2022.12.20 本会議(6日目)~一般質問

 12月20日 10:00から、藤沢市議会12月定例会(6日目)が開催され、昨日に引き続き一般質問が行われました。

※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。

通告21番 吉田議員

1. これからの都市基盤について

(1)6つの都市拠点について

 6つの都市拠点、そのなかでもJR東海道本線上の3つの都市拠点の充実に向けた市長の想いは?⇒(鈴木市長)本市の都市拠点は、多くの市民、来訪者が集まる場所であり、多様化する市民生活や産業活動を支え、都市の文化や産業の創出・発信を担う場である。本市では、6つの都市拠点のうち、JR東海道本線上に藤沢駅、辻堂駅及び村岡新駅周辺の3つの都市拠点を位置付けている。湘南の玄関口である藤沢駅周辺では、本市の中心市街地として、「藤沢駅周辺地区再整備構想・基本計画」に基づき、計画的に駅周辺の再整備を進めており、さらなるにぎわい創出や魅力づくりを行い、市全体の活力をけん引する役割を担っている。辻堂駅周辺では、「辻堂駅周辺地区まちづくり方針」に基づき、湘南C-Xにおいて、計画的に大型商業施設や医療機関、教育機能等の複合都市機能が集積され、市民のくらしやすさの向上や、地区周辺の新たな活力・交流の創出が期待される都市拠点となっている。
 また、村岡新駅周辺では、周辺住民等の生活の質の向上を目指し、安全性や快適性を合わせ持つまちづくりを行うとともに、ヘルスイノベーションなど最先端の創造性豊かな人材が集積・交流し、グローバルに発信できる研究開発拠点の形成をめざしている。今後も、この3つに湘南台駅周辺、健康と文化の森及び片瀬・江の島を加えた6つの都市拠点については、各拠点間を交通軸で結び、それぞれの特性を生かし、都市と自然のバランスを保ちながら、環境負荷の低減等に配慮した、コンパクトで持続可能なまちづくりを進めていく。

 
 辻堂駅北口地区については、C-1街区に対する期待が高まっている。民間活力による取組み、地区計画、渋滞問題など、現在の状況は?⇒(三上計画建築部長)辻堂駅北口地区のC-1街区における民間活力による取組みとしては、「合同会社湘南辻堂マネジメント」と令和6年5月までの賃貸借契約を締結し、現在、駐車場として活用しているところ。地区計画については、辻堂駅周辺地区まちづくり方針に基づき、都市拠点にふさわしいまちづくりを適切に誘導するため、「辻堂駅北口地区地区計画」が定められている。本地区計画においてC街区は、防災機能を備えた公園や広域行政サービス機能、産学連携・教育機能及び業務機能などの導入を図るため、建物用途を制限し、併せて壁面後退や緑地の確保等を定め、適正な規制誘導が定められている。また、C-1街区付近は、大型商業施設や医療機関等が立地し、自動車による来訪者が多いことから、本市では、臨時駐車場の拡大や休日のバス路線のルート変更、交差点の改良などの対策をしているが、休日や週末などには渋滞が十分に緩和できていない状況にある。

 今後のC-1街区の取組みの方向性は?⇒(宮原企画政策部長)C-1街区の取組の方向性については、辻堂地区が都心へのアクセスも良く、レジャー施設や個人商店の充実、豊かな自然、体感治安の高さなどから若い世代を中心とした人気エリアとなっており、本市の都市拠点の1 つとして、新たな魅力の創出など、更に充実・発展させていくものと捉えている。将来的な土地活用に向けては、令和6年5月で合同会社湘南辻堂マネジメントとの賃貸借契約が満了すること、渋滞緩和などの地域課題に加え、特色ある都市拠点機能のネットワークや役割分担なども踏まえ、本市全体の暮らしやすさの好循環が図られるよう、しっかりと根の張れるコンテンツを検討していきたいと考えている。

(2)公共施設のマネジメントについて

 国の公共施設管理計画では、公共施設の削減の方向性が示されている。他の自治体では公共施設の20%削減を掲げている自治体もあると聞く。本市における公共施設の在り方はどのように考えているのか?⇒(宮原企画政策部長)本市は、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するため、国の見直し方針に従い、令和4年3月に「藤沢市公共施設等総合管理計画」を改定し、公共建築物については、「藤沢市公共施設再整備基本方針」「藤沢市公共施設再整備プラン」に基づき計画的に再整備を進めている。公共施設の再整備については、機能集約・複合化を原則としていることから、各事業の計画段階において複合機能や施設規模が決まってくるので、数値目標を定めるのが難しい状況。
 公共施設は、質の高い行政サービスが安定的、かつ発展的に提供できる機能を有することが求められるとともに、建設工事費だけでなく、運営費などの財政的な視点も含めたライフサイクルコストを踏まえたなかで、「場や空間の共有」を前提とした施設規模や機能について検討していく。

 DXが進み、これまで行政サービスから大きく変革することが期待され、省力化された自治体職員のマンパワーは、職員でしかできないよりきめ細かい仕事へとシフトしていくものだと期待している。そんな中で、公共施設という視点においても、これまでとは違った形になっていくと思う。デジタル市役所時代の公共施設の諸課題と、今後の方向性は?⇒(宮原企画政策部長)デジタル市役所時代の公共施設につきましては、AI技術の導入など業務の効率化によって事務作業にあたる職員でしか出来ない業務コアの再定義をはじめ、ペーパーレス化による紙文書の減少、行政手続きのオンライン化による来庁者の減少など、執務スペース等として使用していたスペースを縮小し、より多用途で可変的な活用を可能とする空間設定ができるかが課題であり、将来に向けた公共施設の在り方の視点にもなると考えている。
 こうした視点を検証していくため、トライアル・サウンディング制度の活用などにより、公共施設の空間活用について模索するとともに、デジタル化の推進を踏まえた公共施設について改めて考察を深めていきたいと考えている。

 公共施設の再整備について、今後のビックプロジェクトである市民会館の再整備には大変大きな財政負担が考えられる。未来に向けてしっかりとした都市デザインを進めていく必要がある反面、財政負担も考慮しなければならない。公共施設マネジメントにおける財政面での課題は?⇒(山口財務部長)本市では、高度経済成長期に建設された公共施設や公共インフラが多数あり、これから大量に更新時期を迎える。こうした状況の中で、大きく分類すると、財政に関連する三つの課題があると考えている。一つ目は、修繕や施設整備の時期が重複することで、年度ごとに予算の大小が生じてしまい、それを平準化する必要があること。二つ目は、公共施設の機能の複合化や長寿命化、統廃合など、施設そのものの在り方や民間活力導入による効率的な管理・運営を検討する必要があること。三つ目は、財源の問題だが、今後の人口動向や少子超高齢化社会などの社会情勢の変化、資材の高
騰などを踏まえ、限られた予算の中で、「公共施設整備基金」を計画的に積み立てる必要があること。今後もこれらの課題へ対応するため、公共施設等総合管理計画に基づく施設管理を進め、さらには、公共施設整備基金をはじめとした特定財源の確保を図りながら、計画的に整備を進めていきたいと考えている。

 コミュニティセンター化に向けた取組については、会派でも質疑・提案を行ってきた。市民センター公民館など、いわゆる地域拠点施設の機能の検討経過と方向性について、事業スキームを含めて、市の考えは?⇒(平井市民自治部長)市民センター・公民館のコミュニティセンター化の検討状況については、市民センター長・公民館長会議などにおいて、公民館の社会教育施設としての位置づけやデジタル化の推進に合わせた市民の利便性の向上、地域づくりへのコーディネート力の強化など、市民センター・公民館のこれからの在り方やその方向性について意見交換を行い、共通認識を持つことができた。現在は、この意見交換での議論をもとにたたき台を作り、部内各課の課内会議や部内研修を経て、市民自治部の考え方をとりまとめているところ。今後はこの考え方をもとに、様々な部局の施策の方向性や課題等も共有しながら、今年度中に全庁で議論する場を設け、次期の全庁的な組織改正を見据えて検討を進めていきたいと考えている。

 本市では多機能化や複合化など公共施設の再整備が進んでいる。庁舎の再整備から4年が経過し、学生や多くの市民に親しまれる良い庁舎が整備できたと認識している。この間、庁舎の建て替え、そして各地域の市民センター公民館も更新されてきた。本庁と出先である市民センターとの関係性はどのように考え、再整備を進めていくのか?⇒(平井市民自治部長)市役所本庁舎については、行政活動の拠点、災害時の防災拠点として、老朽化、耐震性不足、機能の分散化などの課題を解消するために、再整備を行った。市民センター・公民館については、「地域の課題対応力を高め暮らしやすさを向上させる」ことを目的に、全13地区に「頼りになる拠点施設」として設置しており、直近では辻堂・善行市民センターについて、老朽化などに伴い再整備を行ったところ。
 今後については、例えば災害時における個別避難計画の作成、コミュニティ・スクール、中学校部活動の地域への移行、などの新たな課題への対応やより地域づくりを推進できる体制が必要であると認識している。「市民センターがより深く地域に入り込み、本庁がバックアップする関係」を検討する中で、単なる施設の複合化ではなく必要な機能を精査し、地域のコンセプトを基にした再整備を進めていく。

 トライアル・サウンディング、公共資産パートナーシップ提案制度の導入など、市の施設の柔軟な活用がなされている。今後、地域の施設の活用なども含め、発展的に取組んでいくべきと考えるが、今後の方向性は?⇒(宮原企画政策部長)トライアル・サウンディング、公共資産パートナーシ
ップ提案制度、いずれの制度につきましても公共資産の有効活用の推進、これからの公共空間の在り方の検証を目的とした制度。今年度のトライアル・サウンディングでは、市役所本庁舎、奥田公園において実施し、公共資産パートナーシップ提案制度は、旧市営西富住宅跡地について提案を募
集している。公共資産の有効活用という視点においては、市内全域の公共施設や空間が対象となりうることから、公共施設等の持つポテンシャルを最大限に生かした魅力ある活用、民間による新たなビジネスチャンスの創出や地域活動を促し、経済性や効率性の追求に留まることなく、個々の
暮らしの充実など、「ハコモノを面白くするのは人」であるよう、進めてまいきたいと考えている。

 本年、遠藤笹窪谷公園がオープンするとともに、鵠沼海浜公園ではPark-PFI事業が進められている。これまでの公園としての意義に加え、新たに公園を楽しむ方向性に社会が変化してきていると思う。公園も本市における公共施設であり、将来に、未来に残すべき大切な財産であると考えるが、公園の今後の利活用について、本市の考え方?⇒(川﨑都市整備部長)都市公園については、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上など、多様な機能を有するとともに、人々のレクリエーションの空間となる都市の根幹的な施設。従来から都市公園については、公園ストックを高める取組として、未供用の都市計画公園や、未到達区域の解消に資する公園の整備を推進するなど、公園の「量」を増やしてきたところ。
 また、これと併せて、公園施設のリニューアルやユニバーサルデザイン化などを推進するとともに、イベントの実施など、公園の「質」を高める取組も行ってきた。このように「量」を増し、「質」を高める取組については、引き続き、推進していくなかで、今後は、本市の公園をより一層、魅力的にするための取組が必要であり、そのなかでは、特に「官民連携」の視点が重要であると考えている。一例として、議員から指摘のあったPar
k-PFIについては、民間ノウハウなどを活用することで、公園の魅力向上につながる効果的な取組であると考えている。また、地域団体や民間事業者による更なるイベントでの活用や管理運営の担い手の拡大などを行うためには、公園を柔軟に使いやすくするための視点も重要であることから、既存制度の検証と併せて、「官民連携」の取組を推進していく。

 経済産業省の研究会では、公共施設整備費用の1%にはアートを取り入れていくことが議論されている。アートの存在は、空間を質的に高めていくことにつながると思う。パブリックアートの小冊子も作られているが、昔の施設にはあっても、新しい施設には設置されていない。アート作品を意識した空間づくりを行っていくことについて市の考えは?⇒(宮原企画政策部長)パブリックアートは、「公共空間のための芸術・文化作品」として、海外では、公共建築を建設する際に総予算の一部を美術作品の設置、購入に振り当てることを義務付けるなど、文化政策の有力な制度として定着している国もある。一方で、文化施設に留まらず誰もが目にすることになるパブリックアートの影響力や維持管理上の課題から、設置にあたっては慎重であるべきとの意見もあるものと捉えている。公共施設においては、より質の高い空間を創出していくという観点や、地域の文化や歴史などの魅力を掘り起こすなどのパブリックアートをはじめ、日常の中にしっくりと馴染んでいく作品の展示・活用なども意識した整備をしていくことが重要であると認識している。

 今後の公共施設の整備において脱炭素のまちづくりをどのように進めていくか。また、既存の施設においてもできることはあるのではないか?⇒(宮原企画政策部長)公共施設の整備における脱炭素まちづくりへの取組としては、建物の環境性能を向上させるための藤沢市地球温暖化対策実行計画や、CASBEEかながわなどを適用するとともに、建築物のエネルギー消費性の向上に関する法律に適合する断熱性能の確保や、省エネルギー型の設備機器を導入している。既存施設の改修においては、照明器具のLED化、高効率の設備機器の導入、屋根面の断熱性能の向上など、環境への配慮を意識した設計等を実施している。

 市民の行動変容を進めるために、ナッジ理論は有効であると思う。例えば、公園のマナーを向上させるために、自然とそうさせるような施設デザインのようなものもあると思う。道路や建物なども含め、市民の行動変容につながる施設整備について、市の考えは?⇒(宮原企画政策部長)ナッジは、強制することなく良い方向へ行動を変容することが可能な実用性が高い理論として、民間企業や自治体でも取り入れられている。公共施設におけるナッジ理論を導入した整備の事例としては、階段を利用することによる健康増進を目的として、階段をピアノの鍵盤に見立てたり、コロナ禍においてソーシャルディスタンスを保つために、床に足跡や線を示すといったものがある。こうした取組は、自発的に行動を促すような仕掛けであり、一人ひとりが自主的・主体的に振る舞うという点において、持続可能性を推進するうえでも有効な手段であると認識している。こうしたことから、持続可能な社会を形成していくうえでは、ナッジ理論の視点を踏まえた公共施設の整備は、公共施設の本質的な価値を捉え、伝え、広げていくものとして、重要な取組であると考えている。

 成熟社会を迎えた現代社会、公共空間は藤沢における地域の可能性や新たな価値の創造など、地元を活性化する視点で都市基盤を考えていくべきと考える。公共空間におけるデザインマネジメント(地域を幸せにする空間づくり)についてここまでの質疑を総括する意味で理事者の見解は?⇒(和田副市長)成熟社会を迎えた現代社会において、公共空間の在り方と求められる機能は変化しつつあり、事業のトータルデザインを通じて、公共空間の整備・運営を、地域の活性化やシビックプライドの醸成等、より良い地域社会の実現へと柔軟に結び付けていくことが重要であると認識している。 こうしたことから、本市における地域の可能性や新たな価値の創造など、地域の活性化を促す視点で都市基盤を考えていくうえでは、行政、市民、民間事業者など多様な主体が共に考え、共に行動しながら地域課題の解決、価値の創造を図り、まち全体へ波及させていく公共空間の創出が重要であると考えている。
 また、新型コロナウィルス感染症の流行は、人々の活動の在り方、公共空間の在り方について大きな変化のきっかけを私たちに与えた。市としては、アフターコロナ、ウィズコロナにおける変化を意識しつつ、持続可能な環境・社会・経済などの効率性に加え、心豊かな暮らしの実現というウ
ェルビーングの視点を踏まえた持続可能な公共空間の再整備として進めていきたいと考えている。

通告22番 武藤議員

1. 「住民福祉の増進」と「市民に寄り添う取組み」について

(1)終活について

 大和市のような「終活支援条例」の要望に対して6月議会で「条例制定の必要性も含め検討してまいりたい」との答弁だったが、他市の取組の状況や、その後の本市の取組状況は?⇒(池田福祉部長)まず、他市の状況は、県内では大和市の条例制定のほか、横須賀市においては終活に関する相談
窓口を設置した「エンディングプラン・サポート事業」を、そのほか、本市を含め多くの自治体で「終活ノート」の作成などが行われている。また、本市としては、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を「自分らしい生き方」「人生のしまい方」までの広い意味で解釈し、その普及啓発を目
的として、各地区において「人生会議」を開催している。
 一方で、6月以降の取組として、現在、来年度の「高齢者保健福祉計画」の改定に向けてアンケート調査を実施しており、今後の終活に関する考え方を整理するため、この中に関連する設問を設け、人生のエンディングに関する意識やニーズの把握を進めているところ。このアンケート結果を一つのエビデンスとして、終活に関する様々な施策を展開していきたいと考えている。

 前回の質問で紹介したが、自身が親族の終活に携わった際に、施設入所や財産処分などで大変苦労された経験から、終活に関する手続きを、誰にでもわかりやすく簡易なものにしてほしい、という意見をいただいていた。「誰一人取り残さない市民対応」として、市民に寄り添う対応で取り組んでいるのか?⇒(池田福祉部長)死後の手続きは、役所や役所以外での各種手続き、相続、遺産分割、遺贈など、多岐にわたる。本市では、これらの手続き等をわかりやすく案内するために「おくやみガイドブック」を活用するとともに、基幹型地域包括支援センター、市内19か所のいきいきサポートセンター、ふじさわあんしんセンターなどが、様々な相談を受け、それぞれの状況に応じた対応に努めている。終活は、死後の手続きに関する準備も含むため、紹介いただいた事例も参考にして、「誰一人取り残さない市民対応」の充実に取り組んでいく。

 条例制定に係る今後の取組の考えは?⇒(池田福祉部長)終活は、死と向き合い、やるべきことを整理し、その準備を整える活動であり、本人の将来不安の軽減はもとより、親族など残る人のためにも、必要なものであるととらえており、多死社会を迎え、その必要性はますます高まるものと考えている。市としては、終活に取り組むための環境整備、並びに、必要な施策を的確に展開するために、終活支援は大変重要であると考えている。
 今後については、来年度改定する「高齢者保健福祉計画」に合わせて、終活支援のためのガイドラインの作成に取り組み、その後、様々なご意見を伺いながら、条例制定の必要性などを検討していきたいと考えている。

(2)不登校について

 本市の不登校児童生徒の実態と現状は?⇒(峯教育部長)本市の不登校児童生徒の実態と現状は、「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生
徒指導上の諸課題に関する調査」において、年間30日以上欠席した児童生徒数は、小学校326人、中学校544人、合わせて870人。不登校の主たる要因としては、小中学校ともに、「無気力・不安」が多くなっている。その他にも、学校、家庭及び本人に係る状況において、要因が複雑化・多様化している。

 実態把握について伺う。原因、きっかけ等を把握することが対応や撲滅するうえで重要だと感じるが、学校や教育委員会はどのような調査、対応を行っているのか?⇒(峯教育部長)不登校児童生徒の実態把握について、学校においては、欠席が数日続くと、電話連絡や家庭訪問を行い、直接子どもや保護者の不安や困りごとなどを聞くよう心がけ、長期欠席の兆候が見られた初期段階から支援担当教員等が中心となりスクールカウンセラー等と
連携して、組織的な支援が行えるよう努めている。
 また、教育委員会では、学校からの「長期欠席者報告」をもとに、各学校の長期欠席児童生徒について、欠席日数、不登校の要因、相談先、支援内容等を確認し状況把握に努めるとともに、適切な支援につながっていない場合は、学校に対し相談先や支援内容の助言等を行っている。

 手元に、教育委員会が公表した「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」と文部科学省が公表した「文部科学省における不登校児童生徒への支援施策」がある。同じように見えるがどの様な調査なのか?⇒(峯教育部長)調査について、教育委員会が公表した
ものは、児童生徒の暴力行為、いじめ、不登校等の諸課題について、調査・分析することにより、教育現場における生徒指導上の取組のより一層の充実と問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応につなげていくもの。本調査は毎年行われており、全市立小・中学校児童生徒が調査対象で、学校長が回答している。
 一方、文部科学省の実態調査については、令和2年12月に不登校児童生徒への更なる支援等について検討する上での基礎資料とするため行われたもの。対象は、令和元年度、小学校5年生及び中学校1年生の不登校であった児童生徒は、調査時には登校または教育支援センターに通所の実績がある児童生徒とその保護者となっており、全国で約2,000人の児童生徒が回答している。

 2つの調査を比べると、不登校のきっかけの要因についての項目は同様のものが多いが、結果が大きく異なっている。何故か?⇒(峯教育部長)結果の差異について、文部科学省の実態調査は、学校や教育支援センターに通うことができている子どもや保護者の声をそのまま反映したもので、あてはまる要因を複数回答した調査となっている。一方、生徒指導上の諸課題に関する調査では、担任やスクールカウンセラー等、関係教職員が、子どもの様子からアセスメントを行って、不登校の主な要因を一つ選択することとなっている。そのため、差異が生じたものと捉えている。

 文部科学省の「不登校児童生徒の実態調査」では、複数の要因があることがわかる。どのように捉えているのか?⇒(峯教育部長)不登校の要因について、実態調査では、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」について、同一の子どもが複数の回答をしており、特定のきっかけではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っているケースがあるものと捉えている。不登校の状態にある子どもの多くは、不安や苦しさ、焦りや反発など様々な気持ちを抱えており、不登校の理由などを児童生徒から直接聞くことが難しい状況があることから、実態調査の結果は、子どもの直接の声として重く受け止めている。

 これらの調査結果を、対応策や取組にどのように生かしているのか?⇒(峯教育部長)対応策や取組について、文部科学省は実態調査の結果等を踏まえ、令和4年6月に、「今後の不登校児童生徒への学習機会と支援の在り方について」を通知し、学校及び教育委員会が、関係部署、関係機関と連携しながら、今後重点的に実施すべき施策の方向性を示した。
 本市においても、通知の内容を踏まえ、支援策の充実を図っているところ。例えば、本市の相談支援教室では、発達段階に適したプログラムの充実を図り、支援体制の拡充に取り組んでいる。また、それぞれの児童生徒の状況に応じた学習機会を確保するため、フリースクール等の民間施設と連携し情報共有に努めている。さらに、子どもたちが安心して心を落ち着ける校内の居場所づくりについて、教員が学習指導員等と連携して対応できるような支援策を、今後、推進していく。

 不登校の児童生徒や保護者と向かい合うとき何を大切に考えて向き合っているのか?⇒(峯教育部長)不登校の児童生徒に向かい合うときには、児童生徒のありのままを受けとめながら、意思を十分に尊重し、一人ひとりの状況に応じた適切な支援を行うよう心がけている。また、保護者も本人と同様に大きな不安や悩みを感じており、保護者が抱える困難に寄り添った支援を行っていくことも重要であると捉えている。そのためには、日々対応する教職員が、不登校児童生徒のみならず全ての子どもたちを理解し、信頼関係を築くことが大切であると考えている。

 では、なぜ一向に不登校は減らないのか。減るどころか年々急激ともいえる増加状態であるのはなぜか。要因の把握や対処ができていないのではないか。例えば、令和4年6月「今後の不登校児童生徒への学習機会と支援の在り方について」では、「先生の指導が怖かった」「勉強に追いつけない」「発達障がいや多様性に関する理解が足りない」などの意見に対して、「一部教師や学校の対応、理解不足で不登校となった事例も見受けられた」とある。また学校内外で相談指導を受けたのは2/3で1/3は相談指導につながっていないと指摘している。これら含めて見解は?⇒(峯教育部長)不登校の増加の理由としては、児童生徒の将来の社会的自立を目指し、学校以外の場も含めて教育機会を保障することが大切であるという理解が進んでいる
ことも考えられるほか、コロナ禍の影響による生活リズムの乱れや、様々な制限があり登校の意欲がわきにくい状況にあったことも増加の背景として捉えている。
 児童生徒一人ひとりの不登校になった理由を的確に把握することは、適切な支援につなげるために重要だが、「無気力・不安」が不登校の要因とされる多くの子どもたちに、不登校のきっかけや背景として実際には何があるのかなどを教員らが理解することが難しい状況もある。そのために、教員はスクールカウンセラー等と連携し、専門的な視点で児童生徒との相談等を通して様子を見立てているが、約3割の子どもたちが学校内外での相談支援を受けておらず、大きな課題であると認識している。
 また、子どもたちが楽しく、豊かな学校生活を送れるような学校づくりを目指すことは、様々な課題を抱える児童生徒にとって、安心して心地よく過ごせる居場所があるという意味でも大変重要であることから、各学校においては、魅力あるよりよい学校づくりに取り組んでいる。指導方法の工夫改善を行い、「わかる」授業づくりに努めたり、人権を尊重した、子どもが主体となるふれあい体験を重視したりするなど、今後も、心の居場所としての学校づくりを進めていくことが大切であると考えている。

 最後に教育長に伺う。年ごとに増加している不登校に対して今後の取り組みと決意は?⇒(岩本教育長)不登校児童生徒の増加、その支援については、喫緊の課題であると捉えている。教育機会確保法の理念の下、魅力ある学校づくりを進めるとともに、多様な価値観を認め、登校という結果のみ
を目標とするのではなく、子どもたちが自己肯定感をもって社会的に自立することを目指し、誰もが豊かな人生を送ることができるようにする必要がある。
 不登校児童生徒の置かれている状況は、一人ひとり異なります。子ども達に寄り添い、どんな困りごとや心配事を抱えているのか把握に努め、支援につながるよう、誰一人取り残さない学校づくりを目指していく。また、不登校の要因や支援的ニーズは多岐にわたることからも、学校や教育委員会、家庭・地域、関係機関、他部局等、社会全体でこの課題に取り組めるよう連携を図るとともに、将来的に児童生徒が経済的にも自立し、豊かな人生を送れるよう、社会的自立に向けて支援に努めていく。

(3)課題解決のためのDXについて

 先生は多忙であり、子どもたちと向き合う時間の確保が必要と考える。DXを活用し、学校における教職員の負担を軽減するための取組の考え方は?⇒(峯教育部長)学校における教職員の負担軽減の取組について、小学校では、令和4年度から校務支援システムを導入し、すでに先行して導入している中学校の運用を参考に、出席簿や指導要録など、各種帳票の作成における事務作業の負担軽減に取り組んでいる。現在、導入初年度のため、導入における負担感もあるが、将来的に教職員の負担軽減となるよう学校と調整しながらより効果的に校務支援システムが活用できるよう運用の検討を進めていく。また、中学校においても、令和4年度から採点ソフトを導入し、採点業務の効率化に努めている。
 今後、様々なICT技術が開発されると思われるが、子どもの利益を最優先に考えた上で、その時々に学校が直面している課題を考慮しながら、学校における教職員の負担が軽減できるようICTの利活用について検討していく。

 自治会町内会や自主防災会等の地域団体への取組についての考え方は?⇒(平井市民自治部長)自治会・町内会や自主防災会等地域団体のデジタル化の推進については、書面による申請や報告等の手続きが多くあることから、まずは全ての自治会・町内会に毎年提出いただいている、「市民組織交付金交付申請書」の電子化について、早期の実施を検討するほか、その他の申請手続きなどについても関係部局と連携し、団体の負担軽減を図っていく。また、地域活動のさらなる活性化のため、電子回覧板をはじめとした団体のデジタル化に向けた多様な支援策についても、デジタル推進室と連携し、検討を進めていく。

 
 DX戦略推進プロデューサーの役割と効果、見えてきた課題は?⇒(宮原企画政策部長)DX戦略推進プロデューサーについては、デジタル市役所やスマートシティに向けた取組をはじめ、本市の全市的なDXの推進に対し、民間経験による幅広い見識と高い専門性を活かした指導・助言をする役割を担っている。この取組の効果としては、DXの推進にかかるグランドデザインが具体化し、コンタクトセンターの設置など、新たなサービスの実装に向けた取組が加速した。さらに、組織風土の改革や職員のマインド変革にも注力いただき、組織全体としてのDX推進の機運醸成に大きくつながっている。
 また、今後の課題としては、変革の機運をさらに本格的なものとするために、DXの推進にかかる人的リソースの確保や効果的なプロジェクトマネジメントを踏まえた組織体制の整備や、タイムリーに執行できる予算の確保などが極めて重要であると捉えている。

 DXの議員研修でES(従業員満足)の講義を受けた。重要な視点である。今、個別に伺った教職員や市民の満足度を上げることなどをデジタル推進室が主導で行うことを期待するが、見解は?⇒(宮原企画政策部長)職員一人ひとりが課題を発見する力を身につけ、働きがいをもって、活き活きと職務にあたることで、結果として質の高い行政サービスの提供につながることから、従業員満足度(ES)を向上させることは大変重要な取組で
あると認識している。先ほど質問のあった、学校や自治会・町内会の取組については、教職員の負担軽減によって子どもたちに柔軟に向き合っていく時間が確保でき、一人ひとりの個性や能力に合った教育につながるものと考えている。
 また、自治会町内会や自主防災会等の地域団体に対しては、本市のDXのスタンスであるテクノロジー・コミュニティ・パートナーシップを組み合わせながら、住民が主導する人を中心とした共創のまちづくりが進むものと考えている。今後においては、テクノロジー・コミュニティ・パートナーシップを駆使しながら、持続可能な環境・社会・経済などの効率性に加え、心豊かな暮らしの実現を視点とし、関係各課と連携した取組を進めていく。

 今後の課題解決のための取組の方向性、めざす未来像は?⇒(宮原企画政策部長)先月、「デジタルを活用した暮らしやすいまちづくりに向けたワークショップ」を開催し、多くの市民に参加いただいた。ワーキングの中で意見や藤沢への想いを伺うなかで、参加することに留まらず、参加者同士が自主的に出会い、積極的につながることの重要性を改めて実感した。スマートシティの実現には、こうしたワークショップへの参加をはじめ、インターネットを活用した公聴による意見提案や行政と市民とのコミュニティの形成など、共感を引き出し、コミュニティへ参画する意義を明確にするとともに、帰属意識を高めるなど、「ひらく」「出会う」「つながる」手法を工夫していく。
 いずれにしても、少子超高齢化の進展などにともなう多様化・複雑化する市民ニーズ、地域活動の担い手不足に対応するためには、効率性に基づくサスティナビリティに留まることなく、藤沢に暮らし、学び、働くすべての方々と、まちづくりを共に考え、共に創ることによるコミュニティの創出を通したウェルビーイングなまちづくりを進めていくことが重要であると捉えている。

 ウェルビーイングなまちづくりを進めていくことが重要であるとの答弁だった。DXを進めることは大いに結構だと思うが、「住民福祉の増進」がその本質にあるものと考える。そこで、最後に全体を通して市長に伺いたい。住民福祉の増進のために、行政として大切なことは何か、職員に求めるものは何か?⇒(鈴木市長)私は、藤沢市市政運営の総合指針2024を策定するにあたり、3つのまちづくりコンセプトを掲げた。これは本市行政においても、20年先を見据え、地方自治体の役割である「住民福祉の増進」を継続して果たしていくことこそが行政の存在意義と考えているからである。
 この先、人口減少や人口構造の変化により、市職員、教職員を含め、各分野において人材不足が生じるものと想定している。そのような課題に対応し、新しい時代に向かっていくために、SDGsの推進やデジタル化を社会基盤とし、全ての領域をトランスフォーメーションするとで、藤沢市の未来を市民の皆様とみんなで創っていきたいと考えている。地域には、積極的に地域で活動されている方をはじめ、地域を大切に思い、困難を抱える人々に人知れず手を差し伸べる活動している方など、名もなき市井の営みがある。こうした方々の活動や営みは、藤沢市の歴史の礎となって積み重なり、現在の藤沢市が成り立っていると考えている。
 私たちは、コロナ禍、東京2020大会を経験し多様性を認め合う重要性を学んだ。そして、これから基礎自治体は、誰もが互いを認め、支えあう関係が重層的に構築され、やりたいことが見つけられ実現できるコミュニティを形成していくことが求められると考えている。職員には、地域の一員として、次代により良い藤沢市を未来に引き継ぐ責任を自覚し、個々の生活や暮らしをみつめ、共感し、課題を発見する力を養ってもらいたい。職員の皆さんの得意な分野を地域社会に絡め、藤沢市に住む人々があらゆる領域において幸福感を実感できるよう、職員としての価値と誇りを高めていただきたいと考えている。

通告23番 桜井議員

1. 健康増進施策について

(1)健康寿命日本一について

 本市の健康寿命の状況は?⇒(齋藤健康医療部長)本市の健康寿命の状況は、令和2年の市の算定で、「男性81.8歳」「女性85.7歳」となっており、平成27年の「第2次健康増進計画」策定時と比較し、「男性1.9歳」「女性1.7歳」の延伸となった。また、神奈川県が算出している直近のデータでは、平成30年が最新となるが、本市は県内で男性5位、女性4位となっている。

 健康寿命の延伸に向けては様々な施策に取り組んできたと思うが、成果をどのように評価しているのか?⇒(齋藤健康医療部長)本市では、「健康増進計画」に基づき、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を目標とし、「栄養・食生活」や「身体活動・運動」をはじめとする7つの分野において、乳幼児期から高齢期にわたるライフステージに応じた健康施策を進めてきた。その成果として、市の健康寿命の延伸が見られましたが、これは、市民一人ひとりの努力が集約された結果だと考えている。また、医療機関や健康増進施設、普及啓発に協力いただいた民間企業、住民どうしの交流や地域活動など、様々な主体の取組の結果であったとも考えている。

 若い世代への健康施策が重要であると思う。今後どのように積極的に普及啓発していくのか?⇒(齋藤健康医療部長)令和元年に実施した本市の「健康増進計画」の「中間評価」においては、40歳~64歳の男性の約4割が肥満という状況であり、40歳代から糖尿病の発症が増える傾向がある。このことからも、30歳代などの若い世代から、健診の重要性や、身体活動量を増やすこと、正しい食生活を送ることなどの生活習慣病の予防と改善に力を入れていきたいと考えている。
 現在、「働き世代へのアプローチ」を健康づくりの重点的な柱の一つとしているが、特に、若い世代へのアプローチに際しては、若い世代が集まる商業施設や、飲食店、所属する学校や企業などとの連携が必要であり、インスタグラム等SNSの活用など、若者目線に立った働きかけが求められると捉えている。

 本市では、スポーツ都市宣言を行っている。今後、スポーツ推進課と連携することが重要。今後の連携体制の考えは?⇒(齋藤健康医療部長)本市の「スポーツ都市宣言」では、生涯に渡って健康で豊かなスポーツライフをめざすこととしており、「スポーツ推進計画」や「健康増進計画」には、健康増進とスポーツ推進の双方の位置づけを記載し、密に連携していくこととしている。具体的には、「カラダ健康フェスタ」や「スポーツまつり」、「FUJISAWA SPORTS PARK」など、スポーツイベントに健康づくりのブースを設けるなど、連携して取り組んでいる。今後も引き続き、子どもの頃からスポーツに親しみ、ライフステージに合った形で、スポーツを続けていく市民が増加していくよう、スポーツ推進課と協力していく。

 要支援、要介護になった方の機能回復は重要であり、フレイル対策を福祉部と連携していくことが必要。また、フレイル対策は、健康寿命の延伸につながり、地域包括ケアシステムの推進には大変重要である。フレイル対策を統括できる、福祉部と健康医療部の両者を結びつけるフレイル対策室のような組織、総合的なプロジェクトが必要ではないか?⇒(齋藤健康医療部長)要支援、要介護になった高齢者にとって、介護予防、重度化防止は重要であり、本市でも、介護予防教室など、介護保険制度の一般介護予防事業として、福祉部が従来より取り組んでいる。そして、昨年度より、健康づくり課では、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」として、健診やフレイルリスクのチェックの結果をもとに、低栄養や口腔機能の低下など、フレイルリスクのある高齢者を中心に、専門職が個別相談などを行い、フレイル状態の早期発見と改善に努めているところ。
 また、藤沢型地域包括ケアシステムにおいても、「健康づくり」を重要なテーマの一つと捉え、プロジェクトとしての専門部会を開催しており、今年度からは、地域づくりの取組においても、フレイル予防のイベントなどを展開している。今後、ますます進む高齢化の中では、フレイル対策の必要性は高いことから、福祉部と健康医療部がそれぞれの役割を担いながら連携し、地域包括ケアシステムの推進とともに、「健康寿命日本一」をめざした取組を進めていく。

 本市は健康都市宣言をしている。行政の継続性として、健康都市をめざしている本市の将来像、ビジョンは?⇒(鈴木市長)本市は、2010年に、人と人とのつながりや地域の活力といった藤沢市の特徴や強みをソーシャルキャピタルとして生かして健康づくりを進める「健康増進計画」を策定している。また、策定に合わせ、すべての人が生涯を通じ、いつまでも住み慣れた地域で、からだも心も元気で暮らし続けることを実現するため、市民・地域と行政が協働し、健康を育くんでいくことを基本理念として、「健康都市宣言」を行っている。そして、市民一人ひとりの健康を育んでいく中で、市民・地域と行政が意識を共有し、進んでいけるよう、「健康寿命日本一」という目標をかかげ、事業に取り組んできたところ。この考え方は、将来にわたっても変わらぬものと捉えており、今後の人口減少や高齢化率の上昇にあたっても、非常に重要な施策であると認識している。今後も引き続き、「健康都市宣言」「スポーツ都市宣言」「地域包括ケアシステム」の理念を、市民・地域と行政が共有し、手をたずさえあって、未来に向けても生きがいや夢がもてる健康都市をめざしていきたいと考えている。

2. 北部地域のまちづくりについて

(1)まちづくりの未来像について

 広報シティプロモーションアンケートの結果によると、本市の南部地域に比べ、北部地域にお住まいの方の、藤沢市に対する愛着度が低い傾向があるとのことであった。この原因は、市が地域住民と将来のビジョンを共有できていないからだと考える。住民に夢のあるビジョンを目に見える形で提示していく必要があると考えるが?⇒(宮原企画政策部長)本市は、都市マスタープランに示すとおり、六つの都市拠点の機能分担と連携を図ることによって、都市全体の活力の創出をめざすとともに、13地区を単位としたまちづくりを進めている。また将来に向けて13地区がそれぞれの個性を放ち
豊かな地元としていくためには、地域の方を含む様々なステークホルダーと、地域の課題や、ありたいまちの姿・ビジョンを共に考え、その姿を実現するために共に活動を創りだしていくことで、地元創生を実現していくことが重要になると考えている。
 指摘の北部地域では、北部第二(三地区)土地区画整理事業、新産業の森整備事業、健康と文化の森整備事業、少年の森の再整備などの現在進行中の事業や、相鉄いずみ野線の延伸に伴う駅の設置など検討の深化が求められている事業があり、都市として新たな価値観の創出が求められている。本年度は、遠藤笹窪谷公園のように自然との触れ合いの中で、自然の美しさが生活に溶け込み、彩りを与える場所ができた。いずみ野線の延伸が進み、新しい駅ができ、駅周辺に人や産業が集まる。そして、拠点を核とし交通網などのネットワーク化を通じて周辺に波及し、市全体を動かしていく。地域の皆様が、豊かな自然を享受しつつ、スポーツ、文化活動を楽しみながら日々の生活を送っている。そのような未来の姿を、お住まいの皆さんと共有し、市民の皆様と手を携えて未来に向けたビジョンを具現化していきたいと考えている。

通告24番 柳沢議員

1. 令和5年度予算編成方針について

(1)財政状況について

 令和5年度の歳入見通しは、どのように見ているのか?⇒(山口財務部長)令和5年度の歳入見通しは、市税収入は納税義務者数の増加や固定資産税の新増築分の増加などから、一定の伸びが見込める一方で、国の交付金などについては、現時点で新たな財源措置の見通しがたたないことから、令和4年度と同程度と見込み、予算編成作業を進めているところ。

 コロナ禍や物価高騰による歳出への影響は、どの程度になると考えているのか?⇒(山口財務部長)現在、予算編成作業を行っているため、具体的な数字は控えるが、歳出経費の増加に対応すべく、予算編成に取り組んでいるところ。第8波の到来を懸念している新型コロナウイルス感染症については、令和5年度においても、市民の安全と安心のため、引き続きしっかりと対応していく。また、物価高騰による、物件費の上昇についても見過ごすことのできない状況であり、歳出経費の増加の要因であるため、ひとつひとつ丁寧に確認をしている。

 第3次公共施設再整備プランの短期プランの実施事業は、どれくらいの財源を必要とするのか?⇒(山口財務部長)令和5年度予算要求額を精査している中で、約22億円の見込み。

 大型開発事業の藤沢駅周辺事業や村岡新駅設置事業といった拠点整備事業は、どれくらいの財源を必要とするのか?⇒(山口財務部長)令和5年度予算要求額を精査している中で、約16億円の見込み。

 収支乖離はどれくらい出ると考えているのか?⇒(山口財務部長)令和5年度予算編成方針を示達した時点では、約102億円の収支乖離が生じている。

 収支乖離をどう解消するつもりか?⇒(山口財務部長)歳出縮減と歳入確保に徹底して取り組む必要がある。歳出については、要求事業費の見直し及び精査により縮減を図り、歳入については、自らの事業の財源は自らで生み出すことを前提に、あらゆる財源の確保に努めるとともに、国・県支出金の獲得や市債等の特定財源の活用を図り、収支乖離を解消していく。

(2)予算編成にあたっての基本的考え方について

 事業の優先順位付けをする場合の基本的な考え方と、新規事業の取入れはどのように決定していくのか?⇒(山口財務部長)事業の優先順付けについては、まずは、市民の安全と安心を守るための対応を最優先とする。その上で、限られた財源の範囲で事業を実施する必要があることから、事業に対する必要性や市民ニーズを把握し、「やらなければならないこと」と「やりたいこと」を明確にするとともに、事業の優先順位付けを行っている。
 新規事業の構築については、概算要求時に、特に予算の重点化を図る予定の事業を各部局から報告を受け、理事者ヒアリングの実施結果を踏まえて、事業の選定や要求上限額の設定を行い、重点化事業として位置付けている。また、令和5年度予算編成からは、DX推進本部会議の審議を踏まえて、DXの推進に効果があり、かつ早期に取り組むべき事業の選定や要求上限額の設定を行い、同じく重点化事業として位置付けている。
 なお、重点化事業以外の新規・拡充事業については、特定財源の獲得のほか、事業の終了等に伴う自然減ではなく、事業の廃止及び見直しにより財源を生み出した上で、予算要求をすることとしている。

 扶助費抑制は、市民の要望からもかけ離れた予算になるのではと危惧する。扶助費の抑制方針は撤回すべきだが?⇒(山口財務部長)予算編成における扶助費の基本的な考え方としては、法令等に基づく義務的な性質の扶助費については、必要な事業費を精査し、予算を計上していく。また、国県制度への上乗せ横出しとなっている事業や、市単独事業費については、予算額を精査し、事業の新規拡充はスクラップ&ビルドを基本として、持続可能な制度構築を行う必要があると考えている。

 予算編成方針の重点事業として、中学生に対する小児医療費助成制度の所得制限撤廃が盛り込まれている。神奈川県が小児医療費助成の補助対象を小学校就学前までから、小学校6年生まで引き上げる方針を打ち出し、東京都も来年度から高校卒業まで引き上げる方針となっている。神奈川県の方針を受けて、財政的には18歳までの年齢拡大は可能だと思うが?⇒(三ツ橋子ども青少年部長)小児医療費助成制度については、医療給付を提供することにより、安心して子育てができる、子育てに優しいまちづくりを進めるための、中心的な役割を果たしている制度であると考えている。本市では、小児医療費助成制度の充実を図る過程において、事業の継続的かつ安定的な運営を図るため、段階的に対象年齢の拡大を図ってきた。神奈川県による小児医療費助成制度への補助事業では所得制限及び一部負担金があるため、すべての医療費に対する補助とはなっていない。このような状況を受け、本市では、神奈川県の補助率の引き上げやさらなる補助対象年齢の拡大、国による医療費助成制度の創設について、市長会を通じて県内自治体とともに毎年要望書を提出している。本市における医療費助成の対象年齢の拡大については、神奈川県の補助対象年齢の引き上げによる財政効果を検証した上で、国の動向を注視するとともに、子育て支援施策全体の中で、検討していきたいと考えている。

 予算編成方針では「あらゆる財源の確保」としてPPP/PFI手法の可能性を公共施設の再整備の基本にしている。当面の平準化としては役立つかもしれないが、長期でみるとかえって財源がかかることになるのではないか。安易な財源確保の名でPPP/PFI手法の検討は見直すべきだが?⇒(宮原企画政策部長)公民連携については、民間の関与の大小により様々な手法があり、PFI手法はその一つの事業方式。公共施設の再整備においては、施設の特性に応じてどのような事業方式が望ましいか検討する必要があり、事業費の大きい公共事業については、財政支出の平準化において、財政運営上からもメリットがあるものと考えている。同時に維持管理・運営までを含めたライフサイクルコストを十分検討した上で事業方式を選択する必要もあると考えている。
 また、PPP/PFI手法の導入については、財政的な側面からだけではなく、多様な市民ニーズを踏まえた良質なサービスの提供、民間事業者の参入による事業機会の拡大や新規産業の創出などについても期待されることから、今後も手法の一つとして検討していきたいと考えている。

 予算編成方針の基本が部局別枠配分方式である。義務的事業費に上限額を設定し、その他の経常的事業費は枠配分額内での要求だと、必要な経費を押さえ込むことになり、市民の要望をかなえる予算編成にならないと考えるが?⇒(山口財務部長)部局別枠配分方式については、日頃から市民ニー
ズを把握している事業担当部局が主体となり、事業の重要性や優先度により順位付けを行った上で予算調製を行うことが、市民が求める事業、市民ニーズに即応することが可能であるとの認識のもとに行っている編成方式。
 令和5年度予算編成では経常的経費を部局別枠配分方式の対象とし、一定の削減率を設けることなく、必要な財源を確保するよう、編成作業を進めている。今後とも、市民ニーズの把握に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げることを旨として、予算編成を進めていく。

2. 消費税のインボイス方式の中止を求めることについて

(1)小規模事業者への影響について

 小規模事業者は、消費税の免税事業者として取引から排除されるか、インボイスの登録をして泣く泣く重い負担を受け入れるかの選択を迫られます。このことについての市の認識は?⇒(饗庭経済部長)令和5年10月に導入される消費税の適格請求書等保存方式、いわゆる「インボイス制度」においては、課税事業者と免税事業者間の取引の際などに一定の影響が生じるものと見込んでいる。また、これまで消費税を免除されていた事業者がイン
ボイス制度に登録した場合は、税の申告など、新たな事務負担が生じるものと認識している。経済部としては、国の動向を注視しつつ、インボイス制度について、事業者の理解が得られるよう、また、制度に対する不安が解消されるよう、市内の中小・小規模事業者に寄り添った対応をしていく。

 課税業者を選択した場合、簡易課税制度を選択しても相当な消費税を納めなくてはならない。年間売り上げが600万円の場合で、みなし仕入れ率が70%の第三種事業の場合、消費税額はいくらか?⇒(山口財務部長)中小事業者の納税事務負担に配慮した簡易課税制度で仕入れ控除税額を算出すると、消費税及び地方消費税の納税額は18万円になる。

(2)藤沢市の対応について

 総務省は3月に地方自治体に対してインボイス制度の準備状況を把握するための調査を行ったと聞いている。本市はどのように答えたのか?⇒(山口財務部長)本年3月に総務省が実施した、「消費税の適格請求書等保存方式 インボイス制度 への対応に係る準備状況について」は、都道府県及び市区町村の一般会計及び特別会計を対象に調査が行われた。本市については、各特別会計の所管課に確認し、調査時点におけるインボイス発行事業者の登録申請の要否などについて確認を行い、墓園事業費特別会計及び2つの企業会計については、同発行事業者として登録済みであることも回答した。

 具体的に聞きたい。事業者が広告を掲載した場合、その掲載料が1万円だとすると1万1千円を市に払うことになる。地方自治体は消費税の支払いが免除されているが、事業者は藤沢市がインボイスを発行していないと千円が控除できなくなる。藤沢市もインボイス登録が必要になると思うが?⇒(山口財務部長)お尋ねのとおり、制度開始後にインボイスを発行しない場合、取引を行った事業者が、当該仕入れについて仕入税額控除を行うことができなくなり、消費税の負担額が増加することになる。そのようなことにならないよう、本市の一般会計と事業者に対する課税仕入れがある特別会計においては、同制度に対応するため、必要な会計ごとに登録を行い、インボイスを交付する予定となっている。

 一般会計と違って特別会計は特例の対象にはならないため、例えば下水道特別会計はインボイス登録が必要になり、受注者にも登録を求めることになる。福島市は入札参加資格審査申請の手引きに、登録がない場合、水道局及び下水道室発注の工事等の受注ができなくなるとの項目が追加されているそうです。免税業者である場合、課税事業者になるか、公共事業の受注をあきらめるか選択をせまられることになる。藤沢市ではどのように対応しているのか?⇒(山口財務部長)インボイス制度に関し、入札参加資格を定めることについては、本年10月7日付けで総務省より通知文書が発出されており、その中でインボイス発行事業者でない者を入札に参加させないこととするような資格を定めることや、同発行事業者であることを必要な経営の規模及び状況に関する要件とする資格を定めることは適当ではないとの見解が示されている。
 本市においては、競争入札参加資格に係る令和5・6年度定期申請において、同発行事業者であることを入札参加資格要件とは定めていない。個々の入札案件においても、国等の動向を注視し、入札における参加資格要件を適正に設定していく。

 次に、学校給食費の食材の共同購入は特別会計ではないが、インボイスが開始されると学校給食の食材を納入している地元の農家や肉屋さん、生産者、小売屋さんが締め出されることになる。食材を地産地消で供給し食育に役立たせていることができなくなるのか。北九州市学校給食協会は納入業者にインボイス登録のお願いをしたいと述べ、登録の意向を確認したそう。藤沢市の教育委員会はどのように対応しているのか?⇒(峯教育部長)本市の給食食材の購入については、生産者の顔が見える、新鮮で安全な食材による給食の提供や、生産に関わる人々へ感謝する心を育むなどの食育の観点から、地場産物の導入に取り組んでいる。教育委員会では、一般会計予算にて食材の購入をしており、今後も引き続き地元食材納入業者との関係性を大切にしながら、適切な取引をしていく。

 全国で約70万人の高齢者が働いていると言われているシルバー人材センターについても、インボイス制度による税負担をシルバー人材センターが負担するのか、働いている高齢者が課税事業者になり新たに負担するのか、その選択が迫られることになる。藤沢市ではどのように対応しているのか?⇒(池田福祉部長)インボイス制度の導入に伴うシルバー人材センターに係る消費税については、基本的に国の方針に沿っていくべきものと捉えている。現状では、特例措置が講じられないままインボイス制度が適用された場合には、新たに生じる消費税がシルバー人材センターの事業運営に影響を及ぼすため、9月に他市と連携し、神奈川県市長会を通じて国へ要望書を提出した。本市としては、引き続き必要な対応に努めるとともに、国や県、他市の動向を注視していきたいと考えている。

(3)国へ中止を求めることについて

 藤沢市として、インボイス制度に対する態度を明確にし、国に対し中止も求めるべきと考えますが?⇒(山口財務部長)インボイス制度については、消費税の軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税を確保する観点から、国政において慎重に審議をされた結果と受け止めている。また、国においては、制度の導入のために必要となる対応や中小事業者の経営の高度化の推進に向けた必要な施策を検討するため、「消費税軽減税率制度の円滑な運用等に係る関係府省庁会議」を開催するなど、関係府省庁が協力・連携して取組を進めているところ。
 本市としては、消費税に係る新たな制度の導入は、事業者等への影響があることから、引き続き必要な対応に努めるとともに、国における動向を注視していきたいと考えている。

通告25番 西議員

1. 市民サービスについて

(1)市民窓口センターと市民センターの在り方について

 以前、市のファックスの利用状況について確認したところ、各課のファックス取扱件数とは別に、日常的に本庁の各課と各市民センターとの間でやり取りがあることが新たに分かったが、中でも市民窓口センターとのやり取りが大きな割合を占めていると聞いている。実際の取扱の状況は?⇒(平井市民自治部長)まず初めに、市民窓口センターにおける市民センターからのファックスの受信件数は、令和3年度における年間総件数が、約11万件となっている。内容は、市民センターで受付した転入・転居などの住民異動や、印鑑登録に関する届出などについて、不備がないかをファックスを用いて市民窓口センターにおいて審査し、書類の入力を行うもの。

 今の説明から、市民センターでは主に受付のみを行い、受付内容の審査や入力などは市民窓口センターで行っていると理解したのだが、なぜ、そのような流れとなっているのか?⇒(平井市民自治部長)市民センターにおいては、市民窓口センターにかかる業務だけでなく、税関係、国民健康保険や年金など、対応範囲が多岐にわたっていることから、処理内容の正確性を均一に保つため、本庁の職員が内容審査や入力処理を行うこととしている。

 状況は分かるが、市民センターで処理を完結させた方が効率的だと考えるが、メリットとデメリットは?⇒(平井市民自治部長)現行の体制におけるメリットは、先ほど答弁したとおり、本庁の職員が審査等を行うことで、事務手続きの不備を防ぐ効果があると捉えている。次にデメリットは、ファックス利用による経費負担のほか、本庁で審査を行っている間、来庁者にお待ちいただく必要があることから、待ち時間が長くなる点が挙げられる。

 市民対応の最前線とも言える、市民窓口センターや市民センターについては、常に市民サービス向上の視点に立った事務執行をするべき部門であると考える。先ほどの答弁にあったデメリットについても、効率性の観点から課題であると思うが?⇒(平井市民自治部長)市民窓口センター及び市民センターにおける窓口業務については、議員指摘のとおり、効率性の観点から課題であると捉えていることから、職員の意識改革や習熟度向上に向けた取組を進めていく。加えて、コンビニ交付など対面によらないサービスのほか、届出書を書かない窓口や来年2月に全国で運用が始まる引越し手続きのワンストップ化など、デジタル技術を活用したサービスを積極的に推進することで、経費負担の削減や市民の待ち時間縮減に努めていく。

2. 環境施策について

(1)廃棄物エネルギー利活用について

 現在、収集された容器包装プラスチックの中で汚れが酷いものなどは選別され、焼却されていると聞いている。年間どの位の量が焼却されているのか?⇒(福室環境部長)容器包装プラスチックの中で汚れの酷いものなど、残渣率は4%程度となっており、令和3年度については、収集量7,797tに対し約312tを選別し、焼却している。

 これからの高齢社会で、この様なものが増えることが想定されるが、どの様に考えているのか?⇒(福室環境部長)リサイクルをするためには分別が重要であると考えているが、高齢者に対し、分別の徹底が難しい状況であることも認識している。このことから、汚れが酷い容器包装プラスチックなど、焼却しているプラスチックについて燃料化リサイクルを検討していきたいと考えている。

 高齢社会が進むと紙おむつの処理が課題だと考える。前年度改定した藤沢市一般廃棄物処理基本計画においても、紙おむつの資源化を研究していきますと記載されているが、使用済み紙おむつの燃料化など資源化についての研究の状況は?⇒(福室環境部長)今年度、環境省実施の紙おむつ再生利用等導入コンサルティングに応募し、採択されている。コンサルティング事業者とのやり取りを行う中で、直ぐに紙おむつの資源化を実施することは難しいと考えているが、今後についても様々な機会をとらえ研究していく。

(2)環境教育について

 今年の夏に児童クラブでごみゼロゲームを体験させてもらった。この体験で子供のごみに対する考え方が変わり、環境教育として有効だと思った。ごみゼロゲームを普及することはごみの削減として有効な手段と考えるが?⇒(福室環境部長)今年度についても小学校に対しごみゼロゲーム体験
学習会を募集し、実施をしている。そもそもごみになるような物を使わないことや、リユースやリサイクルするなどごみを救う方法を皆で考え、会話し行動を決めるので、ごみの削減に有効な手段と考えている。

 ごみゼロゲーム、地球環境ゲームやコスプレごみ拾いの様な楽しく体験する環境学習は有効であるため、今後、拡大した方が良いと考えるが、市の考えは?⇒(福室環境部長)ごみゼロゲームやパッカー車を派遣するごみ体験学習など楽しく体験してもらうなどにより、子供の意識変革を促し、その親への波及効果も図っていきたいと考えており、今後についても、楽しく体験する様な新たな環境学習について検討していく。

3. 障害のある市民への支援について

(1)聴覚障害者への支援について

 9月23日に開催した「手話言語の国際デー2022in ふじさわ」について、市の感想は?⇒(池田福祉部長)「手話言語の国際デー2022in ふじさわ」については、当事者と支援者が一つになり、天候による開催場所の変更もありながら、短い準備期間の中で、盛大に開催されたことは、大変に素晴らしく、また有意義なことであり、障がい理解の促進の一助にもなったものと受け止めている。

 令和5年度以降の開催について、主催者は切に望んでいる。市の関わり方などの見解は?⇒(池田福祉部長)障がい当事者の団体による自発的な活動、発表等の場が形成されていくことは、障がい者の社会参加、障がい理解等の点において重要なものであると認識している。本市としては、こうした活動が円滑かつ効果的に実施されるよう、会場の調整や周知をはじめ、事業実施方法の助言などにおいて、引き続き積極的に支援をしていきたいと考えている。

 手話講習会について、裾野を広げながら、専門人材の育成を図るよう、開催回数増などに取り組むべきだが?⇒(池田福祉部長)手話講習会については、毎年人気があり、初級から上級までのコースを設ける中で、障がい理解の促進から、手話通訳者の養成までを担っている事業。ここ数年の開催においては、講習が数か月に亘る内容であり、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じる必要がある中で、限られた回数と定員で実施せざるを得ない状況にあった。今後の、ウィズ・コロナにおける運営方法については、事業に協力いただいている藤沢市聴覚障害者協会とも意見交換をしながら、開催回数を増やすことを含め、より多くの方に受講いただけるよう、検討していく。

 手話言語条例を制定している神奈川県の活動を招致するなど、県との協調的な活動も進めるべきと考えるが見解は?⇒(池田福祉部長)神奈川県との連携について、これまでは、県が広域的専門的な手話通訳者の認定、企業への派遣等を担い、市が聴覚障がい者個人の日常生活上、必要な場面への
派遣等を担うという役割分担の中で、それぞれが啓発活動に取り組んできた。今後は、神奈川県聴覚障害者福祉センターが本市に設置されているという「地の利」も生かし、様々な事業、場面で協働、連携が進むよう取り組んでいきたいと考えている。

 2025年に聴覚障がい者の国際総合大会「デフリンピック」が東京を中心に開催されることが決定した。神奈川県の聴覚障害者連盟も積極的に活動に参画しており、こうした聴覚障がい者のスポーツ大会に本市も開催の支援を行うべきと考えるが?⇒(池田福祉部長)デフリンピックについては、本年9月に2025年の東京をはじめとする国内での開催決定がされており、市としても情報収集を行っているところ。パラリンピックには聴覚障がい者の種目がないことからも、東京2020パラリンピック競技大会と同様に、開催応援と参加に向けた支援の輪を広げていきたいと考えている。
 そうした中で、過去の日本財団での調査においては、デフリンピックの認知度が1割程度と低いことが課題として挙げられているので、まずは各種大会の開催の周知、啓発に努めるなど、本市として可能なことに着手しながら、大会の機運を醸成していく。また、こうした取組が障がい理解の促進につがなるよう、工夫をしていきたいと考えている。

 119番通報による救急要請において、聴覚障がい者が安心して処置を受けるためには、迅速な手話通訳者の派遣が必要。茅ヶ崎市、小田原市、厚木市などが消防指令から派遣要請を行っており、本市としても導入すべき制度であると考える。聴覚障がい者への情報保障、合理的配慮の観点を踏まえ、救急医療の受診における手話通訳者派遣について、市の考えは?⇒(池田福祉部長)救急医療の受診における手話通訳者の派遣については、病状把握、既往歴などを適切に医師に伝えるためにも重要な取組みであると認識をしている。また、緊急時を含めた聴覚障がい者の情報保障、意思疎通支援、合理的配慮については障がい福祉関係法にそれぞれ規定され、地方公共団体での対応が求められている。こうしたことを踏まえ、本市としても、救急、医療、福祉の連携、協力のもとに、より迅速かつ円滑で、当事者が安心できる派遣方法の確立に向け、検討を進めていく。

(2)障害理解の促進について

 「藤沢ふれあいフェスタ2022」が12月3日に開催された。開催の目的と開催結果、成果は?⇒(池田福祉部長)「藤沢ふれあいフェスタ2022」については、「障がい理解の促進」と「合理的配慮の推進」を目的として、障がいの有無に関わらず、誰もが楽しめるイベントとして、去る12月3日に藤沢市役所分庁舎地域福祉プラザ及び本庁舎を会場として開催した。当日は、約2,100人の方に来場いただき、ふれあいステージでの成果発表をはじめ、各種体験講座・障がい当事者や福祉事業所によるアート展や活動報告、障がい者の製造した物品の販売などを実施し、盛大に開催できたものと認識している。成果は、今後、アンケート結果や実行委員会での意見交換を通じ、当初目的の達成度や合理的配慮の状況等の具体的な内容について、検証をしていく

 いわゆる「障がい者差別解消法」が改正され、令和6年度中には施行される。民間での合理的配慮の義務化に当たり、民間事業所とのパートナーシップをもつための、具体的な取組状況は?⇒(池田福祉部長)民間事業所とのパートナーシップの強化に当たり、まずは、商工会議所と、会員事業所における合理的配慮の内容や対応に当たっての相談支援について、協議をしているところ。そのほか、具体的な事例紹介、相談先の案内等について、法の施行時期を見据え、令和5年度中に取組を具体化していく。

 「障がいの社会モデル」の考え方を前提にし、すべての市職員が障がい者への理解、支援を行うべきであり、これまでの啓発手法だけでなく、新たな取組が必要ではないかと考えるが?⇒(鈴木市長)職員の障がい理解の推進に当たり、これまで差別解消の推進に関する対応要領や職員サポートブック、心のバリアフリーハンドブックなどを通じて、インクルーシブな組織と個人の醸成と、実際の対応方法の周知、啓発を図ってきた。また、現在、公共建築物バリアフリーガイドラインの案を作成し、関係部局との調整を進めており、施行後は、施設所管課を中心に全庁的に共有を図っていく。
 今後、当事者と家族の高齢化が進展する中で、障がい児・者の地域移行の推進に当たっては、行政のあらゆる分野において包括的、重層的に支援することが重要になるものと思っている。このようなことを踏まえると、「障がいとは、個人の心身機能と社会的障壁の相互作用であり、社会的障壁を
取り除くのは、社会の責務である」という「障がいの社会モデル」を、職員一人一人が正しく理解し、意識を変え、そして市の責務として、当事者のニーズに寄り添い、具体的に行動できるよう、新たな取組に着手していきたいと考えている。

4. 学校給食について

(1)中学校給食の充実について

 現在、藤沢市の選択制デリバリー方式の中学校給食について、これまで力を入れて取り組んできたことは何か?⇒(峯教育部長)本市の選択制デリバリー方式による中学校給食は、市内全中学校での実施体制が整い、必要な時を選んで利用できる給食の提供に取り組んでいる。また給食は、生徒の心身の発達のために重要なものであるため、小学校の給食にも精通した栄養士が献立づくり、材料選定から調理、盛り付けに至るまで関わり、調理業者との緊密な連携のもと学校に届けている。また、調理の現場にも定期的に訪問し、衛生面や作業工程の確認を行っている。ご飯と汁物は温かいまま
届けられるように配送の際に保温材を用いるなど、工夫や改善に努めており、選択制の利点を鑑みて、いつ利用しても満足いただけるような給食づくりに取り組んでいる。

 現在の本市の中学校給食の課題について、どう捉えているか?⇒(峯教育部長)令和元年10月に全校実施体制の確立に至ったが、コロナ禍により試食会が実施できず、制度が十分に認知されていない状況があるため、各家庭の都合に応じて利用できる選択制の特徴など制度周知に取り組む必要がある。事業の趣旨への理解の広がりと、選択肢としての利用し易さを目標にさらに取り組んでいく。

 牛乳のみの給食や、選択制ランチボックス形式から、給食センター方式の全員給食に変更、またその検討をする自治体が出てきている。給食センター方式による給食のメリット、また、全員給食の良いところについて、どう捉えているか?⇒(峯教育部長)給食センター方式のメリットは、調理後の給食を保温性の高い食缶で各校に速やかに運ぶことで温かいおかずの提供も可能となる。また、校内全員が喫食する給食方式については、適切な栄養摂取の機会を生徒全員に等しく提供できることや日々の献立を題材にとりあげた統一的な食育活動などが考えられる。

 給食センター方式による全員給食を本市で実施する際に想定される課題は?⇒(峯教育部長)給食センター方式の全員給食を実施するためには、新
たに調理施設を市内に設ける必要があり、建設にあたっては費用と建設地が課題となる。また、全員喫食の実現のためには、各中学校の配膳室を拡張する必要性や、給食時の配膳に要する時間など中学校の日課についても変更が必要となる。

 給食センター方式を含めた全員給食の実施を検討すべきだと考える。今後、藤沢市の給食をどのようにしていきたいと考えているのか?⇒(峯教育部長)本市の中学校給食については、給食検討委員会で費用面や導入時期・家庭から弁当を持参したいという声を踏まえ、現在のデリバリー方式を採用した経過がある。そういった家庭のニーズやライフスタイルに合わせて利用できるデリバリー方式を継続していきたいと考えている。今後も、保護者や子どもたちの声を聞きながら、食育の観点も取り入れ、皆さんに選んでいただけるよう、栄養バランスの取れたおいしい給食の提供に努めていく。

(2)小中学校での黙食について

 学校給食は、成長期に合わせた適切な栄養を摂るという大きな役割があるが、ただ栄養を摂れば良いというものではない。学校給食の目標、意味をどのように考えているか?⇒(峯教育部長)学校給食法は、「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図る」という心身の発達に関することだけでなく、「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと」を初めとした、食に関する正しい理解と適切な判断力を養うことを目標としている。本市の学校給食においても法の趣旨をふまえて事業に取り組んでいる。

 文部科学省及び神奈川県教育委員会の通知を受けて、本市の新型コロナ感染症対策のガイドラインはいつごろどのように改訂されるのか?⇒(峯教育部長)政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の基本的対処方針において、黙食の文言が削除され、また、文部科学省及び神奈川県教育委員会の通知にも、座席配置の工夫や換気の確保等の措置を講じた上で、児童生徒等の間で会話を行うことも可能と示された。このため、本市ガイドライン上からも黙食という文言は変更し、神奈川県教育委員会から示された取扱いと同様の対応を検討しているが、その時期については感染症の流行状況や学校での児童生徒の状況などを踏まえ、対応していく。

 児童生徒の黙食は、学校給食法の目標を達成するために、必要な対応といえるのか?⇒(峯教育部長)学校給食法の目標の一つとして、「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。」と定められている。この点において黙食は、ふさわしい対応と捉えていないが、現状をふまえますと学校における新型コロナウイルス感染症対策として必要な対応と考えている。

 小中学校での黙食は緩和すべきものと考える。教育長の考えは?⇒(岩本教育長)授業中のグループワークや休み時間の過ごし方など、校内活動での子どもたちのコミュニケーションは、次第に戻ってきた。しかし給食の時間は、マスクを外し、飛沫が飛びやすい、学校生活の中で最も注意を要する場面と捉えている。今後の給食・昼食時の取り扱いについては、感染状況を踏まえ、学校と連携を図りながら柔軟に対応していきたいと考えている。

通告26番 原田議員

1. 市長の政治姿勢と藤沢市の未来デザイン

(1)子どもの権利について

 不登校児童生徒が増えた理由を教育委員会としてどのように調査・分析しているか?⇒(峯教育部長)本市立学校における不登校の増加の状況とその要因については、小・中学校とも「無気力、不安」や「生活リズムの乱れ」が多いほか、複雑化・多様化している状況がある。この背景には、コロナ禍で、生活リズムが乱れやすい状況や、様々な制限がある中で登校する意欲がわきにくい状況があったと受け止めている。さらに、児童生徒の将来の社会的自立を目指し、学校以外の場も含めて教育機会を保障することが大切であるという理解が進んでいることも考えられる。

 マスクをめぐるいじめやトラブルは、どれだけ認められるか?⇒(峯教育部長)マスクをめぐるいじめやトラブルについては、「学校生活についてのアンケート調査」での自由記述欄等でマスクの着脱や取扱いについて子どもたちから声が上がっていることを把握しており、数件だが、マスクを外していることに対して周りの子から注意を受けて嫌な思いをしたという報告も受けている。

 マスクや黙食が、コミュニケーションにどういった弊害をもたらしていると教育委員会は捉えているか?⇒(峯教育部長)マスクや黙食によりお互いの表情が読み取りにくく、子ども同士や子どもと教師とのコミュニケーションへ少なからず影響があると捉えている。そこで、学校においては、活動場所や活動場面に応じたメリハリのあるマスクの着脱を行いながら、感染症防止に配慮したうえで、授業においてペアワークやグループ活動を行うなど、子ども同士のコミュニケーションが図れるように取り組んでいる。

 「教育機会確保法」が示されている中で、最終的に不登校児童生徒の学習の保障について、教育委員会の役割は?⇒(峯教育部長)教育委員会の役割は、子どもたちの社会的自立を促すため、教育機会確保法の趣旨に則り、学校の不登校対策を支援するとともに、民間団体も含めた関係機関相互の密接な連携のもとで施策を実施することであると捉えている。そうした中、具体的な支援策としては、学校内での別室での学習やICTを活用した学習支援のほか、相談支援教室、フリースクール等の民間施設など、学校や家庭、地域、関係機関等が連携して、不登校児童生徒一人ひとりの状況に応じた学びの場の確保に努めているところ。

 市教育委員会のスクールロイヤーについて、どのような位置づけで任用され、どのような役割・立場を担っているのか?⇒(峯教育部長)スクールロイヤーは、藤沢市特定任期付職員として採用し、教育委員会の教育指導課に主幹職として配属している。役割は、学校や教育委員会に係る困難な事案に対して、「子どもの最善の利益に配慮する」という観点から、法的根拠をもって中立的な立場で学校に対して適切に指導、助言を行い、問題の未然防止、早期発見、早期対応を図っている。主な業務内容としては、学校や保護者から教育委員会への相談等があった場合、指導主事と連携して助言
等をしている。また、子どもの安全安心な学校生活につながるよう、教職員に対し法的視点からのいじめ防止に向けた研修などを行っている。

 これまでの対応には、どのようなものがあり、何件くらい相談・対応をしてきたのか?⇒(峯教育部長)昨年度、学校からは、指導や対応についての相談や報告が約300件あった。スクールロイヤーはそれらをすべて確認し、必要に応じて指導・助言している。その内容は、児童生徒によるいじめをはじめ、児童虐待や学校の防犯・安全管理、個人情報の扱いなど多岐にわたっており、学校や児童生徒を取り巻く様々な課題に対応している。また、学校訪問による直接的な助言や教職員向けの研修なども行っている。

 そうした様々な事案の中には、教師による不適切な指導や言動により、子どもの権利が脅かされるような問題が何件くらいあるのか。また、それに対して、スクールロイヤーがどう関わるのか?⇒(峯教育部長)教職員による不適切な指導の件数は、毎年実施している「学校生活全般における体罰の実態把握に関する調査」において、威圧的な態度や暴言、精神的苦痛を与えるなどの教職員による不適切な指導や言動と認められる事案は、昨年度は小学校で9件、中学校で6件あった。これらの案件に、スクールロイヤーは、子どもの権利が脅かされることがないよう学校や家庭、教育委員会等に対し、求められる権利保障について法的な視点から助言をし、子どもが得られるべき権利について言及するなど中立的立場で関わっている。

 今、報告にあった教師による不適切な指導や言動の問題について、解決に至っていないものや累積している事案はあるのか?⇒(峯教育部長)先ほど答弁した計15件の事案については、市教育委員会による当該教職員及び学校長への指導や、学校長による当該教職員への継続的な指導を行うとともに、児童生徒に対しては、その後の様子を見守っているところ。また、教職員全体にも注意喚起及び意識啓発を併せて行い、再発防止に努めている。

 中立的立場や子どもの最善の利益に立った対応するということだったが、スクールロイヤーの立場や役割に対して、どのように中立性を保ち、その検証が教育委員会の中でされているのか?⇒(峯教育部長)スクールロイヤーは、弁護士としての実務経験を経た主幹級の市職員であるため、憲法及び地方公務員法に則り、国民または住民全体の奉仕者として、忠実に職務を遂行することが服務の基本となっており、その使命の全うに向けて努めている。教育委員会としても、配置から3年目を迎える中で、学校や学校長へのアンケートなどを通じて、広く意見を集約し、さらによりよい活用に向け検討・検証を進めているところ。また、改めて国や他市町の動向を研究しつつ、今後も子どもの最善の利益のために努めていく。

 不登校や困りごとを抱える家庭や子どもの学校での様々な課題について、その解決に向けて、センシティブな情報を含めた地域との連携や共有の用意はあるのか?⇒(峯教育部長)センシティブな情報を含めた地域との連携や共有については、個人情報保護の観点から難しい側面がある。教育委員会としては、フリースクール等情報交換会を開催し、フリースクール等民間団体と教育委員会、学校との情報共有の場を提供し、相互の理解を深め、
支援につなげられるよう努めているところ。今後も不登校児童生徒の意思を十分に尊重しながら、個々の状況に応じた支援や学習保障が行えるよう、家庭への支援や関係機関等との連携を図っていく。

 「包括的性教育を受ける権利」についての教育委員会の見解?⇒(峯教育部長)包括的性教育については、ユネスコが2009年に作成した性教育の指針「国際セクシャリティ教育ガイダンス」によると、ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育であり、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等など、幅広いテーマを包括的に扱うものと理解している。そのため、子どもたちが自分や相手、一人ひとりを尊重する態度を身につけるためにも、重要な権利であると捉えている。

 市内中学校での性教育の時間はどれだけとられているか、教育委員会は把握しているか?⇒(峯教育部長)性教育を扱う時間について、教育委員会では、各学校から年度初めの年間指導計画と、学年末に実践活動の記録の提出をもって、学習内容について把握している。その中で、保健体育科の保健分野においては、3年間で7時間程度となっているが、各学校、他の教科等も含め、体系的に学ぶためにもカリキュラムを工夫して取り組むよう努めている。

 高校生の性知識についてNPOが行った、妊娠、避妊等の設問において、正答率が低い。HIV予防にコンドームが有効であるということも含め、中学校ではどのような授業を行っているのか?⇒(峯教育部長)授業の内容は、学習指導要領に則り、生殖機能の発達や妊娠、エイズ及び性感染症の予防について学習しており、発達段階を踏まえ、学校全体で共通理解を図るとともに、保護者の理解も得ながら取り組んでいる。また、避妊等に関しては、発達段階や実態に応じて教える場合もある。

 性教育に対し、「寝た子を起こすな」という考え方が、中学校現場にあるのか?⇒(峯教育部長)性教育の考え方について、各中学校においては、学習指導要領に則り、3年間の学習を見通した系統的・段階的なカリキュラムを組む中で、必要な知識が身につけられるよう取り組んでいる。そのため、性教育を避けようという考えはないものと捉えている。

 HIV予防にコンドームが有効であると教えていると思うが、具体的な性交について授業で扱わないで、どのように教えているのか?⇒(峯教育部長)学校においてまずは学習指導要領に則り一定の基準のもと教育が行われている。学習指導要領から発展した内容については、発展的な学習として、外部講師を招聘したり、養護教諭とのティームティーチング等で授業を行ったりすることで、具体的な内容について触れる場合もある。

 学習指導要領の性に関する「はどめ規定」について、永岡桂子文科相が10月26日、「撤廃することは考えていない」と答弁され、規定を見直す考えがないことを明らかにされた。性教育について教育委員会と中学校長との間に理解の差があると感じる。教育委員会は性教育に対してどのように考えているか?⇒(峯教育部長)学校で行われる性に関する教育の在り方については、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動を取れるよう、学校教育活動全体を通じて指導を行っている。さらに、各学校がその特色を生かして創意工夫し、児童生徒の現状を捉え、家庭や地域社会と協力して、教育活動の更なる充実を図っていくことも重要であると考えている。発展的な内容の学習については、児童生徒の発達段階や個々の状況等を踏まえ必要に応じて取扱うことができるものと捉えている。
 また、近年、性情報の氾濫、SNSに起因する性犯罪の増加など、性に関するトラブルの低年齢化が課題となっている。教育委員会としては、子どもたちが性犯罪や性被害の加害者にも被害者にも傍観者にもならないよう、「生命(いのち)の安全教育」等の推進にも努めているところ。今後も、生命の尊さを学び、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を育むことができるよう、人権教育の視点を踏まえた適切な指導に努めていく。

(2)公務員等の働き方について

※この質問は、取り下げられました。

通告27番 有賀議員

1. まちの活性化について

(1)公有財産の有効活用について

 トライアル・サウンディングの運用状況と今後の見通しは?⇒(宮原企画政策部長)トライアル・サウンディングについて、今年度は、市役所本庁舎イベント広場、屋上庭園、サンライズ広場および奥田公園、旧桔梗屋において実施している。主な実施事業としては、イベント広場での楽器演奏、屋上庭園でのヨガ、サンライズ広場でのフリーマーケット、物品販売、奥田公園では、キッチンカーの出店など。今後も、引き続き市役所本庁舎、奥
田公園に加え対象施設を拡大していく。なお、旧桔梗屋については来年1月4日から5月31日の期間における実施に向け、現在募集をしているところ。

 実際開始してみて、初期段階として検出された課題等はあるか?⇒(宮原企画政策部長)市役所本庁舎においては、公共空間の活用により集客が図られハコモノを面白くするコンテンツとなっていると感じている。しかし、不定期、単独での活用など、公共施設等での実施のポテンシャルが生かせていない点もあるので、今後、暫定使用者のモニタリング調査やヒアリングにおいて、さらなる有効活用の方法を探っていきたいと考えている。

 既にトライアルを終了し「実装」に向けて制度設計に入っている自治体があると認識しているが、藤沢で展開する場合どのような課題があるのか?⇒(宮原企画政策部長)制度運用初年度のため、今後の展開については今年度の実施結果や、暫定使用者のモニタリング調査やヒアリング等を参考に、コンテンツの市場性や事業性の検証を行っていく。また、トライアル・サウンディングはニーズや収益性、事業性を確認する公民連携による効果的な活用方法を探ることを目的としているので、制度の継続的な運用に向けても、公共施設が常に様々な可能性に対してオープンであるよう、より多様な施設への展開に向け取り組んでいきたいと考えている。

 公共資産パートナーシップ提案制度の運用状況は?⇒(宮原企画政策部長)公共資産パートナーシップ提案制度は、公共用地や建物について、民間による有効活用を図るため、本年6月に新たに制度化したもの。今年度は、旧市営西富住宅跡地について、有効活用に関する提案を現在募集している。スケジュールは、12月中旬までに提案を受け付け、その後、1月中旬に提案に係るプレゼンテーションを実施して、2月上旬に審査結果を公表する予定。

 旧辻堂市民センターの維持管理内容と費用について、昨年度及び今年度の状況は?⇒(平井市民自治部長)昨年度8月初旬の移転後は、最低限必要な樹木の剪定作業や建物の機械警備業務、自家用電気工作物の点検を専門業者が行っている。また、低木の剪定や除草作業、落ち葉清掃等については、市民センター職員が必要に応じて行っている。費用は、これらの作業に係る手数料や業務委託料に加え、電気や水道などの光熱水費の予算を確保しており、令和3年度は8月以降の8カ月間で、約206万2千円の経費を要したが、令和4年度予算では、約166万5千円を計上しているところ。

 6月定例会の答弁の中で地元事業者等、複数の団体から跡地や空き施設の利活用について、提案などの相談についての認識を持ち、庁内関係課と連携し検討を進めているということだったので、「公共資産パートナーシップ提案制度」の活用を期待しているが、6月以降はどのように準備を進めているのか?⇒(平井市民自治部長)旧辻堂市民センターの施設及び跡地については、資産売却に向けた準備を進めるとともに、公共資産パートナーシップ提案制度の活用も見据え庁内関係課と検討を行ってきた。その後、跡地と接する土地や道路の所有者等と境界等に係る確認の準備が整ったことから、市の方向性の決定に基づき、資産売却に向け事務を進めているところ。 

 昨今の感染症対応による必要面積の増加や福祉避難所の設置、さらには、ペット同伴の扱いといった、多くの避難所、避難施設が抱える課題が浮き彫りになっている中では、旧辻堂市民センターのような津波浸水域外の耐震性が確認されている既存施設は、市民生活の安全・安心の向上、地域の福祉の増進という視点から、単なる売却という判断はこれからのまちづくりにそぐわないと考える。また、新たな制度として作られた「公共資産パートナーシップ提案制度」の適用に最も適した事例と考えているが、売却の方針を見直すことはないのか、市長の考えは?⇒(鈴木市長)資産売却の方向性を決定した令和元年5月以降、新型コロナウイルス感染症がまん延し、様々な場面で感染症対策が必要な状況であることは承知している。しかし、跡地の利活用については、庁内の手続きを経た上で、市の方針として資産売却の方向性を決定し、地域住民への周知を行っていることから、この方針は重いものであると考えている。市としては、ウィズコロナにおける新しい生活様式を見据えた中で、今年度においてもいくつかの選択肢から改めて検討を重ねたうえで判断したことから、売却の方向性を進めていくことが基本と考えている。

2. モビリティ政策について

(1)自転車の安全利用について

 警察庁が今年1月に全国の警察に指示を出し、自転車の交通違反取締りが強化されている中、9月には警視庁が新たな取締要領を各警察署に通達したとの報道があった。こうした状況の中、神奈川県警察による対応等を把握しているか?⇒(斎藤防災安全部長)自転車の取締り強化について、神奈川県警察から「自転車指導啓発重点地区・路線」が発表されており、本市において、藤沢警察署管内では「鵠沼神明地区」及び「国道467号」が選定されている。また、藤沢北警察署管内では「石川・大庭地区」及び「湘南台1~4・及び7丁目」が選定されており、いずれも自転車利用者が多く、自転車関連事故の多いことが選定理由とされている。両警察署における取締りの状況は、重点地区・路線を中心に、信号無視や一時不停止などに対して指導・啓発を行っており、悪質な場合には警告にとどめず、いわゆる赤切符等の交通切符で摘発を行っていることを確認している。

 そうした状況を受け、本市としても何らかの対応が求められると思うが?⇒(斎藤防災安全部長)今回の取締り強化は、自転車利用者に対する強いメッセージとなるので、本市としても、警察と連携し、自転車に係る交通ルール遵守の機運を高めていきたいと考えている。主な取組としては、ヘルメットを着用などの自転車安全利用五則や、酒酔い運転などの危険行為禁止をリーフレット等で周知啓発するほか、交通安全教室やキャンペーンなどにおいて、自転車の交通安全に係る注意喚起を行っていく。

 神奈川県は平成31年に「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を施行したが、それを受けた県の施策と市が行った施策はどのようなものがあるか?⇒(斎藤防災安全部長)自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例における大きな柱には、自転車損害賠償責任保険加入の義務化があり、神奈川県は、その内容を分かりやすく記載した小冊子「チリリン自転車条例・ルールBOOK」を作成し、県や市町村の窓口等に配架して、広く周知を行っている。本市においては、当該保険の重要性や損害賠償事故の事例等をホームページや地区回覧等に掲載し、市民への普及啓発に取り組ん
でいる。このような取組の結果、令和2年に神奈川県が実施した県民ニーズ調査では、「加入している」との回答が75.9%となり、前年比15.6%%の増加となっている。

 自転車の安全利用に関して、今後考えられるハード・ソフト両面の市としての施策は?⇒(斎藤防災安全部長)自転車の安全利用に関する本市の今後の施策について、ハード面としては、規制速度や自動車交通量等の道路の状況に応じ、自転車専用通行帯や車道混在の路面標示等の形態で、自転車走行空間の整備を進めている。スケジュールとしては、ふじさわサイクルプラン実施計画にて、令和2年度から令和12年度までの計画期間を4期に区分しており、令和5年度からは第2期に着手していく。また、ソフト面の施策としては、自転車街頭点検において、賠償責任保険等が付帯されたTSマ
ークの紹介を行うなど、点検整備の重要性などを呼びかけていく。加えて、警察や各地区交通安全対策協議会等との連携により、あらゆる機会を捉え、継続して、地域ぐるみでの自転車の安全利用と交通マナーの向上等を普及啓発していく。

3. 中学校給食について

(1)藤沢型としての普及について

 本市の中学校給食について、現在に至るまでの経緯は?⇒(峯教育部長)中学校給食の導入に向けては、平成23年に「中学校給食検討委員会」を設置し検討を始めました。検討委員会は、学識経験者ほか小中学校の教員、栄養士、保護者の代表などから構成され、翌平成24年度にかけて、小中学生とその保護者へのアンケートを行うなど、幅広い見地から議論を重ねてきた。様々な導入手法それぞれにメリットデメリットがあること等、検討委員会からの報告を受けて平成26年度から段階的に導入してきたのが藤沢市の選択制デリバリー方式による中学校給食。開始後も様々な意見をいただき改良を加えながら取組を広げ、令和元年10月には、市内すべての中学校で給食を利用できる体制が整った。

 当初、課題と認識していたのは「買い弁」の問題、中学校給食を導入して以降、中学生の昼食の現況は?⇒(峯教育部長)いわゆる「買い弁」について、統計的な把握はできていないが、選択制デリバリー方式は、日ごとに利用する、利用しない、を選ぶことができる仕組みなので、あらかじめ予約が必要ではあるが、各家庭の事情に応じた利用がされていると認識している。仕事の都合でお弁当作りができない日や、生徒の好きな献立の日を選ぶなど、理由は様々あると思われるが、利用したい日にだけ使うことができるのは制度の利点と考えている。現在は、市内の中学校で平均して3割弱の生徒が中学校給食を利用している。

 試行から始めて段階的に広め、全校で利用できるまでに至った。藤沢市の中学校給食として力を入れて取り組んできたことは?⇒(峯教育部長)本市の中学校給食で取り組んできたこととしては、小学校給食と同様に国産食材の使用を基本とし、学校給食に携わる栄養士による材料選定から始まり、調理については手作りにこだわり、委託事業者と献立ごとに工程の打ち合わせを行っている。また、配送に関しては、ごはんや汁物は温かいまま届けられるような工夫をしております。ほかにも中学生の体格差を考慮した大盛の設定や、ふじさわランチ・かながわランチの献立により地産地消への関心を育むことにも取り組んできた。生徒に親しまれる給食を目指す取組としては、ランチボックスのフタにイラストを印刷したものを使用しているが、その図案は各校の生徒に募集をして描かれたものの中から選んでおり、毎年新しいフタを購入するたびにイラストも募集している。

 中学校給食の運営をサポートするシステム上の特徴的な取組は?⇒(峯教育部長)中学校給食の予約登録などに利用されるシステムに関しては、利用するためのID・パスワードを、入学時に全ての生徒に対して発行している。利用する際にあらためてアカウント登録をする必要はないので、ログインをすれば、利用したいときに予約登録が可能。また、コールセンターを設け、操作についてわからないことや、予約登録の確認、ID・パスワー
ドが分からなくなってしまった際の再発行の申し込みなどにも対応している。

 事業として現況をどのように評価しているのか。課題認識、解消に向けての取組の考えは?⇒(峯教育部長)毎年度、生徒と保護者、そして教職員向けに中学校給食に関するアンケートを実施し、事業を振り返り、改善につながるよう取り組んでいる。アンケートの声に応えて小学校でも人気のあげパンを取り入れるなど、献立への反映や、支払い方法の多様化、「ずっと予約」のような使い勝手の向上など、より良い運営に向けて改善を重ねてきた。そして現在あらためて取り組んでいるのは中学校給食そのものの周知。コロナ禍に見舞われて以降、試食会が実施できず、生徒や保護者が中学校給食に触れる機会が失われてしまった。昨年度終盤から少しずつ試食会を実施できるようになってきたが、これに合わせて喫食率にも増加の兆しが表れている。喫食率の向上は学級内での利用し易い雰囲気づくりにもつながります。今後も生徒・保護者に寄り添う形で安心・安全な給食提供に取り組んでいく。

 選択制デリバリー方式の中学校給食について、利用する方、利用しない方、それぞれの理由の把握など、利用者が事業に寄せる思いをどう捉えているか?⇒(峯教育部長)給食に対する生徒、保護者の思いは、先の答弁でも触れたアンケートの結果に表れている。例えば給食を利用する理由、利用しない理由、それぞれ伺っており、利用する理由としては、栄養面でのメリットやお弁当づくりの負担軽減といった回答がある。また、利用しない理由としては、子どもがお弁当を望むから、急な注文・キャンセルができない、予約や入金が面倒といったことなどが挙げられている。

 喫食率だけが事業の成否を表すものでは無いと考えているが、大切なのは「必要とされる方に必要なものを届ける」こと。事業の特徴をとらえた評価軸の検討は?⇒(峯教育部長)事業の評価について、喫食率は目安の一つかもしれないが、生徒や保護者にとって使い易くて、必要な時に利用できる中学校給食であることが大切だと認識している。数字には表れない利用者の思いを伺うためにも、アンケートは重要と捉えているので、質問項目などを工夫しながらこれからも継続していきたいと考えている。アンケート結果を踏まえた改善が、さらに利用し易くおいしい中学校給食に結びつくよう、これからも取り組んでいく。

※以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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