平成25年度 施政方針+財政計画

 2月18日の本会議(初日)の中で、鈴木市長より、施政方針と財政計画が示されました。内容の抜粋については、次の通りです。

1.はじめに

 私は(鈴木市長)、市長就任以来、まずは失われた信頼を回復し、市民に開かれた信頼される市政を構築するため、「藤沢市における法令遵守に関する条例」の制定、「内部統制制度の拡大」、「市政アドバイザーの廃止」、「土地開発公社における土地の先行取得の透明化」など、前市政から繰り越された多くの課題の解決に精力的に取り組んできた。

 また、本市の重要な課題である「津波避難対策」や「藤沢市防災計画の見直し」、「待機児童解消のための保育所の新設」、財政健全化を目的とした「市長の退職金の見直しをはじめとした総人件費の削減」などに取り組むとともに、「法とモラルを守る藤沢」「ずっと安心して暮らせる藤沢」「命を守り災害に強い藤沢」「いきいき働ける藤沢」「みんなにやさしい藤沢」の5つのビジョンに基づく「郷土愛あふれる藤沢」の実現に向けた取組をしてきた。

 市庁舎の再整備については、重要かつ喫緊の課題として、昨年10月より、敷地測量の実施や基本構想の策定に向けた検討を進めてきたが、平成25年度には、更に基本設計に取り組み、具体的な姿を明確にしていく。

 私は、自治体の政策は、日々の市民生活や地域への愛着の中から創造されるものであるという信念を持っており、政策の実現にあたっては、職員がその知識と経験を活かして市民の思いに寄り添い、自覚と責任をもって、多様な人々や組織と共に考え、行動するパートナーシップに基づいた取り組みをすることが重要と考えている。

 先日の成人式には、15年ぶりの大雪の中であったが、多くの新成人が来場し、改めて、皆さんが家族や友人との絆、地域との繋がりを大切に思われていることを強く感じた。この「絆」や「繋がり」こそが、まさに自治体の財産であり、これを生かしたまちづくりを積極的に進めることが、郷土愛を高めていくものと確信している。こういったことを踏まえ、平成25年度は、「実感」「共感」「存在感」をテーマとして、市政運営に取り組んでいく。そして、これらのテーマを繋ぐ合言葉を「高める」としたいと思う。

 

2.「実感」「共感」「存在感」を「高める」

 重要なことは、市民生活の安全、安心をはじめとする暮らしやすさの「実感」を「高める」こと。藤沢には、市民の皆さんにより、培われた自治と文化の歴史という大きな財産がある。この財産を更に育むためには、市民の皆さんの「実感」を大切にし、積極的に市民の皆さんの声を聴き、行政と市民をはじめ、多様な主体が互いに理解し合うことによる「マルチパートナーシップ」に基づく「共感」を「高める」ことが重要。

 また、高まった「共感」の上に、信頼や尊厳に基づく市民や行政の存在、コミュニティーにおける触れあいや賑わいの存在など、「人の和もうるはしい藤沢市」の持つ価値に基づく「存在感」を「高める」ことを大切にしていく。

 3つの感は心。「実感」「共感」「存在感」を「高める」とは、心に触れ、心が動き、心の通い合う市政の創造であり、そのことにより「郷土愛あふれる藤沢」づくりを更に推進していく。

 

3.社会経済情勢

 国政では、政権交代により、平成24年度補正予算からはじまる「15ヶ月予算」による切れ目のない経済対策が打ち出され、「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の3分野を重点とした政策が実施されようとしており、その効果が期待される。その反面、税と社会保障の一体改革による負担の増や給付の削減などにより、自治体や市民への今後の影響が懸念される。

 加えて、神奈川県が、緊急財政対策(神奈川臨調)に取り組む中で、県有施設の見直しや補助金の廃止などの検討が進められており、その動向に注視している。

 本市においても、大幅な税収増が見込めない中で、生活保護費等扶助費の増大や、超高齢・少子化社会などを起因とする地域コミュニティーの変化などが、市民生活や地域の産業、まちづくりの面に大きな影響を及ぼすことが想定される。このように、先行きに明るさが見えない状況ではあるが、私は、新たな行財政改革を推進し、財政の健全化や市民サービスの質的向上を図る中で、「選ばれる藤沢市」を構築していく。

 

4.郷土愛あふれる藤沢づくり

 平成25年度の市政運営に取り組む基本的な考えと主要な政策の概要、政策を実現するための主な事業について、3つのテーマに基づいて、新たなものを中心に説明する。

(1)「実感」を高める

 「実感」を高めるための具体的な重点政策を、「地域経済を循環させる」「子どもたちを守り育む」「豊かな環境を創る」「文化・スポーツに親しむ」「市民が元気になる」「都市基盤を充実する」「災害に備える」の7つとする。

①地域経済を循環させる

 「地域経済の循環」とは、市内でお金がまわる仕組みを作ることにより、市内産業を発展させ、市民への還元を高める本市経済の再生のことである。広く市内産業、物産等への認知度を高め、更に市内中小事業者を支援することで、地域の産業が発展を続け、本市の活力が再生されているという「実感」を「高めて」いく。

・市内産業の再生、振興と新たな地域の交流拠点の創出を目的に、商工会議所が設置する産業拠点施設の建設を支援していく。

・人々が賑わう集いの場となる「ふじさわ元気バザール」を試行的に開催し、市内の経済循環を促すための、より効果的な仕組みの構築に取り組んでいく。

・地域経済の循環を高める経済対策として、市内施工業者による住宅リフォームに対する助成制度を新たに開始するとともに、中小企業の資金繰りを支援するため、借り換えの資金としても利用できるよう、市の融資制度を拡充する。

・市外からの一層の誘客を推進し、消費に結びつく観光を更に発展させるため、認知度の高い観光情報誌を活用した観光PR事業を新たに実施するとともに、老朽化が進んでいる稚児ヶ淵レストハウスの改修に向け、船着き場、歩道の整備などを実施する。

・新産業の森について、進出企業の平成26年度の立地をめざして、整備を加速させていく。

・有機質資源再生センター事業の終息に向けた取組を着実に進めるとともに、市内農水産業の経営基盤の安定化を促進し、地産地消の推進を図るため、生産者と消費者、事業者が交流できる機会の新たな創出、生産・流通などの現場学習を含む地産地消講座等の拡充を図っていく。

②子どもたちを守り育む

 施設整備の充実を図る一方、人々の繋がりを大切にする事業を展開することにより、「子どもたちを守り育む」環境をつくり、子どもたちが健やかに育っているという「実感」を「高めて」いく。

・待機児童の課題については、引き続き、駅前型を含めた認可保育所の施設整備を推進するとともに、新たに認可外保育施設の活用・充実を図る藤沢型認定保育施設制度を創設するなど、その解消に向け、更に取り組みを強化していく。

・ニート、ひきこもり等の自立に困難を抱える若者とその家族を支援するため、新たに、子ども・若者育成支援事業を実施するとともに、若者が主体的に就職活動に取り組むことができるよう、就労体験等のプログラムを行う、「(仮称)若者しごと応援塾」を開設するなど、新たな総合支援体制を構築する。

・学校防災機能の強化を図るため、小学校23校と中学校8校の体育館等の非構造部材について、耐震性の点検調査を実施する。

・就学援助における申請手続きの簡素化や個人情報を含む学齢簿を教育委員会で一元管理するため、学齢簿・就学援助システムと、成績処理をはじめとする校務を適切かつ効率的に行うための、中学校校務支援システムを新たに導入する。

・いじめや体罰が深刻な社会問題となる中、各校ごとに健全な学校づくりを進めるため、児童生徒が主体となって、いじめの未然防止に取り組む、いじめ防止プログラムをはじめ、教職員への研修等を引き続き実施する。

・特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対し、学校生活や宿泊行事等における介助や支援を更に充実させるため、介助員派遣時間数の拡充を図る。

・学校における食育の推進を図り、給食を正しいマナーで食べることができるよう、アルマイト食器から「PEN樹脂食器」への更新を2校で実施する。

・中学校給食については、中学校給食検討委員会の検討結果を踏まえ、平成25年度は、その実施に向けて、より具体的な実施方法の検討と課題の整理、他自治体の事例調査等の研究を更に進めていく。

・中学校の部活等の課外授業を充実させるため、運営費の補助や高額楽器の購入費を増額する。

・休日における安全な学校施設の管理と地域活動等における円滑な学校利用を図るため、すべての小・中学校に学校管理ボランティアを配置する。

③豊かな環境を創る

 豊かな自然や環境が守られ、創られているという「実感」を「高めて」いく。

・自然環境の維持保全については、川名清水谷戸における緑地の取得・保全と、石川丸山谷戸における緑地の維持管理、保全計画の策定、市民活動団体への支援を実施する。

・都市における身近な自然環境を形成するため、ビオトープ管理者養成講座を引き続き実施するとともに、3ヶ年計画の最終年度として、自然環境実態調査を行っていく。

・現行の緑の広場における家庭菜園に替わり、新たに法律に基づく市民農園を開設する。

・市内4箇所目となる、路上喫煙禁止区域として、新たに辻堂駅南口周辺を指定する。

・廃棄物の資源化を更に推進するため、(仮称)藤沢市リサイクルセンターの運営をスタートするとともに、NPO法人による体験学習など、環境教育の拠点機能を備えた環境啓発施設の開設に向け、準備を進めていく。

・温室効果ガスの発生抑制を目的として、電気自動車導入に対する補助を行うとともに、家庭用の燃料電池であるエネファームの設置助成を新たに実施する。

・再生可能エネルギーの普及を促進するため、住宅用太陽光発電システム整備への補助を引き続き行っていく。

・防犯灯の新規設置、補修交換分の補助対象をLED灯とし、環境改善の普及に努めていく。

④文化・スポーツに親しむ

 市民活動の更なる充実はもとより、市民一人ひとりが身近に文化・スポーツを楽しめるという「実感」を「高めて」いく。

・湘南台文化センター内に、市民活動推進センターの分館を新設する。

・耐震性等から問題となっている六会市民センター・公民館の改築については、敷地内における北消防六会出張所と消防団第16分団との合築を視野に、その整備に着手する。

・第22回市民オペラを開催する一方で、文化芸術検討委員会を新たに設置する中で、本市における文化・芸術行政全体のあり方について見直し・検討を進めていく。

・次世代育成や郷土文化拡充の視点から、藤沢市文化団体連合会を通じ、各種文化団体の活動を新たに支援する。

・後世に伝え、残すべき景観や市民との協働により形成される良好な街なみを、地域共有の財産として継承、発展させ、魅力あるまちづくりに寄与するため、「街なみ百年条例」の検討を更に進めていく。

・平成26年度に開催予定の第27回東海道シンポジウム藤沢宿大会に向け、大会への機運を高め、旧藤沢宿の歴史と素晴らしさを再認識していただくため、プレイベントを開催するとともに、東海道案内サインの設置に向けた取組を進めていく。

・スポーツ振興については、ビーチバレー発祥の地である鵠沼海岸において、引き続き「全国中学校ビーチバレー大会」を開催するとともに、湘南藤沢市民マラソンへの支援を行い、スポーツ施策の一層の充実を図っていく。

・市民の誰もが気軽にスポーツを楽しめるよう、藤沢市民総合体育大会については、検討委員会の結果も踏まえ、時代に即した、より充実した大会となるよう、見直しを進めていく。

・スポーツ施設不足を解消するため、下土棚遊水地の上部利用をはじめ、施設整備について検討を進めていく。

・第40回を迎える藤沢市民まつりについては、節目を記念する催し等を取り入れながら開催する一方、今後の藤沢らしい市民まつりのあり方について、実行委員会とともに検討を進めていく。

⑤市民が元気になる

 市民一人ひとりに対応した、きめ細やかな福祉を充実させるとともに、健康増進を図り、「市民が元気になる」ことにより、安心して健やかに暮らせるという「実感」を「高めて」いく。

・新たに法人後見を開始する藤沢市社会福祉協議会に対して、支援を行い、成年後見制度の利用を促進していく。

・保健医療センター内の北部診療所で実施している要介護高齢者の歯科診療を、口腔保健センター内の南部診療所でも新たに実施する。

・障がいのある人が住み慣れた地域での生活を維持するため、平成25年度開設の2施設を含め、共同生活の場であるグループホーム・ケアホームの設置と運営を支援していく。

・障がいのある人の地域における生活を支援するため、権利擁護を含めた総合的な相談等を行う基幹相談支援センターを新たに設置する。

・江ノ電鵠沼駅の利用環境を改善し、移動の円滑化を促進するため、平成25年度は、エレベーターの設置について支援していく。

・増大する生活保護受給者への適切な対応を図るため、ケースワーカーを更に増員する。

・医療体制の充実に向け、市民病院東館の建て替え工事に着手するとともに、高度化する救急業務に対応するため、救急救命士等の研修体制の拡充と、重症患者への適切な処置を可能とする救急ワークステーションを設置する。

・湘南東部医療圏の看護師不足を解消するため、4月に開校する湘南看護専門学校の運営について、茅ケ崎市・寒川町とともに支援していく。

・高齢者の生きがいと健康づくりの拠点施設である「いきいきシニアセンター」の利用促進に向け、開館日および巡回バスの運行日を拡充する。

・老朽化が進んでいる生きがい福祉センターの再整備を進めていく。

⑥都市基盤を充実する

 社会資本全体の再整備は国を挙げての大きな課題となっている。本市においても、現有する資産を有効に活用しつつ、長寿命化させ、新たな整備を進めることで都市を更に成長、発展させ、市民にとっても安全・快適で便利であるという「実感」を「高めて」いく。

・藤沢駅周辺市街地の再整備について、再整備基本構想・基本計画の実現に向けた、まちづくり方針案の作成を進めていく。

・北部の自然環境に配慮しつつ、いずみ野線延伸の実現に向け、地元関係機関と引き続き協議、検討を進めるとともに、健康と文化の森地区の市街化区域への編入を前提とした都市拠点地区形成の検討を進めていく。

・新駅設置を含む村岡地区のまちづくりについては、引き続き、県・鎌倉市と本市で構成する「湘南地区整備連絡協議会」を通じ、村岡・深沢地区が一体となったまちづくりの実現に向け、取り組んでいく。

・長後駅西口駅前広場の拡張工事についても、取り組みを加速し、バリアフリー化を含めた駅利用者の安全性、利便性の向上を図っていく。

・道路情報の共有化と一元管理による業務効率性の向上と災害復旧の迅速性を高めるため、道路台帳のデジタル化と地理情報システム化の検討を進めていく。

・市道については、道路交通ネットワークの強化を図るため、遠藤葛原線。高倉下長後線などの整備をはじめ、将来を見据えた取組を進めるとともに、歩行者交通の一層の安全確保を図るため、中学通り線、六会駅西口通り線の道路改良を実施する。

・橋梁については、耐震性の強化と長寿命化をめざし、日の出橋の改修設計に着手するとともに、高倉人道橋などの再整備を図っていく。

・市内における、自転車利用の実態を踏まえ、空間のあり方や自転車利用者の交通安全施策などの総合的な計画となる「自転車利用環境整備計画」を策定し、取り組みを進めていく。

⑦災害に備える

 これまでも様々な地震、津波対策に継続的に取り組んできたが、今後も災害対策を充実させ、市を挙げて「災害に備える」ことにより、不安がなく安心して暮らせるという「実感」を「高めて」いく。

・鵠沼市民センターと市営鵠沼住宅の屋上へのフェンス等の設置に向け、耐震診断など必要となる調査を実施していく。

・津波の危険性が高いとされる地域にでの、公益性の高い施設の改修時における避難用屋上階段とフェンスの設置等に対する支援に取り組むとともに、避難路として重要な西浜橋、山本橋の耐震化に向けて設計を進めていく。

・防災公園としての機能強化を図るため、片瀬西浜公園の改修に向けた基本設計を策定するとともに、片瀬山避難施設への安全な避難経路となりうる路線について、急傾斜地の防護対策工事の必要箇所を調査する。

・防災時の情報伝達と避難後の安全確保に向けて、防災無線固定局のデジタル化と防災資機材の整備拡充に取り組む。

・被災時に救援物資等を搬入する際の目安となる、学校屋上のヘリサインに換えて校名を記した横断幕を整備する。

・地域の特性に即した、適切な避難などの情報を提供する「ふじさわ防災ナビ」構築するとともに、津波避難対策を充実させ、避難時の課題解消と、迅速かつ確実な安全の確保に向け、取り組みを進めていく。

・被災時の対応指針の基本となる地域防災計画を改定するとともに、防災危機管理室を創設し、地震津波対策、風水害対策、原子力発電所事故などを含む都市災害対策、災害発生時における業務継続計画の整備拡充など、災害対策全体の強化を図っていく。

(2)「共感」を高める 

 平成25年度からは、20部3室113課による新たな組織体制を構築し、市民との「共感」と市民サービスを「高める」ことをめざしていく。

(3)「存在感」を高める

 総合計画については廃止し、長期展望を踏まえた市政運営の方向性や行政として果たすべき目標を示す、新たな「市政運営の総合的な指針」を策定していく。藤沢の素晴らしさを育み、藤沢の「存在感」を高めていく

 

5.財政計画

 国では、経済対策として行われる公共事業等の追加に伴う地方負担総額の8割となる約1兆4,000億円を「地域の元気臨時交付金」として計上することとしている。この交付金を活用するためには、平成24年度補正予算に組換え、前倒しする必要がある。この予算の前倒しにより、平成25年度当初予算においても、地域経済活性化の観点から、道路、公園の改修工事等のほか、保育所、学校等の施設修繕経費について、国の元気臨時交付金を財源の一部に活用して計上したところである。

 これにより、平成25年度当初予算の規模は、

・一般会計 1,209億900万円

・特別会計 1,123億757万円  計2,332億1,657万円。 

以上、施政方針+財政計画の報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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