
朝日町駐車場におけるカーシェアリングの使用状況は?⇒平日のカーシェア車両の稼働状況は、ピーク時では、5台の内3台は常時使用されている状態であり、想定を上回る稼働状況と聞いている。
公用車の購入の基準や稼働日数は?⇒公用車(軽自動車)は、購入から10年を目途として買い替えることを基本としているが、個々の使用状況も異なるため、走行距離や車両の状態を見て買い替えの時期を決定している。次に、公用車の稼働日数は、管財課が管理している75台の軽自動車について、令和3年度の自動車運転日誌から年間の稼働日数は178日。年間の開庁日を242日と仮定して、これを率に直すと、73.5%となり、1日当たりでは、55台の稼働となる。
カーシェアリングについては、財政効果のみならず、地球温暖化対策の一助になると思う。公用車も含めたカーシェアリングの今後の取組について、市の考えは?⇒カーシェアリングの今後の取組は、まずは、十分に稼働が進んでいない公用車を調査するとともに、稼働時間帯の把握など、詳細な分析を進めていく。その結果をもとに、公用車が必要な時に使用できる体制を維持しながら、管理体制の見直しを行うとともに、地球温暖化対策の一助となる、電気自動車の導入や台数の削減などに取り組んでいく。こうした過程の中で、民間事業者が持つノウハウを活用しながら、朝日町駐車場のカーシェアリングの拡大について、検討していきたいと考えている。
2. 環境施策について
(1)プラごみの削減について
プラスチックごみ削減の取組状況と考え方は?⇒本市では、他市に先がけてプラスチック製容器包装及び商品プラスチックの資源化を行ってきた。近年、事業者自らプラスチックごみ削減に向けた取組を市と協働して実施したいとのことから、民間事業者と協定を締結し、PETボトルのボトルtoボトル資源化の推進、マイバッグやマイボトルの推進など、様々な取
組を実施してきた。また、令和3年度に改定した「藤沢市一般廃棄物処理基本計画」においても、プラスチックごみ削減に関する施策として、マイバッグやマイボトルの推進など、使い捨てプラスチックを使用しないライフスタイルへの転換等を追加している。
直近では、本市が協定を締結した製造事業者のユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社と本市・茅ケ崎市・寒川町の2市1町で協働し、「使用済プラスチックの自主回収事業」を環境省における「プラスチックの資源循環に関する先進的モデル事業」として開始している。しかし、いまだに可燃ごみに重量比で約4%のプラスチック類が排出されている状況でもあり、プラスチックごみの削減に向けて、分別の徹底や使用量を減らす取組を強化していく必要があると考えている。
環境施策においても官民連携や協定が進んでいるが、どのような効果がでているのか?⇒本市は、日本財団、セブンイレブン-ジャパン、ローソン、ラファイエット、ウォータースタンド、小田急電鉄や三共自動車学校など様々な事業者と協定を締結し、プラスチックごみ削減や資源循環につながる取組、また、環境啓発に関する取組を行っている。これらの取組は、事業者自らと、その従業員、また、消費者となる市民への意識改革にも繋がり、本市におけるプラスチックごみの削減や持続可能な循環型社会形成に寄与していると考えている。
レジ袋が有料化されて市民の環境への意識の変化はあると思う。レジ袋の有料化について、課題と効果は?⇒環境省の資料によると、レジ袋の有料化により、コンビニやスーパーでは約8割の方がレジ袋を辞退している。また、ローソン市役所店ではレジ袋の仕入れ量が有料化前に比べ約75%削減されており、レジ袋の有料化により環境への関心が高まったものと認識をしている。しかし、レジ袋の辞退が増えた一方で、プラスチック製ゴミ袋を購入する方やレジ袋に可燃ごみを入れ、さらに指定収集袋に入れて排出する方もおり、今後についても、環境負荷を軽減するライフスタイルを、さらに進めていくことが必要だと考えている。
本市の指定収集袋も今年度からバイオマス等を使用した環境負担軽減へ一新されたが、官民連携の中で買い物のレジ袋を指定収集袋に変えて、レジ袋を含む、プラ削減につながる取組を提案したいが、市の考えは?⇒市民が買い物の際にやむを得ずレジ袋を購入する場合もあることから、議員提案のとおりレジ袋ではなく指定収集袋を購入できるようにすることにより、さらなるレジ袋の削減が図られ、環境負荷の軽減につながることが期待される。販売方法等の課題はあるが、官民連携でプラスチック削減に取り組んでいく。
通告11番 谷津議員
1. 子育てしやすいまちについて
(1)セーフティーネットについて
子育て世帯のセーフティネットとして、育児を行う保護者の負担軽減やリフレッシュを目的に、保育所等において一時的に保育を行う「一時預かり事業」が行われており、横浜市では理由を問わず利用できるなど活用が進んでいる。本市が実施している一時預かり事業の内容は?⇒本市の一時預かり事業では、認可保育施設を利用していない1歳以上の就学前の児童を対象に、一時的に家庭での保育が困難となった場合に、認可保育所で保育を提供する事業で、市内19施設において実施している。利用に当たっては、就労・就学等により一時的に保育が必要となった場合や、通院や冠婚葬祭など、緊急の用事が生じた場合、また、育児等に伴う負担の解消を目的とする場合など、保護者の事情に応じて利用可能となっている。
本市でも、一定の一時預かり事業が実施されていると思うが、他市では育児負担軽減を進める観点から、保護者のリフレッシュが目的であっても利用しやすいよう、ホームページに表示するなど、開かれた印象を受ける。一方、本市の事業では保護者がリフレッシュを図るための活用があまり進んでいない印象を受けるが、現状と市の認識は?⇒育児の負担軽減を含めた私的な理由による利用実績として、令和3年度は延べ7,865人の利用があり、前年度から増加傾向にある。一日当たりでは、概ね30人程度の利用があることから、一定の活用されていると考えている。
一定の活用がされているとのことだが、実際は保護者のリフレッシュの目的で利用ができるにもかかわらず、保護者からは「使えない」、「分かりづらい」との声も聞く。これでは、負担軽減のために事業を行っていながら、その支援が保護者に届いていない。他市のように分かりやすいホームページの作成や窓口でも的確な案内をできるように改善すべきだが?⇒今後の利用促進に向けては、利用者の視点に立ち、改めてホームページやリーフレットについて点検を行い、わかりやすい広報周知となるよう改善を図るとともに、事業の実施状況や利用者のニーズを踏まえ、必要な対応について検討を進めていく。
地域の防犯意識を示す「こども110番」事業については、犯罪抑止の効果もあり、有効な事業と考える。街中に、「ふくろう」の図柄のプレートが多く掲出されているが、時々、経年劣化しているものがあり、交換のための連絡先が分からない等の声も聞く。この事業について、今後も継続をしていくのか?⇒こども110番事業は、緊急的避難場所を作るという、子どもの安全・安心を守るための防犯環境の整備であり、また、地域の防犯意識の高さをプレートで見せることで犯罪抑止に効果があるものと捉えている。なお、経年劣化しているプレートについては、登録者にプレート交換の希望の有無を確認し、随時交換を進めている。また、継続意思の確認の結果、多くの継続希望をいただいていることから、今後も引き続き、地域や学校、警察など関係機関と連携して、数多くのこども110番のプレートを掲出することにより、犯罪から子どもを守るという姿勢をアピールしていく。
子どもの居場所づくりを進めている中で、協力者を探すのが大変だという声を聞きます。こども110番事業に協力いただいている方々には、PTA校外委員や自治会・町内会の方々もいるとのこと。中には、カフェや事務所など子どもが勉強などしていても構わないと言ってくれる店舗もある。今後、こうした方々との連携により、子どもの居場所を増やし、セーフティーネットの網目を多くしていくことはできないか?⇒こども110番事業は、子どもが犯罪などの危険な場面に遭遇した際に、地域ぐるみの犯罪抑止の取組の中で、一時的・緊急的に避難する場所として、住宅や店舗を登録していただいている。このことから、子どもの居場所としての活用には、登録条件や個人情報などの多くの課題があると認識している。一方で、登録者の中には、子どもの居場所として提供していただける場合が、一定想定されることから、地域における見守りに役立つよう、今後、関係部局との情報共有の在り方などを研究していく。
昨今、地域コミュニティの希薄化が言われてきた中で、さらに、コロナ禍により、地域の顔の見えるつながりの場が失われている。地域の大人は子どもの顔や名前もわからなくなり、子どもも顔見知りの大人が地域にいないといった状況となり、子どもたちのセーフティネットが極めて脆弱になってしまった。藤沢市子ども共育計画では、子どもたちを地域全体で支えていく仕組や「まち」づくりのための地域共生社会の醸成が重要とあるが、今後、どのように進めていくのか?⇒コロナ禍における度重なる感染症拡大の波を受けて、地域で人と人が顔を合わせて集うことが難しくなり、例えば子ども会の行事や、子ども食堂のような子どもが集う居場所の活動ができなくなったりと、約2年以上にわたって、地域づくりに寄与していた活動や取組が制約を余儀なくされている状況。
一方で、コロナ禍は、困窮する子育て家庭の窮状や、子どもの孤立の問題が報道等によって広く可視化され、子ども食堂など、子どもの育ちを支援する地域活動の重要性が改めて認識される機会となった。この間、子どもの居場所を新たに立ち上げたいという声や、活動に対する寄付の申し出が複数寄せられるほか、食支援を続けたいとの思いから、居場所での食の支援から弁当の配布という形態に切り替えて支援を実施するなど、新たな取組もみられた。さらには、コロナ禍で加速する経済格差、社会的孤立などの社会問題を看過することができないとの思いから、地域活動に根を張ったNPO法人の皆さんにより「フードバンクふじさわ」が設立されるなど、コロナ禍だからこそ開始された力強い支援活動もあった。このように、社会状況が変化しても、地域には、子どもを見守りたい、育ちを支えたい、との思いを持つ方や活動団体が存在することを改めて認識し、市としては、地域の中でのセーフティネットとなりうる「場」を見える化するような取組を行い、支援の「場」と子どもたちを「つなぐ」役割を果たしていきたい。
2. 郷土愛あふれる藤沢について
(1)取り組みについて
核兵器廃絶平和推進条例をもつ藤沢は誇りに思う。戦争を知らない世代に対して、より広く推進していくことが必要だが?⇒本市では、全国に先駆けて昭和57年に「藤沢市核兵器
廃絶平和都市宣言」を行い、平成7年には「藤沢市核兵器廃絶平和推進の基本に関する条例」を制定するなど、人類共通の願いである核兵器の廃絶と恒久平和に向けて、市民で構成される「平和の輪をひろげる実行委員会」と協働で平和事業を推進している。今年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年間実施できなかった被爆地、広島・長崎への青少年派遣を3年ぶりに実施し、小・中・高校生19名が全国の青少年とともに、被爆の実相や戦争の悲惨さ、平和の尊さなどについて学んできた。
今年度の広島派遣事業では、初めての試みとして「被爆電車」に乗車しながら、被爆された方から体験講話をしていただく機会を設けた。派遣者報告会では、講話者の「三度(みたび)許すまじ原爆を」のメッセージを受け、参加児童から「被爆体験者から直接話を聞くことができる最後の世代として、その心を語り継いでいきたい」と力強い報告があった。今年度、本市は、「核兵器廃絶平和都市宣言」から40周年を迎えた。今後も、恒久平和と「核兵器のない世界」の実現に向け、未来を担う子どもたちに向けた事業をはじめ、市民の皆さんとともに、継続的・発展的に取組を進めていきたい。
学校教育では憲法や人権教育についてどのような学習をしているのか?⇒日本国憲法の学習は、小学校では6年生の社会科の「我が国の政治の働き」の中で、憲法の三原則など基本的な考え方に触れている。また、中学校では3年生の社会科公民的分野の「人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」の中で、人間の尊重についての考え方を、基本的人権を中心に深めるなど、憲法について学習している。
人権教育については、「自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること」ができるよう、児童生徒の発達段階に応じ、学校の教育活動全体を通して取り組んでいる。このほか、教育委員会では、小・中学生向けに「子どもの権利条約」に関するリーフレットやワークシートを作成するなど、子どもたち自身が子どもの権利を理解し、お互いの権利を尊重する態度を身につけることができるよう、人権教育を推進している。
人権と平和を愛するまちとして努力すれば、郷土愛あふれるまち藤沢が生まれるのではないか?⇒20世紀、人類は二度にわたる世界大戦を経験し、「平和のないところに人権は存在せず、人権のないところに平和は存在しない」ことを学んだ。この反省をふまえ、人権尊重と平和の実現が世界共通の願いとなっている。本市では、「藤沢市市政運営の総合指針2024」において、一人ひとりが尊重される地域共生社会の実現、安全で安心して暮らせる地域環境の創出、ジェンダー平等の促進、平和な社会の実現といった共有すべき理念を示し、施策に取り組んでいる。
また、「人権を大切にし、“人権文化”を育むまちづくり」を基本理念とする「藤沢市人権施策推進指針」を策定し、各種施策に人権尊重の理念を反映させるとともに、人権教育・人権啓発にも取り組んでいる。この人権指針については、総合指針が示す共有すべき理念やSDGsの視点、社会情勢の変化を踏まえ、今年度の改定に向けて作業しているところ。市としては、誰もがお互いの人権を尊重し、多様性を認めあう「人権文化を育むまちづくり」の基本理念を様々な主体と共有し、藤沢市を郷土として愛し、誇りをもって生き生きと暮らすことができる「郷土愛あふれる藤沢」の実現をめざしていく。
ジェンダー平等は進んでいるとは言えない。女性が活躍できるまちづくりを進めることが、住み続けたいまちにつながると考えるが、市の見解は?⇒SDGsの掲げる17の持続可能な開発目標の一つに、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことが掲げられ、我が国においても、「SDGsアクションプラン2022」において、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」が盛り込まれている。
本市では、令和2年度に共生社会の実現をめざす誰一人取り残さないまち“インクルーシブふじさわ”の視点に基づき「ふじさわジェンダー平等プラン2030」を策定しており、その取組を着実に進めていくことが極めて重要であると考えている。今後についても、性別に関わりなく男女が共に社会の多様な分野に対等に参画し、活躍できる男女平等の社会の実現をめざし、家庭、地域社会、職場等における性別による固定的役割分担意識の解消をはじめ、政策・方針決定過程への女性の参画促進や女性の就労・キャリア形成支援など、ワークライフバランスを踏まえた取組を推進していく。
藤沢を誇りに思ってもらうためには、個人が尊重され、自分らしい生き方ができる社会を築くことの大切さを市民に知ってもらうことが重要と考える。郷土愛あふれる藤沢を実現するため、どのような取組をしていくのか?⇒本市では、めざす都市像である「郷土愛あふれる藤沢」を実現するため、3つのまちづくりコンセプトを掲げ、多岐にわたる人権課題の解決に向けた取組として、様々な啓発事業を展開するとともに、あらゆる市の施策を人権尊重の視点で推進をしている。しかし、新型コロナウイルスの脅威は、暮らしの中に分断や排除を生み、人権にかかわるさまざまな問題を表出させている。まちづくりは、市民の皆様が自主性、創造性を発揮し、誰もがやりたいことが見つけられ、自分らしく生き生きと生活できる地域社会、豊かな暮らしを創造することであると考えている。
市としては、こうしたことを実現するため、地域住民の価値観の多様化や少子超高齢化など、時代の潮流の変化に柔軟に対応し、藤沢の文化、風土などに対する郷土愛をつくり出すことができるよう、人権を大切にしたまちづくりを進めていく。
通告12番 山口議員
1. 観光施策について
(1)ニューノーマルな海水浴場について
今夏の海水浴場の運営について、コロナ前の令和元年や昨年と比較した来客数の状況、また観光分野におけるデータ分析や市が推進するEBPMによる視点での来場者の特性は?⇒今年の海水浴客数は、片瀬東浜に31万3,300人、片瀬西浜・鵠沼に100万4,800人、辻堂に5,400人となっており、特に7月下旬から8月にかけて週末は比較的、天候にも恵まれ、江の島をはじめ、鵠沼海岸周辺各地で数年振りとなる夏の賑わいを見せた。コロナ禍前や昨年との比較については、開設期間が毎年違ったため、一日当たりの平均で比較すると、コロナ禍前の令和元年は2万4,600人であったのに対し、令和3年は令和元年比で約47%減の1万3,000人、今年は令和元年比で約13%減の2万1,300人にまで回復した。スマートフォンのGPS位置情報のビッグデータ分析では、昨年と比較するといずれの海水浴場も県内からの来訪者割合は減少した一方、1都3県以外からは増加したほか、感染症の重症化リスクが高いとされる高齢者層が混雑を避け、平日に来場する傾向が見られれたが、全体的にはコロナ禍前に戻りつつあると捉えている。
今夏の海水浴場で採用された 「モニタリング方式」の点数の推移状況は?⇒本年、市内の3海水浴場において、「県のモニタリング情報」、「重症病床使用率」、「重症者率」、「新規感染者数」の4つのカテゴリを点数化し、これを合算した総合点でフェーズ分けし、対応方針を事前に定めた独自の「モニタリング方式」を取り入れた。具体的には総合点が60点に達した時点で休場に向けた検討開始、80点で休場準備、100点に達した際には即時休場という基準のもと、各組合が期間中モニタリングを注視しながら、運営にあたった。海水浴場開設当初は、20点だったが、新規感染者数の増加に伴い、7月6日に30点、9日に40点と上昇した。さらに、8月8日に県の重症病床使用率が30%を超え、一時的に50点となったが、8月19日には40点となり、そのまま開設期間を満了した。
昨年、新型コロナの感染が急拡大した中、市や議員にも多くの不安の声が寄せられたと聞いたが、今夏の開設に対する市民からの意見などは?⇒本市の各海水浴場の開設を本年5月25日に決定・公表したが、開設に対する否定的な意見はほとんどなかった。昨年の開設から1年が経過する中で、様々な場面における感染リスクの高さなどの認識の深まりと、本市独自の「モニタリング方式」などの感染対策に一定の理解をいただいたと捉えている。一方、海水浴場利用者のマナーに対しては、各海水浴場組合や市へ苦情が寄せられたことから、誰もが快適に安全・安心に利用できる海水浴場のルールを定めた「藤沢市海水浴場ルール」を守っていただくための海岸巡回などに取り組んだ。
SDGsに関し、片瀬西浜・鵠沼海水浴場が民間ではアジア発となる国際環境基準「ブルーフラッグ」を取得したが、 インクルーシブな海水浴場であるためのバリアフリーに関する取組状況は?⇒海水浴場にブルーフラッグを掲げることの条件は、取得後も毎年「水質」「環境教育と情報」「環境マネジメント」「安全・サービス」の4つのカテゴリ、33項目に及ぶ厳しい基準をクリアすることが求められている。そのうち、バリアフリーの項目に関する取組としては、片瀬西浜・鵠沼海水浴場において、安全で誰もが楽しめる優しい「バリアフリービーチ」を具現化するため、昨年より実施している「水陸両用車いすの貸出」や、「バリアフリーマットの設置」に加え、本年は海の家に車いすで直接入れるようスロープが設置された。
6月議会において、海水浴場の賑わい創出の観点から、映画館の劇場CMや「YоuTube」広告枠を利用した広告宣伝を行うとのことだったが、その実績は?⇒本年は本市の海水浴場をPRするためのアニメ動画を作成し、来訪者が多く見込める首都圏10箇所の映画館において、ファミリー層向けの映画に限定した「劇場CM」を放映したほか、「YоuTube」広告枠を利用
した15秒間の海水浴場のアニメCMを活用し、デジタルコンテンツによる配信を行った。特に、「YоuTube」では首都圏在住の利用者に限定した、より効果的、効率的な配信を行った結果、6月下旬からの配信開始以降、約31万回視聴され、総再生時間は延べ1,300時間に上った。この実績から、視聴されたほぼ全ての方に最後までCMを見ていただけたという成果が得られたところ。
今後も変異株など楽観視できない状況であるが、来年度以降に向けた取組は?⇒私(鈴木市長)はこれまで、市民の生命と暮らしを守ることに注力し、その実現に向けて、新型コロナウイルスの感染状況に応じて必要な対策を講じてきた。今夏の海水浴場は、3年振りに予定通り、開設ができたが、各組合において、県のガイドラインに基づく感染対策を講じることはもとより、県の休場要請が発出されない場合における特に深刻な事態を想定した「モニタリング方式」を取り入れた結果、現状が可視化できたことも、地域住民との協調に至った要因の一つであると捉えている。
今後、その中での課題点などを各海水浴場組合や関係者と共有し、誰もが安全・安心に利用できるよう海水浴場運営のための環境整備につなげていくことが最優先と考えている。また、片瀬西浜・鵠沼海水浴場でのブルーフラッグ取得や、片瀬東浜海水浴場でのアスレチック「ちびっこビーチセーバーパーク」や「サザエさんビーチクリーン」など、特色あるイベントを通じ、魅力ある観光地として、より多くの方に訪れていただけるよう、組合とともにSDGsの視点も取り入れた取組を推進していく。新型コロナウイルス感染症については、いまだ収束を見通せない状況ではあるが、今後とも各海水浴場組合をはじめとした関係団体と築いた良好な関係を活かし、来場者と地域が一体となって、誰もが安心して楽しめる海水浴場を創り上げられるよう努めていく。
(2)未来志向の観光施策について
新型コロナウイルス感染症拡大が本市の観光に与えた影響は?⇒本市の「年間観光客数」は令和元年に過去最高となる約1,900万人に達して以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた令和2年は約1,155万人に減少し、昨年は約1,335万人だった。「観光消費額」についても、令和元年が934億9,560万円であったのに対し、令和2年は586億416万円と約37%減少し、昨年は603億5,195万円で元年比、約33%減と、この2年間は感染症の影響を大きく受けている状況。また、ビッグデータ分析の結果、本市の代表的な観光地である江の島エリアでは感染症の拡大以降、遠方からの来訪者割合が減少し、県内や東京都からの日帰り客が増加するなど、マイクロツーリズム化が進んだことや来訪者の内訳が、比較的多くの消費が期待できる中高年齢層から若年層へシフトするなどの傾向が見られた。
6月議会の補正予算常任委員会における、「市内宿泊型観光推進事業」、「藤沢市MaaS基盤強化事業」のそれぞれの目的や事業者、スケジュールは?⇒「市内宿泊型観光推進事業」につきましては、宿泊需要を喚起し、滞在時間を延長させることで多くの消費機会を創出するために取り組んでおり、現在、事業者が決定し、参加宿泊施設や協力店舗の募集を行っており、明日21日から宿泊予約の受付を開始する。「MaaS基盤強化事業」については、「EMot(エモット)」を運用している小田急電鉄(株)を補助対象事業者に決定し、現在、同社が運用しているアプリ「EMot(エモット)」に、追加機能として、目的地までの切れ目のない移動の検索や予約ができるMaaS機能や、市内の幅広い回遊を促す仕組みを実装する準備を進めており、10月以降順次サービスの提供がなされる予定となっている。
コロナ禍になったことで、観光関連の事業者や団体から客観的な現状把握をし、ゲームチェンジするニーズが高まったことで結びつきが強固になった声が聞こえる中、「湘南藤沢活性化コンソーシアム」が設立された背景は?⇒感染症の拡大以降、本市の観光客も全国各地の観光エリア同様激減し、それに伴う地域経済への影響は想像以上となるとともに、今後の人口減少社会を見据え、観光事業者などから、戦略的・計画的に取り組む必要性が求められている。また、コロナ禍以降、誘客イベントはもとより、特区制度やDMОなどの抜本的な施策を推進し、交流人口のみならず、関係人口を創出しながら、定住人口を産み出し、「ヒト」「モノ」「カネ」が地域内で循環する社会として、「新しい循環型観光」の実現が必要であるとの声が寄せられた。このような背景のもと、本年7月に藤沢市観光協会や藤沢商工会議所、鉄道事業者、関係機関などで構成される「湘南藤沢活性化コンソーシアム」という組織基盤が構築されたところであり、目標とする短期的・中期的に掲げるアクションプランの実現に向けた様々な取組を進めているところ。
KGI、KFS、KPIを設定し、5年間で年間観光消費額を令和元年の数値まで回復することを目標としているが、この目標を「年間観光客数」ではなく、「年間観光消費額」とした理由は?⇒本市の令和3年の「観光消費額」は、感染症拡大の影響を受ける前の令和元年の数値には、いまだ3割以上及ばない状況。今後、本コンソーシアムの施策を戦略的に進める上で
は、定量的なベンチマークによる確認が必要であることから、3つの指標や要因を設定し、各年度で達成状況を確認することとしている。KGIと略される「重要目標達成指標」を「観光客数」にした場合、各施設やエリアのキャパシティを超える混雑の発生や、地域の方々の人的負担なども課題となることから「年間観光消費額」とし、これを過去最高の令和元年数値まで5年をかけて回復することを目標に掲げている。
また、今後コンソーシアム内での議論を通じ、それを達成させるためにKFSと略される「重要成功要因」、さらに細分化してチェックするKPI「重要業績評価指標」を設定し、PDCAサイクルによるチェックを行う。
特区制度の現状の課題や解決手法は?⇒他の地域との厳しい観光地間競争を勝ち抜き、「選ばれ続ける観光地」であるためには、革新的な取組を行い、選択的優位性を持つことが求められており、特区制度の活用など、いわゆる「パラダイムシフト」で取り組むことが重要。一方、重点地域となっている江の島から鵠沼海岸までの沿岸部においては、法規制のハードルが高く、新規コンテンツの創出の際の制約となっている部分があることも事実。シャトルバスの定期運行や海岸占用の許認可など、安全性や環境の保全は担保しつつも、規制の解除により観光振興や地域活性化に繋がるという事柄については、コンソーシアムにおいて共有し、特区制度の活用を含め研究を進めていきたい。
本コンソーシアムの名称の冠を「湘南藤沢」とし、江の島から鵠沼海岸周辺に設定した施策を推し進め、全体へ波及するとのことだが、その理由や戦略的な考え方は?⇒本コンソーシアムは、本市全域を対象エリアとしているが、まずは古くから観光地としての受入マインドが醸成されている江の島から鵠沼海岸までの沿岸部を重点エリアに定め、徐々に地域を拡大することで、市域全体への波及効果を生み出せるよう取り組むこととしている。
また、本プロジェクトでは、地域の特性を最大限に活用し、観光レジャーとライフスタイルの共存による「新しい日本の循環型観光」を創出することで、他者との選択的優位性や模倣困難性を持つことにより、危機に強く、持続可能な地域の発展に繋げることを目指していく。市としても、重点地域の取組が市域全体に波及するよう、市内の様々な地域の産業や地域団体の取組などをコンソーシアム内で情報共有し、効果的な連携が図られるよう努めていきたい。
通告13番 神尾議員
1. 産後ケア事業の促進について
(1)事業の実効性を高めていくために―産後ケアを必要とする人誰もが利用をためらわない仕組みづくりについて
利用料金に関する「自己負担額の軽減」に向けた現在の検討状況や今後の方向性は?⇒本市における産後ケア事業の自己負担割合は国の示す3割を参考としている。令和3年度においては、個室利用は設定されておらず、デイサービス3時間のみで、自己負担1,500円としていた。令和4年度は、すべて個室対応としており、ショートステイ1日9,000円、デイサービス6時間4,800円、デイサービス3時間3,000円としている。利用料の自己負担額については、今年度の利用実績や利用者アンケートの調査結果を分析するとともに、利用が必要な方で希望しない理由等を把握したうえで、検討していきたい。
本市の産後ケア事業の対象者について、範囲をどのように考えているか?⇒国のガイドラインでは、「育児不安や心身の不調がある場合や、特に家族内の支援がなく、きょうだい育児や多胎児家庭も含め、身体的・心理的負担を抱える初産・経産の両方に対する支援を対象」としており、本市でも同様と考え、利用対象者は、「概ね出産後4か月までの母と子」、「家族等からの出産後の支援が受けられない方」、「出産後の体調不良や育児不安がある方」としている。
対象者数の目安として、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」で、継続支援が必要と考える、産後うつ指標の点数が高い方が、150人前後いる。これ以外にも、育児に不安を抱える方が概ね300人前後おり、これら450人の方を本事業の対象者として捉えている。
中野区では令和4年度より「家族等から出産後の支援が受けられない方」といった条件を設定せず、妊娠中の面接により、支援プランを作成する方全員、支援の必要な方として利用カードを発行しており、出生に対し、半数以上の方を対象者とし、実績としては、そのうちの半数弱が利用している状況と聞いている。本市でも、産後うつや家族等の支援の有無にかかわらず、広くとらえる必要があるのでは?⇒育児環境は、本人の不安や体調の変化、家族の状況によっても変わるため、これらにあわせて産後ケアを必要とする方を、幅広く捉えていくことが必要。そのため、現状としては、医師が医療的対応を優先すべきと指導した方を除いて、希望するすべての方に利用いただいている。
また、利用促進のため、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」の訪問時、すべての方に周知をするとともに、特にリスクの高い方には、利用勧奨を行っている。今後は、利用者のアンケート調査や、利用していない人の声も含めたニーズを把握した上で、利用したい人が利用できる産後ケア事業となるよう、検討していきたい。
2. 誰もが住み慣れた値域で自分らしく、安心して暮らし続けることができる藤沢を目指して
(1)ICT導入による新たな高齢者外出支援に向けた施策について―社会参加の促進と生きがい・健康づくり、介護予防の充実に向け、高齢者がいきいきと暮らし続けられるよう、時代や社会状況に応じた取り組みの推進と環境整備
藤沢市における外出支援の取り組みとして、湘南すまいるバスがあるが、事業内容と、近年の利用状況は?⇒湘南すまいるバス運行事業は、高齢者の外出を支援することで、健康づくりや介護予防につなげるとともに、いきいきシニアセンターの利用促進を目的として、平成22年11月に開始した無料巡回送迎バスを運行する事業。なお、運行ルートや乗降場所については、利便性を向上させるため、利用者の意見を聞きながら設定している。利用状況は、すまいるバスの年間延べ利用者数は、平成30年度が90,621人、令和元年度が80,595人、令和2年度が4,601人、令和3年度が19,232人。なお、令和元年度以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、利用者数が減少している。特に令和2年度は、合計で8か月弱、運休していた期間があるので、他の年度に比べて利用者数が大幅に減少している。
近年のいきいきシニアセンターの利用者数の状況と、いきいきシニアセンターを利用している方のうち、すまいるバスを利用している方の利用率は?⇒いきいきシニアセンターの利用者数は、3館の延べ人数で、平成30年度が291,993人、令和元年度が261,550人、令和2年度が42,482人、令和3年度が101,556人。利用者のうち、すまいるバスの利用率は、平成30年度と令和元年度が31%、令和2年度が11%、令和3年度が19%。
すまいるバスだけでは市の外出支援策として不十分、時代や社会状況に応じた取り組みの推進と環境整備を行うことが必要。例えばICT導入による新たな高齢者外出支援に向けた施策等も検討していくべきだが?⇒本市としては、福祉の分野にICTを導入することについて、一つの手段として積極的に取り組むべき課題であると認識しており、今年度、コロナ禍における高齢者の外出支援、並びに新たな活動の場や居場所づくりなどを目的とし、民間事業者や大学等と連携して実証実験を行う予定。具体的には、スマートフォンを活用して人との交流やつながりを促すことで、日常生活の活動量が変化するか否かを計測するもの。いずれにしても、外出支援はもとより、コロナ禍にあっては、在宅における介護予防・フレイル対策・認知症対策を充実させるために、ICTの導入は必要不可欠なので、固定観念にとらわれず、今後も高齢者の特性に応じた施策の展開に向け、藤沢型地域包括ケアシステムの取組の一環として、先進事例や今回の実証実験の結果を踏まえ、効果的な高齢者の外出支援について検討していく。
※以上、報告とします。